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2009年9月19日 (土)

Pre-fitting(仮縫い)

残暑が残るとはいえだいぶ過ごしやすくなってきた9月最初の週末、年2回の恒例となっているクレバリーとファーラン&ハービー、秋のトランクショウに出向いた。クレバリーは靴の仮縫いだったのだが、「一編に2足作らなくていいのでゆっくりと」と念を押しておいたのに予感は的中し、2足同時に仮縫い状態まで仕上げてきていた。一方のファーラン&ハービーではスーツの受け取りだったので、最終のフィッティングを行い、特に問題もなく納品となった。そのスーツは近いうちに掲載する予定なので、今回はクレバリーの仮縫いを紹介してみたい。

1:3アイレットダービー(ブラウンクロコダイル)

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今回注文したのは外羽根の付け根からバルモラルのようにギンピングを施したラインがまっすぐ踵まで伸びるデザインでNEW STYLEのカテゴリーに属する。クレバリーのウェブサイト左にあるメニューのOUR SHOESからNEW STYLEに進むとサンプルが現れてくるがそのNo.36がこの靴である。今はやや明るめの茶色だが実際はもう少しポリッシングによって濃くなるだろう。グラスゴー氏が薦めるプレーンなつま先と外羽根というカジュアルな靴のスタイルには茶色のクロコダイル素材がマッチする。

2:靴底の状態

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仮縫い状態の靴の底を見たところ。プラスチック製のシャンクが見えるが仮のものでクレバリーでは確か革のシャンクを使っていたと思う。ヒールリフトも同じく仮縫い用に付けられているもので、この後底付け工程に移る。インソール上に起こされたリブと釣り込まれたアッパーの断面、その周りを取り囲むウェルトが整然と掬い縫いされている様子がよく分かる。

3:クロコダイル素材の色

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茶系のクロコダイルを右から薄い色目順に並べてみた。右端がエイコーンに近い発色の1足目、次が今回のオーダーでミッドブラウン。似た色目に映るが右端の靴は実際はもっと薄い色目なので今オーダーしている靴が完成したときには並べて改めて紹介してみたい。その隣がオレンジに近いチェスナッツの4足目で、一番左端がブラッケンに近い3足目となる。これ以外にバーガンディと黒のクロコダイル素材の靴があるが、茶系のクロコダイルの場合、カーフなどと違って革の色が1枚1枚異なるため、より個性的な1足が出来上がるところが嬉しい。

4:靴のデザイン

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3アイレットの外羽根は根元部分がハンドステッチで留められている。もともとのサンプルがカーフのアッパーで、ミシン留めされていたことを考えると、クロコダイル素材であるからかもしれない。ギンピング処理を施されたラインは靴の両サイドから踵部分で弧を描いて履き口につながる。ややドレッシーなジャケットスタイルからカシミアニットとコットンパンツといったカジュアルなスタイルにも合いそうなスタイルで完成が待ち遠しい。

5: もう1足の靴

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もう1足はクロコダイルの完成後に作ってもらおうと思っていたバックスキンの靴だが、写真のような濃い茶色ではなく、以前ブログでもお伝えしたがマスタードイエローの素材でオーダーを入れていたはずだった。ところが目の前に現れた仮縫い状態の靴は全く異なる色目で、思わずフィッターのレッパネンさんに「頼んだ靴の色目はもっと明るいマスタードイエローのはずだからグラスゴーさんに確認して欲しい」と伝えた。とはいうものの一応フィッティングだけでもと試着したところ、履いてきたジーンズとの相性も良く、これはこれでいいかなとも思った。おそらくオーダーキャンセルをせず、クレバリー20足目の記念すべき1足になるような気がする。

クレバリーもカネーラ氏やグラスゴー氏が店をオープンさせた時代から随分と年月が過ぎた。その間、若いアンドリュークック氏が在籍した時代を経て、現在は年2回のうちの1回は若き靴職人ティームレッパネン氏がトランクショウを切り盛りするようになった。作られる靴もクラシックな靴からクラシックかつスタイリッシュな靴までハウススタイルも変化してきているようで、自分がオーダーしてきた20足の靴を比べても違いが分かる。これはフォスター&サンでも同様で、テリームーア氏の作る美しいラストに若い靴職人の感性が加わり、今の時代にマッチするクラシックな靴が生み出されている。一時期注文靴の世界に新風を吹き込んだフランスはパリの誂え靴から、今再び英国はロンドンの誂え靴に着目する番が来ているように感じている。

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誂え靴(Bespoke shoes)」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです。しかしクロコは素晴らしいですね!羨ましいです^^間違ったとは言えバックスキンの色は合わせやすい色目でいいですよね。
私も2足目のクレバレリーの仮縫いに行きました^^
やはり出来が良かったです。少しロングノーズにしてコバを出来るだけ張り出さないようにしました。完成が楽しみです。

てつさん
ご無沙汰しております。
クレバリーの仮縫い、満足のいく出来だったようでおめでとう御座います。
昔は「ロングノーズにして」と頼むと「できる限りのことはやる」といいつつ、つま先のシューパフをいじるだけで決してラストは修正しなかったクレバリーですが、このところはラストの段階からロングノーズでスマートなものをリリースしています。
フォスターの新しいクラシック靴やG&Gの影響もあるのでしょうか、昔と違うクレバリーを自らの靴や他の顧客の靴から感じることができます。

色々浮気して、満足な1足ができなかったのが、管理人様のブログを通じて絞り込んだのが成功したと思います。ありがとうございました!
G&G程のロングではありません^^バランスを崩さない程度ならやりますと言ってくれました。闇雲にロングにしない所が、逆に感心しました^^
G&Gはオーダー会を見学に行きましたが何故か魅力を感じませんでした!既製品のような感じがしました!?
スーツの掲載も楽しみにしています^^

てつさん
「闇雲にロングノーズにしないクレバリーの方針」というてつさんの書き込み、確かに納得するものがあります。私の靴も1足目からその長さは殆ど変化していません。バランスを崩さない範囲でのネオクラシックな靴作りが最近のクレバリーの特徴でしょうか。
また、「G&Gのビスポークが既製品のように感じた」とのお話、写真でしか見たことがないのですがなるほどなと思いました。
私はクレバリーで注文を重ねていく中で彼らのバランスは気に入っていたものの、ある時そのバランスから外れるでしょうが「もう少し長さが欲しい」と思ったことがありました。
そこで、フォスター&サンのテリームーア氏にアポをとりました。その時クレバリーで当時最もスマートな仕上がりだった靴を履きながら「この靴よりもう少し長い靴を作れますか」と聞いたときにテリー氏がすぐに「できますよ」と答えたのが今も印象に残ります。私の足の採寸データはクレバリーもフォスターも殆ど変わらない筈ですが、そのデータを基にした「クラシックな靴としてのバランス」の範囲はクレバリーとフォスターでは異なります。だからこそハウススタイルというものがあるのでしょうし、私がクレバリーとフォスターに靴作りをお願いしているのも両者のバランス感覚が心に響くからです。

両者の哲学でしょうね!あまりにロングにしてしまうと歩く時に、引っ掛かりますと言われました^^
その時、俺はフランスの靴に影響されているなと・・
なるべく職人のできる範囲でやり易く仕事をしてもらいたいと思いました。
両者を注文できる管理人様が羨ましいです^^

てつさん
「あまりロングにしてしまうと歩く時に引っ掛かる」とのお話、確かにそうなんだろうと思います。
ただ、クレバリーと比べてフォスターは約1cm長いのですが、それでもジョンロブの既成ラスト#7000の8.5-Eよりも全長は短く、一見ロングノーズのようで実は「既成靴より小さく、シェイプの効いた美しい靴」だと実感しています。勿論つま先の引っ掛かりは皆無で快適なフィッティングは注文靴そのものです。
職人のできる範囲でカネーラさんもテリーさんも最高のラスト、納得のいく靴を作ってくれるので、コンスタントにオーダーし続け今に至っています。

てつさん(はじめまして。)管理人さん

靴の長さのお話ですが、スピーゴラのー1足目なんですが、ある程度の希望を出して、後はお任せだったんですが、さる理由で、やり直しとなったのですが、(出来上がりは満足のいくフォルムでした。)そのとき、「できるなら1cmほど、短くしてと鈴木さんにつたえてほしい。引っかかるから。」とオーダーしたお店の人に、伝えたとき、「バランスが崩れますよ。」といわれましたが、鈴木さんなら解決してもらえると思ったからきっぱりといいました。やり直しの出来上がりは満足いくものでした。いくらきれいなフォルムでも、歩くのに支障をきたすのでは本末転倒ですから。ビスポーク靴の基本は、歩いて快適なことですので、クレバリーの言い分もよく分かります。

deibu95さん
「長すぎるノーズを削ってもらう」というのもロングノーズの靴がポピュラーになってきた最近ではあり得る話ですね。
ただ、私の持っている鈴木さんの靴を比べてみたところクレバリーとフォスターの中間の長さでした。鈴木さんが私の足のデータから導いたラストのバランスはロンドンの老舗靴屋2件のちょうど中間ということになります。鈴木さんのセンスも素晴らしいなとあらためて感じました。

はじめましてdeibu95さん〜スピーゴラも良いですね!値段も良心的ですよね!日本人の職人もこの頃値段が高いですからね〜

てつさん、deibu95さん
鈴木さんの靴、仰るとおり値段も良心的ですしラストの形も綺麗だし、とてもいいと思います。
ところで日本の誂え靴屋といえば、パーフォレーションを多くしたり、半カラスにしたり、細かな注文を加える度に値段が高くなるシステムをとる誂え靴屋が結構あるようですが、ジョンロブパリ以外パリやロンドン、フィレンツェ、ローマで私が注文した靴屋はデザインや仕上げの指定によって料金が高くなることはなかったので、違和感があります。

確かに管理人様の言われる通りですね!
この頃、日本人職人の靴を買うメリットが薄らいでいるのかなと・・・円高ですしね!
最初は日本人の方がコミュニケーションが取れると思いましたが、以外に駄目でしたね!日本人のビスポークの場合20万円代が妥当だと思います!ギルド、サイオンは高いですねぇ〜

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