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2015年10月 3日 (土)

靴のリバイバル(後篇)

雨靴として長年履いてきたジョンロブのロペス。それを再び「晴れの靴」として甦らせようと思いついたのが靴のリバイバルプラン(前篇) だった。まずは靴を洗い、乾かしながら水分と油分を加えることからスタート。「雨で濡れる→乾燥する」を繰り返しカサカサになったアッパーに潤いが戻ってきた。

次の段階はリソール。本格修理ができる靴屋が近所にできたので、革底をゴム底に替えるよう依頼。待つこと一月、ようやく「出来上がりました」との連絡を受けたところだ。そこで今回は靴のリバイバル(後篇)を紹介しようと思う。

1.ソールの交換

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雨の中を何度も歩いた結果、片減りしたヒールやウェルトが丸まったソールはラバーに交換。シャープなエッジのリッジウェイタイプを選んだので仕上がりは革底のように見えなくもない。張り出しが少なくピッチの細かな出し縫いのロペスはリソールも大変だったと思うが、仕上がりはとても綺麗だ。

続きをもう少し紹介したい

2.ビブラムソール

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リッジウェイタイプと書いたのは、リッジウェイに似てはいるがビブラム社のソールを選んだためだ。材質がソフトな分削れにくく耐久性に優れ、おまけに価格も若干安い。しかもヒールは革の積み上げにトップを張るタイプなので元の雰囲気も残る。調べたところネットでの評判も良いようだ。

3.出し縫いの正確さ

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以前新宿のデパート地下にある靴修理にアシュレイのリソール(革底)を出したらひどい状態で戻ってきたことがある。今回はどうなるかと心配したが、見事に元のピッチに沿って仕上げてきた。手縫いかと思う程の腕前を披露してくれたのは吉祥寺のTonearm(トーンアーム)。実に腕の立つ靴修理屋だ。

4.ソール交換後の靴のサイドビュー

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レザーリフトにトップのみラバーを張り替えたことが良く分かる踵部分。コバはダイナイトソールよりシャープで、ソールがビシッとした分アッパーがややくたびれているのが目立つが致し方ない。カジュアルとはいえドレッシーな作りが光るクロケット渾身の作、ジョンロブロペスのリバイバルもいよいよ最終段階だ。

5.ハイシャインに挑戦(下地作り)

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ラストスパートに入ったリバイバルプラン。靴のポリッシュということでハイシャインへの挑戦だ。まずは十分な栄養をということで水分と油分の入ったリッチクリームを塗る。既に靴を洗ってから2回塗っているが、念のためもう一度塗り込むことで、洗靴による革の乾燥を防ぐ意図がある。

6.ハイシャインに挑戦(サフィールノワールを使う)

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続いて靴墨を塗る。サフィールは欧州で評判の靴ケア用品。天然素材で革に優しいのが特徴だ。おまけによく光るということで、靴の色とは異なるが構わず茶色のクリームを塗っていく。勿論サドル部分はツリーを外して隙間から塗り込み、磨く際にもクロスを入れて拭き残しがないようにする。

7.ハイシャインに挑戦(ワックス使用前)

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サフィルノワールだけでこれだけ綺麗に光るようになる。以前の靴と比べると雲泥の差だ。通常ならばここまでで終了。だが、洗靴後は革がすっぴん状態なのでつい厚化粧をしたくなってしまう。暫くクリームが馴染むのを待って、いよいよワックスを使ったハイシャインに挑戦だ。

8.ハイシャインに挑戦(ワックスを塗る)

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ワックスを少量クロスにとって冷水を少しクロスに吸わせながら軽く円を描くように塗っていく。人それぞれだろうが、自分はつま先と甲部分(ここではエプロン部分)から塗り始める。ローファーの場合はエプロン部分に皺が寄っているので、綺麗に仕上げるのはかなり難しい。

9.ハイシャインに挑戦(片足終了)

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写真では左側(右片足)がハイシャインを終えたところだ。タンとサドル部分をしっかり仕上げることでだいぶ靴の表情が変わる。今では写真のクロケット製ジョンロブはとても貴重、我が家にもこの1足しか残っていない。履けなくなって処分する前に第1戦に復帰できて良かったと思う。

10.ハイシャインに挑戦(リバイバルプラン終了)

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エプロン部分による皺は長年履いた証し、ハイシャインにしてもやや目立つが、それでも磨き上げた靴はリバイバル前とは別物のようだ。雨水が染み込んで黒ずんでいたつま先も綺麗になり、履く喜びが戻ってきたのを感じる。靴は生き物とはよく言ったもので、大切に扱えば主に応えてくれる。

早速履いて街に出たところ、思ったよりソールの柔らかさを感じる。元々クロケットのレザーソールは硬く、ヒールの滑りやすさは有名だったが、ビブラムソールに替えてからショートソックスの踵抜けがなくなり滑ることも皆無。ソール交換によってこれほど履き心地が激変するとは思わなかった。

今まで雨用にと割り切っていたロペスだが、これだけ見事に甦ると雨の日に履いて行きたくなくなる。となると今後雨が降ったら靴はどうするか…という問題が出てくる。残念ながら答えは見つからないが、雨で傷んだ靴もリバイバルさせることができると分かったのは大きな収穫だ。

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衣類・靴のケア(Maintenance)」カテゴリの記事

コメント

Revivalの成功、おめでとうございます!
修理職人さんの腕と、管理人様の靴への愛情が結果に表れてオリジナルよりも良い靴に仕上がったのではないでしょうか。しかし元々の縫い穴を拾って細かく縫い上げられただし縫いには驚きました!仰るように日本の職人さんの技術は確かなので預ける先をきちんと選べば素晴らしい仕上がりが期待出来ますね。

Revivalではありませんが、最近オーダー靴を修理のため工房に里帰りさせてやりましたが、靴のみならず、職人さんもその履き込まれた表情に大喜びしてくれました。明日にでも当ブログでその様子をReportさせて頂ければと思います!

甦った靴の美しさ、前篇に続きお見事の一言です。
 
今回の靴の場合、メンテナンス後も若干皺が残ったとのご記述がありますが、それがその靴の“歴史”を感じさせてくれるので、まっさらな新品にはない深い味わいがあるように感じます。
 
最近は、靴に限らず、物を修理しながら最後まで使い切る………ということがあまりありません。修理したくても、私のいるような地方の小都市(いわゆる“田舎”(笑))だと、修理したくてもやってくれるお店自体がないこともあります。管理人さんは、首都圏かその近郊にお住まいと思われますが、やはりお店の豊富な中央の都市、大都市にお住まいの方はその点がいいなと思います。
 
トラディショナルな革靴は、本来は革底であるべきなのでしょうが、悲しいかな、現在は(私のいるような地方都市であっても)機能的・実用的ではなくなってきました。
オフィスのカーペットや雨の日のタイル状の通り道を歩くと、やたら滑ってしまいます。また、私は膝が悪いので、歩きやすさや膝の負担の点からも、ビブラムソールやスポーツシューズのようなソールが必要です。
“本物”が使いにくい環境・条件になっているのは、辛いものがありますね。
 
雨の日は、ビブラムなどのゴムのソールで、本体も合成皮革のものなら濡れや滑りが気になりません。
ただ、さすがに本物のトラディショナルな味わいには若干欠ける点は否めませんので、通の人が見ると安っぽい感じがするかもしれません。
なかなか難しいですね(笑)。


生き返りましたね。雨の日に履きたくなくなる気持ち、よく解ります。
今の時期は空気が乾燥していて、靴洗いにはもってこいの季節。
私も今週、C&Jコノートを洗い、デリケートクリームを塗った所で、
靴紐を何にするか、楽しくいろいろ悩んでいます。

それにしてもこのブログ、幅が広くて他の追随を許しません。
それでいて丁寧なコメントへの対応。
管理人様の懐の深さ、実に人格者ですね。見習いたいです。

シロさん

土曜朝のコメントをいただき有難うございます。

リソールに伴う出し縫いの跡ですが、本当に穴が元の位置から全くずれていないので手縫いじゃないかと疑っています。あるいはミシンを手回しで一針ずつ穴に合わせてウェルトの進みを調節しながら縫うとか、何らかのテクニックを使っているのではないかと想像しています。良い靴修理屋さんに出会えました!!

シロさんが工房に預けた靴はo.e.の靴でしょうか?…もしそうだとするとシロさんのブログで拝見したのがついこの前のような気がするのにもう工房にリペアをお願いするほど履き込んだということで、靴も本望ではないかと思います。

明日のブログ更新を楽しみにしています。

oisan様

お休みのところコメントを頂き有難う御座います。

確かに東京は靴修理のお店も充実していますし、特に職人さんに関しては、靴学校を卒業され腕が立つ方も多く、誂え靴を作りつつ修理を請け負うという人もいらっしゃいます。

私が今回預けたトーンアームさんも誂え靴の注文を受けているので腕の立つ職人さんではないかと思っておりましたが丁寧な仕事ぶりに感心させられっぱなしです。

近いうちにもう1足ゴム底でリソールを依頼しようと思っています。つるつる滑る路面ではラバーソールの方が使い買ったがよいのは言うまでもありませんが、雨などの時は流石に革靴そのものを止めたくなる場合があります。

oisan様が仰るように、雨模様の日の靴の選び方はいつも悩ましいものがあります。

中尾様

お褒めの言葉を頂戴し恐縮しております。

C&Jの靴を洗い靴紐を何にしようか悩まれているとのこと。確かに洗ったついでに靴紐も替えて気分一新というのも良さそうですね。私も参考にさせていただきます。

来週からはぐっと涼しくなり明け方は寒さを感じるようになるとのこと…早くツィードの上着を羽織って街に繰り出したいなぁと真剣に思っています(笑)

管理人様

洗靴から始まったリバイバル。その手順、工程から仕上げ、履き心地まで完璧ですね。素晴らしいです。
服の直しもそうですが、お気に入りの物が修理によって、より愛着が持てるようになったり、逆にちょっとした事で一気に気持ちが下がってしまう場合もありますね。
トーンアームというお店知りませんでした。是非今度行ってみたいと思います。

「待たせたな」
と、このロペスが言っていました。
嘘です(笑)

でも本当にそんな事を言っているような気がする、見事なリバイバルですね。
オールソール交換の際、「ソールが交換されてきた」という事実だけでなく細かい仕上がりにまで着目する管理人様、流石です。

適度にシワなどの入った履きこまれた靴が磨かれた状態というのは、本当に美しいです。
年数の経ったものは美意識があれば何よりも美しく、美意識がなければ何よりも醜い・・が私の持論です。
これは靴でも人でも同じだと思いますので、管理人様のロペスは大変美しいです。
私の靴も、そして私自身も、歳を取ればそのようになりたいと思っています。

そして今回はつま先だけでなく前面にポリッシュをされたとの事。
私も最近手持ちの靴を前面ポリッシュする事が多いので、何だか嬉しいです。
月に一回ほどポリッシュを除去してデリクリで潤いを与えてやれば、皮革への影響も少ないと考えております。
(それどころかホコリや汚れなどから靴を守ってくれる効果もあるでしょう。)

管理人様の美意識が垣間見れるこのブログ、本当に私のお気に入りです。
是非これからも宜しくお願いします。

PMT様

お休みのところコメントを頂き有難う御座います。

昨日別の靴を出しに行きましたところ、マシンによる出し縫いはしっかりとピッチが狂わずに仕上げられている高級靴の方がやはり作業がしやすいとのことでした。針が楽に元の穴に入ってくれるそうです。

元の値段が高い靴は様々な部分がしっかりと作られている為に値段が高く、それゆえ修理がしやすく長く愛用できるということかと解釈しています。

カメリア様

お休みのところコメントを頂き有難う御座いました。
またブログにお褒めの言葉を頂き恐縮するとともに、頑張ろうという前向きな気持ちもいただけました。重ねてお礼を申し上げます。

まず最初のロペスが「またせたな」と言ってくれたら、本当嬉しいです(笑)

出し縫いの見事さについてですが、昨日そのお店に行きまして工房の方にお聞きしました。すると、「やはりよく作られている靴はそれなりに値段もするが、その分修理がしやすい。」とのことでした。

具体的にはオールソールの際、ウェルトに出し縫いを掛ける時、元の靴のウェルトに開いた穴のピッチが正しければ正しい程、再び出し縫いをかける時にマシンの針がすんなりと前の穴に入っていくそうです。

その点、やはりロブの靴は修理しやすいとおっしゃっていました。ロペスを預けて正解だったかなと思い、もう一足眠りについていたロブのサブスタンダード品を修理に出してみることにしました。

その靴は当時ノーザンプトンで£200位ですから36,000円だったでしょうか…今回13,700円かけてオールソールすることについては色々な意見もあるかもしれませんが、きっとその靴も喜んでくれそうな気がしています。また「待たせたな」と言って見違えるようになって戻ってきてくれたら嬉しいなと思っています。

機会を見てブログの中で番外編として紹介させて頂けたらと思っています。

久しぶりにコメントさせて頂きます。皆さん仰るとおり、見事な再生ですね。僕自身、洗靴は店にお願いしたことはありますが、自分でもチャレンジしたくなりました。また、吉祥寺のお店の情報ありがとうございます。割と近くなので、試してみたいと思います〜😊

yuk201jp様

コメントを頂き有難う御座います。

ぜひ一度、失敗してもそれほどダメージのなさそうな靴を選んで洗靴にチャレンジしてみてください。

それと吉祥寺のお店もぜひ一度訪問されてみてください。靴の好きなお二人が店を切り盛りしていて好感がもてます。

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