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2013年8月 3日 (土)

After the next(bespoke sample)

この夏のパリ旅行は郊外の散策がメイン。ノルマンディまで足を延ばす予定だが、ロンドンへも1泊の小旅行を計画している。勿論移動はユーロスター。最近フランスとスペインで鉄道事故が起きたばかりだが「事故が起きた直後は安全」だろう。それにユーロスターなら朝パリを出て2時間30分でロンドンに着く。1等は勿論2等でも飛行機より断然快適だ。着いたら直ぐレンタカーに乗ってロンドン郊外に出発、翌日パリにリターンする前に少しだけ賑やかなピカデリー界隈を散策するつもりでいる。昔はロンドンで随分買い物をしたが、今や旅の楽しみは別にある。

唯一ロンドンではクレバリーを表敬訪問しようと考えていたが、9月の最初に東京で会う予定もあるのでまたの機会にした。ロイヤルアーケードの狭い店舗もすっかりご無沙汰だが、いつかまたゆっくりと訪れる機会もあるだろう。ところで、そのクレバリーだが最近は日本だけでなくアジアでも順調なようだ。既に香港・シンガポールのトランクショウもレギュラーになり、この前はアジアのリッチ層に応えるべくダイヤモンド入りの革素材まで用意していた。新しいサンプルも毎回用意するなど時の勢いを感じる。そこで今回はこの春のトランクショウから今のクレバリーの様子を伝えようと思う。

1.次の注文靴のサンプル

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今仮縫いを待っているのが右のピッグスキンカジュアル。アンソニークレバリーがBaron De Redeの為に作った中の1足だ。この角度からは見えにくいが中央のバンド脇から両サイドに斜めの切り返しが入っている。これが単調になりがなローファーのデザインに変化を与えているようだ。つま先の美しさとともにたまらず注文した。一方左はイミテーションのフルブローグ、こちらも紐靴ながら美しさは別格。ブラインドウェルト仕上げと相まって実にエレガントな紐靴に仕上がっている。

2.コンビネーション

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どちらも履き口前部のバンド部分に異素材を用いられたコンビ靴。左はシャークスキンのアッパーにアリゲータのバンドを、右はブラックレザーのアッパーにリザードのバンドを配している。特に右の黒靴は一見パテントレザーと見紛うばかりだが履き口あたりの革質からみるとカーフだろう。フォーマル時に履いてみたくなる美しさだ。一方左も通常の革素材にないシボ感が独特なことに加え、アリゲータのバンドとタッセルが付くことでより個性が際立つ1足に仕上がっている。

3.バックルシューズ

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こちらは新作のバックルシューズ(右)と以前注文した靴のサンプルでもあるアンソニークレバリー作のアリゲータカジュアル(左)。新作の方はサイドバックルにこのところクレバリーが得意としているプレーンなつま先が特徴。つま先自体のシェイプが美しくないと格好良く見えない。一方左のバンドオーバーカジュアルは件のBaron De Ledeのコレクション。アンソニークレバリートゥの流れるラインとカーヴしたバンドにゴージャスなアリゲータ素材、改めて見てもエレガントな1足だ。

4.レアマテリアルの靴

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左は2アイレットのプレーントゥで素材はエレファント。スコッチグレインのような表面が揃ったシボとは異なる不規則な皺や筋が如何にもエキゾチックレザーといった感じだ。機会があればぜひ作ってみたい。一方右はこちらも昔作ったスペクテイターの基になったサンプル。典型的なラウンドトゥにスワンネックのコンビが新鮮で他のビスポークメイカーも参考にするデザインだ。特に白い部分が貴重なホワイトバックスで、汚れるとチョークで白い部分に粉を塗り込み白さを保っている。

5.レプタイルシューズ

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こちらはレプタイル使いの短靴。左は6アイレットでレースステイが角張ったデザインのアデレイド。つま先のキャップ部分とレースステイ部分はオストリッチのレッグ部分を使っている。一風変わった素材の組み合わせと新しいデザインを用いた1足はとても魅力的だ。一方右はアリゲータのハーフバンド・カジュアル。こちらは仮縫い靴のようで、最近アリゲータ素材での注文も多いらしい。当ブログでアリゲータ靴の注文や情報を提供した効果も多少はあるかもしれない。

6.ホールカットとアンソニクレバリーのサイドガセット

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左はホールカット、勿論シームレスヒールで完全にワンピースのアッパーを用いたエラスティックサイドシューだ。このシンプルなデザインが気に入ってオーダーした人の話では「ホールカットだけあって履き口はデリケート」らしい。一方右はツリーが青色に塗られたMTOのアンソニークレバリーライン。アリゲータ使いのキャップトゥサイドエラスティックで、E.グリーンが制作を請け負っているようだ。尤も素材がビスポーク級なので、既成のファクトリー製には見えない。

7.ニューデザイン#1(その1)

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外羽根のキャップトゥだが一番の特徴は外羽根の縁取りにパープルの細革をあしらい、敢えて見せるようにしているところ。キャップ部分の重なりも通常とは異なる仕上げで小さな穴飾りが一文字に走っている。つま先のデザインはスマートラウンド、アンソニークレバリーのラウンド版という雰囲気もある。本来は外羽根のキャップトゥというカントリー調のデザインだが、黒カーフ使いとシンプルなデザインはフォーマルな印象を受ける。エレガントなダービーというのも新たな試みの一つだろうか。

8.ニューデザイン#1(その2)

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外羽根部分のウィングを横から見ると個性的なデザインが良く分かる。重ねた羽根部分のパーツを取り巻くようにパープルの縁取りが目立つ。一方、ヒールカウンター部分にも同様のパープルラインが見える。黒と紫の色合わせは高貴な印象を与えるそうだがなるほどと思う。加えてこの靴、外羽根の紐靴なのにベヴェルドウェイストで仕上げられている。くびれたアーチと流れるライン、シンプルな穴飾りは今までのクレバリーとはずいぶん違う印象を受けた。

9.ニューデザイン#2(その1)

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こちらは一見Vトップの英国調エラスティックサイド、しかしよく見るとサイドレースというラテン風の味付けがなされている。特にイタリア靴に見られるシャドーステッチがつま先のW部分やシューレースの周りにU字型に入っていて、英国靴らしくない面構えだ。甲が深いのが特徴で、エラスティックならばフィットも快適だろうが紐靴だと難しいのではと想像する。Vトップ下の8方位状パーフォレーションは既成のロブ・パリやE.グリーンでお馴染みだが、今までのクレバリーにはなかったスタイル。

10.ニューデザイン#2(その2)

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踵部分はシームレスヒールにして、その分ステッチを踵の内側にずらす。ボノーラやメッシーナでよく見かける製法だが、スキンステッチで仕上げるのを知ったのはアムズベリーの靴だった。それを参考にフォスター&サンのカジュアルに取り入れたことがあるが、クレバリーのサンプルはステッチそのものをヒールカウンターのラインと見紛うばかりにカーヴさせて仕上げている。この写真からは深く抉られたベヴェルドウェイストやパープルのライニングも写っていて、かなり凝った仕様の靴だということが分かる。

クレバリーは英国のビスポークシューメイカーだけあってオーソドックスなビスポークシューズ作りは長い経験がある。加えて像革や河馬革、オストリッチやマウンテンラムなど珍しい革を単体またはコンビネーションにしてクラシックな英国靴に乗せるのも巧い。最近はデザインでも今までの英国調から一皮むけたような新作を披露したり、MTOのアンソニークレバリーラインを用意したりと積極的だ。1998年に初めて注文した頃には考えられなかった程バリエーションが広がっているのを感じる。

顧客が増えると中にはアバンギャルドな靴を注文する人もいる。それがまたクレバリーの手にかかると何とも言えず格好良くなるから不思議だ。昔は長く履ける仕事用の靴を多く頼んでいたが、仕事用の靴が揃った今では心躍る楽しい靴が欲しい。クレバリーでのオーダーも現在27足、秋には仮縫いが待っているがAfter the next即ち次の次はどうするか。コンビか、新しいデザインか、はたまたアバンギャルドなものにするか…今から迷っている。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

管理人様

ご無沙汰をしております。
毎々楽しく拝見させていただき、ありがとうございます。

エレファントレザーの靴はマルモラーダのみで短靴を見たことが無く、レアですね。
確かワシントン条約で、Valextraのエレファントも輸入不可だった時期があった気がいたしますが。

エキゾチックレザー含めサイテスが必要なものを海外から送付して貰う際は、いかがされていますでしょうか。

管理人様の新しい物、旅行情報、所有されています物、また是非ご紹介をお願いいたします。

Shige様

こちらこそご無沙汰しています。コメントを有難う御座いました。

エレファントの靴はオーダーしてみたいなという誘惑にかられることがありますが、ついつい無難なピッグスキンやバックスキンをエラんでしまいます。

今はロンドンから戻ってパリにいます。ホテルはWi-Fiに接続出来るのでこのコメントを書いています。今日のパリは雨模様なのでショッピングでも楽しもうかと思っています。

残念ながら欲しいものはあまり無いのですが…。ウェストンの店にちょっと寄りましたが靴の値段は据え置きだったようです。

昨日までいたロンドン、サビルロウはあまり活気がなく、ショッピング街も観光客は多いもののブランドものの買い物袋を幾つも下げる姿はありませんでした。


管理人様

旅行中でいらっしゃったのですね。
円安からも観光客の買い物は、銀座のほうが今は盛んな程かも知れませんね。

エレファントシューズは確かに奇をてらっている感があり、また美しいか否かは判らないところです。

ウェストンはパリからプライスリストをe-mailで送って貰う度に値上げをしている印象でしたが、据え置きとは売り上げが芳しくないのかも知れませんね。

相変わらず天気の良くない日の多いエリアのようですが、ご旅行お楽しみ下さい。
またご旅行のアップを楽しみにさせていただきます。
宜しくお願い申し上げます。

Shigeさん

確かにShigeさんの仰るようにエレファントの革が靴に適した素材かどうかは微妙です。珍しさを主張できる環境に身を置いている業界人ならばいざ知らず、普通に靴を履く事が当たり前の仕事に就いている人(もちろん自分もそう)にとってはエレファントの靴を履いて出かける環境が中々思い浮かびません。

ただ靴フリーク(自分も少しその気があります)には興味をそそられる存在でもあります。仕事に付かなくても良い年齢になったら履いてバカンスに出かけたい気もします(笑)

パリは服飾関係を離れての旅行だったので特にブログにアップする話がありません(汗)。今回はコルビジェの建築物を見に行ったり、ノルマンディ地方とブルターニュ地方の境目にあるモンサンミッシェルに出かけたり、フランス料理を楽しんだりと今までしなかったことばかりしてきました。

ウェストンはお付き合いで寄ったので試着もすることなく終わりました。ネクタイすら買わない、そんな旅も初めてでしたが最高の思い出ができました。

お帰りなさい。今回は史上最大の作戦と言われた、ノルマンディーへも行かれたんですね?毎年連合国(第二次世界大戦)のお偉いさんたちが記念式典をいたします。一昨年は当時の敵対国ドイツも招待されたとかお
正直敗戦国の日本人としては良い印象を感じる
土地でありませんが、今日は終戦記念日。こうして平和であるからこそこのような素敵なブログ拝見出来て書き込み出来ます事に先人たちに感謝する日なんですね。
追伸、管理人様の黒のブルッチャーの外羽根のラベンダーカラーの縁取り拝見しておりますと所有しておりますアランフラッサーのマット仕立てのヒールの前面に縁取りされた物を思い浮かべました。色はもう少し赤みがかったラベンダーですが。今回初めてタブレットからの書き込みです。パソコンのキーボードとかってが違い倍以上の時間費やしました。(笑い)

すみません。名前記載するのを忘れておりました。私は、先日眼鏡を買い増しました。勿論マサキマツシマです。今回はかなり迷いました。このブランドを置いてある店、眼鏡本舗は県内に5店舗を展開いたしております。同級生が主任です。とにかくかっこいい眼鏡ですから購入するまで約半月の時間を費やしました。
前回はハーフリム(上半分フレームでナイロン紐でレンズを吊るタイプ)でしたので今回はフルフレームか上部だけフレームかと悩みましたがやはりハーフリムに決定しました来週20日は小倉へ参勤交代です新しい眼鏡かけて行って来ます。

浦野亮祐様

返信が遅れて申し訳ありませんでした。帰国後はすぐに田舎へ墓参りに行っていました。早朝、深夜を活用しての移動だったのでUターンラッシュに殆ど巻き込まれずに帰郷することが出来ました。

ノルマンディ地方はパリの料理とは違ってシンプルですが中々美味しかったです。それとどこに行ってもワインを飲む習慣があって、夏はビールという日本の習慣が少し変わりました(笑)

タブレットからの打ち込み、慣れるまでは大変かと思いますが私も少しずつ慣れてきました。建築現場ではタブレットが大活躍と日経に書いてありましたが、私もタブレットの有効性を海外で再認識しました。

あとは通信費が高いのは何とかならないものでしょうか?特に海外ではモバイルデータ通信をオフにしてWi-Fi接続だけにしていましたので本来の機能を十分に活用できなかったのが心残りです。

浦野様も眼鏡を新調されたのですね、私も最近誂えたのですがリーディンググラスは今や必需品になっています。自分に合った度の眼鏡はビスポークと同じ、いやそれ以上に欠かせないものですので大いに迷うのは私もまったく同じでした。

小倉参り、また楽しいお話をお聞かせ下さいますことを楽しみにしております。

お忙しいなかに心暖まる返信に感謝いたします。さ来週になりました豊前小倉への参勤交代ですが交通機関は恒例の出島号です。こんかは昨年9月同様に上着なしでのコーデネト、会場は定宿の北九州ホテルプラザ二階です。一緒に食事するおあいては六月に三次会で行きましたお店の若いスタッフ、正直メールや携帯で話するんですがお恥ずかしいながらお顔は覚えておりません!ただ翌日メール頂き、次回小倉に来たら一緒に食事しようと言ったのでそ女性です。服装はJプレス、ゴルフの青色のポロシャツ、パンツはBBの白色のインタック綿パン、同じくブルックスの綿のベルトに夏しか履けない一昨年岩田屋のポロショップで購入しましたヴァンプが麻仕立てのイタリア製のコンビローファーで出陣いたそうかと考えております。

浦野亮祐様

早速の返信有難う御座います。

青のポロシャツに白のコッパン、ポロシャツの裾に隠れてしまうとはいえブルックスの綿ベルトで着こなしに抜かりはなく、最後の締めくくりが麻のヴァンプが映えるローファー。とてもお洒落なサマーカジュアルだと思います。

見目麗しき女性の同伴ですから、今から楽しいひと時になりそうな予感を感じられているのではないでしょうか(笑)

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