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2015年7月 4日 (土)

Washing Jacket(ジャケットを洗う)

随分前から大切なスーツやジャケットはドライクリーニングに出さず、ウォータークリーニングに出すようにしていた。最寄りのデパートに窓口があるので皺になっても構わず袋に入れて預けてしまう。戻ってくる時は新品の時の生地感が蘇り、しかも丁寧にプレスされて戻ってくるのが嬉しかった。

ところが最近、麻のジャケットに汗染みを作ってしまい、ドライでは取れないのでウォータークリーニングに聞いたら「混んでいる」とのこと。仕方なくネットで調べたら麻のジャケットを自宅で洗う方法が載っているではないか。そこで今回は自宅で洗濯したリネンジャケットについて報告したい。

1.洗濯後のリネンジャケット…

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写真は自宅で洗濯し、アイロンがけをした後のリネンジャケット。自宅で洗った後とは思えない仕上がりだ。元々リネン自体は水に強い。問題は色落ちや毛羽立ち、型崩れし易いことだ。特に色落ちと毛羽立ちは摩擦が原因。洗濯機で洗わず、脱水器も使わないことがポイントになる。

2.専用液体洗剤を使う

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市販の液体洗剤から評判の良いものを購入。写真でも分かるがウールマーク、ドライ製品、コットンマークが記されている。勿論リネンもOKとのこと。ジャケットが浸る分量の水をバスタブに張り、水4ℓに洗剤10mℓの割合に従って液体40mℓ2杯分(32ℓの水)の洗剤を計りとった。

3.液体洗剤を入れる

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液体洗剤を入れたところ。先に液体洗剤を入れシャワーを使うと泡立つそうだが、泡切れが気になるので今回は泡立てず静かに漬け置くことにした。洗剤メーカーでは「洗濯機のドライ機能」を薦めているが、前述したように麻は摩擦に弱い。漬け置き洗いが一番良さそうだ。

4.ジャケットを漬ける

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いよいよジャケットを漬ける。ハ刺しによる襟芯等ハンドメイドのスーツの場合はプロに任せたいところだが、接着芯や機械縫いのジャケットならば後は自己責任。思い切って漬け置いた。時間にして約15分、汗染みの汚れ等が浮き出るよう時々浴槽の中でジャケットを揺らしてみた。

5.シャワーを当てる(濯ぎ:その1)

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15分後に浴槽の栓を抜き、排水しながら同時にぬるま湯のシャワーを優しく当てて、残った洗剤を泡立たせてみた。泡と共に残った汚れを洗い流すのが目的で。ジャケットに直接シャワーの水を当てないよう注意しながら泡立てていく。、幸い色落ちや摩擦による毛羽立ちはなさそうだ。

6.真水に浸す(濯ぎ:その2)

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最後にもう一度、浴槽に水を貼り直し、再び水の中にジャケットを漬け置く。この時も、何回かジャケットを水の中で揺らしながら、汚れをくまなく水の中に出しきる。漬け置きの水に色がついていないことを確認、時間にして約15分、合計30分もあれば洗濯は終了、後は脱水のみとなる。

7.脱水

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水から引き上げたばかりのジャケット。決して手で絞らず、そのまま肩幅に厚みのあるコート用ハンガーにかけて干す。袖先やジャケットの下端に水が集まり、盛大にしたたり落ちているが気にしない。水が下に集まる時の重さでジャケットが引っ張られ、自然と皺が伸びるそうだ。

8.水気がやや残るまで干す

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上の写真は生乾きの状態。ここまで来ると大きな皺は大抵消えている。あとは水分が残っている状態でアイロンをかければ、麻のもつ頑固な皺も取れる。アイロンがけで最も難しいのが肩のライン。幸い幅広のコート用ハンガーのお蔭で自然とプレスされ、綺麗なカーブを描いている。

9.裏からアイロンを当てる

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ジャケットの背中心を裏側から見たところ。サイドベンツ周りや背もたれが当たる部分は特に皺が残りやすい。ここでは霧吹きを使って湿り気をやや多くしながら裏からアイロンを当てていった。以前はコードレスのアイロンだったが、スチーム機能の充実したアイロンと交代、中々使い勝手が良い。

10.大身返し部分にアイロンを当てる。

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ジャケットの大身返し部分にアイロンを当てる。表にアイロンを当てても裏側が伸びていなければ全体が攣れた感じがしてしまう。そこで、まずは裏側の皺を丁寧に延ばすことから始めた。写真のアイロンは先端から水が霧状になって出る突起が付いている。ちょっとした皺伸ばしには便利だ。

11.本切羽部分のアイロンがけ

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狭い場所にボタン穴が4つある本切羽は丁寧にプレスしたい。まずは裏からアイロンを当てる。しっかり折り目を付けたいのがるのが袖先のエッジ。ここがシャープに仕上がるだけでジャケット全体がカチッとして見える。麻製品の設定温度は”高温”。アイロンがけも汗をかく重労働だと実感した。

12.袖山と切羽部分

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4つボタン穴の開いた本切羽部分を今度は表側からアイロン掛けする。袖山をつぶさないようプレスするのがコツ。この後少しずつ肩先までアイロンでプレスしながら袖を綺麗に仕上げる。本当は「立体万能仕上げ馬」と呼ばれるアイロン台を使えばもっと綺麗に仕上がるのだが…。

13.アイロン掛けを終えたジャケット

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アイロン掛けの終わったジャケット。袖の内側にある皺が若干取りきれずに残ったが、購入時の立体的な姿が蘇ったようだ。特に注意すべきはラペル部分だろうか。自然な返りが出るよう表からも裏からも丁寧にプレスすることが大切。後は肩先から首後ろはアイロン台の縁を使うと上手くいく。

ネットで調べたり、当ブログのゲストの方の経験ではウールジャケットも充分水洗いができるそうだ。総裏で副素材が厚手の秋冬用ジャケットでは大変かもしれないが春夏用の副素材を省いたアンコン仕立てならばウールでもコットンでも自宅で漬け置き洗いが可能な気がしている。

前々回の「カシミア製品を自宅で洗う」、前回の「カシミアジャケットの防虫加工」に続いて今回は麻のジャケットまで範囲を広げた。今後はウールやコットンなど自分の手に負えそうなものから更に試していきたい。馴染みのクリーニング屋さんには悪いが、やってみると素人ながら中々面白い。

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衣類・靴のケア(Maintenance)」カテゴリの記事

コメント

クリーニング屋さんも真っ青になるであろう荒業ですね。仕立てられたシルエットがものの見事に崩れてしまうのでは…と想像し、怖くて怖くて…そのような真似は出来ません。凄いなぁと思って拝見しています。シルエットを気にするような繊細な衣服は所有してないのですが。申し遅れました、よく貴ブログを拝見しています。はじめまして。

まこと様

初めまして。

当ブログへのお立ち寄り並びにコメントを頂き有難う御座います。これからもお時間がございます時にお立ち寄り頂けますと幸いです。

本当に、クリーニング屋さんも商売あがったりかもしれません(笑)ですが、ネットで調べたところ、自宅でコットンやリネンは勿論のことウールまで洗っている方がいらっしゃるのに驚かされました。

流石に総裏で芯地の多い秋冬物のジャケットだと躊躇しますが、大身返しでアンコン、いわばシャツジャケットのようなタイプのジャケットならば大丈夫じゃないかと思うような気がしています。

自宅で洗濯といっても(専用の洗剤が入った)雨でびしょ濡れになった物をハンガーでじっくり時間をかけて乾かすのとほぼ変わりませんので、更なる無謀ということで…次回はウールジャケットに挑戦してみたいと思います。

その時はまたまたお立ち寄り頂き、一声かけて下さいますと嬉しいです。

私もスーツまで(全てではありませんが)自分で洗う派です。ハリスツイードのジャケットも洗いますが、格別問題ありません。最近のアイロン(のスチーム機能)と、アイロン台(蒸気を上手く逃がす)は、以前と比べて随分進歩しているように思います。また、私は30秒程度脱水にかけてしまうのですが、管理人様の丁寧な洗い方は大変参考になりました。
自分で洗うと、(ラペルの返りなど)徹底的にディテールの仕上げに拘る事が出来るのが良い所。逆に、裏地の仕上がりは今ひとつです。
自身で手間をかけてバリッと仕上がったリネンジャケット、袖を通すのが楽しみですね。
それにしてもピスポークからセルフクリーニングまで、管理人様の行動範囲には、只々感服するばかりです。

中尾様

お休みのところコメントを頂き有難う御座いました。

私もようやく衣服のメンテを自分でしようと思い立ち、少しずつ試しているところですが中尾様は既にツィードジャケットまでご自身でメンテされていらっしゃるとのこと。世の中には達人が居ると知っておりましたが、またお一人衣服のメンテの達人と知り合いになれたのが心強いです!!

確かにアイロンとアイロン台の真価は目覚ましいものがありますが、ツィードのような地厚のものですとおっしゃるようにライニング(特に袖の内側)が難しいのではと想像しました。袖にも使える立体万能仕上げ馬(アイロン台)を通販で買おうか、止めようか迷っています。

またウールジャケットを実践しましたら報告させて頂きます。

ニットに続き、ジャケットまで!
なんでも自身でやってみたくなるお気持ち、良く分かりますが、管理人様の行動力には驚くばかりです。気を遣い、手間も掛かったかとは思いますが、仕上がりを拝見するに、デパートのウォータークリーニングにも負けてないですね!
ちょうど先日、銀座Sartoでデリケート洗剤を頂いたので、僕もまずは冬物のニットやマフラーから挑戦してみたいと思います。

ゲストの皆様も驚きしていらっじゃいますね!管理人様の行動力には。同級生にクリーニング店を営んでいるMがいます。二代目なんですが最近では、Tポイントカードでポイントサービス提供開始しました。お店のキャッチフレーズは、化粧品素材で洗う!といいます。今度同級生にこの素敵なブログを見せて見ましょうかね?凄いと言うか?それとも営業妨害と言うのか?【笑】

シロさん

シロさんも手縫いのボタンホールを実践されているくらいですから男というのは、何か自分でやってみないと気が済まない性格が備わっているのかもしれませんね。

昔大好きだったウール素材のキルティングジャケットがドライに出したら全然綺麗にならず、肌触りもヌメリガ出てしまいがっくりとしたことがあって、それ以来なるべくウォータークリーニングに出していました。

今回、ふとウォータークリーニングが良いのならば自宅で何とか出来るのではないかと思い立ち調べたら結構自宅でやっていらっしゃる強者が大勢情報をウェブ上に載せてくれていたので背中を押されたという訳です(笑)

シロさんもぜひ頂いた洗剤から自分でできるメンテを試され、その結果をお教え下さると嬉しいです。また皆さんで共有し合うと更に良い方法が見つかるかもしれません!!

浦野様

いやー何も知らないというのはいざとなると強いのかもしれません。浦野様のご友人のクリーニング店の店主が当ブログを見たら「素人が何やってんだ?」と首をかしげるのではとヒヤヒヤものです(汗)。

ただ、汗染みが取れてシャープなプレスラインが出たお蔭でジャケットが前より格好良く見えるようになりました。(笑)しかもちょっとだけ縮んだのでサイズ感もよりピッタリするようになりました。

今回も目から鱗な記事をありがとうございます。
私もウォータークリーニングを利用したとこがありますが、戻ってきた時のあの生地感は本当にたまりませんね(笑)丁寧にプレスされて戻ってくるのが嬉しいと仰る気持ちもとてもよく分かります。

他のゲスト様も仰っていますが、管理人様の行動力には驚くばかりです。
ちなみに管理様のその行動力に助けられて、先日自分の持っているカシミアやウールの衣料をプロ防虫エッセンスを使って防虫加工することが出来ました。

また、他の洋服のケア報告も楽しみにしております。

スクルージ様

嬉しくなるコメントを頂き有難う御座います。

スクルージ様もプロ防虫エッセンスでカシミアをケアされたのですね。効果のほどはこの夏の保管後、秋冬にならないと分からないのですが、効果が高いといいですね!!

ウォータークリーニングはとても良いのですが高いのと時間がかかるのが気になっています。高価な衣類や大切なものはウォータークリーニングに出して、カジュアルなものは自宅で水洗いという時代が来ているような気がしました。

他のゲストの方も仰るようにプロユース並みの機能を持つアイロンやアイロン台、ドライ用液体洗剤まで出ている時代なので、先駆者は結構自宅水洗いをされていることがウェブで調べただけでも良く分かりました。

近いうちにウールジャケットを試してみようと思います。その時はまた、ご覧いただけますと幸いです。

遅くなってしまいましたがグリーンのアスコットタイ、すごく良い色合いですね!

浦野様

流石にお目が高い。

浦野様も私もフォーエバーヤングな名品、KENTのチーフをアスコット代わりに首に巻いたものです!!

VANのブレザーとこのKENTのチーフしか残っていませんが、忘れられない逸品となっております。

こんにちは。

やりましたね…
水洗いではドライでは落ちない汚れが見事に落ちますね。

私も数年前に麻のスーツを水洗いしました。

両肩に巻きタオルをいれ、たたんでネットに入れてお家クリーニングを行い、干すときにはハンガーを使わずに家庭用の物干し台にタオルを敷き、その上に置いて乾かしました。

最初は駄目になるかも知れないと躊躇しました(笑)

musselwhite様

やはりmusselwhite様も麻のスーツを水洗いされましたか!!

両肩にタオルを入れて型崩れを防ぎ、生地同士の摩擦を避けるためにネットに入れて洗う…理に適った洗濯方法ですね。イヤー皆様の方法はどれも参考になります。

私も流石にいきなり本格的なスーツやジャケットでは躊躇しそうですが、アンコン仕立てで雨に遭うこともあったジャケットですから、洗濯を大雨に遭ったと思えば気が楽かと思い(笑)一気に洗いました。

既に第2段としてウールのアンコンジャケットを洗濯し終え、今自然乾燥させているところです。近いうちにご報告いたしますので、その際はお立ち寄り頂き情報交換喉させて頂けますと幸いです。

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