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2015年11月21日 (土)

Tweed Suit(ハンツマンの仮縫い)

前回ブログにハンツマン受注会の様子を伝えたのが9月12日。何と2ヶ月のインターバルで再びトランクショウが開催されるとの連絡が入った。「年に4回来日する。」とは聞いていたが、夏とクリスマス時期を除けば確かに2ヶ月で1度の割合になる。新規参入のハンツマンらしい熱意の表れなのだろう。

生憎今回は出張中ゆえ仮縫いはパス。来日するカッターのロバートには仮縫い前のスーツ写真を送って貰うよう依頼した。すると仕掛り中のスーツの写真と共にハンツマンのウェブサイト用写真まで届いたではないか。そこで今回はハンツマンに注文したスーツの最新情報を紹介してみたい。

1.ハンツマンのカッター

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裁断机の生地はハンツマンのハウスチェック。かなり人目を引くチェックだがハンツマンではスーツでもOKらしい。カッターのパンツ両脇ポケットに注目。意外にもサビルロウのテイラーはスランテッドポケットが多い。英国経由のアメリカントラッドがバーティカルポケットを守るのとは違うようだ。

2.ジャケットの全体

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襟のラインがラウンド気味だがここはストレートにとリクエストしているので次回のフィッティング時にチェック予定。また、両袖の柄も仮止めなので合っていないが、本縫いでは完璧に仕上げるだろう。そもそも仮縫い服はパーツを縫い合わせた状態、完成品をイメージできれば良しといった感じか。

3.上襟

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上襟後ろに見えるハ刺だが、柔らかくしたい時は荒く、硬くしたければ細かく刺すものだそうだ。フィレンツェでジャケットを作った時はもう少し荒かったと思う。案外、カチッとしたテイラー(英国)仕立てと柔らかなサルト(イタリア)仕立ての違いはこんなところにあるのかもしれない。

4.芯地を留める

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ジャケット裏の芯地を留めている様子。日本のテイラー第一人者の服部 晋さんによれば、芯地を留める時は写真のように「綿の白い糸を使用して大きなハ刺しで縫う」とのこと。特に糸を強く締めすぎないよう緩めに縫うことが大切らしい。糸は後になって締まってくるものなのだそうだ。

5.ラペル部分

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下襟は仮縫い後に修正できるようハ刺しを行っていないのだろうか…ラペルのカッティングは好みの分かれるところだが、ロバートとのセッションでは下襟のラインについてサンプルを元に指定したこともある。何着もシングルピークをリクエストしてきたことでロバートは好みをよく分かっているはずだ。

6.チェックの色

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生地の格子柄はブルー系とブラウン系。よく見ると縦のブルー系はネイビー・ブルー・スカイの3色、横のブララン系もブラウン・オレンジ・イエローの3色と凝った柄だ。地の色はグリーンベース、ネクタイとシャツやチーフの色を合わせる際、格子の中のどの色を拾うか…楽しみが沢山あるのが嬉しい。

7.ウェイストコート

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3ピースでオーダーしたので当然ながらウェイストコートも仮縫いがある。英国仕立てはラペルの付いたウェイストコートをオーダーしても仮縫い段階ではプレーンというのが通常。何しろラペルは後付けだからだ。勿論古い仕様のターンダウンタイプも作れるがその場合は仕立て代が少々高くなる。

8.ウェイストコートのサイドビュー

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ビスポークの楽しみでもあるライニング選びだが、今回は特に派手なものは指定せず生地に合ったものを選んだ。オーダーしているのがツィードの3ピース。トラウザーズもウェイストコートもジャケットもそれぞれ独立して使えるのがポイントなので、ウェイストコートも単体で着られるような色のライニングが貼られている。

9.ウェイストコート&ジャケット

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シングル1つボタンのクリーンなジャケットフロントの下から覗くウェイストコート。ビスポークで3ピースをオーダーすると、ウェイストコートの見え方が重要なポイントになるが、仮縫い段階ではかなり見えている。ミディアムウェイトとはいえこれにラペルがつくとかなりのボリュームになるだろう。

10.ジャケットの後姿

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方からジャケットの裾回りまで流れるような曲線で落ちていく生地。普段なかなか見ることのできないジャケットの後姿をこうして撮影して送ってくれたのはとてもありがたい。ショルダーはロープドショルダーでかなり張り出しがある。ハンツマンの目下のハウススタイルなのだろう。

11.ロバートの前回作

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ロバートがデイヴィス&サンにいた時に仕立てて貰ったシングスピークドラペルのスーツ。ウィリアムハルステッドの3プライモヘア。ビンテージの生地だ。この時もラペルは直線的にとお願いしたが、写真のようにトムフォードのデザインとよく似たワイドで曲線を描くラペルに仕上がってきた。

シティスーツはもう作らないと決めた話はブログのどこかで書いたと思うが、今回の写真を見てツィードならば3ピースを作るのも良いなと思い始めている。パンツは別のところに出していて現物を見ることができなかったが、ウェイストコートもジャケットもそれぞれ単体で使えそうな雰囲気だ。

来日するロバートがデイヴィス&サンから移籍した理由は聞いていないが、ロンドンで靴や服を長年誂えると、狭い業界の中でフィッターやカッターが入れ替わるのを何度も見てきた。果たして息子の代になってもロバートがハンツマンに居るだろうか。オーダーの回数は減ったがまだまだ目が離せない。

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誂え服(Bespoke clothes)」カテゴリの記事

コメント

管理人様、

さすがハンツマンといいますか、このバストドレープは堪らないですね。そしてバックスタイル。センターの格子模様が上から下までほとんどまっすぐ、なのにものすごいウエストシェイプ。既成だと細腹だけでなく背中のセンターシームでもウエストを絞るので、格子模様がウエストでおかしな事になってしまいすよね。両脇といせ込みだけでこのバックスタイルを作っているのでしょうか。
イギリスのコートメーカーをやっている日本人もハ刺しは”細かくなるべからず、きつくするべからず”と習っているそうです。さすが写真で送ってくるだけあって、ハンツマンのパディングは奇麗ですね。過去にビンテージで安く買ったスコットランドやフランスのテーラーのジャケットをバラしてみた事がありますが、ほとんど手縫いでしたが、中々残酷な中身でした。
完成がものすごく楽しみですね、続報楽しみにしています。

管理人様


このような素晴らしい生地と仕立てでオーダーされたとは、羨ましい限りです。
※一方で、この生地で、アルニスにてフォレスティエールを仕立ててみたいとも(勝手に)思いました。

次回、中縫いのレポート、楽しみにしております。

2カ月のインターバルでの来日との事、ハンツマンが本腰を入れて日本市場に向き合ってくれているようで、客でもないのに嬉しくなってしまいます(笑)
良いジャケットほど、後姿がモノを言うと最近感じるようになりましたが、トルソーに乗せただけでも、すごい雰囲気ですね!優れたパターンとアイロンワークあってこそのものなのでしょうね。格好良いです!shine
ピークドラペルのアウトラインは僕もストレートの方が好みです。ご希望が形になって反映されることを願ってますconfidentラペルのパディングがされていないのは、仮縫いが終わったら一旦前身頃を布きれの状態に戻してパターンを修正するためのようです。八刺しをしてしまうと芯地が取れませんから、修正も限定的になるそうで、写真のような状態で仮縫いをしてくれるという事は、それだけ修正も効くので安心ですね!

スーツが作られる工程が、映画のメイキングのように紹介されていて、とても興味深いです。
 
同時に、自分の感覚のズレといいますか、常識が全く時代遅れ(?)になっている事を痛感しました。「ピークドラペルって、ダブルブレステッド専用じゃなかったっけ?」と思ったり(笑)。
 
ところで、最近(やっと)気付いたのですが、最近のメンズのスーツは、殆どチェック柄を目にしません。自分の住んでいる地域の複数のショップを大から小まで見ましたが、いずれも同様。
無地、チョークストライプ、ジャガードの織柄ストライプばかりで、その他はハウンドトゥースぐらい(それも、スーツではなく、ジャケット)。
なので、今回オーダーされたスーツが、これからどんな風に仕上がるかが、とても興味深いです。

れの様

3連休初日のコメントを有難うございます。

仰るとおり今回一番見ていていいなと思ったのはバックスタイルでした。格子柄をこれだけうまくさばくのは老舗ならではだなと感心した次第です。

れの様の凄いところは昔のものを後学のためにばらして中身を見るというところです。私も真似してみようかと思いますが、中々勇気が湧きません(汗)

次回年明け2月が仮縫いになります。次回のトランクショウデ色々とやり取りするであろう内容や様子をその時にアップいたしますので、今暫くお待ちいただけますと幸いです。

やまだ様

お休みの初日にコメントを頂き有難うございました。

アルニスのフォレスティエール(森の番人服)をスコティッシュツィードで作るのはとても素敵ですね。柄も今回の物のようにちょっと派手でファンシーな柄だったら最高な気がします。

次回の仮縫い、アップをお待ちいただけますと幸いです。

シロさん

連休中日のコメントを有難うございます。

襟のハ刺しを行っていない理由ですがやはりシロさんの仰るとおりのようだと私も思います。恐らくロバートの方でラペルのカーブは修正が入るからパディングしないように言ってあるのだと思います。

次回のセッションでは実物(ラルフのパープルレーベルです)を持って行ってイメージを伝えようと思います。それにしてもシングルのピークドラペルはかなり市民権を得ているようで街中でもときどき見かけるようになりました。服好きのお洒落な方々がもっと広めて下さることを願っているところです(笑)

oisan様

連休最終日のコメントを有難うございます。

最近はスーツで言えばストライプ、ジャケットは格子柄が主流かなと思っています。oisan様のおっしゃる用にスーツでは格子柄はあまりないようですね。

かく言うわたしも格子柄で3ピースをお願いしているものの、それはそれぞれ独立して着られるように一番良さそうなのが格子柄だったということです。特段格子柄のスーツが欲しかったのかと言われるとそれほどでもないところがなんとも情けない話です(汗)

次回は2月中頃のアップになるかと思いますがお待ちいただけますと幸いです。

いつも楽しみに読んでおります。私も現在、bespoke、PO合わせて20着はスーツがあり、オーダーを控えております。
ヘンリープールや、ナポリのオーダーも経験し、ようやくスーツのことが理解できたように思えます。今回質問したいのは1つあります。オーダーのスーツを処分もしくは、引退させるタイミングに関してどう考えてますか?

ラッキー様

当ブログへのお立ち寄り、ならびにコメントをいただき有難う御座います。

プールやナポリのサルトを中心に20着誂え、更に現在もオーダーが進行中とのこと。素晴らしいです!!きっと一通り揃えられていて、はてこれから何を注文しようか…と迷われることがそろそろ多くなっているのではと推察しております。

誂えのスーツに関しては縫い代を多めにとっていますので引退や処分することなく時代に合わせて、また体型の変化に合わせて、できる範囲で直しを入れながら末永く使いたいと思います。

仕事をリタイアして着ることのなくなったビジネススーツに関しては息子が着る頃になったらサビルロウのテイラーなりフィレンツェのサルトなりに出して直しを入れ親子の代で着て行けたらと思っています。もちろんそれだけではサルトも残念がるので新品も誂えなくてはなりませんが(汗)

そもそもビスポークガーメンツは代が替わっても着られるように本切羽を4つ釦注3つ開け(2+2の場合もあり)にしていたり、上襟の髭をのこしていたりしているようですので(笑)ぜひ試してみたいのです。

もし息子が着たくないあるいは着られない程背が大きかったら…その時は息子の足に合わない靴を集めて古着屋でも始めようかなんて考えています(笑)

確かにそうでした。幾度となく世代を超えるものが誂えと勉強したのですがつい失念していました。
お恥ずかしい限りです。
私も祖父から時計を受け継がれ、長男に受け継ごうと思います。誂えのスーツも残してあげようと思い直しました。
そう思うとまた次の誂えが楽しみになりますね 笑
最近はスリーピースでなくパンツを2本の4ピースで注文しています。
手持ちの生地でお願いするときはスリーピースですが 笑
最近思うのですが、街の古いテーラーで何着か誂えてますが、現在では手に入らない素晴らしい生地があります。それについついつられてしまいます。
仕立てはイタリアや英国とはまた少し異なるのですが

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