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2014年1月11日 (土)

残したい既製靴(番外編)

昨年11月、「後世に残したい靴40足を20足に減らす」という特集を紹介した。その際「20足の中に納まりきれない靴がまだある…」と書いたと思う。年末は忙しくて選んだ20足だけで精一杯だったが、年が明けて少しずつ、納まりきれない靴(以後番外靴と書く)の手入れを始めた。春日が差し込む上階の窓際で靴を磨くとなぜか心も穏やかになる。

暫くぶりの番外靴は、表面に張りがなかったり、油分が切れたりしているものもある。改めて自らの無精を恥じるのみ。まずは栄養クリームを充分与えた後、油分の多いポリッシュで丹念に磨くと徐々に全盛期が蘇ってきた。愛情をもって手をかければ応えるのが革製品。そこで今回は後世に残す20足以外の番外靴を紹介しようと思う。

1.手入れを終えた番外靴

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手入れしたての番外靴。【前列】左からブルックスのタッセル、ウェストンのサマー180、フルブローグ、クラシック180。【中列】左からグリーンのウィグモア、神匠のアデレイド、グリーンのウィンダミア、アットリー。【後列】左からチャーチズのチェットウィンド、グリーンのグレシャム、トリッカーズのブーツ、リーガルのウィングチップブルッチャー。

もう少し詳しく靴を見てみたい…

2.J.M.ウェストンの靴達

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同じ色目はウェストンでいうところのマロン。元が良い革を使っているウェストンは、ポリッシュで磨くと瞬く間にアンティークフィニッシュになる。元の色目より濃くなったが、早速履いて街に繰り出したい程の出来栄えだ。左のサマー180は夏らしくマッケイ製法、中央のフルブローグはクレープソールの全天候型、右のクラシック180のみスムースカーフ。

3.マロン色の180シグネチャーローファー

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陰影の付いたウェストンのシグネチャーローファー。グリーンに負けない雰囲気が出ている。1991年にパリ本店で購入してから23年が過ぎたがヒールは頑丈でまだ一度も替えていない。合わせたチェック柄のパンツは秋冬用の地厚なコットンを使ったメトリコ。ソックスはこのところお洒落な柄の靴下が多いユニクロ。

4.ウェストンの全天候型フルブローグ

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グレインレザーとクレープソールの組み合わせは雨向き。実際雨の日はこの靴ばかり履いていた。ただし濡れた状態と乾いた状態の繰り返しでは靴の傷みも早い。今回はモゥブレイのデリケートクリームで入念な手入れを行い、その後ポリッシング。仕上がりは良好で晴れの日でも活躍しそうだ。パンツはPoloのUS製ドネガルツイード。

5.エドワードグリーンと神匠の靴

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左のグリーン製ウィグモアは個人別注品。アッパーに上質なファインブラックカーフを指定したお蔭で磨き甲斐がある。中央は台湾のメイカー「神匠」のアデレイド。こちらもキィウィのポリッシュで綺麗なアンティーク仕上げになってきた。右は旧#202を使ったグリーンのウィンダミア。つま先部部のみ丹念にポリッシュしてある。

6.神匠のアデレイド6アイレット

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ロングノーズながら履き心地の良い神匠のレースアップは、値段と品質、作りの3拍子揃った1足。ブルネロクチネリのウールチェックパンツをノークッションで履く。合わせたソックスは暗赤色のアーガイル柄。こちらもユニクロのコットン製品。英国製のウールアーガイルほど温かくはないが丈夫で長持ち、店も近くにあるので便利だ。

7.ファインブラックカーフの#808ウィグモア

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パンツの裾幅は現在18~19㎝が主流、毎日スリムフィットばかりでは流石に飽きる。そこで昔懐かしのフレアーパンツを出してみた。縫製はイタリアながら英国風ネップ入りのホームスパンを使ったパンツは近所のトゥモローランドで購入。レトロな雰囲気のウィグモアと合わせると、なぜかパンタロンという言葉が思い浮かぶ。

8.チェスナッツカラーの靴

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黒靴と違って茶靴は濃淡や色調など幅が広いのでいつの間にか増えてしまう。特に一番多いのが写真のチェスナッツ色だ。左端のようなアンティーク仕上げにしようと中央のトリッカーズや右端のリーガルもアンティーク仕上げを施してみたがあまり上手くいかない。靴は履き込んでこそ真のアンティーク風に仕上がるということか…。

9.リーガルのウィングチップブルッチャー

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間もなく30年を迎えようというリーガル。手持ちの中で最古参の既成靴だ。流石に中敷きはボール紙のようだが、保湿と保革の手入れで大分蘇った。ブルックスのエンブロイダリーパンツを短めに仕上げてトラッドな靴に合わせると、なぜか見慣れた靴が新鮮に見えてくる。ソックスはグレーのチェック、3の写真の色違いだ。

10.オールデンのタッセルスリッポン

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1991年のNY滞在中ブルックス本店で購入したカーフタッセル。大雨の日に歩いて傷みが激しくなったので、デリケートクリームによるケアの後、丁寧にポリッシングした。パンツはシングルカフにしようか迷ったラルフローレンのブラックウォッチ。長めのダブル仕上げだったものを股下は短く、ダブル幅は広く仕立て直してみた。

男性ものは女性ものより流行が激しくないと思われがちだが実際は違うようだ。シルエットやデザインはもとより、細部のディテールなど見えない部分まで毎年変わっていると聞く。そういえばちょっと前のパンツも履いてみると裾幅が広く感じたり、以前のシャツの襟腰が低くてジャケットと合わなかったり、ネクタイも幅が広いなと感じたりすることがある。

ところが靴は古さを感じない。ロングノーズやスクェアトゥなど流行はあるが、30年前の靴でも今の服に合うのだから大したものだ。今回紹介した番外靴も、手入れの甲斐あって往年の輝きをだいぶ取り戻した。これからも着こなしの土台として足元支えてくれるだろう。やはり服飾のプロが言う「靴に投資すべき」という意見は尤もだと改めて実感している。

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靴(Readymade shoes)」カテゴリの記事

コメント

どれも誂え靴に負けない程、魅力的に見えました。
やはり年季の入ったクラシカルシューズの放つ雰囲気はたまりません!魅力的な靴になるよう、大事に手を掛けながら履いていこうと改めて思いました。
特にウェストンの艶はさすが!最近、クラシックラインの靴が気になっており、マディソン街のウィンドウを覗いては悩む、というのが日課になりつつあります(笑)

シロさん

早速のコメントを有難うございました。

靴はクラシックなものの方が結局は長く愛用出来ると思います。しかもクラシックをベースにしつつ、少しモダンなものやレトロ調のもが個人的にはお気に入りです。昔、流行り始めの頃にベルルッティの靴を2足買いましたが、直ぐに人手に渡ってしまったのはその辺の塩梅が自分に合わなかったからかもしれません。その点うウェストンのクラシックは心配ないと思います。

マディソン街のウェストンは一昨年行きましたが、丁度今回紹介しているサマー180を履いての訪問でした。私の足元を見て店員さんはとてもフレンドリーに接してくれましたので思わず買いそうになりましたが我慢した覚えがあります(笑 春~初夏のNYで素足(または踝ソックス)でウェストンの180ローファーを履いて週末をエンジョイするシロさんの姿を想像しました。

管理人様

仰る様に靴は不思議と古さを感じませんね。
新品の良さもあり、履きこんだ良さもあり、手入れの仕方で表情も変わる点も靴の大きな魅力ですね。
ジーンズにも共通する感覚があると思います。他の服はなかなかそうはいきません。

私はウェストンには殆ど興味がなかったのですが、管理人様のブログによく登場するので、先日ショップに行ってきました。
ローファーやゴルフも素敵ですが、セミブローグ、フルブローグにより魅力を感じました。
しかしながら、デッドストックのヴィンテージシューズの2~3足分の価格なので、購入はちょっと躊躇してしまいます。

今年も年間ワードローブ計画を立てる時期になりました。昨年の達成率は70%位で靴に偏重してしまいました。計画だけはバランス良く立てようと思います。

PMT様

早速のコメントを頂き有り難う御座います。

靴はジーンズと共通点があるというのは名言ですね。確かに懐の深さと完成されたデザインや汎用性の高さ、経年変化の味わいと耐用年数の長さなど…。

ウェストンの靴に興味をもって頂き有り難う御座います。仰るようにウェストンのセミブローグやフルブローグは靴作りを英國のチャーチズに習ったというだけあって正統派英国靴の面持ちです。ですので、トラッドな服装やカジュアルなジーンズとも良く合います。

PMT様の年間計画を立てられるところ、流石です。当方は手持ちの服や靴を愛用するので手一杯、本来なら白紙状態なのにちょこちょこと買い物をしてしまいます。PMT様を見習って今年は一つ計画表を作ってみようと思い始めています。

管理人様

ご返信有難うございます。

ウェストンとチャーチズにはそういった関係があったのですね。益々興味が深まりました。
以前管理人様にお薦め頂いて購入したチャーチズのフェアフィールドは二年目になりますが、雨や雪の日も大活躍で、秋冬には外せない靴となりました。

年間計画はA4の紙にシーズンを分けて欲しい物を書き出し、おおよその総額を計算し、削ったり、「セールなら買う」ことにしたりと整理していきます。
書いている途中、クローゼットを開いたり、アランフラッサーの本を読み返したりして頭を冷やします(笑)
私の場合、ジーンズと靴は出物なので、大幅な予定変更もあります。
思い返せば、高校生の頃から時々書いていました。

PMT様

チャーチズのフェアフィールドも今回紹介しませんでしたが、健在で時々履いてはスェード靴の味わいを楽しんでいます。確かに天候の悪い日でもクレープソールなので安心して履けます。ただ、雪の固まった道路ではクレープソールは思いの外滑ることも分かりました。

予算の付け方ですが、なるほど欲しいものを書き出し、定価で買うものやセールで買うものと分けるのですね。その時クローゼットの中を覗いてご自身の持ち物を再点検されるところが流石です。また頭を冷やすというのはとても大切だと思いました。私もセール時期になると昔は安さにつられてつい買ってしまいましたが、最近はなるべく頭を冷やして冷静に考えるようにしているので、セール袋に入れたものが少しずつ元の場所に戻っていきます。

PMT様の例外はジーンズと靴なのですね。分かります。私も昔は靴だけは例外的だった時期がありました。何より素晴らしいのはそうした服飾計画を高校生の頃からされてきたということです。

そうした貴重なお話を聞けた後で、昨夜オンラインショッピングしましたが、カートに欲しいものを入れ、あれこれ考えるうちに程なく全てリムーヴとなり、結局何も買いませんでした。かなり冷静になれました(笑

今回も素晴しいコレクションの数々ありがとうございます。
20年30年選手の靴も素晴しいエイジングで手入れと管理そして愛情を感じます。お金を出せば高額商品は買えますがそれが素晴しいものになるかどうかは購入者の愛情次第、勉強になります。No7のウィグモアはサイドエラスティックなのでしょうか?ホームスパンのパンツと非常によくあいますね。このタイプの靴はあわせるのが難しそうでまだ手を出しておりませんが参考になりました。又No6の神匠という台湾メーカー?の靴ですが非常に雰囲気があります。全く知りませんでした。本当にいつも勉強になります。

管理人様、お見事‼︎ウェストン良いですね‼︎良い物は手入れと時の経過で、さらに輝きを放ち、既製といえど世界に一足の靴に仕上がっていくというお手本ですね。どれをとってもそれぞれに想いがあるのだと思います。私は靴を磨いて、それを眺めながら一杯嗜むのが至高のひと時です。お酒の勢いもあって薀蓄が始まると、家族はウンザリして、変人扱いされていますが(笑)。
ブラックフリースのシャツにご回答いただきありがとうございました。お礼が遅くなり申し訳ありません。

KEI様

コメントを頂き有り難う御座います。

ウィグモアはセンターエラスティック(エラスティックタブ)と呼ばれるデザインで履き口前部のタン裏にエラスティックベルトが小学生の上履きのように配されています。お陰で履き心地はサイドエラスティックにも負けません。

台湾の靴メイカーは神岡(という台湾の地名)にあるスニーカーメイカーが立ち上げたブランドですが、しっかりとしたグッドイヤーの靴を作っています。それでいて価格はリーズナブルで日本の靴メイカーに負けていません。

今回靴の手入れのし甲斐があったのはやはりウェストンでした。フランスの革は靴のアッパー素材としては最上級と言われますがその革を使うメイカーならではのアドバンテージがあるなぁと感じています。勿論グリーンもいいのですが(笑

Love Tweed様

靴を磨く時は普段考えないことを色々考えるいい機会です。私も一杯とまでは行きませんが、コーヒーを飲みながら至福のひとときを感じています。

そうそう、もうすぐブラックフリースのシャツと同じ柄のウールタイが届く予定です。ツィードジャケットとコーディネイトして紹介できたらと思っています。

管理人様

番外編、どちらの靴も魅力的です。

クラシックな靴は仰られるように古さを感じないですね。きっと履けば履くほど、そして長く時間を過ごすほど愛着が湧くのだろうと思いました。ウィングチップリーガルとエンブロダイリ―パンツの差は30年ですものね!ぼくも手元にある靴を手入れしながら末永く付き合い、そして永く共に過ごせる靴を見つけていきたいという気持ちを再確認いたしました。

フレアパンツとウィグモアの組み合わせに目を惹かれました。
今となっては少々恥ずかしい話なのですが、一時期70年代のヒッピーテイストな格好を好んでいた時がありました。その名残か今はほとんど穿いていませんがフレアパンツはいまだ好きなシルエットなのです。緩くフレアがかかったパンツにはやはりウィグモアやスリッポンあるいは細身のプレーントゥが合うと思っていたので、間違っていなかったと嬉しい気持ちです。

往年のサンローランばりの(ぼくの勝手なイメージですが)千鳥格子の緩いフレアパンツとのラペルの太いジャケットのセットアップを持っていますので、久しぶりにぼくもコーディネートを考えたくなりました。それはウィグモアあるいはそういったテイストの靴が欲しくなってしまったということになります(笑)

decoy様

奇遇と言いましょうか、当方もサンローランのイメージを思い浮かべながらフレアーパンツの写真を撮りました。実はフレアーパンツも何本か所有していて時々逢えて履いてみることがあるのですが、その時に合う靴が中々難しくて困ります。

目下はウィグモアが一番最適ですが、ストレートキャップあたりも合いそうな気がします。今度フレアーパンツの着こなしを特集してみようかと思い始めたところです。今後も色々と情報交換をさせて下さい。

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