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2011年3月26日 (土)

#1 Sack Suit(ブルックススタイル)

ブルックスブラザーズはアメリカ最古の紳士衣料店で、1818年創業という既製服の大規模小売店である。摩天楼の立ち並ぶニューヨークのマンハッタン、マディソン街346番地に本店を構え、1896年には伝説となったポロカラーシャツ、通常ボタンダウンシャツを世に送り出すなどアメリカントラディショナルクロージングの歴史を作ってきたメイカーでもある。1979年、青山通りにブルックスブラザーズ青山店がオープンし、その後デパートのインショップとして伊勢丹にコーナーが出来た頃、シャンブレー素材のⅠ型ジャケットを購入したのがブルックスとの付き合いの始まりだった。

1980年代終わり、念願のニューヨーク本店に足を運んだが、1階から上階まで続く売り場に驚嘆したこは今もよく覚えている。スーツ売り場の広さや陳列されている商品の数の多さは日本にはない雰囲気だが、ちょうど3月の終わりだったこともあってディスプレイされていたコットンスーツが特に印象に残った。アメリカントラッド(通称アメトラ)好きにとってスーツといえばまず思い浮かべるのがコットンスーツ、春になるとすぐにでも着たくなる。そこで今回はアメトラ好きには堪らないⅠ型のコットンスーツを紹介しようと思う。

1 コーディネイト

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コットンスーツと言えばアイビーと言うくらい昔のメンズクラブでは馴染みのアイテムだ。写真のようなコットンポプリンのスーツに敢えて足元はコブラヴァンプを履くのが当時のコーディネイトだった。今回はブルックスブラザーズらしくポロカラーシャツにストライプタイ、足元はタッセルスリッポンやウィングチップブルッチャー(通称おかめ靴)を合わせ、メンズクラブが紹介していたアイビールックを再現してみた。

もう少し詳しくコットンスーツを紹介してみたい…

2 Ⅰ型サックスーツ

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Sack(サック)とは穀物を入れる粗布製大袋を指す。ジャケットが絞りのない寸胴なシルエットであることから付いた名Sack Suitは前身頃にダーツを取らないことが肝になる。(ダーツ入りはⅡ型と呼ばれていた。)ただ実際はさいばら部分で絞りを入れているのでドロップ寸が4くらいの感じだ。写真は購入時のままだが、トラウザーズをパイプドステムと呼ばれるシルエット(今で言えばインコテックスのJ35のようなもの)に改造して履いていた。

3 Vゾーン

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シャツはスーピマコットンのキャンディストライプオックスフォードポロカラーシャツ。アメリカ製ブルックスブラザーズのものだが、今は東南アジア製のシャツも多く、昔とは隔世の感がある。ストライプのタイはブルーとグリーンがベースのポールスチュアート製。スーツのカーキとシャツのブルーを繋ぐ役割を果たしている。

4 ウェスト部分

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ベルトはバーガンディのコードバンベルト。国産のコードヴァンを使用したラルフローレンネームのものだ。このコードヴァンベルトというのもアイビーの必需品で、写真のものは牛革の裏打ちがあるが、確かコードヴァン1枚革のものの方が本格的と言われていたような気がする。ベルトの下にコインポケットが見えるがここにフラップが付いているかなど細かなディテールに走る傾向がアイビールックにはあった。

5 ネームタグ

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ネームタグをみると比較的新しいコットンスーツに感じるが、1990年代後半にメイルオーダーで購入したもの。いかにもマシンメイドといった雰囲気は一気にミシンで仕上げた感がある。いせ込みやくせとりとは無縁の作りはクラシコ系の丸く包み込むような着心地とは大いに異なる。だが、そこがいかにも大量生産を推し進めたアメリカの既製服らしくもある。

6 靴

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アメリカ人はビジネスでも茶色の靴を履くと聞いたことがあるが、実際ニューヨークを歩くと黒い靴を履いている人があまりいない気がした。この辺はロンドンのビジネス街との大きな違いだ。イギリス的なものを敢えて取り入れないのがアメリカ流なのかもしれない。左は1980年代のリーガルウィングチップ、右は1989年製オールデンのタッセルスリッポン(ブルックスブラザーズネーム)

7 ウィングチップ

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リーガルの外羽根ウィングチップはアイビールック愛好者にとっての定番靴だ。リーガルは一貫してグッドイヤーウェルテッドとは何なのか、そして欧米の靴とはどんなスタイルなのかを発信し続けてきたメイカーであり、教わったことも多い。今では脂分が抜けてしまい、インソックが紙のようにパリパリになっているが、アッパーは写真のようにまだまだ現役だ。つま先部分にパレードグロスを塗り込むことでアンティーク仕上げのようになっているが、実際ヴィンテージ靴に近い年月が過ぎている。

8 タッセルスリッポン

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タッセルスリッポンはどことなく男らしさに欠けるような気がして中々履かなかったスタイルだが最近少しずつ履き始めている。ただ、フィッティングはローファーのように足をホールドするサドル部分がないため更に大変で、ややきつめのものを我慢して履き慣らすか、丁度良いのを履くうちにゆるくなって踵が浮いてくるのをこらえるかのどちらかになりがちだ。勿論前者を選んだのだが、22年経った今も未だに窮屈に感じる。

ブルックスブラザーズは創業時に「最高品質のものだけを作り取り扱うこと・・」を理念として取引を始めたとのことだが、1990年代は米国製に混じって英国製やイタリー製など、確かに高品質のものを探すことができた。ニューヨーク本店で購入した英国製ダッフルコートなどはフード内側に襟が付き、フロントにジッパーが付くという便利なもので生地も肉厚のダブルフェイスウールを使ったエクスクルーシヴなものだった。最近は中国製のものが多くなり、価格は低く押さえられているが、品質は以前ほどではないと感じる。来年はボストンへ行こうと考えているのでその時はニューヨークにも立ち寄って久しぶりにブルックスブラザーズの本店を覗いてみようかと考えているところだ。

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