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2011年6月 5日 (日)

Custom shoe sample(注文靴のサンプル)

注文靴屋に初めて足を踏み入れたのは今から20年以上も前、一通りの紳士用品が揃うといわれるロンドンはジャーミンStのニュー&リングウッド2階、ポールセン&スコーンだった。白衣を着たジョン・カネーラ氏が出てきてビスポークを薦めたが当時はエドワードグリーンの靴にしか興味がなかったので、結局何も買わず店を出た。その足で近くのフォスター&サンを訪れ、ウィンドウにディスプレイされていたグリーン製の靴の値段を聞いたが、丁度サマーバカンスの最中で在庫もなくそこでも何も買わずに終わった。当時は注文靴屋で売っているグリーン製の既成靴と誂え靴の違いを深く知る由もなかった。

やがてパリのジョンロブで靴を誂えるようになり、ロンドンにも足を延ばした。クレバリーを立ち上げたMr.カネーラと7年ぶりに再会、昔の薦めに従って靴を誂えた。その後、やはり昔訪ねたフォスターを再訪、名職人テリー・ムーア氏の採寸でフォスターでも靴を作るようになった。20年前は既成靴を見ただけで何も買わず帰ったただの通りすがりが今、こうして曲がりなりにも顧客の一人として靴を注文しているというのも何かの縁だろう。そこで今回はクレバリーやフォスターなど英国靴のサンプルに加え、ジョンロブやコルテ、マリーニなど今までの記録を紹介しながら誂え靴の魅力を探ってみたい。

1.SADDLE OXFORD

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最初に紹介するのは目下興味のあるスタイル、サドルオックスフォードのサンプルである。上はクレバリーのもので下がフォスターのもの。どちらも綺麗なラウンドトゥ(エッグトゥと呼ぶ方がよいかもしれない)でサドル部分がグレインレザーのもの。フォスターの方はラバーソールが付いている。レースステイ部分のステッチはフォスターの方のみパーフォレーションが入っている。これを濃淡2色のクロコダイルで作ってみたいと思っているところだ。

2.SPECTATORS

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こちらもお洒落な靴の代表、スぺクテイターズ。コレスポンデントシューズとも呼ぶそうだが、上がクレバリーで、下がフォスターのもの。どちらのメイカーもホワイトの部分はバックスキンということで在庫を持っているそうだ。クレバリーはラウンドトゥの木型に乗せたスワンネックの切り替えしがポイントで、六義でもサンプルにしているようだ。一方のフォスターはスクェアトゥに相応しくシャープなラインで大きめの穴飾りから覗く下地の白がポイントになっている。麻のジャケットやスーツが好きな人にとってはマストアイテムと言えるかもしれない。

3.FORMAL SHOES

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セミフォーマルやフォーマルに合わせる靴。上がジョンロブ・パリのボタンナップオックスフォード 。グレーのバックスキンとブラックカーフのコンビがフォーマルっぽさを醸し出しているがつま先部分をパンチドキャップにすることでややくだけた感じを出している。一方下のリボンレースが付いたプレーントゥはフォスターのサンプル。マッケイ縫いだろうか、靴のコバが殆ど張っていない。とても美しい靴だと思う。

4.PUNCHED CAP TOE BALMORAL

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上はジョンロブのサンプルでパンチドキャップトゥの定番スタイルだが、履き口周辺にパーフォレーションを入れて変化をつけている。下はフォスターのトーマスと呼ばれるモデルだが、履き口下のパーフォレーションがアデレイドのように一旦上に向かった後、踵に向かって下がっているのが特徴だ。どちらもラウンドトゥかつスクェアウェイストで仕上げている。

5.PUNCHED CAP TOE

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こちらはパンチドキャップトゥのサンプル。上がコルテのもので、東欧系の靴のように厚みのあるつま先が特徴。コルテというとベグデーグルが有名だがこうしたクラシックな靴もなかなかよさそうだと思った。下はフォスターのサンプルでスマートラウンドのパンチドキャップ。黒カーフの色目がブリーチされてアンティーク風の仕上げになっている。どちらの靴も一文字部分にパーフォレーションを入れただけでストレートチップよりも汎用性の高い靴になる。

6.SEMi BROGUE

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スクェアなセミブローグはローマのマリーニのサンプル。きめの細かなスコッチグレインのレザーアッパーがマッチしている。一方、下はフォスターのサンプル。つま先部のみブリーチされた黒のセミブローグはスクェアウェイストになっている。マスターラストメイカーであるテリームーア氏は男らしい靴が好きでベヴェルドウェイストやピッチドヒールは好みではないとのこと。

7.SEMI BROGUE

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上はクレバリーのブローグシューズ。中央のセミブローグはクレバリーらしからぬラウンドトゥのサンプル。チゼルトゥやアンソニークレバリートゥが有名なクレバリーだがこうしてみるとラウンドトゥのデザインも中々良い。下はヘンリーマックスウェルのセミブローグ。レースステイ両脇のラインが小丸のみという珍しいデザインで、一つずつあけた穴が整然と並んでいる様は真似したいデザインだ。ショートノーズでラウンドのブローグシューズが新鮮に感じられるようで、他の客も興味をもってフィッターに話を聞いていた。

8.ARDILLA COLOUR

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アルディラカラーはジョンロブパリの呼び名だが、写真の様な淡黄色の靴は春から秋にかけてよく履く色目の一つ。上はジョンロブパリのビスポークラインでプレーントゥのデザインだが履き口以外ステッチ部分を全てパーフォレーション入りとしている。ラウンドトゥがとても美しい1足だ。下はフォスター1足目の注文時にサンプルとしたもの。古色豊かなフルブローグを再現するのにフォスターでは革をブリーチして色を重ねていったとのことだが、こうしたあめ色には中々近づかない。それなりの年月がかかりそうだ。

9.HOUSE SHOE

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ベルベットスリッパと呼ばれるもの。一番の特徴はヴァンプ部分の刺繍だろう。どのようなデザインでも受け付けるらしく、最近の注文ではひげを蓄えた海賊のキャプテンが公式サイトに載っていた。モノグラミングやベーシックなものについては分からないが、件のパイレーツなどの様なユニークデザインは250£のアップチャージとのこと。こうしたハウスシューが必要な家に住みたいものだが、我がコテージは囲炉裏を切った和風、所有する機会がない。

こうしてみると過去に見たサンプルの中にもまだまだ作ってみたいデザインや色目のものがたくさんある事に気が付いた。それにしてもサンプルにはラウンドトゥのものがかなりある。紳士靴の基本はラウンドトゥで、クレバリーの様なスクェアなトゥはラウンドトゥに対するカウンターとして注文靴の世界から広まっていったのかもしれない。

これから徐々に基本に帰り、ラウンドトゥの靴を少し増やしていこうと思っているが、幸い今まで色々訪問した靴屋の記録があるので後はどこで作ろうかということになる。既にフォスターでラウンドトゥの木型を作って貰ったところなので、もう一軒、日本の靴屋に注文しようと考えている。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

サンプルシューズはそれぞれの工房の特色や技、懐の深さを具現化したものですから見ていて飽きませんね。ジョンロブのボタンナップオックスフォードの絶妙な色合いや気品ある雰囲気はさすが!

adagietto72さん

コメントを有難うございます。

仰るとおり、サンプルで最も美しいと感じるのはジョンロブ・パリのビスポークだと思います。

ただし、注文して完成した靴の履き心地が最もフィットしているかということとはまた別の話ですが。

スペルはArdillaです。スペイン語の栗鼠です。

スペルの誤記、お教え頂き有難う御座いました。

早速訂正いたしました。

なんとも素晴らしいお宝画像をありがとうございます。マックスウェルの古い写真を見ますと、レースステイ脇のみが、小穴のみパンチングのものばかりです。一種のハウススタイルなのだろうかと思っていました。

Tsukahiroさん

マックスウェルの古い靴はレースステイ脇が小丸のみのパンチングばかりとのこと。確かにハウススタイルの一つなのかもしれません。

ところで、名靴のデザインやスタイルは記録として残せるとして、昔の靴のようにピッチの細かな縫いが施されたアッパーはミシンがないため(あるいはそれを縫うための細い針がないためでしょうか・・・)不可能とのこと。

となるとあとは優れた靴作りのスキルが絶えないように、かつ次代につなげられるようにと願うばかりです。時々凝った注文を出すのはそんな意味合いもあります。

はじめまして、管理人さん。笙一郎と名乗っています。
毎週土曜日に更新される記事を楽しみに拝見しております。どれも素晴らしい靴ばかりで、見ているだけで楽しくさせてもらっています。特にブローグの靴が好きなので、注文時に参考にさせていただいています。

さて、今回靴のオーダーを入れるので、写真を拝借させてくださいさい。ちなみにフォスターのコンビのサンプルの写真を参考に黒のフルブローグを考えています。

今後もよろしくお願いします。

笙一郎さん

初めまして当ブログへのお立ち寄り並びにコメントを頂き有難う御座います。

さて、フォスターの写真の件ですが構いませんので注文時にご活用下さい。また出来上がりましたらウェブ上でも構いませんので拝見させて頂ければ幸いです。

本当に素敵な靴ばかりどちらが良いのか、欲しいのか?迷ってしまいますね。子供にシュークリームとプリンどちらが食べたい?と言うような質問ですね(笑)管理人様が近々オーダーなさる、濃淡のクロコダイル素材のサドルシューズ楽しみにしております。

浦野様

お休みのところコメントを頂戴し有難う御座いました。

サドルシューズのクロコダイルコンビ、何色が良いか考えているところですが何しろ革のストックが変わるので難しいところです。

次回かその次あたりの注文になるでしょうか。仮縫いになりましたらご報告させて頂きます。

今日1991年のメンズクラブを読んだら、リーガルのブリティッシュコレクションというのが出ていてどうもクロケット&ジョーンズに作らせたもののように感じました。

昔の本を読み返すと色々なことを発見します。

管理人さん

写真の使用許可ありがとうございます。靴が出来上がったらぜひ報告させていただきます。

今回の仮縫いのブーツもまたエレガントですね!本番の革になると称賛する言葉が追いつくでしょうか?(笑)今から出来上がり時の記事が楽しみでなりません。

それでは失礼します。

笙一郎さん

わざわざ返信まで頂き恐縮です。

ブーツはこれで2足目ですが、どちらもカジュアル用の茶ですのでもう1足黒のブーツをオーダーしようと思っています。フォスターかクレバリーどちらかになると思いますがどちらもやはり魅力的です。

ところで笙一郎さんは日本の靴屋でオーダーされるのでしょうか。どこか良いところをご存知でしたお教え頂けますと幸いです。

日本の国内価格からみて適正な価格の誂え靴屋(ロンドンで注文するよりも安いのが条件なのですが)を探しているところです。

ブリコレ、なつかしい響きでした。クロケットで製造してたなんて!しました。上代が3万円台なのでてっきり名も知れぬファクトリーで造っていたものだと今まで思っておりました。手持ちの4足。タッセル、プレーントウ(ブラウン)ST、WT(ブラック)改めて手で触ってみました。ちなみに靴袋は例の茶が一袋だけみつかりました。布製のシューズバッグは長崎のRSのお方はゴルフボール入れるのに使っていたという言葉を思い出しました。過去の良い思い出が浮かび上がりました。ありがとうございます。

浦野様

ブリティッシュコレクションを4足もお持ちでしたか。流石にリーガルのエキスパート浦野様です。

ブリコレはトリッカーズにも作らせていたことがあったはずで、そのうちの1足を私が父にプレゼントしたことがあります。残念ながら父が他界した際に親戚が形見分けして持って行ってしまい、その親戚も他界して今は行方不明ですが。

持っていたら歴史的価値があったかもしれません。(笑)

そのブリコレのST一昨年叔父の葬儀の後にお寺に七日の法要に行って本堂を出る際シューホーンが置いてなく、しかたなくそのまま履いていたら踵部分が1センチ縦に割けてしまいました(涙)行きつけの靴屋さんにリペア御願いすると上から革を当てないとリペア出来ない。そうなると美しい踵のシームが見えなくなると言われましたが長年葬儀に履いてきた逸品(あくまでも主観ですが)リペアお願いしました。後に素敵なシームは見えなくなりましたが蘇えって今でも現役です。ちなみに私のはフルブローグ仕立てです。

浦野様

お互いブリコレには思入れがあるものですね。私もオールデンのコードヴァンが踵部分で避けてしまい1足廃棄することになりました。

長年連れ添った靴を処分するのは心が痛みます。

管理人さん

こんばんは、先日オーダーしてきました。写真ありがとうございました。予定通り写真を元に黒のフルブローグにしました。

さて国内の靴屋さんということですが、自分は国外でのオーダー経験がなく、金沢のKOKON一筋です。3足目を作ったぐらいまでは他も気になって、東京、神戸、京都などを見て回ったのですが、注文には至りませんでした。結局KOKONのバランスが好きなのだと思います。ですのでお勧めできるか分りません(笑)。手を抜かず仕事をしてくれるのは間違いありませんが…

一応情報を…
ビスポークは可能で職人はクレマチスの高野さんか、大塚出身の常世田さんで気に入ったほうを選べます。価格は初回は10分仕立てで30万くらい、9分仕立てで23万くらいだと思います。いったん自分の木型を作ってしまえば、2回目からはパターンオーダーと同価格(10分19万~9分13万~木型修整があればプラスα)になります。毎月東京で職人さんとミーティングなさっているので東京での注文も可能のようです。ただ、シューツリーはオリジナルのものがありません、パーフェクタ社の物がサービスでついてきます。価格のメリットは何とも言えません。今月出たLASTにはもっと安い靴屋さんが出ていましたので(笑)。

もし気になるようでしたらメールいただければ自分の持っている靴で良ければ、画像など送りますので何時でもおっしゃってください。

それでは失礼します。

笙一郎さん

KOKON初回のオーダー時が30万円とのこと。ここで英国のビスポークもかなり値段が上がっていますし決して高いとは言えない値段なのかもしれませんね。

笙一郎さんは恐らくリピーターなので19万(十分仕立)でできるのではないかと推察いたしますが、私も英国の靴屋で大体19万円から26万円の範囲でリピートしているので新規に作って貰おうとすると20万円台が一つのラインになってきます。ただ、中々20万円台でビスポークというのはないのかもしれませんが…。

いつか笙一郎産の靴を拝見させて頂く機会があれば幸いです。

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