Coordinate#1(Black or Blue jacket)
11月に入り秋も深まってきた。特に早朝のランニングを日課にしていることもあって朝晩の冷え込みを肌で感じる。早起きは決して楽ではないが、朝の天気でその日何を着るか考えながら走るのは中々楽しいものだ。外気に触れながら「薄手の生地にしようか厚手の生地にしようか」考えているうちに小一時間のランニングタイムがあっという間に過ぎてしまう。
このところ週末や休日はジャケットをよく着ている。秋ならではの慶事が続いていることもあって特にブラックジャケットやネイビーブレザーに袖を通す機会が多い。そんな時、日課の早朝ランニングを利用してその日のコーディネイトを予め考えておくと、出かける時に迷わずに済む。今回はオフスタイルでのジャケットスタイルを中心にシャツとネクタイ、小物を加えたコーディネイトを紹介しようと思う。
Ⅰ.Coordinate for Black Suit
1.フォーマルを意識したコーディネイト
ジャケットとして紹介しているが、元はサビルロウのピーターに頼んだ英国製ブラックスーツの上着である。共布のパンツは勿論グレーストライプのパンツと合わせるとディレクターズスーツに近い雰囲気がある。注文時は日本の略式礼服を説明するのも大変なので、単にモードを意識したブラックスーツをオーダーしたのだがピーターの方が日本の事情をよく知っていた。こちらの「スラントポケットで…」という注文に「フラップをしまえるホリゾンタルの方が良い。」とアドヴァイスをくれる。こうして完成したブラックスーツが重宝しているのは言うまでもなく、そのピーターに敬意を表してフラップをしまいフォーマルを意識した形で紹介してみた。
2.ブラックスーツのVゾーン
ロイヤルオックスのダブルカフシャツはフォーマルに近く、日頃着る機会が少ないシャツの一つ。祝い事に着てこそ価値がある。ターンブル&アッサーのシャツにフィレンツェの名店タイユアタイネームのグレンチェックタイ。本店と同じ商品とのことでディンプルの綺麗さが光る。ポケットスクェアはブートニエールを意識して、ピンク色のダンヒル製シルクスカーフを挿してみた。トラウザーズはスーツの組下でもグレーのストライプパンツでも合うコーディネイトだろうが、どちらを選択しても足元は黒のキャップトゥ(パンチドキャップトゥでも許容)で決まりだろう。
3.カフリンクス
カフリンクスは祝い事の雰囲気に沿ったものを選びたい。今回はフラワーアレンジメントがキーワードの祝い事だったので、赤や黄、橙などの花に合わせたカフリンクスを選んでみた。日頃シングルカフのシャツを着ることが多いので使う機会の少ないカフリンクス、久々の出番だったが凝って集めだすとアンティークのものや輝石を使ったもの、ハンドペイントの芸術的なものまできりがない。時計同様範疇を決めておくことが大切だと感じる。
Ⅱ.Coordinate for Black Jacket
1.オン、オフ両用のコディネイト
休日のちょっとしたパーティには黒のジャケットが重宝する。スーパー150’Sを使った紡毛系のマットな表面がこれからの季節にマッチするブラックブレザー。アンティーク調のシルバーボタンと細めでシャープなラペルにチェンジポケットの付いたスタイルはパープル・レーベルのもの。イタリアのセントアンドリュース製らしく端正で手仕事の多い仕上がりになっている。合わせるパンツはライトグレーのプレーンフロントが一番、靴は勿論黒で紐靴もよいがサイドエラスティックやエラスティックタブもあまりフォーマル過ぎなくて良さそうだ。
2.ブラックジャケットのVゾーン
ブラックジャケットの黒に絡めてシャツはパープルとブラックのストライプシャツを、ネクタイもパープルにブラックとホワイトのストライプを配したものを持ってきた。ポケットスクェアはパープルに近いラヴェンダーのリネンチーフを用意。一見派手なVゾーンも黒のジャケットが上手く沈めてくれる。シャツは昔のアイク・ベーハー、タイは最近のイタリア製パープルレーベルのタイ。チーフはローマのエディ・モネッティで買い求めたもの。
Ⅲ.Double breasted Navy Blazer
1.パワードレッシングを意識して
ダブルブレストのブレイザーは6つのボタンがかなり人目を引く。とは言うもののシングルブレストよりフォーマルな雰囲気があるので、レセプションでの挨拶など人前で話をする時に意識して着ている。ゴールドのボタンに合わせてイエローのタイにブルーのシャツという一時期流行ったパワードレッシングの組み合わせを再現してみた。ポケットチーフはパープルチップのシルクスクェアを4ピークで挿している。
2.ダブルブレステッドブレザーのVゾーン
シャツはブルーにイエローのオルタネートストライプでダブルカフという如何にも英国調の柄と作りだがイタリア製。ポールスチュアートの上級ライン「スチュアートチョイス」ネームが付けられている。黄色を拾ったネクタイはステファノ・ビジ。パワータイと呼ばれた「タクアン色」のネクタイは流行りではないせいか探しても見当たらないことが多い。ダブルのブレザーは上質のドスキンを用いたエルメスのもの。ベルヴェストならではの端正な機械縫いが印象的な1着。
3.カフリンクス
ロンドンバッジ&ボタン製のカフリンクスはクレストとレジメンタルのダブルフェイス。由緒ある紋章とレジメンタルの配色かも知れないが、人目に付かないこともあって気にせず使う。1990年にロンドンはジャーミンストリート近くののカフリンクスやボタンを専門に扱う店で購入したもの。値段は決して高くないが個性的なものが揃っていた。今だったらバーリントンアーケードのアンティークを扱う店で買ってみたいと思う。
4.シャツのボタンホール
シャツのボタンホールを見ると手縫いシャツの代名詞ボレッリのものよりも細かな手作業が伺える。シャツの前裾が深く重なるクラシックなディテールなどを見るとアンナ・マトッツォへの別注のようにも見えるが、第1ボタンのホールが斜めに切られているところなどを見ると手縫いのボタンホールで仕上げたフライとも考えられる。元々世界中から優れた商品を探し出して自社タグを付けて売ってきたポール・スチュアートらしく、この他にもルイジボレッリ製のシャツなど逸品のシャツが揃っている。
Ⅳ.Single breasted Dark Navy Blazer
1.無地のタイを使ったクリーンなコーディネイト
インディアンサマーとでもいうのだろうか、深まりゆく秋を前に夏の様な気温の高い日に出くわすことがある。そんな時は背抜きのブレザーが役に立つ。2パッチポケットで カジュアル色の強いオンダータのジャケットにチェックのシャツとワンポイントの刺繍があるベージュ無地のネクタイを合わせてみた。TVフォールドに挿したポケットスクェアのチップ先端をひねり出すだけで雰囲気がぐっと変わる。チェックと無地の組み合わせのトップスということでボトムスも細かなチェックか無地(グレー)どちらのパンツでも相性が良さそうだ。
2.ワンポイントタイ
ワンポイントタイは一時期流行ったことがあるが、実際にしている人を見る機会は少ない。どことなく気恥ずかしさを感じる為だろうか。無地のタイと割り切ってしてみるとあまり気にすることもなくなる。その場合、ワンポイントが隠れてしまわないよう無地のジャケットに合わせ、代わりにシャツはチェック(又はストライプも可)を選択するとバランスが取れる。全て無地にするとクリーン過ぎるからだ。刺繍の意匠はてんとう虫(コチネッラ)。イタリアでは幸福を呼ぶ虫とのことで、意外とこんなところから話が弾むこともある。
3.コーディネイトしたタイ
左からワンポイントタイの元祖とも呼べるジェノバのフィノッロ、フィレンツェのタイユアタイの直輸入品、ラルフ・ローレンのパープルレーベル、ステファノ・ビジの黄色小紋。ネクタイは全てイタリア製で、①発色の綺麗なもの②ディンプルが綺麗に出るもの③用途の広いもの、に拘ってネクタイを買い求めるとイギリスやフランス、アメリカなど色々目移りはするものの殆どの場合はイタリア製に行きつく。
4.ポケットスクェア
大抵の場合、ポケットスクェアはついでに購入する場合が多いのではないだろうか。左のアイリッシュリネン・レディスものはバーリントン・アーケードに寄った時最後に、手前中央のエルメスのチーフはパリ本店でジョン・ロブにオーダーした時に、中段のシルク製チーフは各々のメンズショップで買い物したついでに、という具合だ。ただ上段の色付きチップのものやチェックのものはある程度イメージをもって購入したもの。知らない間にずいぶん増えたがまだ緑系や茶系など色のバリエーションが少ない。これからもネクタイや上着の色と組み合わせながら少しずつ増えていくことと思う。
13.カフリンクスとカラーピン
カフリンクスを並べてみた。ゴム製のノット型カフリンクスは最も安価で袖口にカジュアルな感覚をもたらす隠れた逸品。オーバル型のカフリンクスは全てメイドイン・イングランド。シルヴァーベースに14Kのメッキを施したものから、普及品まで様々だ。左のラペルピンはパリで鞄を買うついでに購入したエルメスのもの。ちょっとした記念に合わせてアクセサリーを買うことで思い出も色褪せず記憶に残る。
ブラックとネイビーのジャケット。どちらもフォーマル色の濃い色目だが、合わせるボトムスやシャツ、特にネクタイや挿すチーフとの色合わせ次第で週末のビジネスは勿論、プライベートでも披露宴からミニ・パーティまで幅広く着こなせる。スーツや略式礼服だけでなく、ビジネス上の礼儀や慶事への気持ちを自身の装いに込め、自信をもって着こなすことがポイントになると感じている。
クールビズからウォームビズへと衣替えの季節になったが、夏の名残りだろうか駅で見かけるビジネスマンの多くは依然ノーネクタイのままだ。しかしネクタイやチーフが装いに果たす役割は殊の外大きい。ノータイのままでは他をいくら変えても殆ど同じ格好に見えてしまうのではないだろうか。個性的な服装は必要はないが個性を高める着こなしは重要なはず。ネクタイやチーフを上手にコーディネイトしながら、ビジネスウェアもフォーマルウェアも自分らしく着こなしたい。
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