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2017年8月19日 (土)

John Lobb(キングオブシューズ):前編

この夏は2週間の海外旅行を組んでみた。行先は4年ぶりの英国…4年前のパリ長期滞在中1泊2日でロンドンに泊まって以来だが、今回はロンドンも含め全てが英国内に長期滞在する予定なので今までやれなかったことができる絶好の機会だ。

中でも大きな目的の一つがジョンロブロンドンの訪問。誂える予定はないが懇意の靴職人が移籍したと聞いたら表敬訪問するしかない。そこで今回は千歳一隅のチャンスを生かしてジョンロブロンドンを訪問した様子を前後編に分けて紹介しようと思う。

1.ジョンロブのスペクテイター

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最もジョンロブらしいスペクテイター。Aフラッサーによればジョンロブが1868年頃にクリケット観戦者の為に茶白のコンビを作ったのが始まりらしい。白の部分はバックスキンだが白さを保つチョークの粉によってヌバックのような風合い変わっている。

2.店内の什器

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幾度となく写真で見た店内の様子。JohnLobbのプレートが掲げられたケースの中にはジョンロブの歴史が詰まったサンプルが並べられている。ブーツメーカーだけあって長靴も多いのが特徴、雑然とした店内は時の流れが止まったままのようだ。

3.シューズラック(その1)

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オックスフォード(内羽根)に混じってナビーカット(Navvy-Cut:外羽根)の靴も意外と多いがつま先はジョンロブらしいラウンドトウが中心だ。中にはツィード生地とのコンビ靴やハイランダーの為のギリーシューズなど心惹かれるデザインも多い。

4.シューズラック(その2)

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こちらはアメリカンなローファー<英国ではカジュアルと呼んでいるが…)やタッセルスリッポン、その下にはオンビジネスで活躍しそうな黒靴が所狭しと並んでいる。スクエアな靴は少なく、丸みを帯びたエッグトウスタイルが多い。

5.ラストメーカー Mr.ティームレッパネン

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前のG.クレバリーの職人でジョンロブに移籍したティーム。彼のお蔭でジョンロブの店内を見学することができた。改めてお礼を言いたい。エスクワィア誌にかつて「世界一美しい店」と称されたジョンロブの店内は複雑だがそこここに歴史が息づいている。

6.ワークスペース(ラストメイキング)

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これはティームの後ろにあるラスト職人専用の作業場。ティームは前の方だったが奥まで4つほどあっただろうか。顧客が来るとそれぞれ対応するラストメイカーがこの場所から出てきて顧客と色々な相談をする…そんな光景が目に浮かぶ。

7.完成して出荷を待つ靴

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こうして完成した靴の入った箱を見るとかなり壮観だ。もっとも自分が見学中に入ってきた客は一人、殆ど静かに時間が過ぎていく。いつ注文が入るのだろう…高級ブランドが並ぶボンドストリートは買い物客で賑わっているのとは対照的だ。

8.注文書

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箱の上にある黒い冊子は顧客が注文した靴の詳細が分かるカード入りのファイル。デザインやマテリアルなど細かな指定が分かるようになっている感じだ。やり方は店によって違うようで移籍した職人は慣れるまで大変では…と思ってしまった。

9.道具の状態を確かめる

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ナイフの刃先を見つめているのだろうか…この後やすりを取り出して刃先をおもむろに研ぎ始めた。以前テイラーが鋏で生地をカットしているところを見学してよく切れるなと感動したが、靴職人のナイフも本当によく切れる。

10.ワークスペース(ポリッシング)

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出荷前やリペア後の靴を綺麗にポリッシングしてから送り届ける…売れるのを待つ間に乾いてしまい、客の元に届く頃にはかさつくこともあると既成靴と違い、誂え靴は専門の職人によって綺麗に磨かれ最高の状態で届けられるというわけだ。

11.ポリッシングコーナーのポリッシュ

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ジョンロブロンドンのポリッシュはロブロンドンを訪れた記念に買う土産の定番。靴は注文しないがポリッシュならば…ということだろうか。うっすらと埃をかぶったようなこのスペースは写真映りが良くワークショップの中でもかなり絵になる場所だ。

12.足踏み式のミシン

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モーターのミシンではなく手で輪軸を回しながら足踏みで速度を調節する昔ながらのミシンが至る所に置かれていた。中には今使っているミシンが壊れた時用に予備のミシンまで置いてあって如何に道具が大切なのかがよく分かる。

13.ソールのカッティング

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ラストに合わせてインソールをカットする作業中なのだろうか…工程ごとに作業スペースが取られているようだが、ワークスペースに対して仕事をしている職人さんの数はやや少なめだった。まだホリデーから復帰していない職人さんもいるのかもしれない。

14.ジョンロブ名物ラストルーム(その1)

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かなり高いところまでぎっしりと隙間なくラストが並んでいる。当たり前だが高い位置ははしごを使って取りに行くわけでどのあたりにあるか分かるように保管しておこなければならない。因みにロブではラストの番号毎に並べているそうだ。

15.ジョンロブ名物ラストルーム(その2)

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ジョンロブではラフターン(ベーシックラスト)がある。大まかなデータから最も合うラストを選んでそれを削りながら顧客の詳細なサイズに従って仕上げていくようだ。ロブパリもそのあたりは同じで、木のブロックから一人一人の為に削るのは大変だろう。

16.過去の顧客のラスト

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既に亡くなった顧客の中で著名な人のものはこうして保管されている。マルチェロマストロヤンニやデュークエリントンなど誰もが知っているビッグネームのラストがそこにはあった。注文が途絶えた顧客のラストは新しいラストに再生することもあるそうだ。

17.靴のサンプル(その1)

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いわゆるビジネスシューズ、日本では量販店の紳士靴売り場に並ぶコンサバスタイルの黒靴とよく似たタイプだが流石はジョンロブ、何処となく雰囲気が違うのはコバの張り具合やウィールの入り方だろう。両脇のエラスティックをカバーで覆うタイプ。

18.靴のサンプル(その2)

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18の黒靴(右側)と一緒に写っている茶靴はエラスティック部分のカバーの仕方がよく似ているということでティームが出してきたもの。カバードサイドエラスティックとでも呼べばよいだろうか、素材がオストリッチということでかなり雰囲気が出ている。

今回はワークショップの様子をアップしてみた。できればもっと時間を取って色々聞きながら回れたらとも思ったが、自身の仕事の時間を割いて案内してくれたティームはその間仕事が進まなかったわけで、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

次回はサンプルを中心にキングオブシューズと称されるジョンロブロンドンの魅力を紹介しようと思う。ロイヤルワラントのホルダーであり、ロンドンのウェストエンド界隈で唯一既成靴を作らない純粋な誂え靴屋ならではの靴見本に期待していて欲しい。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです。キングオフ。と見ましたらジョンロブの手前であります(ドーヴァー海峡の手前)のJM Wかな?と一瞬思ってしまいました。あれはローファーでしたね❗失礼しました。ロブのコメントは後程。

お久しぶりです。管理人様は英国にいらっしゃるのですね!
そしてジョンロブに懇意の靴職人を訪ねる…何とも贅沢で羨ましい限りです。
店内の様子は、これはもう保存版ですね!
さらに、サー デュークのラストが、もう決して現れることのない主の来店を待ってひっそりと佇んでいる…読んでいて胸がいっぱいになりました。

私の方は、今トロントに来ています。オールデンを買うのを楽しみにしていたのてすが、どうしても時間が合わず断念しました。海外で自分の時間を作るのは本当に難しいですね。
英国で優雅な時間を過ごす管理人様を、とても羨ましく思いました。続編も楽しみにしています!

管理人様


ロンドンという一等地で、誂えだけで長年商売をしてきたというのは、やっぱりすごいですね。

ところで、サンプルはというと、とても英国的なクラシックなものが多いですね。ティームさん等の新しい風が入ることで、ロブロンドンも、モダンなテイストを取り入れるなどして、進化を遂げていくのでしょうか。

浦野様

キングオブシューズと言われるジョンロブロンドン、既製靴に一切手を出さずに店を維持できるのは唯一ジョンロブロンドンだけですので5代続くファミリービジネスの運営にとても興味が湧きました。

それにしてもキングオブローファーは正に的を得ている言葉ですよね。あの独特の佇まいはキングの名に相応しいなと思いましたが、果たして今回のロブロンドンがキングオブシューズと例えられているのに付いて浦野様の感想は如何に…。

BB

先週の木曜日に帰国しました。

ロンドンだけでなく英国全体を回りましたので買い物もあまりせず。ビスポークは一切なしです(笑)

BB様はトロントではお忙しかったようでオールデンを買えなかったとのこと、どうかチャンスを生かしてお気に入りのコードバン靴を手に入れられるように願っています。

帰国されましたらオールデン買いの結末などお聞かせくださいますと幸いです。

やまだ様

ロブロンドンは飛び切り値段が高いのですが、もしティームに作って貰うとするとロブロンドンというよりは今まで見慣れたティームの靴になるような気がして、彼にそれならば独立しないのか?と聞きました。

が、今はキャリアを積むことに専念したいようです。

ロブロンドンの靴は独特であそこで靴を誂えたら確かに忘れ得ぬ記念になるだろうなと思いましたが今回は家族旅行でしたので合間をぬってのロブロンドン訪問、彼とランチを楽しめたのが最高の思い出となっています。

ティームが入ることでロブロンドンがどのように変わるかは未知ですが、ティームが変わることは間違いないのかなと思っています。クレバリーのスマートな作風からラウンドトウのやや朴訥としたものに変わるのかもしれません。

それはそれで楽しみではありますね。

このスレッドに書き込み出来るだけで本望の私です。九州ではここにしか置いていない岩田屋の五階のJLに電話して是非見て欲しいと伝えました。電話に出られましたのは元、南千住のお馴染みの、あの御方でした!

浦野様

既成靴を展開しているジョンロブパリはご存知のようにエルメスが運営している世界展開のブランドですが、今回訪問したのは誂え靴のみを扱う本家のジョンロブロンドンということで、岩田屋さんのJLのスタッフの方々にとってもあまり馴染みがないかもしれません(汗)

ですが、パリ支店を出した時は間違いなくロブのファミリービジネスだった訳で、パリ店をたたむ時エルメスから職人共々本店に招き入れたのがきっかけ、当時はこれほどジョンロブの名を世界に広げるとは思ってもいなかったかもしれませんね〜。歴史は意外なところで動いているということでしょうか…。

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