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2015年9月26日 (土)

額装を楽しむ

海外旅行でホテルに泊まると大抵どの部屋にも素敵な額が飾ってある。靴や服を注文する旅を繰り返すうちに、いつしかインテリアとしての額装に興味が湧いてきた。といっても高級ホテルにある立派なものではなく、英国中を車で回った時に泊まったB&Bの家庭にある額のようなイメージだ。

B&Bは英国の一般家庭を知る絶好の機会、スポーツや人物、植物や景色など、家主の気に入ったモチーフを額に入れて飾っているのを見るうちに「よし…自分も一つ」と思い、各地で手頃な絵画を買っては少しずつ額装を楽しみ始めた。そこで今回は、その一部を紹介しようと思う。

1.服飾関係の額装

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服飾関係の絵画やイラストを見つけるには古雑誌や古新聞を扱う店を訪ねるのが一番。日本では中々見つからないが、服装の本場欧州ならば話は早い。古いものを扱うマーケットがロンドンにもパリにもローマにもあるからだ。写真は旅行に行く度に現地で買い集めた切抜きやイラストを額装したもの。

もう少し詳しく紹介したい…

~ポートベローマーケットでの掘り出し物~

2.フランスの雑誌の切り抜き

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このイラストはフランスの雑誌L'ILLUSUTRATIONという週刊誌からの切り抜き。発行日は1925年3月14日となっている。かなりの年代物で、当時写真の印刷技術が今ほどではなく、こうしたイラストが主流だったことが窺える。マーケットではこうした絵画や食器などが当たり外れなく安心して買える品物らしい。

3.アスプレイの広告

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1781年、ロンドンのBond.Stに店を構える英王室御用達アスプレイの広告。宝飾品や革製品から衣類まで多彩な商品を扱う名店。1901年発刊の週刊誌タトラーが1940年に同系統の雑誌と合併してできた「タトラー&バイスタンダー」の1952年6月10日号に載ったもの。

4.バニティフェア(英国版)

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バニティフェアと言えばアメリカの雑誌だと思うだろうが、実は1886~1914年までイギリスで発刊されていた。ファッションや時事からスキャンダルまでを扱い、全頁大の多色刷りリトグラフによるカリカチュアはこの雑誌の名物だった。写真のものは1889年11月23日付発行。手持ちで1、2を争う古いものだ。

5.バーバリーの広告

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こちらは2でも紹介した週刊誌L'ILLUSUTRATIONの1925年9月19日号からの切り抜き。第1次世界大戦が終わって7年後、まだ戦争用に開発されたトレンチコートは出てきていないが、トーマス・バーバリーが1879年に発案した撥水性や防寒性、通気性の高いコットンギャバジンがイラスト付きで紹介されている。

~ツィードブックスで見つけた掘り出し物~

6.ブルックスブラザーズの広告

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こちらは当ブログのゲストが主宰する古書店「ツィードブックス」からの購入品。主のdecoyさんによるとアメトラの大御所くろすとしゆき氏がスクラップしていたものがツィードブックスさんの店に入ったそうだ。その中から良く選んで3点購入。お気に入りの額装を施したものを写真に収めた。

7.オリジナルボタンダウンシャツの広告

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1950年代の新聞に載ったBDシャツの広告。当時はスーピマではなく単にピマコットン使用と書いてある。most imitated shirt in the worldというくだりがあって、世界でもっとも真似されたシャツ…ブルックスのBDがオリジナルという意味だろう。写真は最近のシャツと90年代のNo.1ストライプタイ。

8.ホワイトバックスの広告

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こちらはホワイトオンレッドと洒落たタイトルが付いている。サマーシューズと銘打った広告だ。イングリッシュホワイトスェードに赤レンガ色のソールが特徴のホワイトバックスは当時65㌦で販売されていた。残念ながらホワイトバックスがないのでブルックスの名品、アンラインドペニーを置いて撮影。

9.346シリーズのサマーブレザー

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ブルックスブラザーズの廉価版346シリーズ、ブルックスゲイトと共に入門ブランドだったが、今はアウトレット専用ブランドとなっている。ポリ混紡ウールのジャケット3パッチのⅠ型。レッド、ライトブルー、ブルー、ベージュにグリーンの5色展開となっていたようだ。当時の価格は165㌦、代わりに現代の靴下を置いてみた。

10.ショップのディスプレイ

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ブルックスのアイテムと一緒に装丁済みの額を並べた写真。クローゼットやチェスト、あるいは靴箱の上に飾ったり、ドレッサーの上に単に置いたりするだけでぐっと雰囲気が変わる。なんだか行きつけのメンズショップに似た雰囲気さえ感じられて、インテリアに凝る気持ちが何となく分かってくる。

ポートベローの切り抜きは値段もそれなりだが、ツィードブックスで購入した切抜きは全て800円(税込)と良心的な価格だ。世界堂に切り抜きを持ち込み、額とマットを選んで切抜きと一緒に渡すと(3枚一度に)約1時間でマットを上手く繰り抜いてくれる。ポートベローのフレームショップに負けない頼もしい存在だ。

ただし額装全体の代金は元の5倍近くになってしまう。それでも額の色や大きさを決めたり、ダブルマットで断面を2色コンビにしたりと(写真9のマット)奥が深いのが額装。まずはお気に入りの新聞や雑誌の切り抜きを気に入った仕様で額装にチャレンジ、インテリアに加えてみては如何だろう。

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コメント

こんばんは、346はマジソン街の住所ですね。GATEもありましたね。SWにはとても良い買い物をしたのが伺えました。
さて、小さな我が家にも、古いフランスや米国の雑誌の切り抜きが何枚かつるしてあります。額装することでこんなに素敵になるものですね、感心いたしました。
近々どこかで額装をお願いしてみます、中身は、そうですね、イラストを使っていた時代のBBでしょうかね、いや、J.Press、マーククロス、ロバートカークも良いかもしれませんね、あー、想像が膨らんできて楽しいです。

Tony様

お休みのところコメントを頂き有難う御座います。

インテリアに溶け込むような額とマットをコーディネイトして飾る額装は一気に室内が変わって楽しいものです。

名画を飾る程の財力はありませんが、お気に入りのイラストや写真を額装して部屋に飾ることくらいはできそうです。額の在庫が多いのは新宿の世界堂さんでしょうか。

今はオンラインショップが充実していますのでフレームを海外から取り寄せ、日本でマットを加工するのが贅沢ではありますが一番思い通りになるかもしれません。

ぜひ額装を楽しまれてみて下さい。お部屋のイメージが変わるのを実感されるTony様を想像しております…

管理人様

この度はお買い上げ誠に有難うございました。そしてこのようにしてくださってとても嬉しいです。
改めて額装された写真を拝見すると、何度も同じことを言ってしまいますが良さが際立ちますね。ブルックスブラザースの丸の内店の地下に降りる踊り場に飾ってありそうです。

お持ちのどの広告も全く古びないところが管理人様の選択眼とメンズウェアの普遍性がある部分を物語っていて、やはりクラッシックはいいなぁと思ってしまいます。
とくにヴァニティフェアの鬚と撫でつけられた髪にマッチした色味が気に入りました。

管理人様、

これは良いですね。バーバリーの現代にはない”これぞオーバーコート(グレートコート)”というボリューム感も好きなのですが、特に4.バニティフェアが素晴しい。
デフォルメされているとはいえ服のバランスや皺感はばっちりですし、生地の質感も見て取れるのは驚きの質の高さですね。1889年11月23日付発行とのこと、当時は現在とかなりスーツのバランスが似通っていたのだという事にも驚きです。

生活が落ち着いてきたら、昔のボタニーや昆虫の精密な博物画の額でも、と思っていたのですが、今回の管理人様のような昔のアドなども面白いですね。

管理人様

マットを繰り抜くとぐっと見映えが良くなりますね。
広告というジャンルもとても興味深いです。

私の家は額を飾っても似合わないのですが、古い物が好きなので以前は40年~60年代のエスクァイアやメンズウェアの表紙や切り抜きを額に入れて飾っていました。
しかしながら、地震の際に落ちて額が幾つか壊れてしまい、今はデットストックのシャツの紙タグを入れた小さな額だけ残っています。気を取り直してまた飾ってみようと思います。

body

管理人様

L'ILLUSUTRATIONの切り抜きは価値がありますね。
この雑誌は、文学等の研究資料にも使う程です。
例えば、19世紀の作品あたりから、実在するメゾンの固有名詞まで描かれています。
20世紀に至っては、芸術家自らがファッションに関する記事を投稿しています。

作家あるいは彼らによる作品の登場人物が愛した逸品が現存しているのを見ると、嬉しくなりますね。(ラグジュアリーグループによるメゾン買収で、年々少なくなっていますが)

TweedBooks decoy様

こちらこそ楽しい買い物を有難うございました。日本には中々洋書の切り抜きが売っていないので今回の買い物は久々に楽しむことが出来ました。

額装はある意味服装のコーディネイトに似ていて、スーツやジャケパンに当たる額をどうするか、シャツやネクタイに当たるマットをどうするか、そして肝心の中身即ち絵画が本人ということになりましょうか…。

スポーツを愛する方はスポーツの額が、ボタニカルアートのお好きな方はバラの額装を、教会などゴシック建築の建物を集められている方から、今回のようなファッションまで人となりが現われる面白いものです。

decoy様も溢れるセンスでお店のインテリアを考えていらっしゃると思いますが、商売が軌道に乗りましたら、海外に買い付けに行き、素敵な切り抜きを仕入れるというのも良いなぁと我が事のように思いました。

これからも掘り出し物がございましたら、ぜひご連絡をお願いいたします。この度は有難う御座いました。

れの様

流石れの様、お目が高い。

ヴァニティフェアのものはちょっと値が張ります。特に、Spyと題うたれたものが有名で、似たものがラルフローレンのNY本店、マンションにも飾ってあったと思います。

我が屋にもボタニカルアートや教会、景色や建物など色々な額がます。自分の部屋には靴の額装まであって正に所有者の好みが滲み出る、それが額装かなと思いました。

PMT様

広告はその時代のファッションを色濃く反映していますので、時代を知るにはかなり有力かつお手ごろなアイテムだと思います。

それにしましても流石はPMT様、エスクァィアの切り抜きなどを以前から飾られていたのですね。私も今の家を購入して済んだ頃からインテリアに興味が湧き始め、海外に行く度に切り抜きや絵画を買って帰っていました。何回か通ううちにフレームショップまで見つけて現地で加工したものを成田からわざわざ時間をかけてキャリーしたものです。

PMT様の逸品もいつか機会がありましたら拝見したいです。

やまだ様

L'ILLUSUTRATIONの価値について色々とお教え頂き有難う御座いました。当時は最先端の必読雑誌だったのでしょうね。広告自体にも華やかさがあふれています。

いつかまた特集でもと思っていますが、これからは服装関係以外の額を少しずつ増やしていきたいと思っています。

管理人様

今日早速、玄関用のA4サイズのフォトフレーム(額縁ではないですが)を購入し、メンズウェア1961年3月号の表紙を飾りました。靴、帽子、ベルト、タイ、チーフ、手袋が描かれたものです。地震の際に壊れて飾るのを止めていました。
管理人様のおかげで玄関が少しお洒落な空間に戻りました。ありがとうございます。

コメントに名前を入れ忘れました。すみません。

最近は、デジカメやカメラ機能のついたスマホなどで写真を撮って、パソコンで色々な加工をする………ということが、誰でも簡単にできるようになりました。それでも、というかそんな時代だからこそ、手書きの絵やイラストは温かみや素朴さが感じられ、素敵なお部屋のお洒落だと思います。

特に、昔のポスターや、本・新聞の挿し絵などには、古き良き時代の味わいがあり、素晴らしいインテリアになります。
なので、BGMにジャズが流れ、壁や棚に昔のアメリカのポスターが無造作に貼ってあるカフェやバーなどに行くと、「まさにニューヨーク!」みたいな気分です(笑)。


そうした絵やイラスト、ポスターなどが渋い額に入っていると、魅力が何倍にもなります。
額は、綺麗で新しいものより、古びた木のような感じのもの、くすんだ真鍮のように見えるものなどの方が魅力的に感じます。

同じ絵でも、額が違うと印象がかなり変わります。
自分自身だけでなく、お気に入りの絵や写真をちょっと素敵な額に入れてドレスアップしてあげると、生活のお洒落度が上がりそう。美術・芸術には疎い私ですが、額装は生活に取り入れてみたくなりました。

PMT様

早速インテリアにと服飾関係のイラストを飾られたとのこと。お仲間が増えたようでとても嬉しいです。

きっとPMT様らしいクラシックな趣のある玄関になられたのではないでしょうか。いつか機会がありましたらストックされている切り抜きなどを拝見できると嬉しいです。

oisan様

おっしゃる通りでモダンなデザインの額には現代アートが、古色豊かな気の額にはアンティークな家具とセットで昔のイラストなど…額と内装それに中身の絵画や写真の3点をコーディネイトする楽しさが額装、服飾にとても似ているなぁと感じます。

ニューヨークの雰囲気というと、部屋の雰囲気は間接照明に白黒のフレームとマット、ブルックリン橋の白黒写真。何よりoisan様のおっしゃるようにジャズが流れているとぴたりとはまります。

そんな風に部屋の空間をアレンジできると楽しいですし、額装はその第一歩ではないかと感じています。

これからも色々とoisan様のイメージをお教え頂くことで私も「ジャズ&アートの部屋」など具体的なイメージをインテリアに当てはめるいいきっかけになりますのでお気軽にコメントを頂けると嬉しいです。

こんにちは。

インテリア・・凝るとお金がかかりますね~
ただ高級服飾になれた者からすると、「あれこのアンティーク家具がこの値段で買えちゃうの?」というような事もよくあります笑
いかに世の中の高級洋服が高いかが伺え・・笑

私はインテリアも人生における大切なものだと考えており、スペインのアンティーク家具を揃えております。
しかし額縁と写真は全く抜け落ちておりましたね、木の枠で囲まれた、絵がペイントされた陶器の飾り物はあるのですが写真は全く考えておりませんでした。
そういえば家の物置に額縁が何点か固まってあったな~と思い出しましたので、今週末にでも引っ張り出してみます。

アンティーク家具と高級洋服の相性はとても良く、暇な時間は洋服や靴を引っ張り出して家具の上に飾って見とれてしまいます笑

管理人様の額縁写真と並べられた洋服の組み合わせ、とても素敵ですよ!

カメリア様

週の中盤、お忙しいところコメントをいただき有難う御座います。

カメリア様はスペインのアンティーク家具を揃えられているとのこと。偉大な芸術家を多数輩出している国ですので家具も美しいものが多いのでは…と想像しています。

私は英国中を車で旅し、B&Bに泊まることが多かったので、英国調のアンティーク家具が始まりでした。最近は一部フランスの家具も置いています。家具の値段は昔、高いなと思いましたが今は服飾に比べ安いなと思います。仰るとおりお洒落関係高過ぎですね。

私もアンティーク家具の上で靴を写したり、靴箱代わりに使ったりしています。カメリア様のお話を聞き、お仲間が増えたようで嬉しいです。

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