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2014年3月29日 (土)

Spring Trunkshow(春の受注会後編)

クレバリーの前身はポールセン&スコーン(ニュー&リングウッドのビスポーク靴部門の名)だが、その頃から原宿のインターナショナルギャラリービームスで受注会を行っていたと思う。ビームスの先見性は大したもので、当時はビスポークなど思いもよらなかったが今やかくのごとしである。若きジョン・カネーラを初めて見かけたのもその頃だった。

その後袂を分かったカネーラとグラスゴーがクレバリーを復活させてから昨年で20周年。その間日本にビスポーク文化を根付かせたのはビームスの偉業と言えよう。ロンドンの顧客である自分は直接の繋がりはないが、ビームスに敬意を払いつつ、21年目を迎えたクレバリーのトランクショウ後半を紹介したい。

1.ニューデザイン2点

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左のエプロンダービーはロシアンレインディアの新作。前回も紹介したが、デリケートな素材にもかかわらずアッパーがアンラインドとのこと。何とも贅沢な1足だ。もっとも、友人のオーダーした靴はやはり履き口からクラックがかなり入っている。オーダーするならライニングありの方が無難かもしれない。

もう少し続きを紹介したい…

2.ストラップブーツとインサイドガセット

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左は一見チェルシーブーツだがよく見るとストラップが履き口部分の後ろをホールドする作り。いつになくブーツが充実している今回のトランクショウだった。一方右はインサイド側のみエラスティックを配したスリッポンシューズ。しかもブローグラインが簡略化されたデザインで、どことなくベルルッティのような雰囲気がある。

3.グレインコードヴァンのフルブローグとスリッポン

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左のグレインコードバンは濃い色の革の方がパーフォレーションが目立つのでお薦めとのこと。気になるモデルだが紐靴の出番は少ないので、代わりに珍しいコードバン素材でカジュアル靴を作ることにした。右は一見普通のスリッポンだが、長いタンの下にエラスティックタブを学生の上履きのように配した究極の快適フィット靴だそうだ。

4.レイジーマンとイブニングパンプス

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左はフルブローグのレイジーマン。ただしパーフォレーションのステッチラインが省略されているのとつま先にメダリオンがないためシンプルに見える。右はブルーのアリゲータースキンの表面を削り、スェードのようにしてからオペラパンプス同様の底付けをしたイブニングシューズ。ミッドナイトブルーのタキシードに合いそうな1足だ。

5.フォーマルシューズ

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ストレートキャップはフォーマルの代表。グリーンのリボンを結ぶことで一気に華やいだ雰囲気になる。よく見るとアッパーのステッチもグリーンの糸で縫われていて、こんな夜会靴ならばオーダーしみたい気もする。最近クレバリーではイブニングパーティ用の靴のサンプルが多い。日本には根付きにくい文化だけに是非とも1足注文したいものだ。

6.ゴイサーブーツとキャップトゥダービー

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どちらも以前紹介したが、左のブーツはノルウェジアン製法(ゴイサーと呼ぶ)のブーツ。カーフとクードゥーのコンビンが強烈な個性を放つ。右は一見普通のキャップトゥダービー、敢えてパーツの重なる部分に紫色の革を挟み込んで仕上げている。シューカラー(履き口)やキャップ、バッククォーターに見える紫のラインが何とも洒落ている。

7.ピッグスキンカジュアル(1)

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今回の納品靴を会場で撮影したもの。仮縫いの時とはかなり雰囲気の違う仕上がりに驚いた。アンティーク仕上げも大胆で最初は戸惑うが、見慣れてくると何とも言えない味わいがある。ピッグスキンを靴の素材に使うのは既成靴では珍しい。有名どころではグッチのビットモカシンが思い浮かぶ。

8.ピッグスキンカジュアル(2)

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ソールはナチュラル仕上げ。つま先は当初2列の釘をリクエストしていたが仮縫い時にメタルトゥチップに変更した。グラスゴーは返りが悪くなるのであまり薦めなかったが、コバが変形するのを防ぐ効果があるのだろう、レッパネンは「別に問題ない」というスタンスだったので変更、写真のように仕上がってきた。

9.ピッグスキンカジュアル(3)

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ソールはクォーターベアー。1/4インチよりも若干薄い仕上がりになっている。カジュアルの場合はソールが固いと踵が抜けるので薄い方が良いのだが、最も薄い3/16になると流石に路面の凹凸が直接足に響くので、かえって履き心地は悪くなる。たかがソールの厚さだがカジュアル靴では重要なポイントだ。

10.ピッグスキンカジュアル(4)

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ジョージクレバリーが履き心地を追及したのに対して甥のアンソニークレバリーは美しさを追及していたと聞く。実際サンプルやスクラップブックの写真を見ると細く美しいシルエットの靴が並んでい、バルキーな自分の足にどうやって合わせるのか不思議だったが流石はクレバリー、上手くフィットさせてきた。

11.ピッグスキンカジュアル(5)

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これでスリッポンは6足目だが、全てが快適なフィット感を誇る。アメリカの顧客向けに数多くのカジュアルを手がけてきた経験のあるクレバリーならでは。日本の顧客はまだ紐靴の注文の方が多いようだがカジュアルも着実に増えてきている。手袋のような履き心地のカジュアルをぜひ知って貰いたい。

まもなく新年度を迎える。3月最後の週末は、少し肌寒かったが春物を着て街に繰り出した。出がけに玄関の靴箱を見ると18年前に初めて注文したジョンロブパリの靴から最新のピッグスキンローファーまで並んでいる。紐靴の何足かにうっすら埃が被っていて何だか申し訳ない気持ちになった。

実は今回から靴の製作ペースを少し下げるよう依頼している。このところ履き下ろすペースより靴の納品が多いため、届いたスリッポンを履くので精一杯という状況が続いている。紐靴やブーツも含め、それぞれに思い入れのある注文靴ばかり。手入れを怠らず、万遍なくこうと新年度の誓いを立てたところだ。

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コメント

管理人様

グレインコードバンはとても魅力的な素材ですね。履き込むとどのような雰囲気になるのか興味が湧きます。

新しく注文された2足、楽しみですね。コンビネーションローファーの色が切り替わるモカの部分のステッチはどの様にされるのでしょうか?

私は相変わらずデッドストックの靴を探しています。最近何故か出物が多く、今年になってもう4足も買ってしまいました。
先日、グレインレザーのフローシャイムを入手したので、今年の夏はホワイトジーンズに合わせようと思っています。

今日、古着店を回ったついでに、表参道のチャーチズに行ってみました。レディースも充実していて、中々雰囲気の良いショップでした。

PMT様

早速のコメントを有難うございます。

私もWebで珍しく60年代のフローシャイムを検索したり、ネ(ト)ルトンの復刻版を調べたりしていました。昔の靴は時代遅れどころか今のものよりも格好いいものが多くて、「靴は時代遅れにならない物だから、投資に値する。」と言う意見はもっともだと思いました。

クレバリーに注文した白/茶のコンビは、エプロン部分はホワイトステッチで、ウェルトの出し縫いもホワイトです。偶然ですがもう1足のナチュラルコードバンのタッセルスリッポンも摘みモカ、出し縫い共にホワイトです。春だからでしょうか明るい靴が気分なので…。

表参道のチャーチズは表参道ヒルズにあるのでしたでしょうか?最近靴屋に行く機会がなかなかないのですが、英国靴ならチャーチズはやっぱりいいですね。それと履き心地は相変わらず硬めですがクロケットも英国のオンライン靴屋で検索しています。


管理人様

ご返信ありがとうございます。

チャーチズは表参道ヒルズのちょうど向い側です。

ホワイトステッチいいですね。いいアクセントになりますね。
最近購入した60年代のFREEMANのキャップトウも出し縫いがホワイトです。ステッチだけで随分雰囲気が変わるものだと思いました。

今日もかなり暖かでしたが、まだまだジャケットが着られる時期なので今のうちにいろいろな着こなしを試したいと思います。

PMT様

確かに昨日あたりは夕刻より少し肌寒くなったものの秋冬物のジャケット1枚で過ごすにはちょうど良い気候でした。今日は年度初めなので、スーツで出かける予定です。

桜の花が満開を迎え通勤途中の目を和ませてくれます。ピンク色のボタンダウンを着て出かけようかなとふと思いつきました。

応援の現場も昨日検査すみました。同じく今年行われます長崎がんばらんば国体の馬術場も検査も終わりほっとしています。今回の靴群どれも素敵ですが一番に気になりました靴はピッグスキンのローファーです、底面の美しさ、トウーのメタルチップなどですがやはりヒールのゴム化粧が今までにないくらい鋭く斜めに施工された点です。あすは会社あげての先日の雨で残り少なくなった桜の花見です。

浦野様

年度末のお仕事お疲れ様でした。

明日は仕事の大成功を祝って花見を楽しまれるご予定とのこと。思う存分楽しまれてください。浦野様ならではの後日談を楽しみにしております。

先日某アウトレットのリーガルシューショップを覗きましたところシェットランドフォックスやポロ・ラルフローレンと言った有名どころの靴が置かれていました。リーガルが初めての本格的なグッドイヤー製法だっただけについ長居してしまいました。

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