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2017年7月22日 (土)

Savile Row(スーツの聖地:その1)

スーツをどこで仕立てるか…クラシコイタリア好きならばナポリが直ぐに思い浮かぶだろう。その昔、欧州(特にイギリスはロンドン)のテーラーに縫い子として修行に出たイタリア人がその技術を持ち帰り、今日のナポリ仕立ての礎を築いたという。

イタリアのサルト特有の甘い縫いからくる着心地の良さも魅力だが、スーツやジャケットの本命といえばサビルロウにとどめを指す。そこで今回から数回に渡り、立ち姿の美しさで世界中の紳士を魅了するサビルロウの仕立てを紹介してみようと思う。

1.段返りの3ツボタンスーツをサビルロウで誂える

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サビルロウのテイラーに段返りの3つボタンスーツを頼んでも、決してブルックスのようなサックスーツにはならない。イングリッシュドレープの効いたジャケットと綺麗に落ちるトラウザーズで着る者を凛々しく見せる。それがサビルロウスタイルなのだ。

2.ブリティッシュテイストで揃える

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立ち姿が美しい英国スーツは副素材を用いた構築的な仕立てが特徴。柔らかなイタリア製とは大分違う。サビルロウのスーツに敬意を表してハットもビーバーフェルト使いの英国製を…ついでにシャツやネクタイも全て英国製品で揃えてみた。

3.サビルロウのテイラー"Davies & Son"

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サビルロウ近くに店を構えていたファーラン&ハーヴィーのピーター(ハンツマン出身)が相方の他界を機にデイヴィス&サンに移ったことから始まった付き合い。スーツ3着にコートを仕立てたが、どれもサビルロウクオリティなのに感心した。

4.本開きの本切羽

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仕事柄袖をまくって手を洗う機会が多いので、ボタン穴は全て開けて貰うことにしている。勿論穴かがりは全て手縫い。デイヴィス&サンでは全ての仕事をワークルーム内の職人が行っているそうで、丁寧な仕事ぶりが窺える。

5.釦穴とカフリンクス

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ダブルカフのシャツはカフリンクス選びがポイント。特に白はフォーマルなので上質なものが欲しい。七宝焼きのカフリンクスはシルバー925に14金のメッキを施したもの。こちらも英国製だがNYのポールスチュアートで購入。ブルーの格子が洒落ている。

6.シャツとネクタイとスーツの生地感を揃える

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シャツはターンブル&アッサーのロイヤルオックス。スーツ地は凹凸感のあるハリソンズオブエジンバラ製プレミアクリュ(11oz=330mg)。ネクタイも織り感のある生地でラルフローレンパープルレーベル初期もの(英国製)。恐らくホリデーブラウン社の製品だろう。

7.英国紳士風にコウモリ傘を持つ

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アクセサリー代わりにコウモリ傘を持つのもやってみたい。しかも傘の名門ブリッグ社のプリンスオブウェールズというモデル名ならば背筋もピンと伸びようというもの。ロイヤルワラントの入ったシルバータグが傘の出自を暗黙のうちに語っているようだ。

8.シャフトの先端に付けられたシルバーキャップ

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マラッカの持ち手が趣味の良さを表している。キャップの刻印は刻印は左から生産者の刻印、次のライオンがその後の92.5%の純度を保証する英国品質の刻印、レオパードの顔の刻印とaがロンドンで何年に押されたのかを表している。

9.ブレイシーズ

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唯一のアメリカ製がこのブレイシーズ(アメリカではサスペンダー)。本来イギリス人好みの派手な色柄ものはアメリカの方が圧倒的に品揃えが多い。シルクのペイズリー柄にクロコのレザータブが効いたラルフのブレイシーズはその代表だ。

10.プレーンフロントのトラウザーズ

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最近はプリーツ無しの注文も増えてきたようだが、既成と違ってプリーツがない場合はダーツを取ってフィットさせている。脇のエクステンションベルト下にさりげなく入っているのが分かると思う。余談だがパンツの両脇ポケットはスラントがお薦めとのこと。

11.ポケットスクエア

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一時代前の大ぶりなポケットスクエアから最近は小振りで畳んで挿しても胸ポケットがあまり膨らまないものが増えたようだ。ゴージャス感はないが挿しやすいのは確かだ。こちらもポールスチュアートのものだが英国製。

12.トラウザーズのクリースとコウモリ傘

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トラウザーズを一番綺麗に履く方法はブレイシーズで吊るすことだと思う。特にサビルロウのパンツは立ち姿を意識するのでウェストが常に適切な位置にあることが必要だ。綺麗にクリースが落ちればコウモリ傘との相性もさらに増すというもの。

14.パンチドキャップオックスフォード

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キャップトウの次にフォーマルと言われるタイプの黒靴。英国スーツに合わせるにはこれ以上はない最適な1足だろう。ジョンロブパリのフィリップを参考に、フォスター&サンで誂えたもの。シンプルな靴こそ職人の腕が如実に表れる。

サビルロウで誂えたスーツは勝負どころで着ることが多い。立ち姿の美しさが着る者に勇気を与えてくれるからだろう。だが毎日が勝負どころの職種に就くキーパーソンならば別だが、一介の服好きとしては時にはリラックスした服も着たい。

イタリアのサルトが作るスーツは動きやすくリラックスできるのが魅力だ。一方既製服を定着させたアメリカンクロージングの快適さも捨てがたい。それもサビルロウのスーツを試せばこそ分かったこと…懇意のテイラーには心から感謝している。

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誂え服(Bespoke clothes)」カテゴリの記事

コメント

おお!まさに英国紳士ここにありですね!
こうして拝見させていただいて、イングリッシュドレープスーツの意味がやっとわかったような気がします。

凛とした立ち姿・・・確かに大いなる自信を与えてくれそうですね。

えいでん様

休み明けのコメントを有難う御座います。

何回かに分けてサビルロウのスーツやジャケットを再掲しようと思ってます。もう新しくオーダーすることはないと思うのでアーカイブがわりですが…数えたらなんだかんだで1ダース以上もオーダーしてました。

オフザビルロウのファーラン&ハーヴィーから始まってヘンリープール、デイヴィス&サン、そして直近のハンツマンとテイラーのはしご状態でしたので、断酒ならぬ断服したほうが良いよ〜と医者から勧められました(真っ赤な嘘ですが)

ですが時々着てはやっぱり良いなぁと思わせる魅力がサビルロウのスーツにはあります。ラルフが自身のワードローブをサビルロウで作らせていたのもなんとなく分かりました。

管理人様


イギリス服のご紹介、待っておりました。
やっぱり、サビルロウスタイルは、文句なしに格好いいですね。
※そう言えば、サビルロウが舞台の『キングスマン2』の上演は、確か今年ですね

ところで今回、ネクタイの色に含まれていない明るいグリーン色のチーフを挿していらっしゃいますね。
私は持っていないのですが、グリーンのチーフの使い心地はいかがでしょうか?(あると、中々重宝しますでしょうか?)

やまだ様

まさしくサビルロウのスーツは着る人を凛々しく見せるのが上手いなと思います。

理想はイタリアのサルトが作る服とサビルロウの服と、アメリカの既製服に日本の服を組み合わせて着こなしを完成させることですが、中でもここ一番はやはりサビルロウのスーツに身を包みたいと思わせるものがあります。

今回のチーフは完全に差し色です。白シャツ以外はグレーと青のシンプルな着こなしなので、差し色を何するかいろいろ試したところ赤系統は派手過ぎなのでグレーと相性の良い緑にしてみました。するとぴったり収まったのでOKとしました。

今回のチーフは1枚で4色選べるタイプですのでグリーン以外を選ぶことも可能でした。やまだ様もぜひ4色チーフを試してみていただければと思います。殊の外便利です。

管理人様

ビシッとしたスーツ、しびれますね!

ところで質問ですがハンツマンでジャケットのみを誂えた場合の値段ご存知でしょうか? フォスターの仮縫い、大変楽しみにしておりますが、それに相応しいような長く着られる丈夫で正当なジャケット、近い将来必ず起こる価格の高騰を考慮すると無理の無い範囲でなるべく早くオーダーをしなくてはいけないのでは、と考えております。

アラキ

管理人様

いつも楽しく拝見させて頂いております。
また勉強させて頂いております。
いつも誠にありがとうございます。

背筋を伸ばしてくれそうな素晴らしいスーツですね。

質問なのですが、やはり英国では黒靴、黒鞄が今でも主流なのでしょうか?

アラキ様

確かにロンドンのビスポーク靴には同じロンドンのテイラーが作るカチッとしたジャケットやスーツがピッタリくると私も思います。もちろんイタリアの甘い仕立ての服に英国靴も良いのですがフォスターにハンツマンならば完璧ですね。

価格の方はフォスターの靴とほぼ同額かと思いますが調べておきます。実は9月にトランクショウがあるのですが、残暑厳しいかと思いますのでパスして、11月にオーダーされるのは如何でしょうか、年明けに料金の改定があるので、タイムリミットは11月かと…11月オーダーで年明けに仮縫い、夏に完成か今一度中縫いを経て秋口に完成という流れが良いかと思います。

ツボ様

お褒めの言葉有難うございます。これからもお時間のあるときにコメントをいただけると幸いです。

実はこの夏4年振りに英国を訪れるのですが、多分今も変わらず仕事によりますがビジネスには黒靴というのは徹底しているかと思います。

鞄の方は日本ほどでなく靴と鞄の色を合わせない人も多いですが一方で派手なバンカーストライプのスーツに黒鞄と黒傘を持つ如何にもな男性がジャーミンストリートやサビルロウ、ボンドストリートあたりを闊歩している姿はやはりカッコいいなぁ…と思わされます。

管理人様

御回答頂き誠にありがとうございます。
やはり黒靴なのですね。
個人的に黒靴はストレートチップと雨用のサイドゴアブーツしか所有していないです。

最近、日本のテーラー様でビスポークのスーツをオーダー致しました。
カシミア混のネイビーの生地です。
サヴィルロウがベースのテーラー様なので、恐らく黒靴が合うかなと考えております。

あまり黒靴に興味がなかったのですが、
今では黒靴ばかりに目がいってしまいます。

黒靴の世界は奥深いですね。


管理人様

お返事誠に有難うございました。年末のトランクショー、真剣に検討致します。

フォスターでの一足目、余り季節性の無い素材とスタイル故来年の完成後、すぐに活躍できそうでワクワクしております。

反対にジャケットやスーツの場合、タイミングと納期がズレれば下手すればオーダーから卸すまで二年程間隔が空くのでは...... (汗) 何ヶ月もクローゼットの中を見つめるのは辛いでしょうね ^_^

既製服はマックスマーラ等もう既にダブルフェイスのカシミアコートがオンラインで販売されています。しかし日本の8月にそれらの店頭での試着は相当厳しいですね

アラキ

シティのビジネスマンのトレードマークと言ったら
やっぱり傘ですよね。

10年、20年と使える上質の傘が欲しいと思うものの
国内で扱っているところが意外とないんですよね。
フォックスについては若干扱いがあるものの
ブリックはとても少ないです。

フォックスの優美さもいいのですが
イギリスらしいブリックの剛健さにも惹かれます。
材質によっては経年変化も楽しめそうです。

ここは思い切って、注文してみようかなと考えていますが
ブリックのサイトを見るとサイズが3種類。
25" Ribs - (Walking Length 36")
26" Ribs - (Walking Length 37")
27" Ribs - (Walking Length 38")

う~ん、身長170cmの人なら「25"」でも良さそうですが…。
参考とさせていただきたく、お手持ちの傘の
サイズと使用感をご教示頂けましたら幸いです。

ツボ様

個人的にはスーツにもジャケパンにも合う茶色の靴が好きですが、英国調のネイビースーツということですとやはり黒靴が合う感じでしょうか。

今お持ちのストレートチップもバッチリだと思いますが紺無地のスーツならば靴に多少の穴飾りがあるもの(パンチドキャップトウ)もアクセントになって良いですし、ストライプスーツの場合は生地のインパクトに負けないようデザインの凝ったタイプ(セミブローグやフルブローグ)も良いかと…。

磨き込まれた黒靴は女性の装いにはあまり出てこない、正に男の靴という感じがして好きです。仰るとおり奥深さがありますよね〜(^.^)

アラキ様

ハンツマンの凄いところはアジアでの需要が大きいこともあり、年に4回来日するところでしょうか…。単純に言って他の来日するテイラーの半分の納期で手に入れられるというところです。

後は好みですが柄物のジャケットの柄をピタリと合わせる技は大したもので、毎回トランクショウに見にいく度に納品されるジャケットを拝見しては感心させられっぱなしです。無地のジャケットもノーブルでググッとくるのですが、大柄のペインが入ったジャケットは滅茶苦茶格好良いなぁと思いました。

よろしければ11月のオーダー会にお会いできますと幸いです。友人の仮縫いにお付き合いする予定ですので、合流しても良いかもしれません。何かありましたら連絡用のメールにてお知らせください。

Shu様

ロンドンの旧スウェインアデニーブリッグの本店で買った思い出の傘ですが、店舗に頼んで友人のものと合わせて2本郵送してもらい楽々帰国した覚えがあります。

当時は恐らくワンサイズだったかと思うのですが、念のため採寸してみたところ、リブの長さは27インチで柄の一番上から石突きまでの長さは38インチでした。つまり27Ribsということになります。

マラッカのハンドルが醸し出すなんとも言えない飴色の輝き、キャノピーとカラーが付いた意匠は正にプリンスオブウェールズの名に相応しい名傘です。フォックスの細巻き傘も魅力的ですがブリッグの傘を是非手にしてみて下さい。

ビスポークのプリンスオブウェールズもやってみたいですが、布をシルクにしてエングレービングをオプションでつけると10万円超えのゴージャスな傘になってしまい普段使いにはちとやり過ぎかもですね…。

それにあまり高い傘にすると、仲間と雨の日に居酒屋へ行っても傘の取り違えに気をつけなくてはいけないし、電車の中などで忘れては大変ですし。車で会社に行ける取締役ならば別ですが、ほどほどにしておくのが良さそうですね。

因みに私のはナイロンなので破けにくく頑丈です。

管理人様

御助言頂きありがとうございます。
昨日からオークションで黒靴ばかり見ています笑。
オーダーも良いのですが、最近は人気なのか日本のオーダー靴の方は時間がすごく掛かる印象です。
これなら海外に既製品を発注した方が良いかなという気持ちもあります。

ところで管理人様のスーツのスラックスの裾幅はどのくらいでしょうか?
色々試してみてはいるのですが、19cmが一番バランスが良いかなと思っているのですが、なかなか自分の中で解答が定まらず是非ご意見頂きたいです。

ツボ様

サイズやフィット感がしっくり来るのならば既成靴という選択肢は大いにあると思います。中でもやはりジョンロブのフィリップⅡは黒既成靴の中では一等地抜きん出ていると思いますし、E.グリーンやクロケットの黒靴もビスポーク並みのシェイプで履き手を魅了します。是非ご検討ください

ご質問のパンツの裾幅ですが19〜22cmがほとんどでしょうか。あまり細いと上着とのバランスが悪いのでやはりクラシックというのはいつの時代も一定の条件の元で変化しているような気がします。

管理人様

御回答頂き誠にありがとうございます。
ジョンロブのフィリップは素晴らしい靴ですよね。
エドワードグリーンのバークレーも良いと思うのですがフィリップの存在感はまた別格だと思います。

裾幅は色々挑戦していますが次回のスーツは20cmで試してみようかと思っております。

また色々ご教示頂ければ幸いです。

ツボ様

裾幅20センチはとてもクラシックなパンツになるのでフィリップやバークレーの黒ともバッチリ合いそうですね〜。素敵な靴や服との出会いをお祈りしてます。

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