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2010年7月17日 (土)

Round Toe No.3(ラウンドトゥ第3回)

前回紹介したマックスウェルネームの新着靴は数少ないラウンドトゥのオーダーだと書いたが、近いうちに2足目をオーダーしようと思っていることもあって、手持ちのラウンドトゥの靴を出して今回のものと比べてみることにした。従来のジョンロブ・パリ(1足)、ジョージ・クレヴァリー(3足)、サンクリスピン製造のボノーラ(1足)、それに今回のマックスウェルを加えた計6足を並べてみる。

注文靴というのは同じ木型を使用しても1足ずつ微妙に異なる表情(つま先の形状や長さなど)を持っている。ましてやメイカーが違えば同じ足の持ち主にもかかわらず、明らかに違う木型を作り、靴を仕上げてくる。一緒に並べてみるとそれぞれの靴屋の個性が感じられる。これがハウススタイルということなのだろう。そこで、今回は、前回に引き続きラウンドトゥの靴の続編(第3回)を紹介してみようと思う。

写真1 ラウンドトゥの誂え靴

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並べられたラウンドトゥの靴達。左端からジョンロブ、ボノーラ、クレバリーが3足並んで、右端がマックスウェルになる。遠めには似たような色合いの茶靴が見事に並ぶ左側、それに対する黒のラウンドトゥは正に仕事向きの靴といった感じか。もっとも小さく作られているのがジョンロブで次がクレバリー、ボノーラはフォスターとほぼ同寸に仕上がっている。最も低く薄いつま先はジョンロブ、次がマックスウェルでクレバリーはトゥの厚みは結構ある。ボノーラはサンクリスピンが製作を請け負っているからだろうか、やや東欧の靴に近い最も厚みのあるトゥになっている。

写真2 クレバリー5足目との比較 

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まず同じロンドンの靴メイカークレヴァリーとマックスウェルのラウンドトゥを比較してみた。左のクレヴァリーは、ラウンドトゥに近いがつま先上部がやや削られたチゼルトゥの要素も残している。イミテーションブローグということもあってつま先は細く、幅の狭いものになっている。全長で5㎜程クレバリーの方が短いが、フェイシング下部の切り返し線の位置は殆ど変わらないのは、注文主の足が同じことを考えると納得できる。マックスウェルの方は、先代のスクェアラストを基に新たに起こした木型なので、先代を作る際「ジョイント部分から先を長めに取って欲しい」と出したリクエストも引き継がれている。

写真3 クレバリー8足目との比較

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次は同じ黒の靴でクレヴァリーのラウンドトゥと比較してみる。まず左のクレヴァリー、レイジーマンの方は上で紹介したチゼルトゥのようにそぎ落とされたシェイプは見られず、やや扁平したラウンドトゥに仕上がっている。一方のマックスウェルは真円に近い弧を描いており両者を比較するとマックスウェルの方がややボリュームがある。横から見るとヴァンプ部分はクレヴァリーの方が高く、若干ルーム(スペース)があるせいか、皺が寄りやすい。マックスウェルの方は試着した感じではややタイトで、ルームは少なめなので大きな皺は入りにくそうに思える。

写真4 クレバリー12足目との比較

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左のクレバリー12足目はロシアンレィンディアのセミブローグ。古くデリケートな素材ゆえ、スクェアトゥだと釣り込み時につま先部分から革が裂けてしまうということと、素材そのものがカントリーシューズの範疇に入ることから、典型的なラウンドトゥで注文した。ここでは両者のつま先のカーブは殆ど共通しており、これが典型的な英国のラウンドトゥということになるのだろうか。マックスウェルの方が長さを多めにとっている分スマートに見えるが両者同じ素材、同じスタイルで作ったとしたら一見同じ靴に見えるかもしれない。

写真5 ジョンロブ1足目との比較

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今後、お気に入りのラウンドトゥに向けて基本となるのが目下のところ左のジョンロブ・パリになる。マックスウェルよりもややポインティで、ロブのほうを横から見ると丁度パーフォレーションの中央あたりから薄く(シャロウ)表面はフラット気味でつま先に向かって細くなっている。履き心地のロブ・ロンドン、美しさのロブ・パリといわれるそうだが、確かにロブ・パリのつま先はどの角度から見てもボリュームを抑えたシェイプが美しい。

写真6 ボノーラ1足目との比較

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ボノーラの1足目。デュプイのカーフを使ったパンチドキャップトゥは最もトゥのボリュームがある。横から見ると甲下からつま先までが厚く、トゥの先端間近で急にウェルトに向かってカーブを描いてラストが終わっている。ルーマニアに工房があるサンクリスピンらしく、、東欧風のシェイプが加味されたラウンドトゥといったところだろうか。エレガントなタウンシューズというより、ツィードに合うカントリーシューズのような仕上がりだ。当時はエレガントな紐靴が欲しかったこともあり、次から低く、ノーズの長いスクェアトゥに変更したことを思い出す。

写真7 既成靴1(グリーン#202との比較)との比較

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番外として既成靴から旧E.グリーンの定番#202ラストと比較してみる。最も美しいラウンドトゥといわれる旧工場の#202。レースステイ部分はマックスウェルよりも若干長いがヴァンプ部分はほぼ同サイズ、キャップの始まりも殆ど同じ位置で、つま先のみ#202の方が短くなっている。E.グリーンの傑作ラストらしくウェスト部分は見えにくいがかなり絞られており、履き口が幅広いといった相違点はあるものの既成靴としてはよくシェイプの効いた仕上がりになっている。

写真8 既成靴2(ピールラスト)との比較

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もう1点既成靴と比較してみる。マスターラストメイカーのテリームーア氏が在籍していたピールの名を冠したE.グリーン製のセミブローグ。ヴァンプからつま先部分がフラットだが、つま先の形状はマックスウェルと似ている。長さやレースステイ、切り返しの位置も殆ど同じで、グリーンの靴が最高の既成靴に選ばれる理由は誂え靴と比べるとよく判る。6年ほど前、出来立てのグリーンMTOを履いてヘンリープールを訪問したところ、クレバリーと間違われたこともある。

それぞれのハウススタイルがよく表れたラウンドトゥを参考に、今度のトランクショウでは、じっくりとフォスターの職人さんと話し合いながら2足目の注文をしようと思っている。ロンドンまで持参するのは大変だが、東京でのトランクショウだったらこっそり他のメゾンの靴を持って行き、参考にすることだって可能だ。上質の素材を揃え、手仕事にこだわるフォスター&サンならば様々な客の要望を上手に咀嚼して、フォスターならではの素晴らしい靴を完成させてくれるに違いない。

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Thanks admin siteniz cok guzel begendim ben turkey

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