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2015年10月24日 (土)

トランクショウ三昧

靴や服、シャツを誂え始めた頃は海外に出向くのが当然、極東の日本でオーダー会を開くメゾンは非常に限られていた。注文から仮縫い、受取まで3回も足を運ぶ旅費を加算した靴は実に高価な靴だったことになる。それでもクレバリーのように日本のショップの招きで来日するメゾンは有難い存在だった。

ミレニアムを超えた2000年頃から徐々に有名店のビスポーク受注会が東京で開かれるようになり、ロンドンの誂え靴店は全て東京で受注会を開いているのだから時代は変わった、とつくづく思う。そこで今回はこの夏から秋にかけてお邪魔した誂え靴屋のトランクショウの様子を紹介しようと思う。

1.175年記念グッズ

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創業から175周年を迎えたのはロンドンの老舗、世界最古の注文靴屋ヘンリーマックスウェルを傘下に持つフォスター&サンだ。ヘンリーマックスウェルが1750年、フォスターが1840年の創業だからその由緒は誂え靴屋随一。記念のポストカードや革小物を多数用意してのトランクショウだった。

続きをもう少し見てみたい…

~フォスター&サンの受注会~

2.誂え靴のサンプル

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紐靴とバックル靴を中心に、流行りのスリッパやローファーまでそつなくサンプルを並べたフォスター。クラシックな面持ちが多いのはフォスターのヘリテージからすれば当然か。勿論サンプル以外で自分が思い描いたデザインの靴が欲しければ担当の松田さんが上手く現物にしてくれる。

3.ニュー&オールドサンプル

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紐靴よりも左の古いローファーに心惹かれたが、中央のセミブローグは新作とのこと。クラシックなスタイルだが何やらつま先のブローグが珍しいようだ。一方右端は以前同じデザインのものを茶色のツートンで作って貰ったことがある。日本の画家が描いたフォスターのイラストにも登場する靴だ。

4.ニューデザインオントウ

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新しいメダリオンは狐の顔をモチーフにしたものだそうだ。そう言われれば狐、すなわちフォスターのトレードマークになっていたことを思い出した。どことな控え目なのがフォスターらしくもある。以前自分の星座をメダリオンにして貰ったことがあるが、その時は相当なチャレンジだったのだろう。

5.クロコダイルのプレーントウ

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サンプルとはいえ見事なクロコ靴。斑の小さい方をつま先に持ってくるのが定石と聞くが、トウからヒールにかけて徐々に斑が大きくなっていく様がまた美しい。値段も相当なもので確か1足£6000だったと思う。「素足で軽を運転している感じかな…。」と友人に話したら笑われた。

6.スペクテイターカジュアル

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ノルウィージャンスプリットトゥ、フォスターではエプロンフロントダービーと呼ぶデザインのカジュアルだ。スキンステッチにリバース縫いのライトアングルモカ、何よりエプロン部分のバックスキンの質感が高く、古い靴のサンプルとはいえギンピング処理の施されたサドルと合わせ実に魅力的だった。

~クレバリーのトランクショウ~

こちらはお馴染みのクレバリートランクショウ。ビームスとの契約は解消したのだろう、最近はアンソニークレバリーのトランクショウで三越と伊勢丹で各1日、日本の顧客のためのトランクショウは1日となっている。

7.懐かしのスタイル

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左のリザード製エプロンフロント・サイドエラスティックはクロケットが既成ラインで作っていたものをノーザンプトンのアウトレット買ったことがあり、懐かしくなった。尤もこちらは誂え、オーラが違うが。右のアデレイドもクラシックなスタイルで、デザイン性の強い靴を提案するクレバリーには珍しい。

8.レイジーマンの新バージョン

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ベルルッティ風のパーフォレーションにリアルな靴紐を挟んだサイドエラスティックはレイジーマンの進化形。前から見たら正に紐靴、これだけ手が込むと次は紐を結んだリボンまで付いてくるのも遠くないだろう。クラシックに遊び心を加えたモダンな靴がクレバリーの真骨頂といったところか。

9.ブラックカジュアル2選

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どちらもカジュアルだがブラックというところがクレバリーらしい。黒のローファーは立ち位置が難しくスーツには合わないがジャケットにはフォーマル感が強い。このタイプはブラックタイに合わせて履くのが相応しそうだ。因みに右のバタフライはステッチで表現した1枚革らしく履き心地はすこぶる柔らかいとのこと。

10.誂えた靴をスタンドに載せて撮影してみる

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クレバリーで誂えた靴をスタンドに載せて写真撮影してみた。左はコードバンタッセル、右はスペクテイターカジュアルで、どちらもデザインは定番だが、そこは誂え靴。細部に至るまで手を抜かない仕事ぶりが光る。こうして専用スタンドに載せて写すとなおさら格好良く見える。

~アムリックシャガーの受注会~

前回紹介した時はほぼプライベートでの来日だったが今回はトランクショウ、しかし持参したサンプルは2足と実にコンパクトなところが彼らしい。その代り見せて貰った靴は厳選された素材を使った見事なものだった。

11.ゴートスェードのコンビ靴

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インスタグラムでも評判の高かったゴートスェードを使ったコンビのフルブローグ。ゴートとは大人の山羊を指し、その革は型崩れし難く弾力性があり、革靴に最適とのこと。そのヴィンテージスェード素材ということで色味が実に美しい。素材を生かしたフルブローグのコンビは中々の感動作だ。

12.ブリーチアウトブローグ

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こちらはアムリックが得意とする、というより前に在籍していたフォスター&サンがよくやるブリーチを使った脱色+パティーヌの技法だ。クラシックな誂え靴に個性的なパティーヌを施すには職人のセンスと注文主の息が合うことが大切。フォスターで注文した友人は何度かやり取りをしていたことを思い出した。

13.ハンドカーヴのツリー

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デュプリケーターを使ってラストと同じ形状のツリーさえできる今の世の中、手仕事で削っていくツリーは滅多にみられるものではない。ロンドンの靴屋ではツリー専門会社のスプリングラインにツリーを任せているところもあるが、ハンドメイドに拘るアムリックシャガ―にその選択肢はない。

3軒の靴屋のトランクショウにお邪魔し、ハンツマンでスーツをオーダーしたのも加えるとこの夏から秋にかけて4回もトランクショウに出向いたことになる。こんなに参加したのは初めてだが、彼らが足繁く東京に来るのは同時に香港や台北、シンガポールなどアジアの各都市でトランクショウを開いていることが一因にある。

90年代のシンガポールではチャーチズの靴でさえ高いと言われるほどで、激しい雨が毎日のように降る中での革靴はミスマッチだったはずだ。ところが今やシンガポールだけでなくアジアの各都市で靴や服を誂える人が増えている。東京を超えてアジアの各都市がビスポーク文化を定着させる日もそお遠くないだろう。

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コメント

どのトランクショウも素晴らしい靴ばかりで、頭の中のデータベースが少しグレードアップしたような気分です。行かなければ見られないサンプルですから、こうして共有して頂ける事に感謝、感謝でございます。
伝統あるメーカーでも、少しずつラストやフォルムが変わっているのを感じます。特にクレバリーはその最たるものかも知れませんね。紐の通ったレイジーマン、いつか真似してOrderしてみたいと思いました!

シロさん、

NY駐在時と変わらず、土曜朝一のコメントを有難う御座います。

この秋はよく出かけました。トランクショウにこれだけ行ったのも本当に珍しく、殆どはブログやインスタの取材が目的なのですが自身の目の保養になりました。

異なるメゾンを見て思ったのは、老舗メゾンの立ち位置を変えないスタンスも賞賛されるべきではありますが、クレバリーのように攻める姿勢も大切かなということです。

かつてジョージクレバリーあるいはアンソニークレバリーが革新的であったことを考えれば、それを受け継いだクレバリーのポジションも他とは違わなければならない…と思っているのかもしれません。

あまりクリエィティブ過ぎる靴は個人的には好みではないので(^_^;)クラシックで素材に凝る、あるいはほどほどのデザインにひねりを加える、素材をバイカラーにするなど楽しみ方を自分なりに決めています。

さて、クレバリーで30足目となる靴は何にするか…目下のところ紐靴になりそうです。

靴のオーダーメイドは、既成靴しか履いた事がない自分にとっては、想像を超えた夢(?)の世界です。
 
先だって、コンビのタッセルをご紹介いただきましたが、今回の記事では、素材の使い方が楽しくまた勉強になりました。
 
自分が足を通した事があるのは、スポーツシューズの化学繊維以外は、せいぜいコードバン、スエード、キャンバス程度。
クロコダイルやゴートなどは、本当に想像がつかないというか、とても履きこなせません。
以前も似たような投稿をさせていただきましたが、色々な素材の靴のコーディネートを、いつの日かぜひご紹介いただきたいですね。

管理人様


ゴートスェードのコンビ靴、かっこいいですね。
私の乏しいワードローブとセンスでは履きこなす自信はありませんが。。。(白のパンツとかなら合うかな?と思ったりしましたが)

管理人様がこの靴をオーダーされて、コーディネイトを紹介される
記事を出していただければ楽しみだな、と勝手に思いました。

管理人様

ご無沙汰しております。ようやく少しだけゆとりがでてきて、ゆっくりバックナンバーを含めてブログ拝見いたしました。
今回のNO.9.クレバリーのブラックカジュアル2種が好みでした。

シロさんも仰っていますが、トランクショーに行かねば見ることのできない逸品たち、本物を見る目を養いたい私(服飾も本も)にとって、非常に有難いです。とはいえ、そのようなことは後付けで、見ていて「おっ」「うわ」といいながらワクワクするのが第一です(笑)
リポートを有難うございます!!!

oisan様

お休みのところコメントを頂き有難う御座います。

最近はマネキンを使って撮影する時間がなかなか取れなくなりましたのでコーディネイトまで紹介できないのがもどかしくもあります。

せめて足元の写真から少しずつ紹介して行けたらと思い、インスタグラムの方では時々そんな写真をアップしております。お時間がございましたら本ブログのリンク先から入りご覧いただけますと幸いです。

やまだ様

お休みのところコメントを頂き有難うございます!

ゴートスェードのコンビ靴、確かに靴としてみるといいですがコーディネイトになると普通の靴よりは難易度が上がりそうですね。迷った時は基本に替えると言いますがミディアムグレーのパンツかグリーンのネップが入ったホームスパンのツィードパンツ、勿論ジーンズもOKではないでしょうか。

当然そういったボトムスに合うトップスとなるとズバリツィードやコーデュロイのジャケット、ともかくカントリー風に組み合わせるといいだろうなと想像しています。

グリーンのゴートスェードは革から採れる靴数が非常に少ないので、アムリックシャガ―とこれからお付き合いを始める新規の顧客のために取って置くのが良いかなと思っています。

TweedBooks様

お休みのところまたお忙しい中コメントを頂き有難う御座います。

ご無沙汰しておりましたがお譲り頂きましたイラスト集は額に入れて目下我が家の狭い階段の壁面に丸の内のブルックスブラザーズの店のように飾ってあります。

黒のローファー2選byクレバリーに目が引かれたのですね。本当に格好良くて思わずオーダーしたくなりました。が、黒のローファーは出番が少ないかなとも思いました。

そんな自分の考えをゲストの方々の考えと交流することで自分の感覚が磨かれるのかもしれず、それがブログを続ける原動力となっています。そして何よりコメントを拝見することがブログを続ける励みにもなっています。

これからもお時間がございましたらお立ち寄り頂けますと幸いです。
この後TweedBooks様のブログにも立ち寄らせて頂きます!!

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