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2014年9月27日 (土)

Bespoke Archive (Foster & Son01~06)

80年代、パリで出会った名靴ウェストンに魅せられ、夢中になって集めた舶来靴。やがて「もう靴は極めたはず」と自画自賛していたらある日原宿で英国注文靴の受注会を見てしまった。名前はポールセン&スコーン。手縫いの誂え靴が醸し出すオーラは別格だった。その後海外駐在時にジョンロブ・パリの靴を誂え、帰国後満を持して英国に向かった。

残念ながらポールセン&スコーンに往年の輝きはなく、後継のクレバリーで靴を誂えた。1足毎に違う誂え靴の奥は深い。ロンドン通いが始まり注文と仮縫いを繰り返す中で迎えたミレニアム。新世紀を祝って今度はロンドン一の職人テリームーアに靴作りを頼んだ。1年後、遂に理想の英国誂え靴を手に入れた。そこで今回はテリーの居たフォスター&サンの靴を記録しようと思う。

1.フォスター&サンの誂え靴

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左端の1足目から順に並べて右端まで11足目。現在制作中のブーツを含めて全12足がフォスター&サンのラインナップになる。スタイルはどれもフォスターらしいクラシックな紐靴が中心。サイドエラスティックやカジュアル(ローファー)など足入れの楽な靴は少ない。つま先もテリーの手による美しいスクェアが中心だ。

どの靴にも英国らしい伝統と遊び心が光るフォスター&サンの靴、その神髄は如何に…

2.ファーストペア

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記念すべき1足目。名人テリーは採寸時にメジャリングに加え、手で足を摩って骨の状態を説明したり、履いて来た靴のフットプリントを見て「この靴は足に合っているか?」と聞いてきたりした。最初の段階から他の注文靴店とは違うアプローチだったが、決して名人にありがちな気難しさを感じさせず、穏やかな口調の紳士だった。

3.アーティスティック・フルブローグ

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仮縫い時に長かったレングスも解消され、正に芸術的な仕上がりとなった1足目。経年変化で色褪せた雰囲気を出すためアッパーにブリーチをかけ、その後ポリッシングしながら色を加えるというベルルッティにも勝るパティーヌも見事だが、注文時にリクエストしたピークのあるヒールクォーターも実に綺麗だ。

4.セカンドペア

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2足目のオーダーにあたり、最初の靴で気になったのがインステップ部分のルーム。そこで1足目の靴を履き、思い切りヴェンドさせた状態を写真に撮りフォスターの担当にメールで送った。既にテリーは引退間近だったが、若き職人松田氏が後を引き継ぎ、送った写真を基に木型を修正して仕上げたのがこのセミブローグだ。

5.正統派英国靴

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流石はテリー率いるフォスター&サン。キャップの長さやパーフォレーションの大きさなど絶妙なバランスで、こんなに格好良いセミブローグはあるのかとさえ思ったほどだ。更にすごいのが付属のシューツリー。1足目もそうだが専門の職人による手作りで、軽量で持ち易く、おまけに靴へのフィット感は感嘆ものだ。

6.タウン用フルブローグダービー

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3足目に選んだのはフルブローグダービー。とはいってもカントリーサイドで履くタフで無骨な靴ではなく、テリーのラストに合わせ、ウェストが絞られたタウンシューズ。つま先にオールドマックスウェルのパターンを取り入れ、ウィングまで1足目同様ブリーチ処理とパティーヌを施した一足は実にエレガントだ。

7.ベヴェルドウェイスト

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ダービーシューズは通常スクェアウェイストで仕上げるそうだが、この靴では敢えてベヴェルドウェイストで仕上げている。フォスターの中で最もノーズが長いので、目下流行りのスリムフィットは似合わない。トラディショナルな22㎝幅のパンツを僅かにクッションさせて履くのが様になる靴だ。

8.エラスティックサイドガセット

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4足目に選んだプレーンなエラスティックサイドにトゥデザインを施したもの。元々フォスターのサンプルはラウンドトゥで朴訥としたものだったが、木型の美しさを生かして飛び切りエレガントな黒靴に仕上げてきた。つま先の穴飾りは1足目や2足目と微妙に異なる。よく見なければ気付かないがちょっとした遊び心が嬉しい。

9.ヒールリフトの交換

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最初の納品時は革の積み上げヒールに踵部分を2列の釘打ちで仕上げてきたが、思った以上に踵の減りが早い。数年前にクォーターラバーチップ付のヒールに交換して貰った。確か工賃がとても良心的だったと思う。松田氏の対応はいつも丁寧で、細やかな配慮が行き届いているのを感じる。

10.スペクテイターズ

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5足目のコンビネーションはホワイトバックとカーフのサンプルを基にオーダーしたもの。既にクレバリーで同じようなスペクテイターズを所有していたので、フォスターではカーフ同士のコンビを依頼した。2色の革の選び方にセンスが問われるコンビ靴。経験に裏打ちされた松田氏が選んだ革は見事だった。

11.ファインコンビネーション

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一番の特徴はレースステイ部分が濃茶の別パーツになっていることと、そのレースステイ下から両サイドに延びるパンチングラインもまた同じ濃茶の紐状パーツになっていりことだろう。コンビネーション靴にはいくつかのパターンがあるが最も手間暇のかかるタイプで仕上げている。

12.ノルウェジアンエプロンダービー

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6足目のテーマはドーバーのビスポーク版。スクェアトゥにU字のエプロンを被せるのはチャレンジだったようだが、松田氏はテリーと検討しながら素晴らしい雰囲気で仕上げてきた。一方でツリー専門の職人がジョンロブに移籍したため、手仕上げからマシン仕上げによるマスプロダクツ風シューツリーに変わったのは残念だった。

13.クローザーの腕前

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エプロンやつま先部分のスキンステッチはエドワードグリーンやロブといった一流の既成靴でも見られるが、この靴の凄いところは外羽根の根元とアッパーの繋ぎ目や内側にずらした踵のシームをスキンステッチで縫い上げているところだ。誂えならではの技巧からもクローザの実力は一目瞭然、一等地抜きん出ている。

ここまで前半の6足を紹介したが、フォスター&サンの靴はどれも飛び切りエレガントでクラシック。何しろジョンロブ・ロンドンでさえ靴作りで分からないことは「テリーに訊け」と言われたほどだ。ポールセン&スコーンに勝るとも劣らぬオーラを放つのもむべなるかな。ぎりぎりのタイミングで間に合ったことに感謝したい。

最近は馴染みの店以外、新規の受注会に顔を出すことは滅多にない。今は物を買う楽しみを優先しているからだろう。それでも名人の木型を保管しているフォスターならば、いつかまた靴を注文する機会もあるはず。今度は「もう靴は十分…」と思わず、じっくり考えて注文するくらい心の余裕はありそうだ。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

素晴らしさに言葉が出ません!私と管理人様を結びつけてくださったクロコダイルの靴群こそがこのfactoryだったんですね。

浦野様

お休みのところ早速のコメントを有難うございました。

色々と思いついたことを忘備録としてブログに残しておこうと思い始めたのがきっかけでしたがついつい本来の目的を果たせず脱線ばかりしています。

そんなブログですがわざわざお越しいただきコメントを下さる浦野様の心遣いに触れ元気をもらっています。いつも有難う御座います。そして今後とも宜しくお願いします。

東京はめっきり涼しくなりました。今年の冬は寒くなりそうな気がします。

此方こそ本当に書き込みさせて頂きまして感謝いたしております。冒頭にでて参りました、ポールセン&スコーンはとあるニューヨーク派が大好きな靴でありましたね!涼しくなって来ました。ウールのスーツに袖を通すのが待ちどうしいですね。今年の年末は亡き父の27年忌です、23年忌では以前お話しいたしました上着がVANでパンツがKENTでしたが今年はJプレスのネイビーのピンストライプのスーツでもと思ってます。もちろんオーセンテックモデルです。

管理人様

こんにちは。ご無沙汰しております。

フォスターの靴はすべて格好良いですが、やはり一足目のフルブローグは格段にセクシーですね。ぼくは管理人様のこの靴を拝見してビスポーク一足目はフォスターに決めました。特に、ウイングチップのピークが長くエレガントです。今度、ブラウンでフルブローグをお願いしようかと考えていますので、管理人様の一足目を参考にさせていただきます。

ところで、来年2月のD&Sのトランクショウには参加できそうですので是非ご一緒させてくださいませ。

では、失礼します。

浦野様

仰るとおり、アランフラッサーはポールセンスコーンの顧客でした。彼の作ったポールセンスコーンでのビスポークシューズは中々格好良かったです。特にピンストライプのスーツにルームシューズを合わせているのがなんともお洒落でした。

今年の年末はお父様の27回忌とのこと。ピンストライプのお姿で法要に臨まれる姿をお父様も見守っていらっしゃることと思います。

よく考えれば今年も最後の四半期を残すのみ、年の経つ速さに改めて驚いています。

パードレ様

ご無沙汰しています。

来年2月のトランクショウ是非ご一緒できますことを楽しみにしております。

そうそう、フォスターのフルブローグですが確かパードレ様のラストも細くて格好良かったと思います。キャップにかぶさるウィングの大きいフルブローグが似合いそうですのでぜひブリーチをかけて上からパティーヌする色っぽいフルブローグを試されてみてください(笑)

またまた、フラッサーが出てまいりましたね!写真でしか見たことがないブラウンカラーのヴァンプにフラッサーの三種の神器【黄緑のシルクハット、赤いグローブ、そしてイエローのステッキ】が刺繍されたルームシューズを、今は亡き南千住の日靴の靴記念館で拝見させて頂いた時に身震いするほどの感動を覚えた昔を思い出しました。管理人様って本当に書き込みいたす私達を感動に導いて下さるのですね!!ありがとうございました。

浦野様

日靴の靴記念館に飾られていたのはアランフラッサー氏所有のルームシューズだったのでしょうか…私も見たらおおっと感動すること間違いないと思います。

黄緑のシルクハット、赤いグローブ、そしてイエローのステッキのトレードマークも今また鮮やかに記憶がよみがえりました。確かに当時のアランフラッサーは洒落ていました。日本には馴染みにくかったのでしょうが、ルームシューズ+スーツという組み合わせは家の中でも靴を履く習慣のある欧米ならでは。   最初は驚きましたが(笑)

日本では下駄、草履、雪駄、草鞋辺りでしょうか、作りはシンプルですが、欧(米)の靴の作りは複雑ですし、素材も様々。どちらがいいとは言えませんが、その背景や歴史に目を向けると靴に対する興味が更に増してきます。

管理人さま:溜息の出る様な素晴らしいコレクションに毎度ながら感服致します。個人的には2足目のセミブローグが好きです。英国正統靴その物、と言った感じです。また、説明に有る「22cm幅のパンツを僅かに〜」くだりが、トラッドを基本にと言う管理人さまの気持ちの現れでしょうか。閑話休題、先日銀座のポールスチュワートに足を運んだところ、スーツのパンツ裾幅は21.5cmがレギュラー、19.5cmがスリム、逆に22.5cmがクラシックとの事でした。やはり22cm程度が落とし所になるのでしょうか。明日から弊社もネクタイの着用となります。気持ちを切り替え、自分なりのおしゃれを愉しみたいと思っております。

極楽とんぼ様

コメントを頂きありがとうございます。

確かに明日は衣替えだったり定期券の更新だったりと節目の日のようで、私も気分一新秋冬への身支度を始める日になりそうです。ネクタイを締めて颯爽と出社したいなと思い、既にシャツは白無地のロイヤルオックスを用意しました。

フォスターの特集ですが、極楽とんぼ様は中でも2足目がお好きとのこと。私も実は1足目の個性に感激したものの、2足目をロンドンで受け取った際の格好良さには息を呑む程でした。一番感動的な納品だったことを思い出します。

それにしましても今回の特集をくまなくお読み頂きありがとうございます。装いですが最近セレクトショップのパンツを中心に、既成のパンツの裾幅は少しずつ広くなっていっているような気がします。一時期の20㎝を切るものから、今後は21〜22㎝へとシルエットも含め少しずつノーマル?に戻っていくのではないでしょうか?

靴をスッキリ見せることに加え、ソックスのコーディネートを楽しめることから裾上げはノークッションないし踝あたりまで短かめにするのが良いかなと個人的には思っています。

この、フォスター&サンでは、高倉健さんも出てまいりましたね。【笑い

浦野様

浦野様とのやり取りも長い歴史があります。数々の音楽や名優に例えたのが懐かしいです。

戦国武将シリーズもありましたし(笑)

おはようございます。3番のヒールのピンキング真ん中が少しとがっていて凝った造りですね!

浦野様

そうなんです。これがピール〈ラストメイカーのテリームーア氏が以前在籍していた店)スタイルと呼ばれるものだそうです。

テリームーア氏は直ぐに理解して上手く盛り込んで仕上げてくれました。ちょっとしたアクセントになって、納品時は自己満足ですが中々いい!と一人悦に入っていました。

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