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2010年12月11日 (土)

Shirt jacket(シャツジャケット)

最近ジャケットとパンツを上手にコーディネイトしている人をよく見かけるようになった。特にジャージ素材や単衣仕立てのコンフォートジャケットに人気があるのか、男女を問わず色々なメイカーがリリースしている。こうしたアンコンジャケットは、カーディガンのような軽い着心地と、シャツとネクタイに合わせることでドレスアップにも対応できる幅広さが特徴で、週末になればニットと合わせてお洒落な街着にも使える便利な1着として雑誌でも紹介されている。

中でもシャツメイカーが作るジャケットは、シャツのように「羽織る」感覚で着られる快適さと、芯地や副素材を排し、生地自体の張りを生かしたテイラード仕立てがもたらす端正さが売りで、ルイジボレッリやギ・ローバーなどイタリアのシャツメイカーは自社のシャツに合うジャケットをというコンセプトに基づき毎シーズン新作を出しているようだ。そこで今回はシャツメイカーが作るアンコン仕立ての「シャツジャケット」を紹介しようと思う。

1 コーディネイト

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コーディネイトの柱はチープシック。1980年代に流行った言葉で、「装いにきりなくお金をかけるのはばかげたことで、他に大切なことがたくさんあるはずだ。では、どうやってお金をかけずにシックに装えばよいのか?」について書かれた本「Cheap&chic」から来た言葉だ。この本の中でチープシックに装う方法として2つのことが提案されている。

提案1:真に上質なものを長く愛用する。最初は高くつくが、結局は安くつく。

提案2:安くて良いものを探す。

今回のコーディネイトは靴やベルト、チーフやスカーフ、グローブが提案1に基づいて、ジャケット、シャツ、パンツが提案2に基づいて組み合わされている。

2 コーディネイト(その2)

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パンツとシャツは50%offのものを、ジャケットは50%offのものを更に20%offになった時に購入した。「安さ」の判断基準は人によって異なるので値段を挙げることは控えるが、全部合わせてもシャツジャケットの定価よりリーズナブルになっている。そのシャツジャケットだが、生地はツィーディーなウールの単衣仕立てでオリアンのもの、シャツがルイジボレッリで、パンツはGAP

3 ネック周辺

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シャツの首下にまいたスカーフは大判のポケットチーフ、良質なシルク生地と発色の良さが分かるエルメスのもの。マフラーがスコッチハウスで胸のポケットに差したグローブは何度も紹介しているメローラ製手縫いのペッカリー。こうしたアイテムは定価で購入しているが為替の関係で、日本で購入するよりも安く買えていることは間違いないが、上質なものを長く愛用するといった視点で買い求めた物でもある。

4 ボトムス&ベルト

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パンツはGAPのバーズアイ生地。一見ウールのようだがコットン製、裾をダブルカフにするるだけでぐっとシックなパンツに見える。ちょっとしたアルタレーションで雰囲気が変わるので、シングルの裾仕上げで売られているファーストファッションのパンツ(ギャップやバナリパ、ユニクロなど)にはお勧めの方法。ベルトはラフルローレンのアリゲーター、バックルとベルト先端にシルバーのチップが付いたもの。チープシックな装いに1点ラグジュアリーなアイテムを入れるだけで装いが華やかになる。

5 ジャケットのディテール

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シャツジャケットの身頃裏両方に内ポケットが付いていて、左側にはイタリアのトリコローレ色のボタンとオリアンのネームタグが付いている。一方袖の切羽は元々切られていたがボタンホールが開いていなかったのでリフォーム業者に依頼、袖の長さを詰めると同時にミシンでボタンホールを縫いメスで穴を開けてもらった。加工代金が加わると安い買い物の意義が薄れてしまうかもしれないが、カスタマイズするのもチープシックには欠かせない工夫だと思う。

6 シャツのディテール

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合わせたシャツはルイジボレッリのもの。前立てがなく、胸ポケットも付いていないドレス仕様で、袖のカフもラウンドでクラシックなスタイルだが、ボタンダウンということで、ネクタイを締めずに首下にシルクの小物を巻くことでカジュアルな装いにも十分通用する。首元のポケットスクェアはポケットに忍ばせておくにはもったいないほど綺麗な柄のもので、昔からお気に入りのもの。エルメスのスカーフやポケットスクェアは他のブランド品より高いが、長く使え、華やかさがあるのが嬉しい。

7 靴

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靴こそ、上質なものを長く愛用するというチープシックな考え方の根幹をなすもの。左のドーバーは1990年購入のロイドフットウェアネームラスト#32のもの。当時48,000円とそれなりに高額ではあったがそれより高い靴もあった。一方右は1998年に購入したボノーラのプレーントゥ。こちらは当時のトッズとほぼ同じ価格だったはずで、今の靴の値段から考えると安くて良いものにあたるかもしれない。勿論安価な靴の作りであろうはずもなくノルヴェジェーゼのステッチは今見ても素晴らしい。

8 ドーバー#32

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この靴の履き心地は既成靴の中でも最高の部類に入る。スペードソールの返りの良さ、アーチ部分のフィット感の高さ、かかと部分のホールド感、どれも素晴らしい。後世に残したい既成靴40足の中に勿論入るエドワードグリーン(旧)の代表作だ。欧米系の人にはあまり評判が良くないらしいが、故人となったジョン・フルスティック氏のお気に入りで、スキンステッチ周辺に職人の手仕事が表れているところがそうさせたのだろう。

9 ボノーラ

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イタリアのブランドだが、ルーマニアのサンクリスピンの工房で作られているであろうボノーラの既成靴。ハンドウェルテッドで、ウェルト先端(つま先部分)のみ強度を保つためにマシンで縫い込まれ、残りの出し縫いは手縫いという9分仕立て以上のハンド率。ラッタンジのように派手なチェーンステッチは施されていないが、ピッチの細かな2列のステッチがコバ付近を走る外見は今見ても新鮮で手縫い靴としてのオーラを放っている。オレンジの色目がまた素晴らしい。

チープシックを実践する上で大切なことは、長く愛用するものはベーシックでクラシックなスタイルの枠に収まるようなものに投資すること、一方安くて良いものについては、その時々のスタイルやデザイン色目、季節を考えて揃えることだと思う。両者をミックスするにはスーツスタイルよりもジャケットスタイルの方がやりやすい。若い人達の間では着るものに高いお金をかけない考え方が定着しているようだが、ジャケットスタイルの流行もこうした考え方の延長線上にあるのかもしれない。それはともかく、手持ちのアイテムに安くて良いものを時々買い足しながら必要以上に着るものにお金をかけないよう心がけ、コーディネイトを楽しみたい。

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