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2013年7月 6日 (土)

Bespoke archive05(Cleverley21~26)

ロンドンの名店クレバリーとの付き合いも今年15周年を迎えた。今まで4回に渡って紹介してきたビスポークアーカイブも今回で一区切りとなる。今27足目を注文中で、節目の30足まであと3足、前回も書いたが今のところ、ブーツとレースアップ、それにスリッポンを予定している。今後、どんな靴を注文しようか考えた時にアーカイブさえあれば、デザインやスタイルであまり迷わず靴を注文出きるのではないだろうか。

今回紹介する直近のオーダー靴6足は21足目のスェードと25足目のブーツ以外全てスリッポン。如何に怠け者かがよく分かる。昔は「ビスポークはフィット感が肝、フィッティングが曖昧なローファーは既成で。」などと思い込んでいたが、誂えたローファーは既成の名品ロブパリのアシュレイやブルックスのオールデン製ペニーより遥かに履き心地がよく格好も良い。そこで今回は既成靴とは次元の違うビスポークのローファーを中心に最新の靴を紹介しようと思う。

* Cleverley Bespoke Archive(21~26)

01

右端から21足目のタバコスェードアデレイド。続いて順にアリゲータ素材のフルサドル、ハーフサドル、タッセル、趣向を変えてノルウェジアンコンストラクションのブーツ、一番左が再びハーフサドルのローファー、ただしラウンドトゥに変更している。ブーツ以外、どれもよく履いているがその分つま先の減りも心配だ。実はローファーの注文時に「つま先にメタルトゥチップを付けては?」とグラスゴーに聞いたところ「ヘビーなつま先は履き心地が悪くなる」ということで取り止めた経緯がある。

21-01 Tobacco Brown Suede Adelaide

02

アンソニークレバリーラインから参考にしたデザインの靴をビスポークで作ったもの。前回の20足目と素材以外は全く同じだが色目が明るいとパーフォレーションが良く見えて印象ががらりと変わる。つま先の形状、ウェルトの出し縫いやウィールの刻みなど、クレバリーの中では一二を争う丁寧な作りが特徴。

21-02 Shoe inside & Toe Design

02s

インサイドのアーチ部分は皺もなく綺麗に釣り込まれている。台の上に置いた時ヒールの接地面がピタリと床に着かないのは相変わらずだが、この頃になると昔とは随分作風も違ってきている。つま先のパーフォレーションはアンソニークレバリーラインでよく使われるもの。やや小ぶりなデザインが特徴。

22-01 Light Brown Matte Alligator Full Saddle Casual

05

クレバリーで初めてのローファー。フルサドルのデザインは元々ローリングストーンズのチャーリーワッツがオーダーしたもの。オリジナルはブルースェードと黒のアリゲータによるコンビだった。カタログの写真を基に素材をマットなゴールデンアリゲーターに替えて注文。完成時に磨きをかけているのでマットな感じはだいぶ失われているが存在感は強烈だ。

22-02 Shoe inside & Pick Stitch on Apron Hem

05s

フルサドルのバンドがアーチ部分いかかっているのでアーチの綺麗なカーブは見えにくいが仕上がりは良好。斑の小さなアリゲータースキンを先頭に、徐々に斑が大きくなっていく様子が横から見ると良く分かる。フィッティング時に対応したレッパネンによれば「エプロン部分のピックステッチ仕上げは非常に難しく手間のかかる仕事」とのこと。ともかく仕上がりが気に入って暫くはローファーのみ注文しようと思うきっかけとなった画期的な1足だ。

23-01 Reddish Brown Matte Alligator Half Saddle Casual

08

フルサドルのローファーに続いて注文したのがハーフサドルのローファー。こちらはアンソニークレバリーラインで、アレクシス男爵のコレクションからデザインを参照した。但しエプロン部分のステッチはオリジナルがロールステッチだったのに対して前作同様手間暇のかかるピックステッチをリクエスト。仕上がりも同じように美しく、クレバリーのクオリティが一気に上がったような気がした。

23-02 Shoe Inside & Toe Shape

08s

横から見ると斑の小さな部分を踵に使用し、通常とは逆につま先に向かって斑が大きくなるようパターンを取っている。エプロン部分のパーツも元々はサイドと繋がっていたものをいったん切り離し改めてピックステッチで縫い合わせているので見事にアリゲータスキンのスケールが揃っている。このあたりは素材をふんだんに使えるビスポークならでは。例えウェストンのクロコローファーであってもこうはいかない。

24-01 Tassel Slip-on "The De Rede" by Anthony Cleverley

11

ローファー3作目はやはりアレクシス男爵の注文したコレクションを参考に作らせたタッセルローファー。細いロールステッチが印象的で、この部分をピックステッチでと要望したがデザイン的に難しいとのことだった。タッセルの紐がメッシュ状に編み込まれていて、フェイクではなく本当に履き口の周りを1周している。こうした部分は既成のアンソニークレバリーラインでは見られないもので、両者を見比べた伊勢丹の担当者が驚いていた。

24-02 Shoe Inside & Tassel

11s

踵のシーム以外縫い目のない1枚革で作られたタッセルローファー。明るいアリゲータスキンは勿論マット仕上げ。日焼けした肌によく合う色目だ。タッセル部分はアッパーと同じアリゲータスキンを使って房状に仕上げたもの。こうした細かな作りが全体に影響する。クレバリーではローファーは全てベヴェルドウェイスト仕上げが標準。フォスターがスクェアウェイスト仕上げなのとは好対照だ。

25-01 Norwegian Welted Country Boots

14

秋冬のオーダー時期だったこともあって初めてのブーツを注文。アンクル上の足首回りや踵からの高さを追加で計測して作り上げたもの。デザインはシンプルなキャップトゥだがピッグスキンとのコンビであることや強烈な個性を放つゴイサー(ノルウェジアン)のステッチがウェルト部分を走るのが大きな特徴。およそクレバリーとは思えない武骨な作りだ。これをコードヴァンで作らせた顧客もいるようだが恐らくは同じ時期の注文だろう。

25-02 Boot Inside & Norwegian Stitches

14s

横からみたところ。E.グリーンのドーバーで有名になったスペードソール(正しくはハーフミドルソール)を指定。つま先部分からはメタルトゥチップが埋め込まれたハードなソールに見えるがウェスト部分はハーフインチのソールなので屈曲性は充分、履き心地は見た目よりもソフトで長時間の着用も問題なさそうだ。ストームウェルトとよく似た感じのウェルト部分は英国の靴とは思えない仕上がりになっている。

26-01 Burgundy Matte Alligator Half Band Casual

17

目下最新の靴は再びハーフサドルのローファー。ただしつま先をラウンドにしたのが大きな特徴。マットなバーガンディのアリゲータースキンを使用したが、仕上げに磨きをかけているので中途半端な光沢を放っているのが気になるところ。フィッティングはかなりきつめで徐々に履き慣らすことが必要だろう。白のコットンパンツに合わせて夏に履きたいので手を使って靴をウェスト部分で曲げたり踵を広げたりと既成靴の時と同じ儀式を行っている。

26-02 Shoe Inside & Toe Shape

17s

クレバリーにしては珍しく平らな部分い置いた時踵がぴたっりと地面に着いている。横から見た感じではヴァンプがやや短く、女性の靴のような雰囲気もある。斑はつま先から踵に向かって大きくなる定番の合わせ。ウェルトのウィールが斜めに走るのがアウトワーカーの特徴でタッセルローファーでも同様なことから同じ職人が対応したのだろう。個性的ではあるが次は通常なものにしてほしい。

クレバリーのアーカイブもここで一区切り、この後はピッグスキンのローファー、サドルオックスフォード、セミブローグブーツ、コンビローファーでめでたく30足となる。これから生涯履く靴の数を考えると既に必要な数を超えているが、幸いなことに靴もまた年月を経るとアンティークとしての価値が出てくる。昔の靴ほど作りが良いというのが今後も続けば今の靴も後世では素晴らしい作りになる可能性もある。リタイアしても靴の行き場はあるだろう。

恐らく男女を問わず多くの人が「必要な数より多くの靴が自宅にある」のではないだろうか。それは靴が装いの要になっている何よりの証拠。厳選された靴を大切に履く生活に今も憧れているが、気にいった靴を履きたいと思う別の心もある。同じ黒靴でもセミブローグが気分の日もあればシンプルなパンチドキャップトゥが履きたい日もあるということだ。全てのデザインとはいかないが、範囲を決めてその中で靴を履くお洒落を楽しみたい。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

管理人様

ビスポークのアリゲーターローファーは、まさに大人の靴ですね。素晴らしいです。

靴は何足あればいいとかシャツは何枚とか書かれた本もありますが、それはもう人それぞれで、その量もバランスも含めての服飾のスタイルだと思います。

少し前の断捨離ブームで大切な物まで処分して、後悔している人も多くいると聞きます。私はそれを片付けられない言い訳にしているのですが(笑)

PMT様

早速のコメントを有難うございました。

アリゲーターの靴はウェストンの既成でも存在感があるのですが、これがビスポークになると更に魅力的です。それを普通のローファーとしてチノパンと合わせて履くのが目下のお気に入りです。

昨日、たまたま新宿の伊勢丹でウェストンのアリゲーターローファーを見ましたら値段が40万円を超えていました。私が去年パリで購入した時は現地価格で20万円ほどでしたから日本の価格は関税がかかっていたとしても驚異的です。ともかく円安になるとすぐに価格に跳ね返るのに円高の時は殆ど価格が改定されないのは何か構造的な問題があるのでしょう。

話は変わって、ワードローブについては確かにメンクラなどでも「これだけあればよい!」といった特集をしていたのを思い出しました。それでも欲しいものは未だにちょくちょく出てくるのですから人間の物欲やお洒落欲は深いものだということが良く分かります。

もっとも、「お洒落心を失うと人は一気に老いていく」とも聞きますので、何時までも良い意味で人の目を意識し、周囲と調和しつつ自分の個性を発揮できるお洒落を楽しみたいと思います。

断捨離ブームの時、確かに色々と処分しましたがまだ大切なものは手元に残しています。PMT様の言い訳を自分も参考にしつつ収納の工夫でもしようかと思いました(笑)

「おしゃれ心を失うと人は一気に老けて行く」管理人様がおっしゃる通り、
正にその通りだと思います。その為にも良い物を所有して且つ、メンテナンスを施しそして時々には買い足していけばと思います。
追伸 水曜日10日は友と恒例の飲み会です。今回は当社が施工しております寺院の納骨堂工事に協力してもらってる業者さんも含めて6人でホテルのビアホールです。もちろんその後女性が6~7名在籍のスナックで二次会です。先ほどメールを入れてボックスの確保はOKです。
私はJプレスゴルフのポロシャツにBBのオフホワイトの綿パン、靴は一昨年購入しましたヴァンプが麻仕立てのイタリー製のRLのコンビローファーで決めようと思っています。

浦野亮祐様

コメントを有り難うございます。

良いものを手に入れ、手入れを怠らず、時々は買い足してというのが、正にお洒落の王道。このところ意識して買い物を控え手持ちのアイテムでお洒落を楽しもうとしていましたが、先日ちょっとした買い物をしてしまいました。近いうちに紹介できればと思います。

さて、恒例の飲み会もビアホールで暑気払いその後がメインのスナックで美女を交えた歓談ということでお洒落のし甲斐もあるというもの。麻と革のコンビローファーが人気を集めそうですね。

昨夜はかなり飲んできました。本当に気の合う仲間と飲むビールは最高でした。上着を羽織るのにはやはりポロシャツよりもBDと思いクローゼットより懐かしのGANTの柄が大きめのマドラスチェックのシャツを着ました。
そして私ごとですが今日以前コートの件で書き込みしました避暑地雲仙のロープーエイがあります仁田峠改良工事を落札金額、八千七百万円で当社が落札しました!!吉報を聞いて暑さも吹っ飛びました(笑)

浦野亮祐様

気の合う人達と杯を交わすのは何より楽しい時間かと思います。特に夏はビールで喉を潤す時の快感と相まって至福のひと時だったのではと推察いたします。

上着を着ることを考えてのマドラスチェックシャツ、トラッドな服装を愛好する人はいつも周囲と自分を意識して着こなしているのが特徴で、メンクラで教わったTPO(和製英語だそうですが)が身に付いているのですね。

そういえば私もここでマドラスチェックの半袖シャツを久しぶりに買いました。ブルックス(ブラックフリース)のものですが、到着しましたら紹介いたします。

雲仙の工事受注おめでとう御座います。仕事は平等に割り当てられるものではなく、忙しい人に回ってくるのが会社、企業も同じなのではないでしょうか。何より浦野様の会社が良い仕事をするからではないかと思います。

毎回の戯言にもきちんと返信して下さる管理人様に感謝申し上げます。忙しいところに仕事が来る!改めまして痛感いたしました。ところでBBのブラックフリースのマドラスのシャツ是非拝見させて下さい。

浦野亮祐様

今回はポロシャツとストローハットも一緒に購入しましたのでそちらもおいおい紹介いたします。

ストロ-ハット。日本語に直すと麦わら帽子。角川映画の(人間の証明)でストハ、ストハと言った意味が解らなくて最後のストローハットであるのが解ったようだったですね。そのストハ管理人様のエスパドリューと組み合わせると素敵でしょうね。

浦野亮祐様

流石は浦野様、人間の証明、ジョー山中でしたっけ、見た記憶がありますが、「あの帽子…」がストローハットには結びつきませんでした。

エスパドリュー、浦野様のお薦めに従ってこの夏はストローハットやパナマハットと合わせて楽しもうと思っています。パリのシャンゼリゼ大通りを闊歩してきますので後ほど報告させて下さい。

お素敵なブログにめぐりあいまして通常では話す事出来ない思いを書き込めますことに感謝申し上げます。先日お話出来ました鈴木様。出身が駿河のお国、掛川とか。掛川と申しますと関ヶ原の戦いの後に土佐27万石の城、主山之内一豊の居城があったと話しますとそれを我がことのように喜んで且つ、組み合わせがうまいと誉めて下さりました。これも全てにおいて管理人様のおかげであります。
お洒落な管理人様の事、パリでもストハ、エスパの組み合わせパリジェンヌの熱い視線が降り注ぐ事でしょうね。(笑)

浦野亮祐様

鈴木様との交流の輪が広がり、服飾談義のみならずご当地話で盛り上がって頂けるならばブログのコメント欄を細々続けてきた甲斐もあるというもの、我が事のように嬉しいお言葉です。

ストハにエスパ(笑)何やら韻を踏んだような組み合わせですが語呂も良くパリでは是非楽しんできたいと思います。

管理人様
浦野亮祐様

少々ご無沙汰してしまいましたが、こちらのブログは毎日チェックさせて頂いています。

管理人様のおかげで、浦野様ともお話することが出来、感謝しています。浦野様の会話の幅が広くお話することが楽しみでもあります。いろいろと勉強させて頂いております。

ランコート社、ローファーなどについては今のところ特に進展はありませんが、何かあればその際にはご報告させて頂きます。

今回、ラルフローレンのランコート社製のバックル(ベルト?)ローファーを入手出来ることになりました。管理人様のものとは違うのですが、ヴァンプ部分ではなく、ベルト部分がマドラスとレザーのコンビになっています。

今後ともよろしくお願い致します。

鈴木様

本ブログを通じて交流の輪が広がり、よかったです。これからもそんな機会を提供できるブログ運営を細々とではありますが続けて行けたらと思っています。

ランコート社が作っているベルトローファーもポロの本国サイトでセールになっていました。最終価格が190$位なので破格だなぁと思い、迷いましたが配送のことがあり、最後にポチッとはしませんでした。

セール時期はついついものを買ってしまいガチなので今更ながらですが、吟味することを心がけています。

フォスターでは正統派のサイドエラスティックやキャップトウなどの黒靴、クレバリーではアリゲーターなどを用いたローファーなどカジュアルな物が多い気がするんですがビスポークの際、靴のタイプによってクレバリーとフォスターは使い分けているんでしょうか?
またクレバリーとフォスターでは得意分野がかなり異なっているとお考えですか?

智則様

当ブログ並びへの訪問及びコメントを頂き有難う御座います。

クレバリーは正統派の靴も上手いと思いますが、ローファーが特に秀逸なので、今はカジュアル(つまりローファーなどスリッポン系)はクレバリーに、一方のフォスターは正統派の紐靴が素晴らしいのでそういった靴を注文しています。

どちらもプロフェッショナルな靴屋ですので得意分野はあるかもしれませんが、どのような注文にも真摯に応えてくれると思いますhappy01

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