最近のトラックバック

« ワイシャツを着る | トップページ | Huntsman trunkshow(ハンツマン受注会) »

2015年9月 5日 (土)

靴のリバイバル(前篇)

雨の日の靴をどうするか? お洒落好きに聞くと、中には「天候に関係なく、履きたい靴を履く」という人もいるが、雨用の靴を決めているという答えが多い。その選択基準も「雨に強い革素材」であったり、「濡れた床やエスカレーターでも滑らないソール」であったりと、見栄えだけではない確かな理由が存在する。

ところが自身の雨靴は? と言えば普通の革靴、しかもローファーだ。甲を覆う紐靴より濡れ易く、靴にとっては災難だっただろう。すっかりくたびれた姿を見るうちに申し訳なくなり、雨靴から晴れの1足へとリバイバルプランを思いついた。そこで今回はその第1弾、本格紳士靴の洗濯を紹介しようと思う。

1.雨用の1足

00

雨に遭い、乾燥後は時折クリームをあげたものの、酷使し続けてきたローファー。元々タフな作りには定評のあるクロケット製のジョンロブ・ロペスだが、エプロン部分の汚れや革の乾燥しきった感じはかなり深刻だ。ソールの痛みも激しいので一度靴を洗い、その後ソールの張替を行うことにした。

まずはウェルト靴の洗濯から続きを見てみたい。

2.水に漬ける

01

まずは水に漬けて革の中に染み込んだ汚れを引き出す。暫く漬けておくと革の染料が染み出てくるのだろう、水が少しずつ茶色になってくる。一方靴の方はというと、厚化粧の状態が少しずつ元に戻っているようで、乾燥時にできた白い線も消え、すっきりとした顔つきになってきた。

3.衣類用洗剤を使う

03

何で靴を洗うか…色々あるがこのことろプロのクリーニング店が使う衣類用洗剤に革用エッセンスを混ぜたものを使っている。因みにエッセンスの中身は油分補給用とのこと。これを規定量どおりに薄めたバスケットに浸して洗うのだが、今回はスプレーで噴霧、スポンジで洗うことにした。

4.汚れを落とす

05

雨の日に革靴を履き続けたせいだろう。革底が吸った水分が靴のつま先に集まり、かなり黒ずんでいた。恐らくは道路の汚れが跳ね上がり染み込んだのだろう。スポンジを使ってなでるように汚れを落としていく。この靴をリバイバルさせるためにはアッパーの汚れはしっかりと落としておきたい。

5.洗い終えた靴

06

靴を洗い終わった後。外側だけでなくインソールやライニングもしっかりと洗った。この後は写真2のように、もう一度水に漬けて、洗剤の残りを全て出し切る。前回のウェストンで慣れたせいか、水びたしになっても驚かない。むしろどれだけ綺麗になるかワクワクする気持ちさえ出てくるから不思議だ。

6.靴の濯ぎ

07

最後に靴を洗浄、表面に浮き出た汚れを洗い落とした。つま先部分の黒ずみはすっかり消え、革の表面に見え始めていたひび割れも目立たなくなっている。思えばこのジョンロブ、NYのエルメス店で買った思いで深き1足だった。しかもクロケット製のジョンロブがなくなった今や貴重な存在なのを思い出した。

7.水分をふき取る

08

水きり後は柔らかな布で更に水分をふき取る。タオルで包むだけでも水気をかなり吸い取ることができる。もっともタオルの方は革の染料が着いて茶色に染まる。前回も書いたが汚れても良いタオルを使いたい。ワックスや汚れ、乾燥後に浮き出た「塩ふき」もとれて、元の顔が現れた。

8.新聞紙を詰めて陰干しする

09

細かくちぎった新聞紙を丸めて靴の中に詰める。このとき先端部分は小さな新聞玉を、履き口からは大きくても構わない。ぎっしり詰めた新聞玉は靴が半乾きになるころにはずっしりと重い玉の集合となって出てくる。少々手間はかかるが、インソールの水気を取るにはこれが一番確実だ。

9.下処理を行う

10

靴が乾燥し切ってしまう前にプレケアを行う。生乾きの状態で、まずは適度な水分が残るようデリケートクリームを塗る。洗靴はデリケートクリームの消費が思ったよりも多い。今回はサフィールを使ったが、モウブレイのデリケートクリーム大瓶を買って使う方がお買い得のような気がする。

10.ツリーを入れて油分を足す

11

水分の次は油分を含むクリームを塗布する。ここではビーズリッチクリームを使ってみた。つま先部分はもちろんのこと、踵や甲に架かるハーフサドルも裏側までしっかりクリームを入れる。1度塗ったら暫くそのままにし、よく馴染んだらもう1回、今度は更に少量を塗りこんで革に馴染ませる。

11.洗靴の終了

12

リッチクリームを塗り終えたところ。今までは雨に遭った後は、乾燥後に塗れたタオルで「塩ふき」を落とし、後は色付きのクリームで化粧を重ねていた。今回は無色のクリーム以外は使わず、すっぴんの状態に留めることとした。ツリーを外し、靴を手に取ってアッパーを軽く押すと以前より弾力性が増したのが判る。

洗靴はリバイバルに向けた重要なステップ。次はオールソールの番、しかも素材は革でなくゴム素材のリッジウェイソールを考えている。ソールの張替後に靴を洗うとウェルトが縮み、コバに段差ができる可能性があるので、雨の日続きをやり過ごしながら洗靴の機会を待っていたところだった。

そのオールソールだが、地元の靴屋か、都心の靴屋に出そうか迷っている。どちらに出しても恐らく数週間かかるだろう。実は洗靴しながら気が付いたのだがこのロペス、出し縫いがアッパーの際を走っている。かなりブラインドウェルトに近い洒落た作りだ。アッパーを傷付けず直してくれる修理店をお願いしようと思っている。

« ワイシャツを着る | トップページ | Huntsman trunkshow(ハンツマン受注会) »

衣類・靴のケア(Maintenance)」カテゴリの記事

コメント

おはようございます!
さすがはジョンロブ。使っている革が良いだけあって、どんなに酷使してもしっかりと手入れすると質感・雰囲気が蘇りますね。靴の丸洗いに俄然興味が湧きました。
インソールまで水に浸すと、どうしても中物のコルクやシャンクに湿気が残ってまうそうですから、丸洗いをオールソール前にされたのは最高のタイミングですね!オールソールの仕上がりがどうなるか、一読者として楽しみです♪

雨用靴と言えば、国産のPerfettoをやウェストンのゴルフを使っていましたが、Perfettoがそろそろ限界を迎えようとしているので、踵の傷を補修したEdward Green製Ralph Laurenに雨用靴を襲名させようかなと計画中です。(革がヘタれないか心配ですが…)

こんにちは。
私の洗靴はシャボン玉石鹸と綿布で済ませますが、このように本格的にやるのも良いですね。
ちなみにセーム革で洗っても良いそうです。
もったいなくて私はできませんが。

管理人様

丁寧な洗靴、お見事ですね。
何よりリバイバルプランが素晴らしいです。
私は愛用しているC&JメイドのRL(C&JではVELDTとして
販売されたキャップトゥブーツの短靴版です)のソールが
リッジウェイで、パラブーツに近い
その履き心地にすっかり参りました。
ロペスにはドンピシャリですね。
これで畦道でも雨道でも大丈夫、更に酷使したりして。
オールソール、楽しみにしています。

シロさん

お休みのところ朝一番のコメントを有難うございます。

靴の丸洗い、アッパーの素材にもよりますがカーフとスェードならばまず心配せずにできるかと思います。金属のシャンク(オールデンなど?)を使っていると錆が出てくる心配もあるのかと思いますが、今度オールデン(カーフですが)もやってしまおうと思っています(驚)

エドワードグリーンは仰るとおりエレガントで華奢な作りですが、私も雨に遭ったりしつつ未だに現役ですから思ったより革靴って水に強いのかもしれませんね。

浪漫様

おはようございます。

セーム革ですか。それは良いことをお聞きしました。

昔は時計を磨くのに使ったり、後つま先の鏡面磨きにつかったりすると良いので小さなセーム革の切れ端を持っていたのですが…

今度東急ハンズに行って探してみます!!情報を有難うございました。

中尾様

リバイバルプラン(日産のネーミングを拝借しています…)に励ましのお言葉を有難うございます。

昨日地元の靴屋にオールソールをお願いしてきました。色々話す中でリッジウェイソールと同じパターンで耐久性があり、柔らかめ、しかも積み上げヒールを全て取り去るのではなく何層か残した上にリッジウェイよりぐっと薄いヒールを重ねるビブラム社のソールが良さそうなのでそちらを試してみることにしました。

価格も若干安いのでその分、ヒール内側のカウンター部分に革を当てて補強してもらうこともお願いしました。出来上がりは最長1か月とのことです。リバイバルプラン後編は10月を予定しています。しばらくお待ちいただけますと幸いです。

さてどんな風になって戻ってくるか…

管理人様

御返信ありがとうございます。ビブラム社の方ですね、成る程。
私も雨対策でダイナイトソールにオールソールしようとして、ビブラム社の同等品に変更しました。リペアショップからは、「ポイントが若干中心に寄っているので、ダイナイトより作業し易い」と聞きました。履き心地も微妙に異なります。
樹脂製ソールの世界も深いですね〜。

10月楽しみにしています。

中尾様

わざわざ返信有難う御座います。

10月の更新楽しみにして頂けるなんて、嬉しいお言葉を有難うございました(喜)

確かにビブラム社のものはトレッドパターンがやや中心によっている印象を受けます。その分出し縫いを掛けやすいということなのでしょうか。

8月22日に続き靴のメンテナンスのご紹介、興味深く拝読しました。
 
一般的に、物は新しいに越した事はありません。しかし、使いこんで自分に馴染んだ物は、新しい物には無い貫禄、品格を醸し出しますね。
それ故、例えばジーンズなどは、敢えて使い込んだ風に見せるケミカルウォッシュ加工があるのでしょう。また、家具などにも、アンチーク調などと称して、昔風の(或いは使い古し風の)味を出したものは高い人気があります。
 
今は、多くの物が、修理やメンテナンスするよりコスト的に安く新品が買える時代です。
しかし、だからこそ、いい物をメンテナンスしながら長く使う事の大切さ、素晴らしさを見直したいと思いました。

Oisan様

お休み明けの月曜一番にコメントを頂き有難う御座います。

実は私もアンティーク調の家具(持っていませんが)やダメージ加工のジーンズが好きですので商業路線にうまく乗せられていますね(汗)

ところで今回の靴ですが、いよいよ最後に残ったクロケット製のジョンロブなので思い出も含め、出来るだけ長く、大切に履いてあげようと反省を込めてリバイバルさせようと思いつきました。

どこまでできるか分かりませんが、結果はブログでお伝えしますのでお時間がございましたらご覧いただけますと嬉しいです。

こんばんは、ケアシリーズ、靴の洗いの巻-2、楽しくまた、参考にさせていただきました。
雨による少々のダメージのあるシューズを、洗いにかける、何ごともチャレンジある管理人様のアクションが大したものに思えます。
自身にはこれほどの勇気はないですが、何足かは洗いにチャレンジしたことがあります。ボディウオッシング剤を使いましてすすぎにヘアコンディショナーを使い、油分を加えて完成としました。乾かすのは毎日観察しないといけませんね。
「リバイバル」いい響きがあります。10月を楽しみにしています。

Tony様

週明けのコメントをいつもありがとうございます。

私もリバイバルという言葉の響きが好きで、しばらくいろいろなものをリバイバルさせてみようかと企んでいます。

今回の靴ですが、当たり前とはいえ雨用の靴にするとかなりダメージが大きくなります。かといって雨用の靴をローテーションするのもそれはそれで候補を探すのが大変で、結局ロペスにたよりきっていたという訳です。

靴を洗うことにはだいぶ抵抗感がなくなりましたが、それでもカーフ、またはリバースカーフ(スェード)に限定しています。さて今回のロペス…どのようになって戻ってくるか1か月ほどお待ちいただけますと幸いです。

完璧な洗靴ですね!
靴の喜びの声が聞こえてきそうです。

雨用の靴を何にするか・・確かに靴に精通した靴マニアでもこれといった答えがないのかもしれません。
完全に雨用に特化した、耐久性のあるアッパー(ガラス加工など)にダイナイトorビブラムソールの靴を履くのもいいですし、
履き古した、ダメージが発生しても気にならない靴を履くのもいいですし。

ただ個人的には雨だからと完全に雨用の靴または履き古した靴を履くというのは、気分が上がらないというのがあります。
なので私は雨でもいつも通りの靴を履いておりまして、最近では薄い色合いのアニリンレザーの靴も履き出す始末です。
おかげでシミ、色合いのムラなど様々なダメージが発生しておりますが、それすらも勝手に味わいと思い込んで楽しんでおります笑
そういった意味では雨というのはエイジングを加速させてくれる存在なのかも知れませんね。

これからの季節は洗った靴が乾きにくい環境になりますが、是非洗って欲しそうな靴はじゃんじゃん洗ってあげてください。
私も2日前、6年間一度も洗っていなかったブライドルレザーの財布を洗ったばかりです。
内部の色落ち箇所は万年筆用のインクで着色するという無茶ぶり笑(これが仕上がりがなかなか良い)

カメリア様

土曜の早朝よりコメントをいただき有難うございます。

やはり靴は履いてこそなので雨だろうが履きたいものを履くのが王道なのでしょうね。もし濡れてだめになったら、「新しい靴を注文するいい機会だ。」くらい思えるゆとりがあったらいいなぁと思います。

ただ、1足の靴に込められた職人の願いを考えるとわざわざ雨が降るとわかっているのに雨に弱い靴を履かなければならないほど手持ちが少ないわけではないので、結局は雨の日用に近い靴を選んで履いてしまう事実があります。

まずは今まで雨用だったこのロペスを復活させて雨用だからといっていい加減な扱いをせず、靴が受けられるであろう手入れが為されれば晴れの1足にいつでも復帰できることを証明できたらと思っています。

オールソール後のアップをお待ちいただけますと幸いです。

こんばんは。
こちらのクロケット製ロペスですが、サイズは紐靴よりもハーフサイズ落として着用されていますか?それとも同じでしょうか。

浪漫様

ラストが違うので一概に比べられませんが、ロブでは紐靴が殆ど8.5-Eのところ、このローファーは8-Eですのでハーフサイズ下げということになります。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ワイシャツを着る | トップページ | Huntsman trunkshow(ハンツマン受注会) »