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2015年7月25日 (土)

Water cleaning(ウールジャケットを洗う)

リネンジャケットの水洗いを前々回のブログで紹介したが、その時、「これならばウールのジャケットも自宅で水洗いできるのでは…」という手応えを感じた。元々高級なウール素材はウォータークリーニングに出す人も多い。それならば自宅で水洗いもできるのではという思いがずっと心の中にあった。

もちろんウォータークリーニングはプロの仕事、その仕上がりに適うはずもないが、預けると1か月かかるのが通常。暑い季節など頻繁に洗いたい時は利用するのが難しい。そこで今回はウォータークリーニングで水洗いを経験したウールジャケットを素材に、自宅での水洗いに挑戦することにした。

1.完成後のウールジャケット

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自宅での水洗いを終え、プレスしたばかりのウールジャケット。夏に活躍するウィンドウペーンのネイビージャケットはベルベスト製。ハリとコシのある生地は強撚糸らしく、アイロンをかけるとパリッとした仕上がりになる。生地も洗濯前と洗濯後では全くの別物に仕上がっている。

もう少し詳しく自宅での水洗いの様子を紹介したい

2.水洗い用の洗剤を投入する

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前回同様、用意したのは前回と同じエマールのフレッシュグリーン。ホームクリーニングのできる液体洗剤というキャッチフレーズが付いている。水洗いの場合の割合は4ℓの水に10mℓの液剤なので、ジャケット1着ように約32ℓの水をバスタブに張り、そこにキャップ2杯(80mℓ)を入れた。

3.漬け置き用の洗濯水を泡立てる

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今回はジャケットを入れる前に漬け置きする洗濯水をシャワーを使って泡立ててみることにした。最初に投入する水をやや少なめにし、その後シャワーの水を勢いよくバスタブの洗濯液に掛け、良く泡立たせてからシャワーの水を止める。はじめ少なかった分丁度良い濃さになったはずだ。

4.ジャケットの漬け置き

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ジャケットを良く泡立った洗濯水に沈める。前ボタンを留め型崩れしないよう注意しながら15分ほど漬け置く。時々上下を逆にしてみたり、液体の中でゆすってみたりしながら繊維の中に詰まった汚れをはじき出す。前回のリネン素材より摩擦による色落ちを気にせずに済むので気が楽だ。

5.あわ落とし+すすぎ(第1弾)

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15分経ったらすすぎ洗いの開始だ。まずはシャワーであわ落としから始める。バスタブの栓を抜き、洗濯水を排水しつつ、シャワーでジャケットの泡を洗い流す。ジャケットの内側や襟後ろなど丁寧にシャワー水を使って泡を落としていく。袖の内側にも泡が残らないようノズルを入れて洗浄するのがポイントだ。

6.漬け置き+すすぎ(第2弾)

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泡をすっかり洗い流したら再び32ℓの水をバスタブに張りジャケットをその中で15分ほど漬け置く。その間に、繊維の中に残った洗剤の残りを水の中に染み出させる。この時も上下を逆にしたり、バスタブの中で数回ゆすったりする。いわば、手動で洗濯機の「ソフト洗い」を行っているようなものだ。

7.コート用ハンガーの出番

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水洗い終了後は脱水にかけず、素早くハンガーに掛ける。その際出来れば写真のハンガーのように肩部分が幅広なコート用のハンガーを使いたい。人の肩周りに近い形状をしているので、濡れたジャケットをハンガーに掛けておけば、水の重みで生地が張り、自然とプレスされるという訳だ。

8.バスタブ内で水切り

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いきなり外に干すのではなく、まずはジャケットから水滴がしたたり落ちなくなるまで浴室内で水切りを行う。丁度良いフックがない場合は浴槽内にロープを張れるグッズがDIY店にあるので活用したい。写真は水切り後数分経った時の様子。襟や裾回りはまだ皺だらけだが、既に肩はピンと張っている。

9.乾燥は日陰干しで…

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ある程度水切りが出来たら日陰を選んで屋外に干す。芯地と生地の相性が良いのだろう。ラペルは何もしていないのにピンと張っている。このあたりは既製服らしく実にリンクルフリーだ。ポケット周りやダーツ、サイバラ部分の皺さえなければ、乾燥後はそのまま着て出かけられそうだ。

10.袖用のアイロン台

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前回難しかったのが袖のアイロンがけ。そこでネットで検索、ポーランド製の袖専用アイロン台を試しに買ってみた。ちょっとした作業台があればその上に袖用アイロン台をセット。足を引き出すだけで簡単に準備できる。アームホール側からアイロン台に袖を通して上からスチームアイロンを当てていく。

11.スチームの抜け具合

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袖用アイロン台の表面は銀色の耐熱生地。日本のもののように通気性は良くなさそうだが、アイロン台自体が袖よりも小さくできているので上手く蒸気が逃げてくれる。袖山をつぶさず皺のよった部分を中心に軽くスチームアイロンを当てているところ。ただしい順番は分からないが左右の袖から始めた。

12.本切羽のアイロンがけ

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袖のプレスで特に大切なのが本切羽部分。ここに皺が寄ると見栄えが悪い。まずはボタンの付いている側を丁寧にアイロンがけする。この時裏地もしっかりアイロン掛けして皺を伸ばす。次はボタン穴の切られた側のプレス。袖先のブタンは特に目立つところ。シャープに仕上げたい。

13.背中心からアイロンがけ

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正しいアイロンがけの手順はよく分からないので、身頃のアイロン掛けは、まず背中心の裏側から始めた。サイドベンツの縁やジャケットの裾際も袖先と同じように丁寧なアイロン掛けでシャープなエッジを作り出していく。この作業がジャケット全体を綺麗に見せるので手抜きはできない。

14.胸ポケットのプレス

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胸ポケットはジャケットで最も目立つ部分の一つ。特にチーフを入れるとなると、尚更しっかりプレスの効いたポケットが欠かせない。当て布を被せてアイロンがけを行えば「てかり」を防げるが、ここでは撮影のためにアイロンを直接当ててみた。力を入れ過ぎると繊維がつぶれてしまうので注意が必要だ。

15.プレス後のジャケット

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プレスを終えた後の写真。上襟が少し跳ねているので、もう一度プレスをかけて肩から首の登りに馴染ませたい。下襟の返りや肩回り、特に胸ポケットからウェストにかけては綺麗な仕上がりだ。合わせたシャツはフライ、ネクタイはエルメスの4色タイでチーフがアイリッシュリネンといつもの組み合わせ。

前回のリネンジャケットと今回のウールジャケットは共にアンコン仕立てで大身返しの軽い作りが共通している。肩から背中の裏地も面積が少ないのでアイロンの掛け方も見当がつく。これが総裏のジャケットだとライニングの内側が見えないので、綺麗にアイロンをかけるのが難しくなりそうだ。

それでもウォータークリーニングが混んでいる現状や、頻繁に洗っても着れそうなジャケットの場合はウール素材と恐れるずに、自宅でケアできることを自分なりに証明できたことは大きな一歩だ。達人のようにツィードジャケットを自宅で洗う域までは遠いが、着実に前進できたと実感している。

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衣類・靴のケア(Maintenance)」カテゴリの記事

コメント

管理人様


ウールジャケットも、見事な仕上がりですね。
(次は、ネクタイの水洗いも見てみたい気がします)

夏場にも自らアイロンワークに勤しむのが、現代のダンディの所作になるかも知れませんね。

管理人様
どちらかと言えば、英国Styleのお好きな管理人様からベルベストのジャケットが紹介されて、また一つ共通点を見出せました。
私もこのブランドが好きで、JACKET IN THE BOX を愛用しています。
ラルディーニやボリオリも好きですが、仕事に着れるイタリアンジャケットの代表格だと思います。
洗えるんですね。管理人様の探究心と言うのでしょうか、創意工夫にはいつもながら敬服致します。

やまだ様

週末のコメントを有難うございます。

ネクタイの水洗いですか、確かに結び目の辺りが少し汚れたりして綺麗にしたいなと思うのですが、ネクタイはプレスが難しいなと思っています。思い返せば洗靴から始まってカシミア製品の防虫加工、リネンジャケット、ウールジャケットと来ました。次は何に挑戦しようか思案中です。

夏場のアイロンワークは仰るとおり結構大変ですが、皺を伸ばしてパリッとしたシャツで出かけると暑さも何となく遠のくような感じがするので半袖シャツにも一応アイロンをかけています。アイロンをかけている姿はダンディには程遠いですが…(笑)

shaky-ooi様

週末の深夜にコメントを頂き有難う御座います。

実は私もベルベスト大好きでMTOしたこともあります。今度何かの特集でご紹介させて頂ければと思います。とても器用なブランドでエルメスのジャケットやスーツを作る実力、北イタリアらしいカチッとしたマシン仕立ての心地よさ、フライのシャツと共通する感覚があり、信頼して買ってきました。

それを今回は思い切って洗いましたが結果としては満足しています。そもそも水洗いができないとなると雨に遭った服はだめということになりますので、「そんなことはないだろう…」という思いもありました。

それでも一応今回のジャケットはウォータークリーニングに出したものから試すことにしました。ジーンズではありませんが水洗いによって多少縮んだ後のジャケットですので更にシュリンクすることはなかったように見えます。

管理人様

ポーランド製アイロン台、なるほど便利そうですね。情報ありがとうございます。さっそく見習って購入します笑。
お湯の温度が高い方(40〜60度)が汚れは落ちるのですが、ウールの、特に高級品は20度前後の水で材質の変化を避けるのがセオリーのようですね。色落ちの問題もあり、そもそもそんなに汚れているわけではないですし汗。
衣類のクリーニングを習得された管理人様。次は靴クリーニングにチャレンジされるのではないか、と密かに期待?しています。

写真一枚目を見た時点で、「あら素敵」と思いました。
読んでみるとベルベストにフライにエルメスなんですね、納得。
ベルベストもフライも北イタリアのメーカーなだけあり南と比べてパリっとピシっとして洗練されているので大好きです。
更にネクタイは私の大好きなエルメスとの事、北イタリア&フランスのコーディネイトになるので、フレンチオタクの私の琴線に触れるのも無理はないです(笑)
国別だけでなく、地域柄による感性を見抜いて組み合わせる管理人様は流石ですね。
ここは足元も良い意味での冷たさ、無機質さがあるロブパリでしょうか、スリッポンタイプなら

普段管理人様はナポリ製品やアメリカカントリー製品など、土着的な温かみを感じるアイテムのコーディネイトが多いと思うので、今回のような良い意味での「冷たさ」を感じるコーディネイトは珍しいのではないでしょうか。

また個人的に大きめのプラッド柄のシャツは、この世で一番エレガントな柄シャツだと思っています。
これよりも小さい柄だと、この大きさの柄の持つ余裕というか悠然としたエレガントさが出ないのですよね。とても貴族的な趣味だと思います。
ちなみにもっと好きなのがこの大きさのプラッド柄シャツです。↓
http://www.vogue.com/wp-content/uploads/2012/08/img-hamish-bowles-vogue-120-story_110147240956.jpg
 婦人雑誌「Vogue」の編集者のhamish bowlesの写真です。
襟の形や生地の感じやゆったりとしたフィット感など、シャルベのシャツっぽいような気もしますが・・・

今回の目の保養にさせていただきました、ありがとうございました。
・・・まったく本題の水洗いについて触れていないですね(汗)

中尾様

日曜昼時のコメント、有難うございます。

良く調べたわけではないのですが、ウォータークリーニングというからにはお湯ではなく水だろうという素人考えで実行していました(汗)

実は洗靴は既に経験済みでして(笑)とはいっても、まだスェード靴だけなのですが、どうしようもなく汚れた靴が出てきたらカーフもチャレンジしてみようと思います。この秋冬用にスェード靴を洗う時があるかと思いますのでその時に記録してご報告させて頂きます。

カメリア様

お褒めの言葉を頂き恐縮します。

仰るとおり、ベルベストの上着にはロブやクロコエットが合うかなと私も密かに思っておりました。もっとアクの強いナポリ仕立てですとラテン的な要素もある柔らかなグリーンが向いているかなと…あくまで個人的な感覚ですが。

カメリア様お薦めのヴォーグ編集長のシャツとても素敵でした。かなり大柄な部類に入るかと思いますが着手のパーソナリティに合った紫の格子がぐっときます。また、格子柄のシャツに対してネクタイは丸をモチーフにしたものを締めるところも流石です。大き目の格子柄のシャツは丸小紋か無地がマッチする気がします。

ウールジャケットの水洗いが一応成功しましたので次はスェード靴に再度挑戦します。その時は時間がございましたらご覧いただけますと幸いです。

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