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2012年12月 8日 (土)

Reefer-jacket(ピーコート)

リーファー・ジャケットと言われてどんなものか直ぐに思い浮かばない人も多いのではないだろうか。トラッド世代にはピー・コートと言ってくれた方が断然分かりやすいはずだ。外見は双子のような両者だがリーファー・ジャケットは英国式で原型、ピー・コートが米国式で後発とのこと。加えて末尾にそれぞれジャケットとコートという名詞が付くことからも分かるように両者には明確な違いがあるらしい。何でもリーファー・ジャケットの方がよりテイラードに近い素材や作りが特徴だそうだ。

もともとReefer(リーファー)とは帆船の帆を上げる水夫を、ピー・コートのPea(ピー)とは錨の爪の部分を指すとのこと。どちらもルーツは海、となれば色はネイビーが基本だろう。初めて買ったピー・コートも勿論ネイビーだったが今やグレーやブラック、バーガンディやキャメルまで色々ある。丁度最初のコートが退役したので、後継に元祖英国製のリーファー・ジャケットを指名、ただし色はネイビーに拘って探し求めていたところようやく名品に出会えた。そこで今回は新着のリーファー・ジャケットを中心とした着こなしを紹介してみたい。

1.リーファーのコーディネイト

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スーツの上に羽織るコーディネイトをと考えたが、袖筒が狭く着丈も短いスリムタイプ。そこでスーツよりもカジュアルな着こなしにチェンジ。シェル部分は上質だがマットな素材、せめてインナーやストール、ボトムスや靴に明るい色目を選ばないと重く陰鬱なカジュアルルックになってしまう。ここではオレンジのカシミアニットにペパーミント・グリーンのコーデュロイパンツ、ブラウンとパープルのチェックストールを羽織り、かなり色数を増やしてみたが、それでもジャケットの濃紺がかなり全体を抑えてしまうようだ。

2.リーファーのフィッティング

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英国ではナーバル・リーファーあるいは単にリーファーと呼ぶようだが、シルエットは今時のスリムなAライン。肩幅が狭いのでナチュラルショルダーのスーツやジャケットでないと肩部分が上手く納まらない。また袖筒も細くタイトなのでツィードのような地厚のジャケットは合わないはず。シャツとニットの上から羽織るかブラック・フリースのように着丈が短めのジャケットが合わせ易いだろう。ブラックフリースのブレザーを試してみたが、問題なくコーディネイトできた。

3.インナーのコーディネイト

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シャツはブルーとブラウンにイエローの入ったチェック、コートとの間にオレンジの襟付きニットを挟んでいる。靴を初めから茶系と考えシャツと共にストールも茶色の入ったものを用意した。年を重ねると次第に派手な色が気にならなくなるもの。買った頃は着なかった朱色のニットも最近はとても重宝する。1999年にコモ湖畔のセレクトショップで買った当時、店員がしきりにこの色を薦めたが、色を楽しむイタリア人らしいセレクトに従って良かったと思う。自分では中々買わない色だからだ。

4.スタイルとディテール

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マフポケットと呼ばれる斜めに切られたハンド・ウォーマーがついた身頃、外からは見えないが襟裏には着脱式のチンストラップも装着されている。アメリカのピーコートよりも襟が大きめのリーファージャケットは実際どちらも上にすることができるダブル前だが、一応右前合わせで留めるよう左身頃裏に留めのボタンが付いている。マフポケットは底が浅く、スマートフォンすら十分入らない。その代わりに身頃裏には大型のポケットが2つ、小型のポケットが下に一つ切られている。これがなかなか便利ではがきも入る大きさなのが嬉しい。

5.ジャケットの素材

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シャツの上にニットを羽織り、更に首周りにストールをまく。最後に厚手の生地(実際かなり重い)を使ったリーファーを着ればかなり寒い野外でも寒さを防げる。ジャケットの生地は有名なメルトン生地。ウール80%にポリアミド(ナイロン)が20%が混紡されたもので暖かさと耐久性を両立させている。袖裏はアセテートだが、身頃の裏地がコットンなので滑り難いのが難点。マフポケットの裏側はフリース素材を配してウォーム機能を高めているとの説明があった。

6.パンツのウェスト部分

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こちらも久しぶりに購入したコーデュロイのパンツ。デパートで試着したがマイサイズがなく、しかたなくオンラインを検索、気になった2色のうち一方の色がネットで若干安く販売されていたので購入。送料込みの値段に加え裾の直し代もリーズナブルなのに感激した。こうなると改めて店舗販売の難しさを実感する。腰に回したベルトはピッグスキンのもの。明茶(チェスナッツ)のブーツを合わせる時によく選ぶ1本だ。

7.リーファー・ジャケットのタグ

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今回購入したのはグローバーオールのナーバル・リーファー、アニバーサリーモデルで昨年本国サイトで購入したところ在庫切れの返信があり、諦めた1着だった。ところが日本のオンラインショップで1年遅れで販売していることを発見、本国からの取り寄せよりは割高だったが欲しかった1着なので迷うことなく注文した。現行の定番リーファーは寸胴でイタリア製の生地だがこちらはムーン社製の英国生地でトリムフィットのタイトシルエットが特徴。こだわりに弱いこちらの心理をくすぐるようなスペックに魅せられて購入した。

8.コーデュロイ・パンツとストール

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最近購入したコーデュロイパンツはインコテックスのもの。型番はお馴染みのJ‐35だ。コットンに若干エラスティックが含まれた生地はストレッチ機能がある。コートとお揃いでと考え、英国製のコットンパンツで似た色目のものを探したが、写真のようなペパーミント・グリーンのものはついぞ見つからなかった。やはり英国のパンツメイカーでは出せない色目なのだろう。それにしても流石はインコテックス、イタリアのブランドの真骨頂発揮だ。一方左のストールも英国製だが、こちらはおよそ英国らしからぬ個性的な色合わせ。前回紹介した英国の「シーワード&スターン」の雰囲気にとてもよく似ている。

9.シャツとニット

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シャツは以前から紹介しているルイジ・ボレッリ製のポールス・チュアート、サイズのタグを見ればすぐに気がつくことと思う。愛用しているのでだいぶ生地が傷んできたがまだまだ現役。ニットはピュアカシミアのブルネロ・クチネリ。今ではラグジュアリー・ブランドに位置付けられているメイカーだが、当時はまだ良質でリーズナブルなカシミア製品を作っているメイカーという位置づけだった。

10.コーディネイトした靴

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どちらも英国製のブーツ。イギリスの服でもイタリアの服でも、そしてアメリカの服でも足元に持ってきて不釣り合いにならないのが英国靴だと思う。左は淡いパンツをさらに際立たせるようトーンを抑えたバックスキン(実際はカーフスェードだろう)のブーツ。秋冬に淡い色目のパンツや靴を合わせるのはイタリアの服飾関係者がピッティの着こなしでよく見せている。一方右のブーツはタフなカントリーブーツ。フックなしのアイレットがをレースできつく結んだ跡がくっきり見える。使い込んで年季が入ったことを物語る1足だ。

11.英国製のブーツ

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左はアルフレッド・サージェントによるピール・ネームのチャッカ。ブルックスブラザーズとのダブルネームで箱には「デザート・ブーツ」と記されている。もっとも本家クラークスのものよりもずっと洗練されたスクェアトウが印象的。アンラインドにクレープソールを装着した軽い履き心地と相まってこのところ履く機会が増えてきている。一方の右は言わずと知れたトリッカーズのウィングチップ・ブーツ、ダイナイトソールを装着しているのでレザーソールのものよりも断然履き心地がよい。

トラッドのマストアイテムでもある冬のピー・コート。今回はオリジナルの英国製リーファー・ジャケットを選択したが、かってのトラディショナルフィットではなく今時のタイトフィットが特徴だ。きつめのショルダーは従来のゆったりとしたコートを着慣れた身にはフィット感の強いジャケットのような感覚を与える。何よりAラインでスリムなシルエットのリーファー・ジャケットに合わせるパンツは当然スリムフィットでなくてはならない。このようにトラッドも時代とともに形を変えながらしかし決してなくならずに残っていくのだろう。

若い人の服と捉えられがちなリーファー・ジャケット(ピー・コート)を大人風に着こなそうと思ったら参考になるのがイタリア男性。特にピッティ・ウォモに集うファッション関係者の着こなしはやはり参考になる。勿論同じアイテムを揃えて同じ格好をするのではなく、テイストを参考にあくまで自分の手持ちを組み合わせて完成させる。これが中々楽しい。この次はウールのパンツと革の短靴でクリーンなコーディネイトをしてみようと考えているところだ。

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コメント

お久しぶりです。長崎を代表する、お山、雲仙も雪景色になりました。樹木に付く氷、樹氷を地元では(はなぼうろ)と呼びます。海をモチーフしたPコートですがはなぼうろが美しいお山雲仙でも似合いそうですね。

管理人様

リーファー・ジャケット、懐かしい響きです。
ピーコートはここ十年ですっかり冬の定番になりましたね。
私は20代の頃にドイツ軍のピーコートを着ていましが、置くと立つほど生地がしっかりし過ぎていたのと、周りの評判があまり芳しくなかったので、手放してしまいました。それ以来買っていません。

管理人様の明るいコーディネイトが素敵です。パンツの色も新鮮です。チャッカ・ブーツもシュッとしてていいですね。

今シーズンはもうアウター購入の予定はないですが、私もいずれピーコートを入手したいと思います。グレーもいいかなと思います。

浦野様

早速のコメントを頂戴し、有難う御座いました。

雲仙も雪景色、いよいよ冬到来といったところでしょうか。以前冬用の厚手のコート(ポロコート)はほとんど出番がないとのお話を伺ったと覚えていますが、「はなぼうろ」が咲く程ですとやはり厚手のジャケットやコートが似合うのではないでしょうか。

浦野様が仰るようにピーコートは海の男のものですが、山でも合うなと思います。

PMT様

置くと立つほど地厚のドイツ軍用ピーコート、さぞかしデュラブルな逸品とお見受けします。グローバーオールのものはそれ程でもありませんが、やはり地厚で伸縮性が少ないソリッドな感じがしましたので何となく想像できます。

グレーのピーコートをお考えとのこと。予算がゆるせば私も色違いでもう一着欲しい、そんな気にさせるのがリーファー・ジャケットの奥深いところかなと思いました。

それとインコテックスのコーデュロイ、色出しは流石です。特に今シーズンはグリーンをキーカラーにしているので丁度良いのが見つかり、目下とても重宝しています。

今までにない色目のものを少しずつ買い足しながら手持ちの服と合わせて新しい着こなしを実践できたら楽しそうだと思い日々実践しているところです。

管理人様

私はかつてイタリア物に散財した反動で、近年はちょっと避けてしまっていたのですが、やはりイタリア製品の発色の良さ、素材感の良さは抜きんでていますね。

モノにこだわると色が後回しになりがちですが、
私も管理人様のように色を楽しみ、新しい着こなしが出来たら、と思います。

PMT様

返事が遅れて申し訳ありませんでした。

やはり、イタリアものを経験されていらっしゃるPMT様らしく、服飾に対する幅の広さをコメントの端々から感じました。仰るとおりイタリアの素材、発色、シルエット、デザインは素晴らしいなと感じることが多いです。

色が後回し、これも確かに頷けるところ大です。私のスーツは殆どがグレーでネイビーが少し、チェック物が殆ど無く、ソリッドかストライプばかりという非常に偏ったものです。

これではいけないとここでハウンドトゥースのヴィンテージ生地を買い、近いうちに仕立てようと思っています。これからは試していない色合わせや生地、パターンを楽しみながら身に付けていけたらと考えているところです。

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