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2015年1月31日 (土)

回帰現象

世界の工場と例えられた中国。だが国の発展に伴い、その地位は他の新興国へと移ろうとしている。最近、日本の電機メーカーが中国から日本へ生産をシフトするというニュースを聞いたが、アメリカではもっと前から話題になっていた。1933年制定の古いBuy American条項があるのを知ったのも確か2008年頃だったと思う。

今では米アパレル業界もMade in USAのラインナップを増やしている。2年ぶりに買ったラルフローレンのオンライン商品もやはり米国製だった。届いた中身を見ながらふと、「一体どこのメーカーが作ったのだろう?」と思って調べたら…思いもよらないドラマの展開が待っていた。そこで、今回はその始終を紹介してみたい。

1.到着したMade in USA

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大きな箱に入った品物はブーツ。それもビブラムソール装着のごついタイプだ。定価は595㌦だがセールでは半額以下。おかげで郵便局に支払う関税も割安になったのは嬉しい。名前はJaydon(ジェイドン)。マウンテンブーツだが、アメリカのウェブ上ではレトロスキーブーツとして紹介しているサイトもあった。

2.その生い立ち

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実は今回のブーツのルーツは2010年のバンクーバー冬季五輪に遡る。チームアメリカのオフィシャルウェアとして採用された(写真上)が、提供されたウェア一式全てが中国製ということで議会が激怒。ラルフローレンは2014年ソチ冬季五輪ではアメリカ製を提供すると約束し、ブーツもデザインはそのまま米国製に変更した(写真下)。

となると、アメリカ製に回帰したブーツはいったいどこが作ったのだろうか…

3.予想外のメーカー

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アメリカ製ならばダナーあたりでは?と思ったが形跡は全くない。それもそのはず…意外にも作っていたのはドレスシューズの名門アレンエドモンズだったのだ。ウィスコンシン州のファクトリー製で名前はサンバレー。ポロへの供給以外に自社のオンラインショップで【限定】販売したが(写真上参照)、最後はセール扱いになったらしい。

4.復刻した冬季五輪チームUSAのオフィシャルブーツ

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アレンエドモンズのオンラインショップで販売が終わる頃、ブーツのヒストリーを知った顧客から在庫の問い合わせがあったようだ。ここからは想像だが、デザインの版権はポロ社にあるのでメーカーによる復刻は難しい。そこでポロ社がオリンピックのロゴマークを外して復刻、今シーズンのラインナップに加えたのではないだろうか。

5.靴のデザインとアウトソール

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クイックに解けるDリングはマウンテンブーツの必需品。また、脱ぎ履きのし易い3列フックもお約束だが、面白いのは途中にストラップを挟んでいるところ。このあたりは確かに古いスキーブーツがデザインソースらしい。アウトソールは通常より柔らかい素材のビブラム。接地面から受けるショックを上手く吸収してくれそうだ。

6.ライニング

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ライニングとシューレース(紐)は赤。元々黒のブーツ用に赤を選んだのだろうが、茶色に赤も悪くない。実は購入時にオフィシャルと同じ黒を選ぼうか迷った。が、ウェアとのマッチングを考え茶を選んだ。ライニングはアレンエドモンズ製がウール&レザーなのに対してポロバージョンはレッドレザーと少々贅沢な作りになっている。

7.鏡面磨きにチャレンジ

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素材はプレミアムレザー。カーフではないが柔らかくしっとりとした感覚だ。試しに鏡面磨きを施したところ、時間はかかるがしっかりと光った。使ったのはキィウィのニュートラルポリッシュとサフィールのブラウン。アレンエドモンズらしく360度のグッドイヤー、それもリバースウェルトで仕上げている。

8.靴のフィット感

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サイズは9Dの割には幅が広い。その分足入れは楽で、履き心地も柔らかい。足全体を包み込む感触やソールの返りの良さが実感できる上に、フックの紐を外せばストラップを外さずに脱ぐことも可能な作り。それでいて重さはダナーマウンテンライトより軽いのだからアレンエドモンズのブーツも中々やる。

9.ダナーマウンテンライトとの比較(1)

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8.5Eのダナーの方が9Dのジェイドンより長い。シルエットはほぼ同じだがダナーはゴアテックスのインナーに対しジェイドンはレザー。本格的なアウトドア用ならばダナーに軍配が上がろうが、元々タウンユースを意識して作られたのが今回のブーツ。ドレスシューズが得意なメイカーらしいお洒落感がよく出ている。

10.ダナーマウンテンライトとの比較(2)

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どちらもDリングは5列。ジェイドンではストラップ部分のギャップを超えてフックが3列続いている。一方のダナーはアンクル部分までの丈が短いのでフックは2列しかない。ダナーのシューレースは元々細くて頼りなかったが、ジェイドンに付属していた色違いの茶紐を拝借したところぐっと逞しく見える。

11.ダナーマウンテンライトとの比較(3)

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左のダナーはステッチダウン製法。ウェルトがなく、返りの良さや軽さが売りだ。昔ラルフローレンが別注をかけたダナー製ポロ・スポーツマンブーツが今もオークションで取引されるのも頷ける。一方右のジェイドンはアレンエドモンズの18番、スチールシャンクを使わずコルクを敷き詰めたグッドイヤー製法が売り。新品から返りが良いという訳だ。

12.デニムに合わせて

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今回のブーツと一緒に届いたばかりのRRLジーンズを合わせてみた。色落ちしたデニムとマウンテンブーツは相性もよい。奥は先日購入のマルモラーダ。田舎暮らしが趣味になるとアウトドア用のギアも楽しみの一つ。マウンテンブーツも少しずつ増えてきた。春が来たら何足かまとめてコテージに置いておこうと考えている。

昔、服飾雑誌に「ラルフローレン社でバイヤーを集め、アメリカ製とNIES諸国産のプロダクツを比べさせたら、皆NIES産に軍配を上げた。」と書かれていた。アメリカ製品が大味になっていった頃だ。それでも90年にNYのポロ本店を訪れた時はまだアメリカ製品が数多く存在していた。

ところがその後一気にアメリカ製品が消え、議会の激怒ほどではないがアメリカンブランドとは名ばかりの時期にがっかりした事もある。だから今回の回帰現象は意味深い。今後アメリカ製品が増えるのか、一過性なのかは分からないが、数多ある商品の中から選んだブーツにもドラマがあると知ったせいか愛着もぐっと増している。

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靴(Readymade shoes)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
まだまだ早いですが庭のつるバラが徐々に芽吹いてきて春が待ち遠しくなってきたカメリアです。

今回の記事ですが、ダナーと比べると明らかにモダンで立体的でスタイリッシュなのが伝わってきます。
革の質感も含めて、タウンユースにも持ってこいですね。
これならウーステッドのダブル仕上げのトラウザーズにも合いそうです。
個人的にダナーはフランネルの方が相性が良い気がして。

ダナーが本格的な登山靴として(それでも十分スタイリッシュなので街履きももちろん出来ますが)、これはコテージなどのように自然と文明が混ざったところで使うのが良さそうな気がします。
私も数年に一度コテージに泊まりますが、他にも人がいる公共の場でありながらも山の上の平野ですので草は生い茂ってますし、すぐ隣に丘があるので男としてはつい登ってみたくなるのでして笑、 
その時にマウンテンブーツはこういったところで履くべきものなんだなぁと、感心をします。
このように、物を本来の用途にあった使い方をすると、普段の街生活では味わえない喜びがありますね。
是非管理人様お気に入りのコテージで存分に役目を果たしてやってほしいです。

ビブラムソールのポロの靴を見ましたら依然バルモラルのWTにゴルフシューズみたいに砂の侵入を防ぐキルトを装着したどちらかと申せばウインター用の靴を本で見たことを思い出しました。依然書き込みしました、4アイレットのスエード素材のサドルシューズ、岩田屋のBBでマネージャーが自ら名刺を差し出して下さった時に履いてた靴です。それを買ったばかりでしたので懐が寂しく買えなくて、後に長崎のリーガルシューズに発注かけましたが生産終了で手に入れる事出来なかった事思い出しました。管理人様もご存知のようにポロの靴と申せばどちらかと言えば華奢なマッケイソールが好きな私がどうしても欲しいと思ったビブラムソールの靴でした。

カメリア様

深夜の投稿有難う御座います。

言われてみればダナーも確かに十分お洒落です。マウンテンブーツなんて街で履くものじゃないと昔思っていましたが、最近は街中で履いても格好いいものが増えてきて徐々に抵抗がなくなってきていたところでした。

信州の我が屋(山小屋)も周りは県有林に囲まれ、少し歩くと水田や渓流のある、正にカントリーな場所ですが、車で少し行けばDIYセンターや大規模店舗もありますし、外国からのお客さんも見えたり、洒落たカフェやレストランに観光客が集ったりします。

足元のお洒落をして行く場所があるので今回のマウンテンブーツもきっと出番がありそうです。ただ、問題は向こうに置いておくと東京で履く機会がないということです(汗)

浦野様

深夜の書き込み有難う御座います。

ドレッシーなマッケイのポロ靴がお好きな浦野様が発注をかけてまで欲しいと思ったビブラムの靴、前回お教え頂いたクロコのバックルドローファーのように、何時かオークションで出るかもしれませんね。できれば現物を見てみたい気がします。

私も唯一残るマッケイのポロ靴をずっと履いていなかったので(正直小さいのですが…汗)春が着たら履こうかなと思い始めました。マッケイの靴ならば下はやはり軽いウールのドレスパンツあたりでしょうか。

デニムやチノパンではマッケイ靴の良さが出ないような気がします。

今週も深いですね。素晴らしいブログです。週末最高の楽しみです。
いまや素敵なメイドインUSAの靴、となるとアレン・エドモンズ、オールデン、ニューバランス程度しか思いつきません。特にアレンエドモンズは、(一部イタリア物とかありますが)実にアメリカの誇りですね。移民を考慮した民主主義的な靴幅のバリエーションといい、個人的にはオールデンより好きです。但しサイズについてはバラバラで、私も9.5D、9D、8.5Eと取り揃えつつ楽しく悩んでいます。いつかオプションの専用ソールでゴルフシューズをオーダーしたいと思っています。
それにしてもオリンピックのユニフォームはお国柄が出て楽しいのですが、日本に関しては(かつてのVANヂャケットはともかく)、今ひとつで残念です。かつてユニクロの時、製造国は話題になりませんでしたが、これはお国柄でしょうか、グローバル化の波とやらでしょうか。
まあ、ロンドン大会で一番お洒落だったのはフランスの乗馬競技ジャケットだったことは間違いありませんね。
来週も楽しみにしています。

管理人様

アレンエドモンズとは意外でした。ストラップがとてもいいアクセントになっていますね。履き口、ストラップ裏、シューレースの赤もいいですね。

鏡面磨きを拝見し、若い頃にダナーのつま先をピカピカにしていたことを思い出しました。当時はマウンテンブーツの街履きに周囲の理解は全くなく「今日は山に登るの?」などと言われたものです(笑)

アメリカ製品で服飾に目覚めた世代にとってはこの回帰現象はとても喜ばしいですね。
私が特に嬉しかったのはオウンメイクの復刻です。100%満足できる品質ではありませんが、失望さえ感じていたアメリカ製品への希望を呼び戻してくれました。

ストリングス、インソール、極めつけはバックルの内側見えないところまでにも赤を持ってくる所作、正にラルフローレンですね。私の赤はローファーの真ん中にローレンライオンの金属製の紋章が付いたローレンライオンローファーです。ライニングの朱色がなんとも言えません!

中尾様

週末のコメントを有難う御座います。また、ブログへのお褒めの言葉を有難うございました。あまり中身がないのですが、定期的に何かを発信できたらと思います。お時間がございましたらお立ち寄り頂けますと幸いです。

さて、ラルフのオリンピックチーム用ブーツですが、どこが作っているのか調べ始めた最初はダナーやレッドウィング、ウルヴァリンなどブーツの得意なメーカーばかり当たっていました。ところが灯台下暗し、最近USA製造の靴を請け負っている(らしい)アレンエドモンズだったと知った時は、ああなるほどと思いました。

確かブルックスブラザーズの靴もかなりアレンエドモンズが作っているようでオールデンよりも多いくらいじゃないかと思います。私は今回のブーツを買うまでアレンエドモンズは1足しか持っていませんでしたが、カタログの雰囲気とかとてもまじめな感じで好きなブランドでした。こんな形で本格的な靴を所有できて幸せです。

PMT様

週末のコメントを有難うございます。

PMT様も仰っていますが私もアレンエドモンズとは意外でした。尤も、ブーツのデザインはラルフ側ですので、流石アメリカンファッション界の巨人だけあり見事なディレクションだなと思いました。

私も昔だったら言葉にこそ出しませんが、街中で登山靴を履いている人を見て、「山に行くのかな?」と思ったに違いありません(笑) その本人が時を経てマウンテンブーツを街中で履くようになったのですから、ファッションと違い、スタイルを人々の間に浸透させるのは時間がかかるものだなと実感しています。

PMT様の仰るようにブルックスのオウンメイクはカンパニーの本気度が感じられて、私も良いと思います。ついこの前まで50%オフに更なる20%オフだった時、オウンメイクのシャツを買えばよかったのに、まごまごしているうちに見事に50%オフに戻ってしまいました(泣)

ショッピングはタイミング(名言風)ですね。

浦野様

金属製のライオンマークをあしらったローレンライオンローファー、ものすごくお洒落な感じがします。黒(ラルフのサイトでは白でしたが)のパンツに合わせたら素敵そうですね。


ついつい控え目なものばかり買いがちなのがメンクラ世代なのかなと思いますが、歳を取ったら赤を服装のどこかに入れると良いと聞いています。今年はそこを意識して、小物でもいいので赤のアイテムを買ってみることにしようと思います(笑)

おはようございます。
松山選手があと一打及ばずの朝、スーパーボウルの朝です。

当時。バンクーバーオリンピックでテレビに映る入場行進をみて家人ともどもチームUSAにはすっかりやられてしまったことを思い出しました。
ソチでのストラップバックル付きのブーツはAE製でしたか?検索してもヒットしないわけですね。同じようなカッコをしてみたいと10年はゆうに経ってしまいました、足の長さは絶対的に違いますがネ。

Tony様

週初めの早朝にコメントを頂き有難う御座います。

流石はTony様、バンクーバーオリンピックの開会式、チームUSAの入場の様子をキチンとご覧になっていたのですね。無精者の私はセレモニーをカットして競技ばかり見ていたのですからオフィシャルウェアの出来を語る資格などありません(汗)

私も、オフィシャルウェアのコーディネイトのような恰好をしてみたいと思いますが、白のパンツに黒のブーツをスタイリッシュに履きこなせる足の長さや細さがないので茶色でアウトドア風に履こうと思いました。

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