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2016年12月24日 (土)

Sleep'n wait for good luck(果報は寝て待て)

エルメスがエドワードグリーンを買収する…と聞いたのは1993年頃のこと、当時はOEM生産のクロケット製バロスを青山ロイドで見かけるくらいだったが、その後満を持してギャラリービームスに旧グリーン工場製ジョンロブが並ぶようになった。

買収した工場が本格的に稼働するとクロケット製ロブと旧グリーン工場製ロブの混在も解消、全てを自前で揃える既成靴界のキング、ロブパリが誕生する。そこで今回は靴の聖地ノーザンプトンを舞台としたドラマを靴を通じて振り返ってみたい。

1.ジョンロブプレタの意匠

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かなり古い旧グリーン工場製(以下自社工場製と記す)ロブをebayでゲット、アメリカから到着したところを早速写真に撮ってみた。英国製の靴はどこも純正のシューバッグが洒落ているが、中でもクリームイエローのジョンロブは別格だった。

2.自社工場製ロペス

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今やカタログ落ちのロペスだが、唯一250万円を超える価格でクロコ製がラインナップされているのに驚いてしまった(笑)。写真の靴はかなり古いが、エルメスお得意の揉み革、しかもエルメスオレンジに通ずる色目が美しい。最初期のラインナップレザーだ。

3.ソールの刻印

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自社工場製の靴底。初期のダブテイルタイプからジョンロブのイニシャルを模したJLタイプに変更された頃のもの。恐らくは2000年代初期から中期の靴ではないだろうか。因みに現在は半月形のラバーチップだけという実に素っ気ない作りになっている。

4.ロブの傑作ローファー

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1950年に作られたビスポークがデザイン元の傑作ロペス。このロペスとよく似たバロスと合わせた2型がロブプレタの始まりというのも納得のいくデザイン。特に甲を抑えるサドルバンド中央に開けられた楕円形の窓こそこの靴のチャームポイントになっている。

5.靴の外側と内側

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横から見た写真。矢印部分が壁のように高くそびえ立つ英国式ローファー。ここが浅い米国式のローファーと履き心地が違う大きなポイントの一つ。踵が抜けやすいローファーのフィット感を高めるためだろうが、踝が当たりやすい自分には改善して欲しい。

6.モカ部分

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文字通りロペスの顔と言えるU字型のモカ部分。パリの工房では手縫いでモカ部分を仕上げるロペスのビスポーク版を撮影したが、既成版のこちらもモカの縁ギリギリを通る縫い糸や糸より大きい縫い穴が開いていないことから手縫いのように見える。

7.中敷と刻印

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初期のロブでは全張りだった中敷は半張りに変更。販売数や販路の拡大を見て、エルメスはジョンロブの文字の下からParisを外すべく画策、St.ジェームスのロブ本家にロイヤリティを払うことでParisのないジョンロブプレタを販売する権利を手中に収め、今に至る。

8.クロケット製ロペス&自社工場製ロペス(その1)

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同じサイズのロペス。左はオウンメイクで右がクロケット製のロペスだ。サドルの幅やサドル中央の楕円形の窓の大きさ、U字部分のつま先へのせり出しやコバの見え方など、違いがこんなにもあるのかと、両者を比較してみて初めて分かる。

9.クロケット製ロペス&自社工場製ロペス(その2)

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こちらは踵部分の比較。自社工場製の方が踵が高くカーブしているのに対し、クロケット製の方が踵が低くカーブが緩いことが分かる。クロケット製のロペスだとインビジブルソックスが靴の中ですぐ脱げてしまう経験をしたがその理由がここにあった。

10.クロケット製ロペス&自社工場製ロペス(その3)

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モカ縫いの比較。二枚の革を両側から縫う拝みモカだが、クロケット製が2枚の革断面をそのまま見せるのに対して、自社工場製は2枚の革を平らに削ってヤスリ掛けし、磨きをかけて見えなくしている。こうした細部の仕上げは自社工場製ならではだろう。

クロケット製ロペスの踵の緩さやモカ部分の作りなど課題を解決して作られた自社工場製ロペス。当たり前だがOEM生産のクロケット製に自社工場製品がクオリティで劣ることは許されない訳で、キングオブ既成靴を目指したロブの本気度が窺える。

ではクロケット製は良くないのか…というとこれまた話は別で、よく似たバロスというモデルになると細部の作りはともかく全体の雰囲気はクロケット製が断然格好いい。ここが靴の不思議なところで、ようは質とデザインのバランスが肝なのだという話になる。

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靴(Readymade shoes)」カテゴリの記事

コメント

素敵な靴を入手されましたね!
よく未使用で残っていたなと思います。

それにしても、現行ジョンロブの半月ラバーチップを見たときには愕然としました。
明らかにコスト削減だろうと。少し悲しくなりました。

管理人様


ちょうど、タイムリーな記事を拝読致しました。
この靴は、いくらで購入されたのでしょうか?

なお、私も、2006年製のロブの靴(新品)を購入しようか迷っています。
価格は、15万円弱になります。
結局は、自分の満足度次第とは思いますが、コストパフォーマンス的には、管理人様はいかが思われるかご意見賜れば幸いです。(いきなりの質問で恐縮です💦)

浪漫様

クリスマスイブにコメントをいただき有難う御座います。

良い出物が格安で買えたので大満足です。最近のロペスはどんなのかなとジョンロブのサイトを見たら250万円のクロコロペスにまずはビックリ‼️…さらに見てみるとヒールが半月形のラバーチップになっているではありませんか。あからさまなコストダウンだろうと思い、質を落としてまで儲けたいのだろうかと悲しくなりました。しかもロゴも変更されていて、JLの入らない味気ないものでした。

ラルフローレンのところでも言いましたが、質の低下はラルフだけでなくもはや全体的な傾向のようです。

やまだ様

クリスマスイブにコメントをいただき有難う御座います。

まず私の自社工場製ロペスですが、靴代+関税込みで片手に指を1〜2本足した程度です。やまだ様の買おうとされているものがプレステージラインなのか通常のモデルなのか分からないので答えようがありませんが、値段としては結構高めだなというのが正直な感想です。

でも、現行では作られていないモデルならば迷わずいくのが良いですし、まだ型落ちしていないモデルならばロンドンのジヤーミンから取り寄せるのも手ですし…。結論としては欲しいと思った時が買い時ですね*\(^o^)/*

管理人様


早速のお返事有難うございます。

管理人様は、随分良い買い物をされたようですね。

私が購入しようとしているのは、通常モデルになります。
そう考えると、やはり15万弱は安くはないですね。検討し直してみます。
管理人様からの率直なご意見、参考になりました。

管理人 様

ご返信ありがとうございます。
クリエイティブディレクターとやらを採用した意味はあったのだろうかと思ってしまいます。
現行のエドワードグリーンのロゴもごちゃごちゃしていて味気ないですし、英国靴の両雄がどことなく迷走気味というのは見ていて寂しいものです。

浪漫様

おっしゃるとおりですね〜。

ロゴといいデザインといい、採用する革の質といい、かなり変わりました。しかも残念な方向のような気がしています。

400万以上するポロサスクロコのバーキンもそうですが、250万円のクロコロペスの原価をふと知りたくなりました。ブランドというのはその名前に対して相当盛っていますね。

管理人様

書いていてふと思ったのですが、ジョンロブはもしやフランス靴でしょうか?エルメスのブランドなのですよね?
あまりこだわるところでもないですが…。

ジョンロブの名で売るからには安くてはいけないのでしょうね~。

浪漫様

ジョンロブは英国のブランドですね。

メイドインフランスのジョンロブでは本物になり得ない事を親会社であるエルメスもよく知っていて、撤退するジョンロブのパリ店を買い取った時からいつかは母屋を…と考えていたのかもしれません。

やまだ様

特にジョンロブの値段が日本では高いこともあって15万円ならおおっ安いな‼️という印象になるのかもしれませんね。

ブログ更新待っていました(笑)
ジョンロブのHP見てきました。
クロコのロペス、250万円也。
何がどうなって250万円なのか、分かりませんね。あれを公式HPに掲載する感覚が分かりません。私、ジョンロブに限らず、革靴に関しては殆ど知識がありませんので、良し悪しは何とも申せないですが、やはり儲けを重視しているのでしょうか?それであれば悲しい流れです。実は私も、ロブのバロス(管理人様が記事にされていた、ロブ独特の薄いベージュ色の革を使ったモデル)をヤフオクで落札して手放しました。
しかし、自分には余り快適な履き心地とは言えなかったと記憶しています。あの革はジーンズには似合いませんし。入手したかの靴は返りが悪く、ヒールも滑り易い印象が強く残っています。腰を痛めないよう歩かねばならず、結果、不格好な歩き方になってしまう有り様でした。たまたまだったのでしょうか。買い戻すこともなさそうです。さて、バロスに関しては、やはりクロケット製のほうが趣味が良いのでしょうか?かつて、件のロブバロスを履いて銀座ロイドに来店した際、店員がそのような話をしていたのを思い出しました。それか、お前のような若造がロブなど履いて…というスノッブな店員だっただけかもしれません(泣)。その銀座ロイドも、ここ数年はお世辞にも良質なラインナップではないようで、特にセール時期などは酷く、ゴミ箱行き寸前のような古ぼけた靴、日本人はもとより外国人でも履く人がいないであろう馬鹿デカイ靴までも陳列してしまうのです。あれでは何のためのセールなのか分かりませんね。良いモノを安く買うのが楽しいというのに…。とても試着させて欲しい等言い出せる雰囲気でなく、あれではセール時期かどうか関係なく、買いに来る人も居ないだろうと思います。まぁ、揉み手をされて接客されても気持ち悪いだけなのですが。そうなればやはり、オークションで状態の良い旧品を探したほうが賢い買い物かもしれません。良い靴出てこないかなぁ。

まこと様

更新をお待ちいただき有難う御座います。

バロスもロペスも自社工場製は今まで試していないので今回初めて比較できるだけの資料を手に入れたということになります。よって買う時点では見た目での判断ですが私はクロケットのロペスとバロスが好みです。今回は素材に惹かれて購入したので、自社工場製でなくても喜んで購入していたと思います。

きっと最初に見たロブパリがクロケット製だったからかもしれません。生まれたばかりのアヒルが最初に見た動くものについていく刷り込みに近いのかも…。

ただおっしゃるようにクロケットは滑ります。ロブネームも例外なく滑ると思った方が良いかもしれません。まこと様のバロスがどちらのものだったかは存じませんが、私も一度は手放したクチですので全く同感です。ところが不思議なものでそれほど履きにくかったはずなのに何故か今頃また欲しいなぁと思っている自分がいます。

250万円のクロコロペスはうちのラインナップはゴージャスなものも置いてありますよと言いたいのかなと勝手に推察しています。通常のロペスとの違いはエキゾチックレザーに牛革を裏打ちする手前が加わるのでしょうが、それでもカーフの12倍はしないだろうと…

2000年頃のエルメスはまだ高くとも素材や職人の手仕事など最高峰だからなぁ〜で納得できる値段でしたが、今は高ければ高いほど良いものだと思う客をターゲットにしているのかも知れません。おかげでパリに行ってエルメスを覗く楽しみが減りました…。

自社工場製もクロケット製も、履く人間により一長一短なのでしょうが、私のバロスの場合、履き心地を確かめるほど着用した訳でもないので、もはや想像の域を出ません。あれはクロケット製だったのでしょうか。疑問符だけが残ります。ただ、クロケットの靴にもお気に入りはあります。クロケットはそれ一足しか所有していないのですが、グラスミアというモデルで、お恥ずかしながら、ここ数年手入れもせず履いてもいませんが、明るめのタン、もっちりとした厚みのある揉み革、カントリーラスト(多分)、ダイナイトソールという仕様です。これが中々水や擦り傷に強く、優れものです。傷が様になるという点で言えば、管理人様所有のジョンロブコテージラインのブーツも素敵ですね。製造はエシュンとの事でしたね。エシュンも最近、華やかだがチャーミングな革靴を作っている印象があります。かなり前にギャルソンと組んで靴を作っていましたね。ジョンロブも、確か、新しいデザイナーを迎えてイメージ刷新を試みたのでしたか。成功したかどうか不明ですが、やはりおいそれとは手が出ません。

管理人様

美しいロペスですね!
どうして、こんな逸品が、しかも未使用で出てきたのかドラマを感じます。それでその価格でしたら納得感がありますよね。

ロブには魅かれるものがあるのですが、現行価格には、どこかエルメスを感じてしまいます。

先日、エルメスのハンカチをプレゼントすることになり、久々に銀座店を訪れたのですが、綿のハンカチが1枚17800円。
確かにシンプルで上質でしたが、どう見ても15000円くらいはお布施だろうという感じでした。
お相手が喜んでくれたので救われた気持ちになりましたが。

小さい話で失礼しました。
やはりブランド品は原価とか考えてはいけないのですね。

まこと様

グラスミア、存じております。

確かかなり厚手の揉み革を使ったものでピカデリーのコーディングスにも置いてありました。正に道なき山間や森林をソーンプルーフのバブアーと一緒にハントする時のような…ある意味最高に格好良いやつですよね〜。

エシュンも中々素敵な靴を作ります。ジョンロブもコテージラインを作っていた頃は靴オタクのようなディレクションでエシュンと組んだりイヤーモデルを出したりと靴好きを唸らせる企画を次々と出してきましたが、今度のディレクターは女性だそうです。偏見でも差別でもなく率直に男の靴を理解するのは中々難しいのではと思っています。

昔のジョンロブの良いところは値段もさることながら、素材の良さにつきます。流石は親会社がエルメスだけのことはあるなと感心するような良い革を使っていたと思います。ウェストンにアルディラの靴を履いて行った時店員が羨ましがっていました。

BB様

エルメスのハンカチが17800円…流石はエルメス、バッグや靴だけでなく全てのものを高値で売るのを忘れていませんね。おっしゃるとおりプレゼントとして送る場合はお相手が喜んでもらえるのであればOKかなと思います。自分用には選択肢に入りませんが(汗)

ロペスの方は単純に売れ残りかなと思いました。サイズは8EですのでDウイズが主流で足の大きな男性が多いアメリカ市場ではサイズ的に小さい方に属するのかも知れません。それをセールで買った持ち主が履かずにいて処分したとか…ロマンチックではないストーリーですが(笑)


こうして靴談議に花を咲かせていると、不思議と靴への所有欲が沸き上がってきます。ジョンロブの新しいデザイナーは、(日本に限って申せば)ユナイテッドアローズに見出された「1205」というブランドのデザイナーだそうです。画像だけでしたが、彼女ディレクションのファーストコレクションを見たところ、「うーん」という感じでした。
クリスチャン・ルブタンを「悪趣味なモード」、「限りなく芸術作品に近づいた実用品」と表現して良いとすれば、新生ジョンロブは「品の良いモード」であり...その先の表現が見出せません。とにかく、何かどこかで見たことがあるような靴ばかりで真新しさは皆無です。まあ、ではルブタン君が革命児かと申せばそうでもないでしょう。こうなると靴談議ではなく、ジェンダー、セクシャルなお話になってきますので、ここまでで(笑)。さて、ジョンロブですが、オーダー経験豊富な管理人様がご覧になれば一目瞭然化かと存じますが、彼女のデザインソースは、やはりジョンロブのビスポークのアーカイブ等から発想を得たのでしょうか?ロゴデザインを過去使用していたデザインに変更したという考え方からすれば、靴づくりの発想も、歴史から再登用させたと考えるのが定石化と思うのですが。

まこと様

流石はユナイテッドアローズ、今度のJLデザイナーのコレクションをすでに仕入れていたのですね。相変わらずの先取り感に感心いたしました。

その彼女ですが、靴のデザインがどうかといえばこれは全く別なので、今のところは「靴のロゴが変わったなぁ…オオッと250万円のクロコロペスがあるぞ」から先に進みようがありません(笑)

取り敢えず時々ロブの新靴をチェックすることから始めたいと思います。

ジョンロブの250万円の👞とは私が5年前に書き込んだ岩田屋の5階で見た例の👞でしょうか?

管理人様

「今度のディレクターは女性だそうです。偏見でも差別でもなく率直に男の靴を理解するのは中々難しいのでは」

お気持ち、なんとなくわかります。

ロブの新アートディレクター、パウラ・ジェルバーゼのインタビューを読んでいて、ふとグッチのアートディレクターが、トム・フォードからフリーダ・ジャンニーニに代わった頃を思い出しました。
フリーダのコレクションも素晴らしかったのですが、よりキレイなデザインになった一方で、こだわりが薄くなったような気がして、次第に興味が薄れていった記憶があります。
難しいところです。

浦野様

キャンパスという名のローファーをクロコで作っていたりもしましたのでそちらか、今回のロペスかどちらかだと思います。

格好良いし欲しいなと思いますが、他のブランド、例えばウェストンと比べても3倍の価格差です…孤高のブランドとなっているジョンロブらしく値段も孤高です。

BB様

女性ディレクターはヨーロッパのファッション業界では一つの流れなのでしょうか。確かに政治の世界同様クリーンなイメージが女性のトップにはあります。

ただ男性靴のデザイナーとなると、ファッションとして靴を捉えることについては才能を遺憾なく発揮するでしょうが、味つけが薄すぎるような気がしました。

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