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2008年9月 7日 (日)

10th Anniversary

When a man is tired of London, he is tired of life;for there is in London all that life can afford.  (by Samuel Johnson)

有名なサミュエルジョンソンの言葉だが、確かにロンドンは魅力的な都市だ。パリやローマ、何回も訪れた都市は他にもあるが、ロンドンには格別な思い出がある。

ロイヤルアーケードのクレバリーショップを初めて訪問してから今年はちょうど10年目に当たる。それまでもロンドンを訪れたり、英国に暫く住んでいたことはあるが、この10年は特に色々なことがあった。

ジョン・カネーラ氏の採寸でスタートしたクレバリーにはその後何回も訪れたがフィッティングやコレクション、時には2階や3階の作業場、地下に案内してもらったこともあった。昔ながらのオーダーブックに自分の注文を見つけたときには、メールでアポイントメントを取る一方で昔ながらの注文管理を続けているやり方に「古きものを大切にする英国」とはこのことなのかと思った。

2001年にはサックビルStのファーラン&ハービーでスーツを注文、ピーター・ハービー氏と故キース・ファーラン氏の2人に出会った。採寸後、パリ、フィレンツェと回ってロンドンに戻った時、フィッティングに立ち会ってくれたのはキースだったが、彼はとても気遣いのある素晴らしい人だった。その時の1着は今も大切に着ている。

2003年にはクレバリーのダイレクター、ジョージ・グラスゴー氏の紹介でヘンリープールでスーツを注文、カッターのフィリップパーカー氏と出会う。クレバリーの店からジョージと2人でバーリントンガーデンズを揃って歩きながらプールに向かったことがつい昨日のようだ。プールで注文をし終えると、すぐにその足でジャーミンStのフォスターを訪問、テリー・ムーア氏に採寸してもらい靴を注文した。テリーが最も得意なデザインの靴がフルブローグだと知ったのは後になってのことだが、その時ウィンドウにディスプレイされていた魅力的なフルブローグを見て入店、最初に注文したのがフルブローグだったのは単なる偶然ではないと思う。

ここ数年はロンドンを訪れていないが、東京でジョンやジョージ、ピーターに会えるようになったし、テリーと会うことはできないがフォスターの若い職人に会って東京でフォスターやマックスウェルを注文できるようになったことはとても嬉しい。この土曜日にクレバリーとファーラン&ハービーのトランクショウに出向き、半年ぶりの再会を果たした。ピーターはいつもと変わらず元気そうで、モヘアの50%入った生地でスーツを注文し、クレバリーでは若い職人のMr.ティム・レッパネンから最新の靴を受け取った。

1 最新の靴

Outsole_3

バーガンディクロコダイルのパンチドキャップトゥ・アデレイドである。当初はつま先をプレーンなスタイルにしようと考えていたのだが、それまでのクロコダイルが全てプレーンだったのでキャップのあるスタイルにしてみた。クロコの斑がインステップ周辺よりも大きいため、キャップ部分が浮き上がって見えるようで結果には満足している。ソールはいつもの仕様。

2 靴の全体

Overlook_2

レースステイの周辺はパーフォレーションなしのアデレイドスタイルにした。この方がつま先のパーフォレーションが強調されてよい。革はクレバリーが通常ストックしているクロコダイルだが、仮縫いの時よりも透明感があり、正にバーガンディ(ブルゴーニュ)ワインのような色だ。グレーは勿論のこと茶系のトラウザーズとも相性がよい。早く秋冬の装いをしたくなる。

3 トゥスタイル

Captoe_3

キャップのサイズはやや小ぶりだが、靴全体からみて絶妙のバランスで仕上げてきている。つま先の美しさは特筆ものだが、つり込みからウェルトの出し縫い、目付けまで素晴らしく、文句の付けようもない。フィッティングは前回のバックル付スリッポンから紐靴らしい足全体を均一に包み込む感じで従来のクレバリーの感覚だ。

4 インサイド

Inside_2

今回の靴はピッチドヒールではないようだ。こうした細かなところにも注文を入れたこともあったが、最近はあまり気にしない。職人の判断なのか、クロコ素材ゆえ、ソールの装着後にはヒール周辺といえども手を加えない方がよいと判断したのだろうか。インサイドの月型芯はアーチ前方ジョイントラインまで伸びており、しっかりと土踏まず部分を支えてくれる。

10周年を祝う最新の靴は予想通り素晴らしい出来映えの靴だった。この後フォスターの7足目、ヘンリープールの中縫いが待っている。この10年は気に入った店を見つけ、注文しながら客と店のよき関係を築く期間だった。これからの10年はロンドンに行く機会も多少は増えそうだが、あせらず、ゆっくりと、自分の欲しいものを楽しみながら注文していくようにしたいものだ。

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コメント

こんばんは、素晴らしいバーガンディクロコダイルの靴!!いいですね。自分もいつか手に入れたいです。
ロンドンはそんなに、魅力ある町なのですか?是非行ってみたいです。ただ、イタリアに個人的には興味があります。

タカタカさん
いつも書き込みをしてくださり有難うございます。
実際のところパリもローマもフィレンツェも好きですが、男性の装いを考えた時、自分の好きなものを上から下まで手に入れるにはロンドンが一番便利かと思います。今回ファーラン&ハービーにはピークドラペル2つボタンでノープリーツ膝下ストレートのトラウザーズスタイルでスーツをオーダーしました。「古いものを大切にする」ロンドンテーラー界ですが、ピーターさんはビームスで仕事をしたり、ミュージシャンの服を仕立てていることもあってとても柔軟です。どんな服が出来上がるのかとても楽しみにしていますし、完成後は(1年後ですが・・・)ブログで紹介できたらと思います。

いつも拝見しています。貴兄の年齢・ご職業など存じ上げませんが、cobblerというアドレス名から粋な方を想像しております。小生、小中に5年、勤務で6年ロンドンにいたのですが、靴は買わず、50を過ぎた今頃英国靴が好きになりやや後悔しております。現役なのは、40年前にスマイソンで買った茶革のattacheぐらいです。フォスターはトランクショーがあるようですね。いずれ注文してみたいものです。

英国好きさん
いつも拝見して頂き有難うございます。
幼少のころ5年、仕事で6年英国(ロンドン)で過ごされたとのこと。ご年齢からしますとロンドンの移り変わりを肌で感じていらっしゃるのではないかと拝察いたします。
スマイソンでお買い求めになったアタッシェが40年過ぎても現役ということですから、おそらく、その間様々な仕事を共にされ、逸品となっているのではないでしょうか。
フォスターの受注会、ぜひ行かれてみてください。きっと満足のいく靴ができるかと思います。
これからも時々お立ち寄りくださいますと嬉しいです。

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