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2013年8月24日 (土)

Foster & Son Trunk show 2013

前回のブログでもお伝えしたが先日、フォスター&サンのトランクショウに出向いた。ブーツの中縫いを終えた後は色々なサンプルを見ながらロンドンの様子や日本の様子などあれこれ会話が弾んだ。ビスポークの楽しみは靴の注文だけでなく職人とのやり取りにある。特にフォスターの担当が日本人の松田さんということもあって余計に話が弾む。ここで急に円安になり、海外のビスポーク価格もはどこ高くなってきているが、フォスターでは顧客は絶えず、今回も仮縫いへの対応で多忙なようだ。

トランクショウに用意したサンプルはテリー・ムーアが在籍時よりも前のものやテリー在籍中のもの、あるいは最近作られたものまで色々だが正統派の靴が多い。クレバリーが珍しい革やデザイン、コンビネーションの妙で新境地を開いているのとは対照的だ。レースアップ中心でカジュアル(ローファー)は少ない。黒のフルブローグなど思わず手持ちの英国スーツに合わせたくなる程美しい。そこで今回はトランクショウの様子を中心にフォスター&サンの魅力を紹介しようと思う。

1.テリームーアが在籍するより以前のサンプル

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どれも正統派の紐靴。つま先はセミスクェア、ラウンド、スマートラウンドとバラエティに富んでいる。フォスターでは黒革の退色した雰囲気が独特で、敢えて新品の革にブリーチをかけアンティークフィニッシュをお願いすることもできる。友人がこのサンプルを見てリクエストしたのも頷ける出来栄えだ。個人的には中の2足が気になった。最近ローファーばかり履いていたので黒の紐靴に心惹かれているからかもしれない。

2.スマートラウンドのフルブローグ

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以前、ジョンロブ・ロンドンのスマートラウンドフルブローグを見てその美しさに驚いたが、このフォスターのサンプルも負けず劣らず美しい。Wのウイングをレースステイ寄りに被せ、つま先のパーフォレーションを広くとることで、フルブローグの持つ「男の靴」を強調しているようだ。ダークグレーのストライプスーツに合わせて、ブリッグやフォックスの黒こうもり傘を肘にかけなが歩く姿を想像してしまう。

3.セミブローグ

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以前注文したセミブローグのサンプル元になった靴。ラムズホーンのトゥデザインが好きで、フォスターでは早くも2足目にこれと同じものを頼んでいる。後にヘンリープールのディビットというカッターが来日した時に会った際、彼もまた靴が好きだったこともあって、当方のフォスター謹製セミブローグを見た途端「とてもいい靴だ。」と褒めていたことを思い出す。彼はジョンロブを履いていたがフォスターも決して負けていなかった。

4.セミブローグ(その2)

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こちらはやや幅広のセミブローグ。つま先のパーフォレーションは外羽根式のフルブローグで使われたもの。フォスターでは昔のヘンリーマックスウェルのパーフォレーションなど様々なトゥデザインをストックしているそうだ。それにしてもブラックアンティークが見事なこのセミブローグ、ベルルッティの担当者が他のフォスターをリサーチに来たというが、この靴や飴色のアンティーク靴を見て大いに参考にしたのではないだろうか。

5.ダービープレーントゥ

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ダービーシューズながらアイレットが少なくVカットの外羽根の靴はフォーマルな印象を持つ。ちょっとしたパーティならばダークブルーやダークグレイのスーツに合わせて十分通用しそうだ。その代わりビジネスで履くには少々エレガント過ぎるかもしれない。トゥは典型的なラウンドで幅も広いが、これはこれで中々格好良い。スクェアトゥを履く機会が多いせいか、最近特にラウンドトゥが気になる。

6.テリームーア在籍時のサンプル

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テリーが在籍時の靴はラウンドトゥが多い。右から2足目グレーバックスキンとブラックカーフのコンビネーションはいつか作ってみたいコンビ靴の一つ。一方右端の靴はパーフォレーションに特徴がある「トーマス」という名のオリジナル。今はテリー・ムーアも完全にリタイアしたようだが、現役時代にラスト作りをお願いしておいて良かった。彼のラストで作ったやはり靴は一番格好良い。

7.トーマス

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一見アデレイドのようなパーフォレーションだが、履き口の縁をかすめた後、ラインは徐々にカーブを描いていて踵の下部に降りていく。そのデザインが個性的で他のブログでも紹介されていた。カフェモカのような革の色合いは独特で、ジャケット&パンツに重宝しそうだ。つま先はシンプルなパンチドキャップトゥだが、大きめのトゥキャップがフォスターらしくもあり、靴全体を細長くよりスマートに見せている。

8.サドルオックスフォード

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いつか作りたい靴の中に入っているサドルオックスフォード。初めて見たのはエドワード・グリーン製のもので、確かロイド・フットウェアだったと思う。今作るなら写真のようなコンビネーションが欲しい。クレバリーではロシアンレィンディアとのコンビが有名だが、フォスターで作るとしたらカーフのサドル部分をグレインレザーやクロコダイルにするというのも良さそうだ。

9.セミブローグダービー

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こちらはヘンリーマックスウェルのサンプルだろうか。比較的ノーズの短いセミブローグダービーはジョンロブのバラル(BARAL)と似た雰囲気もある。つま先に飾られたパーフォレーションはラムズホーンと王冠を組み合わせたような見たことのないもの。興味のない人から見れば違いなど判ろうはずもないが、靴のデザインを含め、細部にまでこだわる靴好きの人にとっては興味の的かも知れない。

10.最近のサンプル

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こちらは比較的新しいサンプル2足。どちらもダービーだが、左のパンチドキャップトゥは外羽根部分の革の重なりが上下逆で、イタリアはシルヴァノ・ラッタンジが作るヴェンティ・ベーニアとよく似ている。一方右は3アイレットのフルブローグで外羽根が短い分、よりロングノーズに見える。面白いのは外羽根両側のパーフォレーションラインで、7のトーマス同様弧を描いてヒール下部まで続いている。

1996年に初めてジョンロブ・パリにオーダーを入れてから間もなくビスポーク歴20年を迎える。その間毎年1足ずつ、あるいは1着ずつ靴やスーツをオーダーしたとしても、既に十分なワードローブが揃っているはずなのに、こうして素晴らしいサンプルを見ているとまたぞろ注文したくなってくるのがビスポークの魅力。注文の間隔を空け、受け取りまでじっくり構えるのが良さそうな気もする。

1990年代中頃から始まった日本の高級紳士靴ブーム。既にあらゆるメイカーの靴が手に入る日本だが、当時の流れは次第にビスポーク靴にも及び、多くの若い靴職人が生まれた。今や日本の靴職人は世界に引けを取らないまで成長していると聞く。依頼する自分に昔のような情熱が失せつつあるのが残念ではあるが、ロンドンで馴染みの靴屋だけでなく日本の職人が作る名靴にも触れつつ、着こなしを楽しめたら思う。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、
さすがFosterですね。管理人様が取り上げている2や3の画像の靴は特に素晴らしい。どちらかといえばラウンドトゥが好きなので、2のフルブローグはそのまま買い取りたいくらいです。ただ、これほどスマートなスタイルだと、ヒールはピッチドヒールか、と思うのですが実際はどうなのでしょうか?
昨日から首を寝違えてしまい、仕事が憂鬱だったのですが、良い靴を拝見できたおかげでなんとか今週もやっていけそうです。感謝しています。

うわぁどれも素晴らしい靴ですねぇ。特に1はどれも好みです。1の右2足は結構幅広足のように見えるんですが、こんなにもかっこいいラインが出るんですかねぇ。
私は幅広足なもんで、こんな靴が作れる工房なら一度だけでもお願いしてみたいなぁ。
アッパーのブリーチ加工は福田洋平さんも受けてくれますね。ソールも木目調に仕上げてくれたり。フォスターみたいな老舗がやってたんですね。

テリーさん在籍の画像は1と比べると、甲の立ち上がりの自然な感じなんかが。サンプルとしての演出というより、足に合わせるんだという思想を感じますね。画像見る限り、右端なんか男の靴って感じで、ちょっとアレンエドモンズが頭を過ぎりましたw

れの様

細かくは見てきませんでしたが、2のフルブローグは恐らくベヴェルドウェイストでピッチドヒール仕様ではないかと思います。私も思わず、「格好良いなぁ〜。」と唸ってしまったほど素晴らしい靴でした。

もう所有しているのに黒のフルブローグをフォスターで作りたい衝動に駆られています

通りすがりのチワワ様

1の写真というとテリー在籍前の4足ですね。確かに左端などかなり幅広なのに格好良く見えます。何だかマジックみたいですね。

ブリーチは比較的新しい技のような気がしますが、ひょっとしてアンティークフィニッシュが流行った頃か、ベルルッティのパテーィヌが流行った頃生まれたのでしょうか?そしてロンドンの靴養成学校あたりの若い世代から広まったとか…(笑)想像です。

6のテリー在籍時のサンプルは担当職人さんが「レースステイ部分を短めにとるのが特徴…」といったように話していた気もしますが、どれもバランスが良いという印象を受けます。

右端のトーマスもそうですが、フォスターはキャップを大きめにとるのが特徴なのでしょうか、それが絶妙で靴を細長くスマートに見せているのかもしれません。

レースステイを短めにとってるんですか!へぇー。気づきませんでした!
レースステイを短めにすることで爪先からレースステイまでの面積を長くして、パターン上で長くスマートに見せてるのですかね。

管理人さんがおっしゃる通りキャップのバランスが絶妙ですよね。キャップトウって目立つ足先を真っ二つに通るラインのせいかバランスが悪いと凄く目に着きますよね。
切り替えし位置が短すぎると寸詰まりや、間延びしてみえたり。逆に長すぎると何故か下品に見えたり。こーゆーパターンの良さにも老舗たる所以を伺えますねー。

通りすがりのチワワ様

客にはわからないバランスの比があるのでしょうね。老舗は多くの足を見てきた経験が蓄積されているはずですし…。

靴作りは本当に奥が深いなと思います。

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