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2009年2月15日 (日)

スェードの靴(Brown Suede Shoes)

秋から冬にかけての着こなしで欠かせないのが茶のスェードの靴。最近は一年中履いても違和感がなくなってきているようだが、素材のもつ温かみや茶の色目は特に秋冬の装いにマッチする。チャコールグレーでチョークストライプ柄のフランネルスーツやツィードジャケットにモールスキンのジャケッティングスタイル、あるいはコーデュロイパンツにフェアアイルのセーター、上にオイルドコートを羽織ったスタイルなど、幅広くコーディネイトできるところが魅力だ。そこで今回はスェードの靴を紹介してみたい。

写真1:スェードの靴

Suede

左から順にワイルドスミスのウェストミンスター”(E.グリーン製)、クロケットのハンドグレード”マーストン”、ジョンロブの”フィリップⅡ”、クロケットの通常モデル”オールゲイト”、クレバリーのイミテーションフルブローグ、オーベルシーのキャップトゥ。他にローファーとダービー2足、チャッカブーツ2足を合わせて5足残っているが載せきらないので写っていない。写真の靴はビスポーク以外、残りの靴はサイズが8~81/2なのだが一見して分かるとおりモデルによって随分大きさが違っている。

写真2:エドワードグリーンとジョンロブ

Wildsmith_jlobb.jpg

旧グリーンの工場を買収してスタートしたジョンロブ、その血筋は同じだが両靴のシェイプはかなり異なる。左の旧グリーン”ウェストミンスター”がDウィズで右の新生ロブのフィリップⅡはEウィズと、同サイズ(8-1/2)にもかかわらずDウィズの”ウェストミンスター”の方が幅が広い。ただ、両靴の間には20年近い開きがある。その間既成靴のラストがより長くスマートに、よりビスポーク靴に近づいていった結果と言えよう。一方、この20年で革の質は低下しているはずなのだが、驚くことにこのフィリップⅡ、手持ちの既成靴では最上と思っていた”ウェストミンスター”のスタグスェードに近いクオリティで、さすがジョンロブと感心させられた。

写真3:オーベルシーとクロケット&ジョーンズ

Aubercy_cjones.jpg

両靴は異なるブランドだが同サイズ、同ウィズでアッパー素材もほぼ同質のものを使っているようだ。ブラシを一方向にかけ、次に反対方向にブラシを擦るとよく起毛されたスェードはそこだけ毛足が逆になって色目が変わるのだが、この2足はまったく変わらないことからスェードというよりもリバースカーフの方がしっくりとくる。色目はクロケットの方がやや濃い目で、ミンクブラウンと呼ばれるもの。オーベルシーの方は定番のタバコブラウンと考えられる。

写真4:クロケットのハンドグレードとスタンダードライン

Aubercy_cjones.jpg

左がハンドグレードライン”マーストン”右がスタンダードライン”オールゲイト”。写真では分からないが一番の違いは踵のヒールカップの丸みである。スタンダードラインの方はヒールカップの食いつきがあまりなく、歩くたびに踵が逃げやすい。ハンドグレードラインではその点が改良されていて、踵の食いつきがよくなっている。また、ソールの材質もハンドグレードではオークバークソールになっていてスタンダードラインのように硬く滑りやすかった印象がかなり改善されている。このところ”オールゲイト”をよく履いていた。この靴ももう20年経つが底は薄いラバーを貼っていることもありメンテナンスフリーだ。ただし踵だけはもう交換時期が来ている。

写真4:靴の色目

Aubercy_cjones.jpg

靴の色目を見てみると、ブラウンといっても革毎に微妙に色目が異なる。そこがスェード素材の魅力だが、あまり薄い色目や濃い茶色は合わせる服を選ぶので、どうしてもタバコスェードのようなミディアムブラウンが中心になる。左端のコーヒースェードはダービーということもあってスーツには合わせない。左から2番目のフィリップⅡから右に3足までがタバコスェードに近い色目だが、メイカーはロブパリ、チャーチズ、クロケットと異なる。ローファーはやや茶が濃く、右端のキャップトゥダービーではオリーブ色が混ざったような色目だ。この冬、マスタードイエローのバックスキンをクレバリーに注文したが、今回先にオーダーした靴の完成後ということでデリバリーは早くとも1年半くらいだろう。

写真5:ダービースタイル

Derby.jpg

スェード素材のダービーはカントリースタイルの代表靴で、スーツは勿論ジャケットスタイルでもなく、カシミヤセーターにウールやコーデュロイ、モールスキンなどのパンツを合わせ、上からカジュアルなコートを合わせて履きこなす方がしっくり来る。色目はやや明るく写っているが、左は旧E.グリーン製コーヒースェードのサンドリンガム、かつて香港のペニンシュラホテルのアーケードにショップがあった頃に購入したもの。右はクロケット製ラルフローレンネームのキャップトゥダービー。日本の別注であろう、RLJと手書きされている。

写真6:タバコスェード

Tobacco_2.jpg

写真の靴が箱にタバコスェードと記されている靴である。共にクロケット製だが左はポールセン&スコーンネームで右がハケットネーム。チャッカブーツの方は水で洗浄したのに色目が濃い。クロケットのスェードは肉厚でやや硬め、表面がマットな感じだ。ライニングのある靴では硬さを感じるが、アンラインドになると俄然履き心地が良くなる。最近クロケットからアンラインド(アンコンと書かれていたが。)のプレーントゥダービーが発売されているが、コンフォートに対する一つの答えと言えよう。

写真7:デザートブーツ

Desert.jpg

ここではデザートブーツを紹介してみる。左はオリジナルのクラークス(アイルランド製造)で、右がA.サージェント製ブルックス(ピールネーム)のチャッカブーツ。ブルックスBrosではデザートブーツという名で商品を紹介していた。このような薄い色目のスェードはジャケットスタイルではなく、よりカジュアルな服装が合う。ただし、ボトムスを濃い目のデニムにすると、裾の裏からインディゴ染料が靴のアンクル部分に移るので十分色落ちしたジーンズを合わせる必要がある。

写真8:アッパー素材

Material.jpg

丁寧に起毛されたバックスキンやスェード素材は一方向にブラシをかけて毛足を揃えた後、反対方向にブラシを少しかけるとすぐに分かる。写真の3足のつま先部分を見るとよく分かるが、いずれもブラシを反対方向にかけた部分だけ毛が逆立って色が濃くなっている。最も上質なのが右端のクレバリーでビスポーク用バックスキン、次が中央の旧グリーン製スタグスェード、そして左のフィリップⅡと続く。素材の上質さは靴の表面に現れるだけでなく、履き心地に少なからず影響を与える。

スェードの靴はスーツからジャケットスタイル、コットンパンツからジーンズまで幅広い着こなしに合う。黒や茶のカーフ靴を毎日履いていると、週末や休日には違った靴を履きたくなる。クロコダイルの靴は魅力的だが、エキゾチックレザーの靴は初秋まで。あまり寒い季節に履くものではないので、秋冬の装いに変化を付けたいと思ったらやはりスェードの靴が一番。まだ暫くは寒い日が続きそうなので週末にはどんなスェードの靴を穿こうかあれこれ考えながらコーディネイトを楽しみたい。

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コメント

素晴らしいスエード靴ですね。自分は2足しかもってませんが、オシャレにはかかせないなーと最近思ってます。やはり、かなりの洒落者ですね。

タカタカさん
もともとスェードの靴が好きでしたので、いつの間にか同じような色目で様々なスタイルの靴が集まりました。
タカタカさんはどのようなスタイルにスェード靴を合わせるのでしょうか。いつかお暇なときにお教え頂ければ幸いです。

管理人様
はじめまして。

私も洋服好き、靴好きを自負している者です。

とても素敵なスエード靴達ですね。
私も数足所有しておりますが、一度その魅力にはまると加速する一方です。

ブログタイトル【Not fashion but style】とても素敵な言葉ですね。
※ラルフローレン、私の地元ではライセンスものしか買えず、管理人様が羨ましいかぎりです。

今後ともよろしくお願いいたします。

jubilee39msさん
はじめまして、当ブログへの訪問ならびにコメントを有難う御座います。またブログタイトルをお褒め頂き恐縮しております。
jubilee39msさんも洋服好き、靴好きとのこと。きっとお分かりいただけるかと思いますが、スェードの靴は本当に魅力的です。
ラルフローレン、今回初めてオンラインショッピングにチャレンジしてみましたが、日本のものとはサイズもかなり違っていました。(やはり本国のものは大きめに作られています)

ここまで揃うと見ているだけで楽しいです。
すばらしいコレクションありがとうございます。

現在は3足程所有しています。そのうちの2足はよりカジュアルなクレープソールのものです。
通常のレザーソールのものはやはりフランネルのパンツに合わせて履いています。
最近は雑誌でも1年通して履いてもいいみたいなことが書かれていますが、やはり晩秋の装いにぴったりきますよね。
オリーブグリーンのコーデュロイのパンツにブラウン色のスエードは美しいものです。

スタンウッドさん
コメントを有難うございます。
クレープソールのスェード靴、私も本家クラークストーサージェントのチャッカ、それにチャーチズのフェアフィールドと3足持っていますが重宝しています。

それから、スェード靴の着こなし提案有難うございました。実はオリーブグリーンのコーデュロイ、昔ブルックスのものを持っていたのですが見当たりません。探し出して合わせてみたいと思います。

今晩は。スゥエード靴は私も大好きで愛用者です。秋冬の足元の装いに欠かせませんね。

アキノリさん
コメントを有難うございます。
アキノリさんもスェードの靴がお好きとのこと。お仲間が出来た気がしてとても嬉しく思います。
所有されているのはやはり紐靴のタイプでしょうか?スーツ姿がとてもお似合いですので想像してみました。
ところで、昨日は一日中ロブのスェード靴を履いていましたが、十分快適に過ごせました。まだ暫くはスェードが重宝しそうですので掲載した靴をローテーションで沢山履いてみることにします。

こんにちは、お返事が遅くなり大変にすみません。
スェード靴を合わせるスタイルはジャケパンが一番多いですね。ただ、ジーンズにも合わせやすいので持っていると重宝しますね。以前はスェードは敬遠していたのですが、お洒落なイタリア人の足元は皆スェードですからね。しかし、こんなにスェードの靴があると
楽しそうですね。本当に羨ましい。自分も余裕があれば買い足したいものです。

タカタカさん
スェードのコーディネイトへのアドバイスをありがとうございました。
私もデニムに合わせようとするのですが紐靴だとフォーマル過ぎてしまうのでスリッポンかデザートあるいはチャッカブーツをつい選んでしまいます。
その点ジャケットスタイルは紐靴でもバックル付でもスリッポンでも良いので俄然手持ちの靴の出番が多くなります。
今年は春から初夏にかけてもアンラインドのスェードローファーをコーディネイトしてみようと思います。

ご無沙汰しました。私のスゥエードシューズは全て紐靴でスーツにも併せられるようにしています。ウォークオーバーのチャッカブーツはコーディロイのトラウザーすやデニムに併せてラフに履けるので好きです。

アキノリさん
やはりアキノリさんの所有されているスェード靴はどれも紐靴でしたか。スーツに合わせていらっしゃるとのことで流石にお洒落ですね。
それから、ウォークオーバーの靴、大変懐かしい響きです。
仰るとおりスェードのチャッカブーツは色々なものに会わせやすくて大変重宝するアイテムですね。

こんにちは。

スエードの良し悪しは、どこで判断されますか。スエードの極上のものがどんなものか、わからないので、一度、JLで、みてみたいです。

deibu95さん
私の好きなスェードは表面の起毛が細かく、手で触れるとそこだけ毛並みが乱れて色が暗く見えたり、反対に明るく見えたりする柔らかな感触のものです。こういったスェードは素材も柔らかなものが多く、履き心地も快適に感じます。反対にスェードの表面がマットでブラッシングしても表面が変化しないものは素材がやや硬いような気がします。フォスターから頂いたスェードのサンプルもやはり表面の起毛が細かいものでした。

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