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2011年3月 1日 (火)

An expert in shoemaking(靴作りの達人)

エキゾチックレザーの代表といえば爬虫類、中でもワニ革が有名だ。ところがそのワニ革にはクロコダイルとアリゲータがあって、斑の中に点があるかないかというはっきりとした違いがあるそうだ。今まで単純にクロコダイルと言う癖がついていたので、改めて手持ちのワニ革の靴を調べてみることにした。すると斑の中には一つも点がない。クレバリーのワニ革は間違いなく全てアリゲータだということになる。

そう言えばクレバリーで初めてアリゲータのサイドエラスティックをオーダーしたのが7年前、カーフやスタグスェード、ロシアンレィンディア、コンビネーションなど一通りオーダーした後だったこともあって、グラスゴーさんが上手にアリゲータの靴を薦めてくれた。その時に「アメリカ産のミシシッピーアリゲータをイタリアでなめしたもの」を使用していると教えてくれていたことを思い出した。ということで、今回は手持ちのアリゲータシューズを紹介しながらその魅力を伝えてみたい。

1 アリゲータシューズ

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一番左が1足目のアリゲータ。順番に7→3→6→5→4→2足目と並んでいる。最初の1足目を注文するまではグラスゴーさんが殆どで、その後は時々カネーラさんが来日していたが、やがてレッパネンさんが年に1回は来日するようになり、グラスゴーさんが息子を伴って来るようになった。少しずつ世代交代が進んできていると感じるクレバリーだが、ほぼコンスタントにオーダーし続けたアリゲータの靴もいつの間にかテーブルの上に乗りきらないほどになっている。

2 スリッポンタイプ

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アリゲータを注文する中で「つま先がシンプルなデザインを」あるいは「スモールスケールの革がつま先にくるのが基本」など色々な事が分かった。この4足はいずれもスリッポンタイプでカジュアルドレスに最適だが、ローファーも含め、デザインはシンプルでつま先にスモールスケールのアリゲータ素材が来ている。今回のトランクショウのために敢えてグレーのスーツに一番右のブラックアリゲータエラスティック履いて行ったらグラスゴーさんは半ば自画自賛で「スーツにも合う良い出来だ」と褒めていた。

3 レースアップタイプ

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アリゲータ素材の靴もレースアップタイプになるとコットンパンツやデニムにはドレッシー過ぎるようだ。トップスはジャケットでもニットでもよいがボトムスはトラウザーズ、それもウールやリネンのものが合うと感じる。春の穏やかな天気には軽い作りのジャケットにきれいなチェックのシャツを合わせノータイでウールカーゴを合わせてみたいと思っている。その時までにフランスのソックス通販サイトを介して綺麗な色のソックスを用意しておきたい。

4 ブラウンカラーのバリエーション

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紳士靴には黒と茶色の2色しかないと書いたのはアラン・フラッサーだったと思う。しかし実際には赤に近いバーガンディから黒に近いダークブラウンまで茶色のバリエーションは豊富だ。クレバリーでも昔よりアリゲータ素材の選択肢が増えたようで、初期が写真の左橋端と右端だけだったのに、今では中央の2色に仮縫い中の小豆色も含め、ずいぶんと広がってきている。異なる色を1足ずつ頼んでいるうち、いつの間にか8色目まで来てしまった。今後どんな色が加わるのか楽しみだ。

5 ヒールの作り

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ヒール部分はつま先と反対に斑の大きい部分が来るのが普通だがそうとも限らない。ここがアリゲータ素材の面白いところで、デザインによってアリゲータの原革のどの部位をどこに持ってくるのかが決まるためだ。そしてこのパターン決めこそ職人の腕の見せ所でもある。通常2~3枚の若いアリゲータの革を使うそうだが、素材そのものの値段よりもパターン取りや裏革の準備、それに製作途中の気遣いなど、多くの手間が重なって1足の値段が高くなるのではないだろうか。

6 ロングノーズ

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写真の3足がロングノーズのもの。中でも4足目のバーガンディの紐靴が最も長く、今回のローファーが2番目に長いということに驚く。そして左端のアリゲータ素材で作ってもらった最初のサイドエラスティックが3番目と続く。思い返してみるとどれも長めに作るよう依頼しており、特に今回のローファーは従来の紐l靴と同じ長さでとリクエストしたことが生かされているのかとてもスマートに仕上がってきている。顧客の好みが靴のシェイプに素早く反映されている点でもクレバリーは変わってきたと実感している。

7 レギュラーノーズ

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こちらの4足は通常の長さのもの。とは言っても上の3足とは5㎜も違わない。それならば殆ど変わらないと思われるかもしれないが、実際比べて見てみると5㎜の違いは予想以上に大きく感じる。ただし、これは注文主が手持ちの靴を比較して初めて分かることであって、履いて外に出てしまえば自分以外誰も気づかないし関心もないことではある。それにしても一見長そうに見える左から2番目の3アイレットプレーントゥダービー、実は周りと比べると思ったより短いことなど並べてみると新たな発見がある。

8 エキゾチックレザーの意味

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クロコダイルやアリゲータ、リザード等の爬虫類、オストリッチやエレファントなど色々なエキゾチックレザーがあるが、この場合エキゾチックとは珍しいという意味で、希少で稀な革を指すそうだ。中でもクロコダイルやアリゲータが最高級とされ、原皮の王様と呼ばれているとのこと。丹念に仕上げられた革を職人の技でカットし、作り上げた靴からは文字通りプレシャスな感じが漂う。

グラスゴーさんに会うために今回は無理をして黒のアリゲータシューズをスーツに合わせたが、普段はジャケットスタイルでもカジュアルに合わせるようにしている。当然カーフ素材の靴に比べて汎用性は低いが、それでも続けてアリゲータの靴をオーダーしている理由はエキゾチックレザーの場合、より多くの職人技を感じることができるからだ。幼い頃から近くに職人がいる環境で育ったせいかもしれないが、優れたモノ、美しいものを作れるということ自体素晴らしい才能だと思う。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

お世話になっております。
アリゲータ・・・すごいですね!
Bespokeをいつかしたいです。
今年の渡英では無理ですが来年英国へ行く際にはBespokeに挑戦したいです。
管理人様のコレクションを見るとクレバリーが多い気がしますが英国靴ではクレバリーを一番オーダーされているのでしょうか。
トウの部分は、少し丸みを帯びているラウンドトウやソフトチゼルで拵えたいです。
クレバリーはスクエアトゥというかチゼルのイメージが強いのですがやはりクレバリーでオーダーするときもチゼルをすすめられるのでしょうか?

tkykさん

コメントを有難うございます。

クレバリーですが初オーダーを入れたのは1998年でしたが、それより以前にジョンロブパリでオーダーを何足か入れていました。クレバリーが多いのは彼らが東京にビームスの招聘で来日する度に彼らと会いオーダーを入れていた事が大きいと思います。今クレバリーが24足ですので13年かかったとすると年平均2足ということになります。

次に多いのがフォスターですがフォスターではオーダー当初は東京でのトランクショウがなく、メールでやり取りしながら木型の修正、オーダーを入れていました。勿論仮縫いなしでゴーストレイトスルーのときもあったくらいです。それでも今オーダーを入れているものを入れるとフォスターも12足になりました。その頃から比べると東京でのトランクショウが開催されて便利になったと思います。

クレバリーでは足の形からあまり極端に細いスクエアトゥを薦めない場合もあるようですが、ソフトスクエアならばまず問題なくオーダーできると思います。スライトリースクエァと言えばよく分かるかと思います。勿論ラウンドトゥで作ることも可能ではあります。

管理人様

ご返信ありがとうございます。
クレバリーもブログの記事を拝見しているととても付き合いが長いのかと感じました。
ジョンロブは仮縫いがないということでBespokeの中でもっとも重視しているフィッティングという観点から初Bespokeは仮縫いがあるところが良いと思っています。
できればメーカーのハウススタイルを重視しながらも冠婚葬祭まではいかないかもしれませんが仕事でもプライベートでも活用できるタイプのものがほしいと思っています。
そうなると管理人様の所有されているフォスターアンドサンでラウンドトゥで黒のパンチドキャップトゥが近いのかと思いました。
すごく綺麗な靴でまさに理想像!と思ってしまいました。
トランクショーが本国と価格面で同じというのがフォスターの良心(?)でもあるとおもいました。

tkykさん

返信有難うございます。

クレバリーがグラスゴーさんとカネーラさんによって再興されたのが1993年ですから彼等との付き合いが始まったのは5年後ということになります。

もっと早くオーダーすればよかったのですが1995年から98年までは海外駐在の為渡英のチャンスがありませんでした。帰国後直ぐにロンドンに行きオーダーをいれましたが、日本人の足を随分と見て木型作りを進めてきた事で、対応がスムーズだったことを覚えています。その時はカネーラさんが採寸してくれました。

さて、お褒め頂きましたフォスターのラウンドトゥのパンチドキャップトゥ、私も気に入っていますが、同じフォスターで3足目に作ったメダリオンがトゥにあるスクェアトゥのサイドエラスティックも汎用性が高く気にいっています。

管理人様

ご返信ありがとうございます。
海外駐在もされていただなんてすごいですね。
すばらしいキャリアを経験を積んでいるからこそきっと靴もふさわしくなっているのだと思いました。
やはりロンドンの老舗でも日本へのビジネスをしていると日本人の足の特徴を知った上でラストも作れるので、プラスですね。
サイドエラスティックもすごくセクシーな靴ですね。
Bespokeをするにあたり自分でデザインを決めるためには以前手袋の記事で書かれていましたが、常にデザインなどを既製品や様々なものから参考にしていく・・・こんなことがユーザにも求められていると感じました。

tkykさん

コメント有難うございます。

ロンドンに駐在できたら事情はもう少し変わっていたかもしれません。もしかしたら最初のビスポークがジョンロブパリではなくセントジェームスのジョンロブロンドンというように・・。

そのロブパリですが、今は透明の合成樹脂のような仮縫い靴を用いてプレフィッティングをしますが、1996年頃は仮縫い用にもスコッチグレインの革で仮縫い靴を用意し、それをカットしながらデータを集め、本番の靴作りを作っていました。その時のやりとりが今の靴の注文にも多少役立っているようです。

靴を注文する時は既製品に限らず古いビスポークのサンプルや他の顧客が作った靴も参考にさせてもらっています。ただし、既成靴やサンプルを見本にしても、必ずどこか一点は参考元と異なる部分を入れるようにします。ほんのちょっとしたこと、例えばパーフォレーションの変更でもいいのですが、そうすることで自分だけの1足にできる気がするからです。勿論自己満足ですが…。

管理人様

ご返信ありがとうございます。
海外に駐在されていると、駐在先で拵えることが多くなりそうな気がします。

合成樹脂のような仮縫い靴・・・あまり想像できないです。。。フォスターやクレバリーと異なり現代的な技術とジョンロブのノウハウが融合されているのですね。
自分だけのオリジナルにするというのがBespokeの醍醐味でもあるので、必ず差別化というか自分の要望を入れる・・・そんなことが楽しみの一つなのだと思います。
Bespoke自体自己満足の世界だとは思いますがその自己満足の世界だからこそ細部までデザインやフィッティング等についての要望を盛り込んで依頼するということが大切なことでもありそれがBespokeと既製品との違いですよね。

tkykさん

ビスポークシューズの場合、セミブローグといった定番のモデルを作っても既成のものとは明らかに違った複雑なシェイプになって出来上がってきます。

ラストが複雑な形をしているのも勿論ですが、職人が丹念に手作業で仕上げた靴には工場で作られた機械式のグッドイヤーの靴にはない色気のようなものが宿るのでしょう。そこが何とも言えない魅力になっています。

管理人様

返信が遅れてしまい申し訳ございません。

やはり既製品とは同じモデルでも全く違いますよね。
手作業と機械とではやはり違いますし、愛着も違う気がします。
シャツで自分自身がビスポークシャツに愛着を持っていることと似ているかもしれません。

tkykさん

返信有難うございました。

仰るとおり、誂えもたのに対する愛着は違うと実感しています。と同時に、誂え品に過度の期待を抱いたり、偏った賛美をしたりすることのないよう冷静な目を養うことも大切だと感じます。

誂え品でも既製品でも、自分に合ったものに囲まれて暮らす、そんな生活が理想です。

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