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2017年4月29日 (土)

Bespoke Sample(ジョンロブパリの見本)

今から20年以上前の事だが、クレバリーの中心となったジョン・カネーラとジョージ・グラスゴーが抜けたポールセン&スコーンで大々的にビスポーク靴のサンプルセールをやっていた時期がある。恐らくビスポークを止める前の在庫一掃だったのだろう。

最近、ふとしたきっかけでジョンロブパリのビスポークサンプルを手にすることになった。寸法から想像するにやや長めのようだが「後学のため」と試着することなく購入。そこで今回は海外から届いたばかりのビスポークサンプルを紹介してみようと思う。

1.到着したばかりのビスポークサンプル

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ロイヤルワラントが使えないためシンプルな筆記体の刻印が特徴のジョンロブパリ。ただしデザインはパリのエスプリを感じさせる洒落たものだ。シンプルな3タイダービーに錆鉄色(Rusty color)のスェードを乗せるという感覚がロブパリらしい。

2.スェードスプレーによるプレケア

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スェードスプレーを使うと革が硬くなるので良くない…と嫌う人もいるようだが、汚れを防ぐという点で効果があるらしい。使ったのはコロンブスの起毛素材用防水スプレー。靴のケア専門店のものを使い、塗付後は自然乾燥させて最後に軽くブラッシング。

3.プレケア終了後の靴

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防水し終わったところ。窓から差し込む光で革の色が変化する。スタグスエードのように毛足が長い訳ではないが、ベルベットを思わせる上質な素材だということが一目で分かる。皮革専門店の頂点に立つエルメスならではのクオリティを感じる。

4.ソールとメタルトウチップ

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ジョンロブパリのビスポークはソールの材質が密で硬く、減りにくい。その分返りの悪さにつま先が負けて直ぐに減るのでメタルチップ装着はマストだと思う。いつもの新宿マルイにある「リファインアームズ」に依頼。30分程で仕上げる手際の良さが嬉しい。

5.ハーフライニングの履き心地

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ツリーを外したところ。靴の内側がよく分かる。タンの上端からつま先にかけてはライニングで覆われているが、後ろ半分は写真で分かるとおり大部分がアンラインドという作りだ。実際足入れしてみるとサンプルにも拘らずその履き心地に唸らされる。

6.靴のつま先

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細すぎず太すぎず、ジョンロブパリのラウンドトウはどの角度から見ても絶妙で格好良い。この靴も既成のフィリップを更に洗練させたような凄みを感じる。靴自体がシンプルなデザインだけに、靴のシェイプそのものに存在感を持たせているかのようだ。

7.ヒール部分

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靴の履き口から踵に走るステッチがライニング有り無しの境界線。4割近くがアンラインドの印象だが型崩れしないのは流石。恐らくノーザンプトンの既成靴デザイン同様、この靴の完成までに何度もモックアップを作ったのではないだろうか。

8.アトリエの住所

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暫く前にパリの工房(エルメス本店内の店は工房ではない)が移転したと聞いたが最近はその住所が刻印されているようだ。リュー・ド・モガドールの32番地をgoogleマップで調べたところオペラ座のあるオスマン通りから通り2つほど奥に入ったあたりだ。

9.以前のジョンロブパリ(ビスポーク専用)工房

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こちらは以前の工房。TGVが発着するパリ・リヨン駅からそお遠くないフォーブルサンタントワーヌ通りの中庭がある建物の1階。2階はエルメスのケリーを作っているとのことで、勿論撮影許可が下りるはずもなく、楽しそうな笑い声が響いていた。

10.ビスポークのシューツリー

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ジョンロブパリではシューツリーも一貫して自社工房で作る。ロンドンのビスポークメーカー(ロブ以外)が外注に出すのとは違う。工房を訪れた時もシューツリー専門の職人がいたほどだ。但し繰り抜き具合はサンクリスピンの方が凄いが…。

11.フィッティング

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マイラストではないサンプル(又は注文間違いによる返品)の履き心地だが、捨て寸はE.グリーンの#808とほぼ同じ、ただし手持ちの3足のロブパリビスポーク靴よりもぐんと長い。それでも快適なフィッティングなのはアンラインドの賜物と言えよう。

12.靴のインサイド・アウトサイド

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男らしいスクェアウェイストに女性的なピッチドヒールの組み合わせ。パーフォレーションもメダリオンもないシンプルな靴だが如何にもビスポークの面持ちだ。中々自分では注文しないデザインだけに却って興味をそそられた。

13.フィッティング

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実際に履いてみたところ。赤系統の靴はバーガンディのみという男性が多いだろうが、こうしてファンシーな色合いのビスポーク靴、しかもスエード素材のものを自分のワードローブの中に上手く組み込めたら楽しいに違いない。

ビスポークサンプルの購入はミラノのアルカンド以来2度目だが、予め長さや幅を参考にして購入したのでフィット感もまずます…。それにたとえ足に合わなくとも歴史的な資料価値があると思えば手元に置くことにも意味がある。

ジョンロブパリは1996年に初ビスポーク。以来3足を履き込んできたが、21年目にして我が家にやって来たニューフェイスはサンプル品とはいえ、上質な部材や仕上げの丁寧さは相変わらず…やはりジョンロブはジョンロブなのだと改めて実感した。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
恐らく、靴だけ見てもジョンロブパリと分かると思います。独特の雰囲気を持っていますね。
ところで、日本のビスポーク職人さんたちは腕は確かなのでしょうが、価格面で competitiveではないなあと思うことが多々とあるのですが、管理人様はどうお考えでしょうか?

浪漫様

今は、ロンドンの誂え靴屋も3600ポンドを超え、日本の誂え靴屋より割高になっているので、日本の誂え靴屋は値段の点ではアドバンテージがあると思います。

しかも日本人の繊細さが遺憾無く発揮されるのか、作りは丁寧で仕上がりの美しさはトップクラスですので、残る課題はどれだけ個々の顧客の足に合わせた木型を作ることができるかという経験値になると思います。ビスポークサービスを始めた当初の完成靴がたくさんの客を得て作れば作るほど腕を上げて行くのはある意味当然かと思います。後は素材の調達…これは欧米の方が有利ではないかと思います。

それと、履き心地が良いだけではなく客の要望をラストに落とし込むセンス、例えばスクェアならばどんなタイプか、イタリアンなアヒルのくちばし風かクレバリーのサスピシャス、あるいはアンソニー、ロブパリやフォスターのようなスライトリースクェアなど、これはやはり欧州の靴屋はうまいなぁと感じます。

結論としては、日本の靴屋も腕では負けず、あとは経験値とできるならばもう少し値段を下げてもっと新しい客層を取り込むことができたらな…というのが正直な感想です。

ソールとヒールの美しさに感動です。ヒールに化粧釘も無くて、もちろんアッパーの色合いにもうっとりしてますが。質問します、ヒールの化粧はダブテールでしょうか?また、日本の👞職人の腕の件ですが元横綱の貴乃花親方のご子息は何でも👞職人だとか。

インスタグラムで拝見させて頂きました。ロブパリにはフランス独特の華美では無い艶があり素敵ですね。そしてベルルッティのデロス氏が精力的な内にいつか木型を作製して頂きたい、そんな物欲が湧いてくるポストでした。

因みに僕はかの有名なBaron de Rede と大体サイズが同じなのですが彼の所有していた400足あまりのクレバリービスポーク、いつか運命的な出会いの末試着してみたい気分です^_^

アラキ様

ご無沙汰しております。

ロブパリの独特の色気はやはりロンドンの本家とは異なるもので、ビジネス靴ならロンドン、洒落た靴ならパリという巷の評価は結構正しいなと思ってます。サンプルなので完璧にフィットするわけではないのですが、却ってコンフォートな履き心地の靴を得られたと思えば良い出会いでした。

ところでアラキ様はビスポークスーツやブリティッシュなカントリージャケットなどをオーダーされるご予定はありますでしょうか…

よろしければキングスマン、もといハンツマンでした(^.^)でお仕立てられるのは如何かと…興味がありましたらご案内させていただきます。

管理人様


錆鉄色のスエード靴、格好良いですね。
私も、既成靴ながら、ロブパリのダービーのスエード靴を持っています。ポールスミスとのコラボレーションモデルということもあり、水色と変わった色になっています。

さて、ロンドンの誂え靴屋は3600ポンドを超えたとのこと、これはフォスターアンドサンのことでしょうか?(昨年時点では、3000ポンドと記憶していますが、更に値上げがあったのでしょうか?)

やまだ様

ロブパリのポールスミスコラボシリーズは鮮かな色目の革を使っていて中々良いですね。私もスエードバージョンで良いなこれ…と思うものがありましたがサイズはとっくに欠けていて人気だったことが伺えます。

フォスターはツリー込みで3600ポンドになりましたので、中々の値段です。クレバリーを850ポンドでオーダーしていた頃から考えると隔世の感があります。勿論既製とは比べ物にならない手間の掛け方、フィット感、上質な素材…満足度は高いですが😊

浦野様

貴乃花関の子供が靴屋とは初耳です。早速調べてみます。それにしても素敵な職業を選ばれましたね〜。私も若かったら靴職人を目指すという選択肢に悩んだことと思います。

今回のロブパリですが、おっしゃるようにヒールトップに釘がなくダヴテイルではないハーフムーンのラバーティップが付いています。ロブパリの標準仕様で、特別なリクエストがなければ、いつもそう仕上げてきます。トップは接着なんでしょうね〜。勿論小麦粉を使った天然のりあたりで…

管理人様

何と甘い誘惑の囁き! 実は既製品では再現が難しいイングリッシュスタイルは真っ先にビスポークで挑戦したく、出来ることならハンツマンかプールと心に決めておりました。

しかし重衣料はいまだ勉強中、あと一シーズンベーシックなアイテムの実用的な既製品の買い足しが必要かと思います。

大変凝縮ですがその素敵な提案来年あたりまたお声をかけて頂ければ幸いです。その頃には準備が整いつつあると思っております。

アラキ様

了解しました。

来年になりましたらお声かけを再度させていただきますので、その時はフォスターの靴と合わせていお話をさせていただければ幸いです。

こんばんは。久々のコメント致します。
とても洒落た色のスウェードの靴は、既製品でお目にかかる事は滅多になく、注文靴ならではですね。これはジョンロブパリのお靴なのですね?素敵です。

まこと様

コメントをいただき有難うございます。

ジョンロブパリのエスプリが効いた1足かなと思います。面積は少ないですが主役を張れる質ですので、服を合わせる楽しみがあります。

近いうちにコーデとともに紹介したいのですが中々時間が取れず、のびのびをお許しください。

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