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2011年1月10日 (月)

40pairs live in history(後世に残す40足)  第4回

既に24足を紹介してきた「後世に残す40足」の第4回目はラテン系の靴である。ラテンの靴というと、「派手で華やか」、「軽い履き心地のマッケイ製法」、「明るい色使い」といったイメージを思い浮かべるが、クラシックなウェルト靴は英国靴程ではないが思ったよりも地味だ。それでも靴の形や作り、色使いや素材に対してデザインを加味しようというのか、どこかしら人目を引く部分がある。

ラテンの国々、特にフランスやイタリアはモードの先進国ということで、控えめな紳士靴の世界でもきらりと個性が光る。エキゾチックレザーや明るく華やかな色目の革をクラシックな紳士靴に使用したり、ノルヴェジェーゼなど特殊な製縫を靴のデザインに落とし込んだり、あるいは既成靴にハンドウェルテッド製法を採用したりと様々だが、ラテン系の靴には英国の靴とはまた違った魅力がある。

Passionate shoes made in the Latin countries

No:25 J.M.Weston signature loafer 180 in crocodile.

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フランスを代表するウェストンの定番モデルシグネチャーローファー。クロコダイルの斑が靴の左右で対称になるよう、原革を全てチェックし、最適な部位を靴のパーツに切り出す作業は熟練した職人のみがなせる業。ライニングに職人の手書きで製造番号、サイズ、ウィズが入るのも頷ける。ジーンズやカーゴパンツに合わせ、上は決してネクタイを締めない。カジュアルな装いにゴージャスな物を一点加える着こなしが一番。英国の靴にはない強烈な存在感がある。

No:26 J.M.Weston Golf derby 641

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以前は通称だったが、最近公式サイトのフランス語版でも「ゴルフ」というペットネームが付けられている。ショートノーズでバルキーな外羽根靴。JMの文字がトレッドパターン化されたラバーソールは頑丈で中々減らない。購入後パリで早速履き込み、チュルリー公園や美術館などともかく毎日歩いたが、醜い皺もできずしっかりと形を保っている。ウェストンの靴はモカ縫い部分や木型のデザインなど、他のどのブランドにもない独特の顔がある。個性を重んずるフランスらしいスタイルだ。

No:27 J.M.Westo signature loafer 180 in black calf

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後世に残す40足のうち最も古い靴。パリのジョルジュV店2階でフィッティングし、購入したもの。伝説のタイトフィットを味わえた頃のものでCウィズである。雨の日も履き続け、23年が過ぎた。流石にサドル部分は伸びてしまい型は崩れてきたが、黒革はフランスらしく良質のカーフで、磨くと本当によく光る。黒のローファーはビジネスにはくだけ過ぎ、カジュアルには硬すぎると敬遠する人もいるが、グレー系のパンツに黒のニット、足元をウェストンの黒ローファーというのも中々良い。

No:28 Silvano Lattanzi Asquit

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イタリアを代表する手縫い高級既成靴。ミラノとローマに1件ずつしかブティックがなかった頃、ミラノにあるラッタンジの店舗(兼ショウルーム)で購入したアスキット。ハンドウェルテッドの10分仕立てにシームレスヒールやフィッシュテールフィニッシュのべヴェルドウェイストなど、誂え靴の仕様を盛り込まれた傑作。ジョンロブが一時期ハンドメイドと謳ってプレステージラインを販売していたが、このラッタンジこそ真のハンドメイド既成靴。アッパーのオレンジ色が大のお気に入りだが、スーツには合わせにくい色目だ。その分ジャケットスタイルにぴたりとはまるラテン系の国らしい色出しの靴。

No:29 Silvano Lattanzi Ventivenia

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コバが張った靴といえばステファノブランキーニやシルヴァノラッタンジ、サントーニあたりが御三家だろうか。最近は殆ど見ないがそんな時こそコバの張った靴を履く意味がある。他とは一線を画す正にラテン系の靴は、コーディネイトに明確な個性を与えてくれるからだ。ヴェンティヴェーニァ製法のウェルト前部はチェーンステッチの外側にステッチが縫い込まれ、さらにその外側のウェルト部分に出し縫いが走る。摘みモカにトゥ先端のシャドウステッチと合わせて、一連の製法がデザインの一部となっているような感じだ。シルヴァノラッタンジはビスポーク靴でも難しい華のある靴を作る名工だと思う。

No:30 Silvano Lattanzi  "Andegari " 

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初めて購入したシルヴァノラッタンジの既成靴。1998年当時16万円ほどしていたので、元祖超高級既成靴と言えよう。ドレススタイルの靴にアウトドア靴の製法を融合させるところがラテン系の靴らしく、大げさなところが気にいっている。コバの張り出しはチャーチズの外羽根やトリッカーズのカントリーシリーズとほぼ同程度で、決して張り過ぎてはいない。ジャケットスタイルにもすんなりと溶け込む。ただし、コバを360°走るトリプルステッチは迫力満点だ。

No:31 Silvano Lattanzi "Perugia"

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ローマのラッタンジブティックで購入。外羽根のセミブローグなのでジャケットスタイルに合わせているが、ナポリではスーツにもこのタイプの靴を合わせるようだ。ウェルト上の出し縫いが見えないブラインドステッチ仕上げにして細かなファッジウィールで目付けを行っているとのこと。アヒルの嘴のようなスクェアトゥがイタリアの靴らしい。

No:32 Bonora Norwegianwelted made in Romania

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ルーマニアに工房があるサンクリスピンの工房で作られていたかつてのBONORA。ノルヴェジェーゼでありながら当時の価格が4万円台だったと記憶している。ビスポークをオーダーしてついでに購入したが、コバの張っている靴が新鮮に感じることもあってこのところよく履いている。靴の色目、フォルム、縫製、どれもありそうでない。値段は高くないが、所有する喜びと履く喜びを満喫できる傑作。

ラテン系の国々を「明るく陽気」なイメージと書くとステレオタイプだと言われそうだが、イギリスやドイツからラテン系の国に入ると確かにそう感じる。もっとも同じラテン系の国でもフランスだけはクールなイメージががあったのだが、これもステレオタイプだったようで、クールに感じるのはパリだけで、地方、特に南に行くと陽気で賑やからしい。

同じようにラテン系の靴にも「明るく陽気な」雰囲気がある。鮮やかな色使い、大げさとも思えるデザイン、手仕事による個性を盛り込んだ作りなど、いくつもの魅力がある。たとえ黒の靴であっても英国の靴にはない色気を出すのがラテン系の靴。英国スタイルが雑誌を賑わしている今こそ、ラテンの色気溢れる靴を履いてみたいと天邪鬼に思う事がある。

次回はいよいよ「後世に残す40足の靴」最終回、アメリカを中心とした靴を紹介したい。

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コメント

こんにちは!ラッタンジはマンテラッシと共に、以前ゼニアの靴を作っていたのを思い出しました(笑)当時、インソールに、手書きされたサインは雰囲気抜群でしたね!又、私の最後の既製靴、購入となったボノーラ(スェード・ローファー・10年程前)は、コルクの沈み込みが思ったより早く、更に下ろした当日に、つまみモカが切れました(笑)ラッタンジ&ボノーラ&マンテラッシどれも五万円でお釣りが貰えた時代の品です(笑)最近の輸入靴の高騰は理解出来ません!古い靴は、ビスポの工房で全てオール・ソールのリペアを施し、鑑賞用に保管して下ります! 又、初期のボナフェは価格、作り共に好感を持って下りました。

愛用者様
コメントをありがとうございます。
おっしゃる通り、エンツォボナフェの靴は昔も今も適正価格で、手縫い製法の靴だということで私も一時期所有していました。
新宿のメンズシューズ初売りを覗いてみましたが、どれも価格が高すぎるような気がしました。
特に最近はポンド安ということで、日本のセール価格がロンドンのプロパー価格以上になっているようです。郵送料を払ってもロンドンの靴屋にメールで注文した方が、よいことになります。

こんにちは。

クロコダイルをカジュアルに。
お洒落の極みですね~参りました。

musselwhiteさん

コメントをありがとうございます。

クロコの靴をカジュアルに合わせるというのは1990年代のJMウェストン青山の名物店長さんから教えて頂いたことです。

その方はこのウェストンのクロコダイルローファーと穴の開いたジーンズ、上にカシミアのニットという組み合わせが最高にかっこよいといったような事を引き合いに出しながら、上質なものと古着、チープなものとゴージャスなものを組み合わせることでバランスを取ることの大切さを教えてくれたのだと思います。

以来、クロコダイルの靴を履くときはなるべくそれを実践するようにしています。

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