最近のトラックバック

« 色違いを買う | トップページ | ワイシャツを着る »

2015年8月22日 (土)

靴を洗う

靴をワックス(ポリッシュ)で磨くとよく光る。いわゆるハイシャインだ。ところがこのハイシャイン、革が呼吸できなくなるのでクラックが入りやすいらしい。いずれクラックは入るものと達観する人もいるが、実際リムーバーがあるくらいだから長期間のワックスは革への影響があるのだろう。

確かに、雨染みやつま先の傷を補色でごまかしてきたウェストンのマッケイローファーは何だか厚化粧で息苦しそうだ。水性のリムーバーで染みや汚れを落としてみたが上手くいかない。ならばと最終手段…靴を洗うことにした。そこで今回は靴を洗った時の様子を紹介してみようと思う。

1.リムーバーを使ってみる

00

まずはリムーバーで汚れを落としてみた。使ったのはモウブレイの水性リムーバー、一見するとワックスも落ち、綺麗になったように見える。ところが靴の両サイドに残る雨染みは相当頑固で、靴を水に漬けてしみ抜きをしなければダメな状態だ。幸い靴はマッケイ、乾きも早かろうと靴を洗うことにした。

さて結果はどうなっただろうか…

2.洗濯用の洗剤を使う…

001

今回使用したのは高級衣料専用の液体洗剤。これを規定量に希釈して霧吹き器に入れ、水洗いして水分をたっぷり含んだ靴に吹きかけていく。この時点では靴の内側は濡れていないがこの後、インソールも洗っていくことになる。靴のサイドは特に雨染みが激しいので念入りに吹き付けた。

3.革を洗う

04

柔らかな素材専用のスポンジで汚れの多い部分を洗っていく。写真はアンティーク仕上げで多く塗り込んだ濃い目のワックス成分を落としているところだ。最初は泡をはじく程頑固な油膜だったが、スポンジで丸く円を描くように洗っていくと徐々に膜が消えてなくなり、綺麗になってきた。

4.ヒール部分を洗う

03

歩き方が悪いのかヒールの内側や、写真のように外側にも擦った跡が見える。それらを丁寧に洗い落としていく。そう何回も気軽に靴を洗う訳には行かない。いくら革は水に強いとはいえ、頻繁だと作りへの影響が気になるからだ。一旦洗うと決めたら出来るだけ汚れを落としたい。

5.靴の内側も洗う

05

靴の内側も洗うことを薦めているサイトを参考にスポンジでインソールやライニングの汚れも落としてみた。靴のアッパーは表側から水分が染み込んでいるが、靴の内側にはまだ乾いたままだ。そこへ洗剤と水を十分染み込ませたスポンジを入れ、手の届く奥までできるだけ洗っていく。

6.洗靴の終了

06

洗い終わった靴の写真。既に表側も内側もすっかり濡れている。この後は乾いたタオルで靴を包むように拭いていく。この時タオルに靴の染料が染み込むので真新しいタオルは避け、使い古したものが良い。洗う前に見えていた汚れや染みは殆ど落ち、傷も目立たなくなっている。

7.靴の乾燥:その1(新聞紙を敷き詰める)

07

靴の水分を取るには小さく切って丸めた新聞紙を中に敷き詰めるのが一番。最近はオンラインによるウェブ新聞を購読している方も多いので、自宅に新聞がない場合もある。そんな時は古い週刊誌や漫画などの頁を破いて使うという手もある。敷き詰めた後は直射日光を避け、日陰で干すこと。

8.靴の乾燥:その2(シューツリーで型を整える)

08

新聞紙を敷き詰めたままでは靴の形がいびつになる。そこで半乾きになったら新聞紙を取り除き、純正(できれば)のツリーを入れて乾かす。洗ってから半乾きまで約一日、その後様子を見ながらツリーを入れて乾燥まで一日。途中で乾き具合を確かめることを考えると金曜日に洗うのが良い。

9.デリケートクリームを塗る

081_2

乾燥後の革は水分も油分も抜けている。先に油分を入れてしまうと水分が入り難いのでまずは水分を多く含むのデリケートクリームで水分を補給。極度に乾燥した時はレプタイル用ジェル(ウェストンのもの)も良いそうだが、ここではサフィールを使用。塗ったそばからクリームがみるみる吸い込まれていく…

10.乳化性クリームを塗る

09

次は油分の補給だが、まずは無色で油分と水分の両方を含むリッチクリームを使ってみた。靴リペアショップで買ったビーズリッチクリームはウェストン本店で薦められた無色のクリームとよく似ている。こちらも塗っていく先からどんどん吸収されるが、油分が多いせいか徐々に艶だ出てくるようだ。

11.茶の靴クリームで捕色する

12

ひととおり無色にデリケートクリームとリッチクリームでケアした後は、染料が落ちてムラになったアッパーに茶のクリームを塗っていく。布の上で少量のクリームを延ばし、それからアッパーに軽く塗っていく。写真のように塗った跡が分かるが馴染むと目立たなくなるので心配はない。

12.ブラッシング

11

クリームを塗ってしばらく置くとアッパー全体が柔らかくしなやかになる。拭くとかなり艶が出てきた。お次はブラッシング。ブラシを使うと汚れが落ちるだけでなく、靴に塗ったクリームやワックスの成分を浸透させる役目があるとのこと。クリームとブラッシング、時々水滴を混ぜながら布で磨いていく。

13.靴磨きの完成

14

磨き終わった靴。下地をしっかりと作って徐々に仕上げるところは女性のメイクにも似ているようだ。ここではサフィールノワールを使って色を整え最後にサフィールの缶ワックスを使用している。見て分かるとおりグレインレザーだが丁寧に磨くことでカーフに近い輝きを出すことができた。

靴を洗うのは中々勇気がいる。今までは、スェードの靴に限って靴を洗ってきたが、表革の靴は今回が初めて。雨でびしょ濡れになった靴を想像するとだれもが躊躇するだろう。ましてや洗い終わって乾燥した後の情けない姿を見ると、止めればよかったと後悔の念さえ浮かぶかもしれない。

だが、最初に述べたように革は水に強い素材なのだそうだ。大雨に遭えば靴が丸々水に濡れることもあろう。くすんだり染みが見えたりしてどうも元気のない靴を見たら思い切って洗ってみるのはどうだろうか。今回はマッケイだったが近いうちにグッドイヤ―の表革の靴でも試してみたい。

« 色違いを買う | トップページ | ワイシャツを着る »

靴(Readymade shoes)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

スムースレザーの靴洗いは初めてだったのですね、スエードよりも工程が多いので慣れると病みつきになりますよ(笑)
私は最低でも季節の変わり目に1回(年4回)、良く履く靴は7月、8月、9月と1ヶ月ごとに洗います。
夏場は汗を大量にかくので1ヶ月に一度洗った方が長期的に見て靴が長持ちしますし何より衛生的なのです。
私のオーベルシーやベルルッティやバーカーブラックは、何年もこれで元気に活躍中です。

靴洗いの頻度がここまで多いのは抵抗がある人もおられるかもしれませんが、
間違いなくアッパーの寿命は伸びると思います。
ただ内部の木製シャンクなどが変形したり、金属シャンクや金属釘などが錆びたりと副資材に影響があるのは事実だと思いますが、それらは所詮いずれは交換をする代用の利く消耗品と割り切って私は履いています。
靴の本体はアッパーであるというのが私の考えです。

今回の記事で驚いたのは、衣類用洗剤を使用しているとの事。
私はいつも固形石鹸ですので、これは衝撃的です。
仕上がりを見るととても良いので、使えるのかもしれませんね。
ちょっと私も調べたあと実験してみるとします。

それにしても靴洗いは「何で洗うのが正しいのか」が今だに分からないですね。
市販の石鹸や液体ソープはアルカリ性ですので、弱酸性の革とは相性が悪いという事になります。(かといってビオレなどは使いたくない。)
レクソル社の靴用洗剤が弱酸性とのことなので、これの購入を検討しています。
レッドウイングなどアメリカのタフなワークブーツ愛好家の方にはよく知られた製品ですが、欧州のドレスシューズにも使えるのかどうか(笑)
無添加のシャボン玉石鹸などで洗ったあとに、PH調整をして弱酸性に戻すのが一番良いのでしょうが、素人の私には扱い方と理想のPH数値がさっぱりです。

ちなみに洗った後にクリームを入れるタイミングは、靴が完全に乾く前が良いですよ。
油分がないまま革が完全に乾くと革繊維の結合組織がバラバラになってしまうそうです。

では、また記事の更新を楽しみにしております。

こんにちは!靴の丸洗い、前々から興味はありましたが、こうして記事で拝見するといよいよ実行に移してみたくなりました。管理人様はインソールのケアはどのようにされているのでしょうか?私は以前、中底まで雨で濡れた靴をただ乾かすだけで履いていたら、インソールにヒビが入ってしまったのでそれ以来、インソールにも薄くサフィールのクリームを塗るようにしています。

カメリア様

お休みのところコメントを有難う御座います。

今回はプロウォッシュを使いました。衣類と革にも使えるものですが、革の場合はプロ革エッセンスを添加したほうが良いようです。

ここのものは既にプロ防虫エッセンスでその効用を体験してみたところですので今回はその続きです。

今回はプロ革エッセンスを添加しませんでしたが、次回は確かめてみようと思います。

革が乾ききってしまう前に油分を入れるとのアドバイスを有難う御座いました。次回はそれで行こうと思います。

シロさん

お休みのところコメントを有難う御座います。

今回は乾いた後、サフィールのデリケートクリームを塗ってケアしました。仰るようにインソールにもデリケートクリームを塗った方が良いというウェブ上でのアドバイスがあったので参考にしました。

流石にビスポークのアリゲーターでやってみる気にはなれませんが、比較的リカバーしやすそうな靴からトライしてみるのはいいかなと思いました。またいい情報がありましたらお教えください。

キャンバス地の靴(例えばコンバースのスニーカーのような)、昔の所謂「ズック」などならいざ知らず、レザーシューズを洗うというのは、無知な私には驚きです。
 
でも、クリーナーだけではなかなか落ちない汚れもあるし、衛生面からもいっそ豪快に丸洗いできたらどれだけ綺麗にできるだろうと何回も思った事がありました。
洗った後のケアに使えるクリームなどもあるのですね。やり方に多少の慣れは必要かと思いますが、こうした物を使ってメンテナンスしていけば、気に入った靴を、それこそ「一生物」として末永く使えそうで、またまた勉強になりました。 
 
せっかく学んだ事は、ちゃんと実行できないと勿体無いですね。
自分が実行するのに必要な要素は、クリームを買う事と、洗い方を失敗して靴が台無しになる事を怖れる気持ちを振り払う勇気(笑)だけ。

oiasn様

お休みのところコメントを有難うございました。

高級衣料はクリーニングに出すな、と昔言われていましたが、それはクリーニングの有機溶剤がウールを傷めるのが理由だと聞いたことがありました。

暫く経つと、自然のものは自然〈すなわち水〉のもので洗うのが良いという趣旨だったでしょうか、ともかくウォータークリーニングが広まって行き、今では衣類にとどまらず靴などの革製品にも及んでいます。

そこで靴を洗おうと思った時、oisan様のおっしゃるとおり、洗い方を失敗することを恐れる気持ちがどなたにも出てくるのではないでしょうか……皆さんだれしもそんなことで大切な靴が無駄になってしまったらと思うはずです。

そんな時は比較的作りのシンプルな靴、ダメージが少なそうな素材から始めてみるのが良いかもしれません。ただ、靴を労わる思う気持ちを大切にしつつ、靴は履いてこその、生活に必要な道具でもあるという思いきりも必要かと思います。

あくまでも自己責任ですが、この革靴見た目も触った感じも今一つだなと思ったら、思い切って洗う勇気を自分の心に少しずつ育てていきたいです(笑)

いよいよ靴クリーニングですね。
私は中性洗剤、ホームクリーニング材、それにビオレ笑、使います。
水温は40度以上が汚れが落ちますが、色落ちが心配なので30度程度。
スポンジで泡立て、基本は指で、コバ部分を豚毛歯ブラシ、
底をメラミンスポンジで洗っています。
気をつけているのは洗剤が残らないように、数時間水に漬けています。
その後、充分に濯いで吸水タオルで水分を拭い取り、
簡易シューキーパー、その後本来のシューキーパーに変えています。
洗剤を残すサドルソープの洗い方は、個人的には??です。
靴クリーニングのメリットは、汗を取る事で革が生き返る感じです。
カメリア様が仰る通り年に複数回洗うのがベストかと思います。

中尾様

お休みのところコメントを有難う御座います。

実はすでにグッドイヤーの靴を洗いまして…麻のジャケットを洗った時と同じように洗靴後、水に漬け置いて洗剤を出しきるようにしました。それほど長時間ではなく…

マメとは言わないまでも定期的に洗うのが良いとのこと。なるほど、履いた靴のチェックをしつつ定期的に靴を洗ってみようと思いました。貴重なご意見を有難うございます。

意外にやってみると面白いのは買った時よりも洗って乾かした後の色の入り方が断然良いんですね。嬉しくて休日は楽しみながらケアが出来そうです。

おはようございます。またまた良いものを見せて頂きました。
13.の完成品を見て、ここまでなるのか?と感じコメントいたします。
思うに、充分なるすすぎと油分入れなんでしょうね。何回かチャレンジしましたが、ここまで蘇った経験はありませんでした。サドルソープで塗料が剥げてしまったりしたこともありました。
今度、家人のグッドイヤーウエルトのもので試してみます。内緒です!

Tony様

週初めのお忙しい中コメントを頂き有難う御座います。

仰るとおりバケツン水に入れこそしませんでしたが濯ぎはしっかりとやりました。

また最初にデリケートクリームで水分を入れてから、無色のリッチクリーム、次に靴クリーム、そして靴ワックスとじっくり時間を掛けながら重ねていったのが良かったのかもしれません。

サドルソープはその効用について疑問を持たれる方も多いので、使いませんでしたが、プロウォッシュのプロ革エッセンスのセットは靴や革専用と思えば3500円くらいなので、他の輸入ケア用品よりもぐっとお安いかなと思います。

5000円以上は送料無用とのことでしたが今回はその2点セットでストップを掛けました。それでも十分使い出があり、お得な買い物をしたと思っています。

近いうちにグッドイヤーの靴の様子を特集したいと思います!!

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/205243/62112828

この記事へのトラックバック一覧です: 靴を洗う:

« 色違いを買う | トップページ | ワイシャツを着る »