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2008年3月24日 (月)

Visit Northampton(ノーザンプトン訪問記)

少し昔のことになるが、英国中北部の町ノーザンプトンをよく訪れた時期があった。初めて訪問したのが1998年だから今から10年前のことになる。当時は今のように訪れる日本人も殆どいなかったが、旅行者を温かく迎えてくれるいい雰囲気の町だった。初めての訪問は車だったが、ちょうど英国を車で旅行中、中西部の町チェルトナムに一泊して翌日、湖水地方に行く途中に立ち寄ったのが最初である。

このチェルトナムにはずいぶん昔だが暫く生活していたことがある。有名なバース(Bath)と同じ温泉があり、コッツウォルズツァーのバスが発着する賑やかな町だが、それでも買い物には何かと不自由したので、鉄道よりも便利で安いナショナルコーチ(長距離バス)を利用してロンドンへよく出向いた。ロンドンでは到着するとまず初めに用事を済ませ、それからゆっくりと店巡りをした。ある時E.グリーンのショップで貰ったカタログにファクトリーの住所(Oliver St)が載っていたので訪問しようと思い、チェルトナム~ノーザンプトン間のコーチの時刻表を調べたが、接続が上手く行かず諦めたことがあった。

そんなことがあったので、期待しながらチェルトナムからノーザンプトンに向かったが、予想以上に時間がかかり、ようやくクロケットのファクトリーだけ訪問することができた。店内ではロブ別注の靴を探したものの在庫がなく、P.スミスネームのブーツを買って車に戻った。思い描いていたものとは違っていたが、それでもようやく訪問できた嬉しさで満ち足りた気分だった。

その翌年、再び車でイングランド~ウェールズ~スコットランドを回る旅を終え、ロンドンに戻ると、今度は電車でノーザンプトンを訪れた。イギリスの地方都市は鉄道の駅が町のはずれにあることが多く、ノーザンプトンの駅前も実にあっさりしたものだ。まずはシティセンターのツーリストインフォメーションに行き、レンタルバイク(貸し自転車)のお店を調べてもらった。受付の女性は大変丁寧で、電話帳のように厚いショップガイドを丹念に調べながら見つけ出してくれたのがノーザンプトンでただ1軒の貸し自転車屋だった。市内の地図を購入し、自転車屋に印をつけてもらうと、ゆっくり町並みや景色を味わいながら20分ほど歩いただろうか、ようやく店にたどり着いた。店主は大変優しく丁寧で、自分の身長に合ったサイズの自転車を出してくれた。気持ちよくノーザンプトンの町へと繰り出してみると、車で見る景色とは違って、人々の生活や空気が直接感じられて爽快だった。

1:今も残るノーザンプトンで購入した靴

Outletshoes

ノーザンプトンを自転車で回ると一日に色々なファクトリーショップを訪問できる。お気に入りの靴も沢山見つかった。クロケットではロブネームのアンラインドローファー(中央の青い靴)を見つけ、トリッカーズではウィングチップブーツを購入、チャーチでもよい靴を安く手に入れることができた。気に入った靴を買うことができた喜びもあったが、ノーザンプトンの町並みや出会った人々の優しさが気に入ってその後も頻繁に訪れるようになっていった。

2:ロブファクトリー製のロブとクロケット製ロブの比較

Unlined_3

Oliver StにあったE.グリーンのファクトリーは既にジョンロブに移っていたが、そこで見つけたアンラインドのアシュレイ(左の靴)はさすがに旧グリーンの工場製らしく、素晴らしい履き心地だった。値段は他のファクトリーよりも高く、同じアンラインドでクロケット製のリオ(右の靴:ロペスのアンラインド版)より100£も高かった。ただ、値段の違いは作りや素材だけでなく、何より履き心地に表れていた。クロケットの靴はロブネームのものであってもやはり硬かったのだ。

3:オリバーストリートのロブファクトリー

Aldila

やがてノーザンプトンに行くと、必ず最初にロブのファクトリーを訪れるようになる。何回も訪れるとたまにファクトリーの中を案内してもらったり、日本人でロブのデザイン部門にいる人と話したりすることができた。許可を得て、靴が並べられている棚に出入りしながらラダー(はしご)や踏み台を借りてめぼしい靴を自ら検品したこともある。シャンボールド(左の靴)は出し縫いの時にできた小さな傷のため検品ではじかれたものだが、最近のものより作りは素晴らしい。出し縫いの時にアッパーに傷がつくのはそれだけウェルトの幅が狭いからなのだろうが、最新のシャンボールドはウェルトの幅がとても広く、遠くから見るとまるでストームウェルトのようだ。それから、写真の2足はどちらもアルディラと呼ばれる素材なのだろうが、これがまた素晴らしい。写真のシャンボールドを履いてパリのウェストンに入ったことがある。店員は「ウェストンにはその靴のような薄茶の靴がない。」といって羨ましそうに話していた。

4:ハンドメイドラインと新しい木型のロブ

Newmodel

何回も通いつめているとやがて「この靴が欲しい」と思うようになる。ヴィンテージシリーズを探して出向いたり、新しい木型の靴を探したこともある。トーキョー(左の靴)は#8695だが、作りがフィリップやマッタと同じ上級ラインだし、ボンド(右の靴)は#8000のラストということで購入したものだ。短時間に効率よくファクトリーを回ろうとタクシーで移動することが多くなった。やがて物事に潮時は必ずあるもの、ロンドン~パリ~ミラノ~フィレンツェ~ローマと色々な店に出向くようになるとゆっくりロンドンに滞在する時間が取れなくなり、ついにはノーザンプトンを訪問することもなくなっていく。最後に購入したのが写真右のボンドだった。

今は既成靴を購入する予定はないが、それでもノーザンプトンには近いうちにまた行ってみたいと思う。その時はタクシーではなく絶対に自転車がいい。自分の足でゆっくりペダルを漕ぎながら景色を満喫したい。疲れたら街の広場に出ているフィッシュ&チップス屋をもう一度訪れて昔のようにビネガーをたっぷりかけたポテトと熱々の白身魚のフライを食べてみたいと思っている。

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コメント

連休中過去の記事を熟読させていただいております。
教えて下さい!
私は見た事がないのですが、短靴(chelsea、churchill)やブーツ(halifox、GRESHAM)でもジョンロブネームでエドワードグリーン製やクロケット製の靴があるのでしょうか。ラスト808のグリーン製のジョンロブがあったりするんでしょうか。ソックシートがジョンロブなんですよね。見分け方も難しそうですね。機会があれば見てみたいものです。
(ボノーラ製のジョンロブは過去に見た事があるのですが)
聞いてばかりで恐縮ですが教えて下さい。

今度フォスターのオーダー会に挑戦することになりました。ドキドキです。

jubilee39msさん

過去ログをお読み頂き有難う御座いました。

元々ジョンロブはロンドンにある誂え靴屋でしたが支店をパリにも構えました。その後色々とあったのでしょうがパリ店を閉鎖する事になった際、エルメスがパリ店をそのまま買い取りました。

後にフォーブルサントノーレのエルメス本店奥にジョンロブパリとして開店、そのジョンロブパリ店が手掛ける既成靴としてジョンロブ(パリ)のインソックで既成靴を販売するようになりました。ただ、誂え靴屋でしたので工場がありません。最初はクロケット&ジョーンズに制作を依頼しました。(革はエクスクルーシヴでしたので製品は通常のクロケットよりも高いクオリティではありました)

その後エドワードグリーンにも依頼するようになりますが、その頃ノーザンプトンのオリバーストリートにあったグリーンの工場を丸ごと買い取り、ついにジョンロブ既成靴のファクトリーを所有することになりました。当時はまだ、インソックにジョンロブ(パリ)と刻印がしてありましたが、その後ロンドンの本家ジョンロブとロイヤリティの合意が得られたのでしょう、単にジョンロブというインソックに代わって現在に至っています。

ですのでクロケット製のジョンロブは昔のものですし、エドワードグリーン製のジョンロブもグリーンの旧工場を買収する直前までということになります。

フォスターのトランクショウ楽しみですね。いい靴が完成することを願っております。

管理人様、
なるほど、グリーンの歴史、大変勉強になりました。
パリの刻印が見分け方の一つかもしれませんね。
(あとグリーンのラスト表記の仕方や?)
管理人様はグリーン製のジョンロブはお持ちですか?
機会があれば、ブログでアップしていただけると嬉しいです。
興味があることについては色々と知りたくなってしまいます。
よく考えてみればビスポークメーカーは既成靴用の工場は持っていないのは当然の事ですね。フォスターにもグリーン製の既成靴があった見たいですし。
フォスターのオーダーは初ビスポークなんです。あれやこれや色んな仕様を考えすぎて混乱気味です。
管理人様の靴も是非参考にさせて下さい!

jubilee39msさん

以前所有していたE.グリーン製のDELANOE,クロケット製のRUSSEL,WILLIAM,BAROSS,は処分してしまい、今はクロケット製のLOPEZのみとなりました。

昔フォスターでみた時E.グリーン製の靴は結構ありましたがそのうち1足ジョッパーブーツのGRESHAMを今でも所有しています。1990年代初めの事でしたが、まだ最高級紳士既成靴といえばE.グリーンだった時代です。

フォスターではレースアップシューズをオーダーされるのではないかと推察いたしますが(ローファーやモンク、ブーツも勿論できます)今はあまり出てこないテリームーアさんが一番得意なデザインはフルブローグだそうです。

私も今回完成したレイジーマンも含めてフルブローグ系のデザインがこれで4足になりました。フォスターのブローグはとても格好良いと思います。ご参考になれば幸いです。

ジョンロブの件、色々と教えていただきありがとうございます。
レイジーマン、フォスターでもオーダーされていたのですね。管理人様がお持ちなのはクレバリーだけかと思っておりました。クレバリーとの比較も面白そうですね。私、出張の時以外はスーツを着ないのと、一通り基本スタイルのシューズは所有しておりますので、定番のストレートチップ等はオーダーしないつもりです。フォスターの基本をおさえ、且つ、ビスポークでしか出来ない仕様を考えております。
機会があれば、フォスターのレイジーマンをブログにアップ頂けると嬉しいです。

jubilee39msさん

フォスターのレイジーマンはそろそろ完成なのではないかと思いますが、夏にロンドンでピックアップするか郵送してもらう決めかねているところです。諸般の事情により夏のバカンスの計画がまだ立っていないことがあります。ですのでレイジーマンを紹介できるのは申し訳ありませんがもう少し先のことになりそうです。

フォスターのオーダー、もうすぐですね。ビスポークは何と言ってもご自身の一番好きなものをオーダーされるのが一番だと思います。「最初はストレートチップから」とか「ハウススタイルに近いものを」といった話を聞きますが、好きなものを注文してこそビスポークだと思います。

jubilee39msさんの考えるビスポークらしい1足を是非注文されてみてください。

色々お教えいただきありがとうございます。管理人様のこだわりがギュッとつまった素敵な仕様のレイジーマンと想像いたします。
確か、故加藤和彦さん所有のクレバリーのレイジーマンを黒と茶を何かの写真か雑誌で見かけました。私は茶色が中々ない色目で素敵だと思いました。

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