2012年1月22日 (日)

Black Fleece(海外通販顛末記)

年末年始のウィンターセールは専ら海外通販を利用したが先週最後の注文品が届いた。一回でまとめて注文すれば送料も安く付いたのだろうが、その時々で色々なサイトを見比べながらの注文故、結局は3回に分けての注文、4回に分かれての到着ということになった。ベッドリネン2セット以外はウールのスーツから始まってオックスフォードシャツやフランネルトラウザーズ、最後に到着したウールのネイビーブレザーまで、ブラックフリースのまとめ買いという結果になった。

順調に届いたのはシャツ3枚とベッドリネンのみで、キャンセル扱いだったスーツが届いたり、スーツがキャンセルならばとオーダーしたブレザーとトラウザーズが別々に届いたり、挙句にブレザーの付属ボタンがなくて至急送るよう依頼したりと、ともかく気をもむ買い物だった。エラーは起こりうるものととらえるか、そのエラーを極力起こさないよう徹底するか、日本とアメリカの考え方の違いを感じたこの冬の海外通販、今回はその顛末期を最後に届いたブレザーと一緒に紹介しようと思う。

1.ブラックフリースブレザー

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デザイナーのトムブラウンが考える着丈の短い上着。そのシルエットはダーツを取らない3ツ釦段返りだが襟は小振りで第2釦がハイウェストの新しいスタイルだ。J.プレスと違ってジャケットポケットにはフラップが付かない。縫製はUSメイドのサウスウィック製だが、昔のオウンメイクのように手縫いのボタンホールではない。素材はダークネイビーの地厚なウールフランネルでラペル端やポケット端、袖山や背中心にウェルトシームが走るクラシックな仕上がり。

2.ニューサックスタイル

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ラペルのロールは第1釦に僅かにかかるくらいで、このあたりは伝統的なブルックスのナンバーⅠモデルとはスタイルを異にする。背裏やパッチポケットの裏地はコットン、袖裏はベンベルグのトリプルバーストライプとブラックフリースのスーツ同様の作り。特に伝統的なアメリカ製のオッドジャケット同様ハーフライニングで仕上げられているところなどクラシックをベースにしたネオトラディショナルといった雰囲気もある。

3.Vゾーン

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オックスフォードのシャツは都内老舗デパート別注復刻版6釦ポロカラー。勿論アメリカ製のブルックス製品でエクストラスリムフィット。タイトなブラックフリースのジャケットにマッチするフィッティングが嬉しい。ネクタイは1990年代、珍しい英国製のポールスチュアートだ。ポケットスクェアも同じポールスチュアートのもので昨夏購入したばかり。10年以上経った今も同じブランドで買い物出来る喜びがトラッドウェアにはある。

4.ラペル周辺

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小さめのラペルは昔のブルックスよりもゴージが若干上に上がっており、その分刻みは下方向に向いている。イザイアほどではないがフィッシュマウスラペルのような形状が特徴で、当然合わせるネクタイは細めで芯地の薄く軽いものがマッチする。胸部分のパッチポケットは三角フラスコのように裾広がりになっていて、この辺りはデザイナーの感性が反映されているようだ。

5.手縫い既成服の象徴

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ラペル裏は通称ヒゲと呼ばれる持ち出しがあり、テイラード仕立ての雰囲気を感じることができる。上襟の腰部分は昔のオウンメイクブレザーのように幾重ものミシンステッチが積み重なる作りではなくイタリアの手縫い既製服メイカーと似たもので、ラペルのフラワーホールこそマシンメイドながら今までのUSメイドとは別物に近い。ブラックフリースの重衣料が従来のイタリー製からメイドインUSAになったことや他にない素材使いの巧みさに興味を惹かれ、オンラインショッピングながら随分と散在した。

6.ジャケット裏

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大身返しのジャケット裏。パイピング処理を施したシーム部分やブラックフリースの大きなタグが目立つ。ジャケットの裏を覗くとキャンバス製の芯地とフエルトに近い地厚の裏地の2重構造になっている。またショルダー部分はかなり厚めで大きいパッドがしっかりと入っていて、イタリー製のアンコンジャケットのような薄い感じはしない。ボトムスはセレクトショップのオリジナルでアイビー色の強いシルエットのトラウザーズに同じく国産のコードヴァンを使用したベルトを用意してみた。

7.センターフックべント

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昔のVANやライセンス品のJ.プレスでしか見たことがなく、USメイドでは初めて見たセンターフックベント仕様。昔のブルックスの商品をインターネットで検索しても中々このフックベント仕様のもに巡り合えないが、デザイナーのトムブラウンはブルックスのアーカイブからヒントを得てブラックフリースをデザインしていると聞く。アメリカで写真集「テイクアイビー」のアメリカ版が販売されて評判を呼んだそうだが、ひょっとして日本のアイビームーブメントもデザインソースになっているかもしれない。

8.ロッカーループ

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上襟中央部分のロッカーループ。元々ボタンダウンシャツの襟後ろに付くボタンや背中のセンターボックスプリーツ上のロッカーループなど細かなディテールに拘っていたのがアイビーファン。ブラックフリースの細かなディテールへの拘りも昔からのアイビーファンを惹きつける魅力の一端、ブルックスブラザーズの復活とまでは行かないが少なくともマークス&スペンサーが親会社だった頃よりも魅力的になってきていると感じる。

9.未処理のカフ部分

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ブレザーが届いてから1週間経ったが、その間送ったメールは5通、あまりにも返事が遅いので最後には「リジェクト品として返品するので送料の負担とカードアカウントからの引落を停止する」旨を伝えたところブラックフリースの責任者を含め担当者から一気に3通のメールが届いた。現在5個のカフボタンと1個のジャケットボタンをフェデックスで送っているとの返事だがまだまだ安心できない。届いたボタンが違うことだって大いにあり得るからだ。もし無事に届けばこのカフ部分にシグネチャーカフとしてトムブラウンが推奨する2つボタンをやや間隔を空けて付けることになろう。

10. コーディネイトした靴

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今回紹介した靴はいずれも15年以上経つ昔のオールデン。左は1996年のブルックス別注プレーントゥ。当時既にオールデンのものはストームウェルトだったがブルックスだけがグッドイヤー製法でハト目の外羽根を展開していた。右のローファーは更に古く間もなく20年を迎える。まだソールを1度も張り替えたことはないが生涯現役で活躍できそうなタフさの感じられる1足だ。どちらも写真撮影に当たって久しぶりにメルトニアンのシューポリッシュで磨きをかけた。

11.オールデン

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皺部分がささくれ立って艶がなくなるのがコードヴァンの特徴。そこでポリッシュする際に皺に沿って風邪薬などのガラス製空き瓶の底部分を用いて押し付けるようにポリッシュを馴染ませる。最後に乾いた布きれで磨いてみるとそれなりに効果があったようだ。最近の円高でオールデンを本国から個人輸入する人も再び増えていると聞く。日本限定品ではなく定番品やアメリカ本国展開品を買うのならばこれだけの内外価格差、関税を納めてもさぞお得なのではと想像する。

さて数回にわたって紹介してきたオンラインショッピングも今回で終了する。暫く前に紹介したオンラインで購入したスーツの課税額は6,600円、一方スーツの後に届いたシャツやベッドリネンの課税額は3,100円で総額9,700円を納めた。輸入した825㌦のスーツと500㌦のシャツ&べッドリネンの合計1,325㌦に送料100㌦を加えてこの日のレート77.97円/㌦で換算すると111,110円、これに前述した納税額を加えると120,810円が今までの総額となる。もし同じ商品を日本で買うと178,500円のスーツに58,500円のシャツ、ベッドリネンは日本未発売だが同じ価格として16,000円の合計253,000円となる。アメリカ本国のオンラインを使うと国内価格の何と48%の値段で商品を購入できたことになる。

日本で同じものを購入した場合の利点は①お直しが直接業者に出すより割安になること②細かなフィッティングに立ち会って貰えること③楽しく店員と話せることだろうか。今回はアメリカ本国ではセール品を買い、日本ではセールをやっていない為定価で比べたのでフェアではないだろう。だがこのまま日本が定価の見直しをせず、また半期に一度のセール時期に思い切ったリダクションを行わなければ今回の状況はそのまま続く訳で、そうなれば①~③のサービスよりも日本国内の48%で物を買う方法を選択する流れはもっと広まるのではないだろうか。

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2012年1月15日 (日)

Price adjustment(海外通販総集編)

新年を迎えデパートやショップなど、どこも秋冬物のセールがひと段落したらしい。少しずつ春夏物の新作が入り、商品の入れ替えも進んでいるようだが、その分店内は統一感がなくどことなくよそよそしい感じがする。今期のセールは30~40%のオフプライスが殆どだったようでセール価格を見ても割高感がある。それよりも今はかってない円高の時勢、オンラインの海外クリアランスを利用する方がはるかにお買い得に違いない。

特にアメリカ本国のブルックスブラザーズ・オンラインは最も利用したショッピングサイトでU.Sメイドに的を絞り、シャツやジャケット、トラウザーズやスーツ、ベッドリネンなど随分注文した。ただし、確かにお買い得感は高いが同時にデリバリーのタイムラグやトラブルなど厄介なこともある。実際注文時の価格が発送前に更にリダクションされるという事態も起こった。尤もそこはオンラインショッピング先進国のアメリカ、Price Adjustment(プライスアジャスメント:価格修正)を要求したが、今回はオンラインショッピングの総集編として「個人輸入の利点と注意点」を紹介しようと思う。

1.ニューデリバリー

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前回紹介したブラックフリースのスーツに続いて到着したセールのシャツ。手前右のストライプのものはセールになりやすいが白のオックスフォードは年明け後は元の値段に戻っていた。$175の白シャツをクリスマス直後のセールを賢く利用すると$105(約8190円)で買えることになる。今回はボタンダウンではなくタブカラーとワイドカラーを選択したが、イギリスやイタリーのシャツとは異なる風合いとデザインで、先に購入したブラックフリースのスーツと合わせるのが良さそうだ。

2.ワイドカラーのオックスフォードシャツ

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カラースティッフナーの入らないワイドスプレッドのシャツ。洗濯機で洗いをかけ、手アイロンで皺の残る状態のまま着るのが様になりそうな雰囲気がある。襟がくたっとした感じは胴の絞りが強いサビルロウスタイルのジャケットやゴージの高いナポリ風のジャケットに合わせるとどうしても違和感がある。その代り、洗いざらしのままジャケットの下に着てノータイでラフに合わせるのに重宝しそうだ。余談だがブラックフリースのカフ部分は剣ボロにガウントレットボタンが付く。ブルックスのオウンメイクBDシャツよりも作りがしっかりしているのが嬉しい。

3.アイビールック

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届いたバーストライプのBDシャツをアイビーモデルのメルトンブレザーにパイプドステムのセミフラノトラウザーズと合わせる。久しぶりに出した3パッチポケットのブレザーだが、実は同じデザインのものをブラックフリースで注文している。既に「発送した」とのメールがあったが、届いた箱には同時注文のトラウザーズ1本が入っているだけだった。その後、ブレザーもまもなく届いたがスリーブボタンが付属していなかった為、メールで送るよう要望している。このようにオンラインショッピングは商品がばらばらに届いたり、付属品が整っていなかったりと様々なトラブルがつきものだ。

4.Vゾーン

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トリプルバーストライプのシャツは同じブルックスのナンバーⅠネクタイではストライプが似通ってしまうので縞の太いものを用意した。エンブレムは所属するクラブのものがないので、昔に購入した古い英国製(恐らくロンドンバッヂ&ボタン製)のものを仮留めしている。トラウザーズはプレーンフロントのパイプドステム。アメリカントラディショナルの流れを汲むアイビールックには古くて新しい魅力がある。

5.エンブレム

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金糸を使ったハンドエンブロイドのエンブレム。昔はトラッドショップに行くと必ず置いてあったが最近は見かけることもあまりない。1980年代に購入したもので金糸の色も経年変化でだいぶくすんでいる。ところでアメリカ本国のJ.プレスのサイトを見るとチェスト部分が箱ポケットのブレザーにもエンブレムをつけているが、やはりパッチポケットのブレザーこそエンブレムが様になる。

6.ブレザーの裏地

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今回撮影に用いたブレザーはJ.プレスのもの。赤のパイピングがブランドのアイコンだ。ブレザーはエンブレムより古いもので、日本にJ.プレスが紹介されたごく初期の1着。ライセンス品になる。1990年に初めてニューヨークに行き、J.プレスに立ち寄った時はこじんまりした店に驚いたものだが、当時は近くに有名なトラッド店Chipp(チップ)がまだ存在していて、本でしか知らなかったアメリカントラディショナルの名店巡りをしたことが懐かしい。

7.靴のコーディネイト

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アメリカントラディショナルに合わせる靴といえばオールデンが本命。フローシャイムやジョンストン&マーフィーでないのはブルックスネームの靴をオールデンが請け負っていたからに他ならない。右はカーフ素材のブルックス別注タッセルスリッポン、勿論オールデン製。左はブルックスのアンラインドローファーを参考に日本のユナイテッドアローズが代理店を通して別注を掛けた10thアニバーサリーの限定品。

8 タブカラーシャツ

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ブラックフリースのタブカラーシャツ。通常は小さめのカラースティッフナーが入るのがブルックスの特徴だが、こちらはワイドカラー同様くたっとした襟元になる。芯地が薄くナローなタイ以外は受け付けない作りで、ブラックフリースの細いラペルとタイトなVゾーンのジャケットに合うよう出来ている。今回のオンラインショッピングは全てブラックフリースのBB1を注文したのでサイズ違いこそなかったが、キャンセル扱いのスーツやブレザーの付属ボタンについてカスタマーサービスとは頻繁にやり取りしている。

9 ネクタイのコーディネイト

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シャツに合わせたネクタイを選んでみたところ。シャツがUSメイドならばタイもアメリカ製に拘りたい。左は1990年代初めのナンバーⅠストライプタイ、中央は2000年代に入ってロゴが変わった頃のブルックス製ソリッドタイ、そして右が1990年代、香港のラルフローレンで購入したアメリカ製のレジメンタルタイ。当時ラルフローレンのタイは菱屋という日本のメイカーがライセンス生産をしていたが、ちょうどインポート物を扱うラブラドールのようなショップに入り浸っていた頃で、本国物に拘っていた時期でもあった。

10. プライスアジャストメントされたトラウザーズ

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定価が$400だったフランネルトラウザーズが40%オフになった時に注文したので$240という表示が出た。ところがデリバリーの気配がないうちに50%オフの$200になってしまったので、あわててカスタマーサービスにメールを打ったところ、既に発送したので現在の価格に合わせて差額分をカードに返金するとの回答が届いた。どうやら注文の確認を受けてあわてて発送したようでこのあたりは世界共通、どこかドタバタ騒ぎのようで思わず笑ってしまう。

トラブルを解決する交渉力(英語で)と気長に待つ覚悟さえあれば、オンラインショッピングをそれなりに楽しむことができる。何といっても日本では考えられないほどリーズナブルな価格で手に入れられる利点がある。それにブラックフリースのように日本では入荷商品の数が少なく欠品が多い場合でも本国のサイトならば在庫はそれなりにある。後は買い時を逃さないようにすれば十分満足の行く結果になるはずだ。

一方、注文時にIn stock and reservedと表示されずにアイテムの発送が○月○日発送予定と表示される場合はトラブルが起こりやすい。在庫状況を確認し、オンラインショッピング部門になければ全米中の店舗在庫から発送するのでレシートにはロデオドライブ店やマディソン本店などあちこちのアドレスが印刷されていた。この段階こそヒューマンエラーが頻繁に起こる可能性が高く、厄介なトラブルを回避するにはやはり十分な在庫があるものを購入するのが一番だろう。

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2012年1月 8日 (日)

Winter Sale(オンラインでスーツを買う)

昨年末はいつにも増してセールのスタートが早かったらしく、スーツやコートなどの大物もクリスマスが終わると同時にオフプライスになっていた。海外に駐在していた頃は、デパートなどは最後は定価の90%オフという破格値を付けてでも商品を売り切る姿勢が明確で、セール品を見る楽しみがあった。セール最初に値段をチェックしどんどん下がる価格と頃合いを見計らって「残り物には福ある」買い物をしたことが懐かしい。ところが日本は定価から一定(だいたい50%のようだ)以上はオフプライスにならないのだろう、後はいつ行ってもセール価格も変わらない。一瞥して目ぼしいものがなければその後は同じ売り場を再度訪れることはまずない。

このところの急激な円高によって、インポートブランドの商品は国内のセールプライスが本国の定価よりも高い現象さえ見られる。以前このブログでも書いたが、今回は国内のセールは一切見ず、オンラインのセールを利用すると決めていたが、ここで昨年のクリスマス明けにオーダーしたブラックフリースのスーツが届いた。そこで今回はオンラインショッピングの続編として、第2弾「スーツの購入編」をお届けしようと思う。

1 ブラックフリースのスーツ

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届いたばかりで直しの済んでいないスーツ。やや見辛いが今回はトルソーを使用せずに紹介してみる。素材はウール100%のグレンチェックにオーバーペインの入ったウーステッド素材。袖のライニングはベンベルグ(キュプラ)で身頃やトラウザーズの腰裏はコットンを使用したクラシックな作り。フルライニングで袖は本切羽のアンフィニッシュ、肩と袖に入る仕付け糸などセレクトショップなどで見慣れた形状。専用のガーメントケースに入りフェデックスで送られてきた。

2 ラペル裏

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3つボタンでロールオーバー(所謂段返り)のラペルは今までのブルックスにはない小振りなもの。上襟と下襟の合わせは手縫いのようにみえる。上襟の裏には通称ヒゲと呼ばれる持ち出しが見られ、テイラード仕事の名残りを工程として敢えて残しているようだ。手持ちのブルックスはメイカーズ(オウンメイクに近い)のスーツにも見られない仕様で、ブックフリースの拘りが感じられる。因みに縫製はブルックスにより買収され今や自社工場となったサウスウィックによるもの。

3 ブレストポケット

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英国調の箱ポケットというよりは、イタリアのサルトが用いるバルカポケットの形状に近い胸ポケット。ただしアイロンを駆使した強いカーブを描く本格的なバルカではなく、あくまでもアメリカントラッドの雰囲気を損ねない程度に留めているかのようだ。第1ボタンのロールはほんのわずかにかかる程度で昔のジャケットのようにフルロール(第1ボタンホールが完全に折り返っているもの)してはいない。ラペル端の星ステッチはAMFステッチではなく手縫い仕上げになっている。

4 ボタンホール、ポケットのフラップ

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アメリカントラッドの服はポケットの裏に服地を同じ生地を用いるのが普通だが、ブラックフリースでは欧州のテイラードと同じライニングを貼り合わせている。右のフラップを折り返した部分を見るとブルックスらしいトリプルストライプのコットンライニングが配されているのが分かる。ボタンホールは機械縫いでこのあたりはブルックスの最上級ラインの方が丁寧な作りを取り入れているかもしれない。

5 スーツのデザイン 

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クラシックスーツと銘打っているとおり、前身頃にはダーツを取らずサックスーツの雰囲気を残している。ただし、純粋なサックスタイルよりもやや胴の絞りが強いのと、何より着丈が短くトムブラウンらしいデザインが取り入れられているのが特徴で、後ろ部分はセンターフックベントではなくサイドベンツというところが新しさを感じさせる。身頃のボタンは水牛製の濃茶色のもの。黒靴でもよいがバーガンディやシガーコードヴァンあたりの紐靴もよく合いそうだ。

6 スリーブのイメージ

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クラシックなブルックスの3つボタンスーツのカフは(ブラックフリースではシグネチャーカフと呼んでいる)ボタンが2つだが、胴の絞りが入った所謂ナンバーⅡモデルはボタンが3つになっている。どちらを選択するか、せっかく既成服をカスタマイズ出来る機会でもあるので、敢えて3つボタンにして機械縫いで仕上げるのも良いかと考えている。いずれにしても直し業者に出すのはもう少し先(生地が真冬を除く3シーズン用に近い)になるのでじっくり考えたいところだ。

7 ロッカーループ

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デザイナー、トムブラウンの拘りだろうか、ジャケットの上襟後ろとトラウザーズのウェストバンド後という全く必要のないところにロッカーループが付いている。それでもブラックフリースのことをよく知る人が見れば分かるのかもしれない。一番分かってもらえるのは間違いなくブラックフリースの店員だろう。そういえばこのロッカーループはボタンダウンシャツにも付けられている。機能とは別に、他のブランドと一線を画すディテールとして取り入れられているのかもしれない。

8 身頃の裏側

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やたらと大きなブランドロゴの入ったタグが縫い付けられた左身頃裏。1の写真でも分かるように襟裏にも大きなBLACK FLEECEの文字が入ったタグが付いている。英国のテイラー仕立てが内ポケットの裏側に目立たないよう縫い付けているのとは正反対にブランドネームを強く主張しているようにも見える。サイズはBB1、日本のショップで試着済ということもあって躊躇わずに購入したが、細かなフィッティングはこれからだ。

9 トラウザーズのライニング

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トラウザーズの腰裏部分はインコテックスなどのイタリアンブランドが作るパンツ同様コットンのライニングが施されている。また両足部分はベンベルグのライニングが膝下まで縫い付けられたハーフライニング仕様。トラウザーズは細身のテーパードシルエットでノークッションで履くのがブラックフリース流。ウォッチポケットやベルトの金具を留めるループはなくすっきりとしたデザインが特徴のようだ。

10 コーディネイト

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ブルックスブラザーズが考える新しいトラッドに、昔から愛用しているアイテムを合わせることで新鮮なコーディネイトが生まれる。ここではシャツは昔のトラディショナルフィットではなくブラックフリースのタイトなものを、代わりにタイは昔のオウンメイク、ナンバーⅠストライプのものを、更にクラシックなチェックのポケットチーフを挿してコーディネイトを組み立ててみた。あとはクラシックなアメリカンウェルトシューズを合わせてお気に入りの装いを完成させる。

11 プライスタグ

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ブラックフリースも自社工場製になってから価格が下がったようでアメリカでのプロパー価格は1,375㌦だった。これを円換算すると1㌦=80円として110,000円になる。これが日本のブティックでは178,500円だった。既にこの時点でオンラインによる購入を考えるには十分な動機が生まれる。勿論輸入に際しては関税(恐らく10%)や送料直し代が加わるがそれでもサイズが分かればオンラインショッピングのアドバンテージは非常に高い。

今回はクリスマス後のセールでこのスーツが1375㌦から1031.5㌦になり、オンライン限定で更に20%オフになった時を見計らってクリックした。その結果スーツの価格は825㌦で送料を含め合計は875㌦、口座には日本円で69,076円がチャージされた。スーツ自体の価格を計算すると65,125円になる。この週末のセール状況を調べたところブラックフリースは定価の30%オフ(一部)だが、紹介したスーツは定価のままだった。勿論本国のサイトでも現在このスーツは定価だが、上手くタイミングを合わせるだけで178,500-65,125≒約11万円も節約できる。

この後支払う10%の関税や地方消費税を考えても価格差は絶大で、最初から国内でスーツを買うつもりの予算でオンラインショッピングしていれば靴やシャツ、ニット類やアクセサリーなどトータルコーディネイトも可能になる。そしてオンラインショッピングを利用すればする程お買い得感も増してくる。この後ベッドリネンやシャツ、ブレイザーやトラウザーズなどが届く予定だが、どうやら今回のウィンターセールは全てオンラインで無事済ませることができそうだ。日本に直接郵送する欧米のブランド品を購入しようと思ったら、それが日本限定やショップ別注でない限り、今のところオンラインショッピングに勝る買い方はないだろう。

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2011年12月26日 (月)

Foster's Black Shoes(フォスターの黒靴)

ジャーミンストリートの中ほどに店を構えるフォスター&サン。マスターラストメイカーのテリー・ムーア氏にラストを作って貰いたくて店を訪れたのが2002年の夏、ロンドンにしては珍しく蒸し暑かったが、スーツ姿でクレバリーの靴を履き、店を訪問したことが懐かしく思い出される。あれから間もなく10年目を迎えるが、その間デリバリーされた靴も丁度10足になった。1年に1足ずつ誂えた計算になる。

素材はカーフが多く、他の素材といえば唯一グレインレザー(インパラ)で作っただけだが、その分縫製やディテールには細かな注文を出させて貰った。ロンドンの注文靴屋はどんな注文に応えられるのか確かめたかったのだが、その都度最高の職人技で仕上げた靴を納品してくれた。だが最近はクロージングやツリーメイキングなど心配なことも出てきている。そこで今回は最新のものを含めて全10足の中から黒靴4足を選び、色々比べながら注文靴の今後を考えてみたい。

1.The Black Qartette

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このところコンサバティブなスーツを着る機会が増え、黒靴を履くことが多かった。出がけに靴を選ぶときは履き易さを優先するのでどうしてもエラスティックサイド(左から2番目)が多くなる。それでもチャコールグレーの地味なスーツにパンチドキャップトゥ(左端)を選んだり、ストライプのスーツに負けない靴(右端)を選んだりすることもあった。ここに最新の黒靴"Lazy-Man"(右から2番目)が加わってローテーションも変化していくだろう。靴の完成順で行くと左から3→2→4→1の順で右端が一番古い。

2.Toe Shape

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つま先の形状は左端のみ新ラストを使用している。他の3足と比べるとやや幅広な印象があるのでよりポインティな形状を依頼しているが、モディファイ後のラストを反映させる肝心の靴作りの方がクローザーの休業で進んでいない。ハンドステッチの得意という優れたクローザーの復帰を待つか別のクローザーでできるようなデザインに注文そのものを変更するか、近いうちに答えを出す必要がある。

3.Comparing former and current elastic-sided shoe

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紐靴が紳士の身嗜みの基本と教わってきたが、エラスティックサイド・スリッポンの靴としての完成での高さに改めて驚かされる。まずフィッティングそのものが紐靴より断然ソフトだ。次にエラスティックに合わせて靴の構造がシンプルになるので足に馴染みやすい。そして何より脱ぎ履きが楽なことが挙げられる。現在クレバリーのものと合わせて黒のエラスティックサイドが4足、1週間分に後1足欲しいところだがどのメイカーに頼もうか迷っている。

4.The difference between each toe design

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ラムズホーンのデザイン。基本は全て同じだが、インステップ側のラインが一重か二重か、その付近に丸穴があるかないか、よく見るとどれも少しずつ違っている。メイカー側のディレクションなのか、クローザーのセンスなのか分からないが、履いてしまえば誰にも気づかれることのない細かな違いを敢えて作り分けているのだとすれば心憎い仕掛けだ。尤もまったく同じデザインのものを欲する顧客もいるかも知れない。要は客が何を好むか知っていることが大切ということか。

5.Comparing square last to rounded last

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ジョイント部分から後ろはほぼ同じ2足。元々テリー作の基本ラスト(下)をコピーして前部分のみラウンドに変えたのがキャップトゥ(上)なのでよく似た雰囲気をもつ。製作時に依頼した「スマートラウンド」では木型を削る職人のイメージと注文主のイメージが異なっていた。現在ジョンロブ・パリスのラウンドトゥをイメージにモディファイをお願いしている。思えば1足目の注文時に履いていたクレバリーを基に「この靴よりロングノーズで」と依頼して出来上がったのが写真の基本ラスト(下)だ。イメージに近い靴を作って貰うには具体的な靴の実物を見せて伝えるのも有効な方法だと思う。

6.A transition of shoe trees

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今回のデリバリーで大きく変わったツリー。左から古い順に2足目、9作目、10足目(今回のレイジーマン)となる。2足目の頃は手作業で底面を繰り抜き軽量化と湿気を逃がす工夫があった。その後次第にツリーが重くなり、9足目(中)ではドリルで穴開けしただけの簡素な肉抜きに変更されている。それでもまだ取っ手はヒンジだったが、今回ついに取っ手もねじ込み式の鋲に変わってしまった。ツリーが緩いので(これも問題だが)鋲部分を引き出すのは容易だが、ツリーを入れたまま持ち運ぶには掴む部分が小さすぎるのと、持ってもツリーの踵部分が靴から抜けてしまいそうで厄介だ。今後靴をオーダーするとしても今のツリーは必要ないので付けずに注文することになるだろう。

7.Toe shape

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横から見たつま先の形状。2足目のセミブローグが最も好みだが、今回のレイジーマンもやや厚みがあるものの(イミテーションなのでより低くなるかと思ったが違っていた。)中々良い出来だ。手前のスマートラウンドはスクェアラスト同様低く平らなものをリクエストしている。今までは返りの良さを考えてメタルトゥチップを付けていなかったが付けるようになってつま先の減りがなくなりコバも綺麗に保たれている。今後注文する場合はメタルトゥチップを標準にしてもよさそうだ。

8.Matching shoes & trees

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それぞれの靴にマッチしたツリーを入れたところ。仕事を除けば海外旅行ではスーツや靴など入れずに荷物を最小限にできたら最高なのだが、期間と訪問先によってはジャケットとパンツ、革靴が必要になる。ロンドンなら黒靴を持っていく可能性も高い。そんな時は付属の布製バッグにツリーを入れた靴をそのまま旅行鞄に放り込む。だから軽くて持ち易く、靴の皺をとるジャストフィットのツリーが重要になる。客が望むツリーができないのだとしたら「何のための誂えなのか…」と思わざるを得ない。

9.Shoe heel

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ヒール側から見たツリーが収まった状態。左2足のツリーは木の材質が違うこともあってともかく重い。もし旅行に持参するならば右2足の軽量なタイプと入れ替えて持参することになるだろう。ここで、暫く前にこのブログで紹介したフォスター初のローファーが完成したとの連絡を受けた。ツリーがどのようなものか確認していないが今回デリバリーされたのと同じ形状ではないかと心配だ。余談だが右から2足目のサイドエラスティック、踵部分がオールレザーなので2列の釘を打ち込んではいるが極端に踵が減ってしまった。さて、これもどこに修理をお願いすべきか迷うところだ。

10.Lovely shoes

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分業制の誂え靴と、名職人が1人で全てを仕上げる誂え靴のどちらが良いか話を聞いたことがある。写真の靴はまさしく分業制で作られたものだが、ラストメイキングもクロージングも、そしてボトムメイキングも一流。各パートを担当する職人の長い経験が積み重なって完成した靴は名職人が一人で作る靴に勝るほどのLovely shoesに仕上がっている。分業制も悪くないと思っているが、どうやらその分業制が上手く機能しなくなってきているようだ。

今回のツリー変更が示すように、ロンドンの誂え靴業界ではアウトワーカーと呼ばれる外注職人の高齢化や世代交代、後継者不足の問題が起きている。ロンドンの靴業界は狭く、注文先を変えてもアウトワーカーがクロスしている状況では同じ結果が待ち受けているだろう。ロブ・パリのように1つのメゾンの中で職人を養成し、分業制をとるならばこういった問題は起こるまいが、それだけ多くの職人を抱えることになる。1足の価格がロンドンの誂え靴以上になる(既にそうなっている)のは必然だろう。

では日本の靴屋はどうだろうか。一人で全てをこなす若い職人が着実に出てきているようで、精緻なステッチや丁寧な仕上げ、日々技量を磨き日本らしいきめ細やかさの溢れる靴を見る機会も多い。あとは自分の好みである英国風の靴を作ってくれるところを探すだけだ。ところがこれが中々大変で、日本の靴は端正で隙がないが、英国の靴は色気があって、どこかちょっと隙がある。その独特の雰囲気を上手く表現できるところを探すのが実に大変なのだ。

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2011年12月24日 (土)

Black chalk stripe suit(黒のスーツ)

英国のテイラーに頼むスーツはグレーやネイビーが殆どで、唯一茶系のツィードスーツを頼んだくらいだろうか。送ってくる生地見本も控え目なものが多い。タウンスーツは「地味なもの」という暗黙の了解があるのだろうか。それとも注文主が地味なものばかり頼むので好みを反映したのだろうか。ともかくどうせ地味な色ならばと前回は初めて黒のチョークストライプ・フランネルでスーツを頼んでみた。今は仮縫いを待っているところだが、先日よく似たスーツを見かけた。同じ黒のチョークストライプでフランネル、フィッティングもデザインも申し分なく直ぐに購入した。

高級紳士服(既成)の世界はイギリス製やアメリカ製のものも多少残っているが、殆どはイタリア製が占めている。今回購入したスーツもイタリア国内縫製にこだわる手縫いスーツの大御所セントアンドリュース製だった。工程の多くを手作業で行い、ジャケット換算で一日に55着、年間にして1万数千着のうち7割を輸出しているという。機械化すれば4時間で済むところを上着1着に18時間をかけるイタリア屈指のファクトリー製スーツとは如何なるものか、早速紹介してみたい。

1.シングルピークドラペルのスーツ

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手作業の多いセントアンドリュースなので、アンフィニッシュの切羽やトラウザーズの裾上げについても手仕事で直すよう工房に依頼した。出来上がりまで通常の倍の2週間がかかったが仕上がりに満足している。スタイルは3ピース、シングルピークドラペルの2つボタンにプレーンなヴェストとプレーンフロントのトラウザーズ。クリーンなスタイルだが、チェストの箱ポケットやチェンジポケット、ウェストの絞りなど英国調のスタイルを強く感じさせる。合わせる靴は黒の短靴以外にはないといった雰囲気のスーツだ。

2.スーツのコーディネイト

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広すぎず狭すぎず、微妙な間隔のストライプに合わせるシャツは手持ちのストライプでは難しく、チェックではややカジュアルに映りがち。いっそのことフォーマルを意識してホワイトシャツを選択してみた。ただし織柄など通常のポプリンとは違うテクスチャのものの方がVゾーンが立体的に見える。タイはシルバーグレーやサックスも合うが、パープルとの相性が特によさそうだ。紫の地に走る黒白のストライプがスーツの黒白とマッチする。

3.スーツのタグとVゾーン

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今回購入したスーツはパープルレーベルのもの。チェスターバリーからセントアンドリュースに代わって初めて購入した3ピースだ。フランネル素材はウールにカシミアを混ぜ柔らさを強調しているようで、こういった素材はイタリアの縫製が秀でている。合わせたシャツはイタリア製のぺガソ(フライ社製)でタイは同じパープル・レーベルのもの。イタリアンプロダクツだがアメリカンブランド、しかもイングリッシュカットという折衷スタイルはラルフ・ローレンならでは。

4.ラペル部分

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ラルフローレンのピークドラペルはいつ見ても美しい。初めてピークドラペルのスーツをファーラン&ハーヴィーでオーダーした際、手持ちのポロのスーツを参考にラペル部分を型紙に描いて持参したことを思い出す。イタリア製らしくゴージが高いので、肩に昇るラペルの先が肩線からはみ出しそうだ。好みの問題だが、シングルでもダブルでも端がラウンドカットされたピークドラペルは苦手だ。特にストライプの場合端の部分でせっかくのストライプが途切れてしまうのが気になる。その点ラルフ・ローレンのものはストライプの線と平行して直線的なカットが施されているのが嬉しい。

5.ウェスト周辺

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他のイタリアンブランドに比べてVゾーンが深いのがラルフ・ローレンの特徴。スラントポケットにこそなっていないがチェンジポケットを付け、ウェストを絞りドレープを効かせたスタイルはクラシコイタリアのブランドとは大分雰囲気が違う。写ってはいないがトラウザーズも全体的に細く仕上げられていて、手持ちの既成スーツの中では最も個性的なスタイルの一着となっている。

6.ボタンホールの比較

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切羽を本開きにする時は身頃のボタンホールとピッチを合わせるよう依頼している。機械縫いならば機械縫いで、手縫いならば手縫いを基本にしているが、今回は当然手縫いでと依頼した。途中「身頃のボタンホールと同じピッチではできない。」と直し業者から連絡が入ったが、「できるだけ職人さんの腕で近づけてくれるよう」お願いしたところ、見事な出来上がりとなって戻ってきた。うっすらとチョークの跡が残る袖部分(左)と身頃部分(右)を比べると、日本の職人技はイタリア職人に勝るとも劣らない。頼んだのはコーダ洋服工房だが、大変信頼できる店だ。

7.ヴェスト

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ヴェストはプレーンなデザイン。上から2つ分のボタンがスーツのVゾーンから覗くやや高めのボタンスタンス。写真でもわかるがヴェストのボタンホールは手縫いになっていて、他にも上着のインナーポケットから身頃やトラウザーズのヒップポケットまで、あらゆるボタンホールが手縫いで仕上げられている。フラップなしの箱ポケットが4つ付いた前身頃に黒の裏地というシンプルなヴェストはジャケットやトラウザーズと同じクリーンカットといったイメージがある。

8.トラウザーズのスタイル

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プレーンなフロントにウォッチポケットさえないシンプルなデザインのトラウザーズ。シルエットはインコテックスやPT01のようなテーパードではなく、ウェスト下からパイプドステムのような全体的に細くなっている。そこで裾上げもクラシカルに靴上でハーフクッションとしてみた。直しの上手い工房に出したので、手仕上げで幅4.5cmのモーニングカットダブルをお願いしてみたが、結果は裾の中に靴が綺麗に収まりクッションも申し分のない出来上がりだった。

9.カシミヤのマフラーを巻いて

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3ピースを着たら薄手のコート、あまり寒くなければマフラーを巻いて外出するのも悪くない。黒のスーツに会うのはやはり黒のマフラーということで敢えてウィンドウペインの切ってあるカシミヤマフラーを用意してみた。ロンドンのデパート「ハロッズ」で買い求めたスコットランド製のピュアカシミアのもの。チェストポケットに挿したチーフはいつものハンドロール・アイリッシュリネンスクェア。

10.コーディネイトした靴

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靴はどちらもエラスティックサイド・スリッポン、フォスター&サンのものだ。このところ紐靴を履くのが面倒に感じることが多く、和室に上がることがある日など特にこうしたスリッポンの靴を選んでしまう。できれば誂えで1週間分5足欲しいところだが、現実はエドワード・グリーンの既成靴も合わせて履き回している。左は3足目のプレーントゥにメダリオンの付いたもの、右は最新のレイジーマンスタイル。

11.スーツに合わせるスリッポン・シューズ

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ジャケットスタイルならば許されようが、スーツスタイルにローファーはどうしても違和感がある。そんな時、ローファーのように便利な靴と言えばここで紹介したエラスティックサイドかエラスティックタブ(E.グリーンのウィグモアのようなデザイン)が挙げられる。どちらも街の紳士靴店にあるスリッポンシューズと似てはいるが、ロンドンのビスポーク店ならではの豊富な経験で野暮ったくなりがちな靴をエレガントなスリッポン・シューズに格上げしている。

このところ既製服を買うことから遠ざかっていたが、ワードローブの中身を交代させていることもあって、ショップやデパートを訪れると店員に話を聞いたり、試着させてもらうことが多くなった。既製服はフィッティングの相性や生地、つくりや細かな直しなどある程度の妥協が必要だが、例えばブラック・フリースのように誂えでは決して出来上がらないデザインの1着を手にすることができる。流行の先端をいくものは直ぐに色褪せてしまうが、クラシックなものは長年愛用することも可能だ。

今回手に入れたパープルレーベルのスーツも長めの着丈と深いVゾーン、股上の浅いボトムスと全体的にタイトなシルエットなど流行を取り入れてはいるが、クラシックなスーツが基にある。馴染みの英国のテイラーに頼んだスーツは同じような素材を選んではいるが、出来上がりはパープル・レーベルのものとは随分違ったものになるだろう。ハンドメイドでパーソナルな誂えのスーツは素晴らしいが、既成のスーツにも誂えと別の魅力があることを改めて再発見している。

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2011年12月18日 (日)

Christmas Gift from London

12月も下旬、相変わらずユーロの経済不安が収まらず、米国同様欧州でも円高が一段と進行している。ところが日本国内の輸入品は一向に値段を下げる気配がない。それならばと最近は個人輸入に勤しんでいるところだが、何と言っても便利なのがアメリカのオンラインショッピング。総じてヨーロッパのブランド〈英国はかなり便利だが〉よりも使い勝手が良く、デリバリーも安心できる。ダブルRLやラグビー、ブルックスブラザーズなどアメリカの知人経由のものも含めこの2か月でかなりの量を個人輸入した。勿論安く物が買えるということが大きな理由なのだが、そもそもジム通いでボディが締った為、緩くなった衣料品をスリムなものに買い換えるという目的が背景にある。

今月はクリスマスギフトがあちこちで配達されているようで、我が家にもプレゼントならぬ通関手続書が届いた。中身を見るとロンドンから関税付きの荷物が届いているとのこと。送り主はジャーミンストリート83番地、フォスター&サンだ。通関に必要な書類や料金の確認、電話でのやりとりなど忙しい最中の煩わしさに辟易したが、ようやく配達されたのが4日前。ボクシング・デイには早いがクリスマスの贈り物を早速開けてみると中身はエラスティックサイド・スリッポンの「レイジーマン」だった。今回は届いたばかりのフォスター&サン製の靴を早速紹介しようと思う。

1.Fine black box calf  "Lazy-man"

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ここで紹介するレイジーマンは引退したテリームーア氏のラストから作られたもの。今ではラウンドにカジュアルと3つのラストを用意して貰っているがやはり最初のラストが一番馴染みが良い。勿論1足目から完璧だった訳ではなく、2足目にかけて木型の修正をお願いしてはいるが、最初から美しさと履きやすさを兼ね備えた木型をテリーが完成させていたことは大きい。後で比較写真が出ているが、3足目の同じエラスティックサイドプレーントゥと比べるとつま先がやや幅広になっているようだ。

2.Inside of the shoe

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靴の内側を真横から見たところ。ラストだけでなく、巧みなパターン取りや乱れのないステッチ、熟練したボトムメイカーの技など全てが高次元で完成している。端正な中にもある種の色気を感じさせる仕上がりがは英国の誂え靴ならでは。この感じは日本の靴メイカーが中々出せない部分かもしれない。また、べヴェルドウェイストの美しさは毎回担当している底付職人が今回も担当しているようで、素晴らしい仕上がりだ。ところでクレバリーと比べるとヒールリフトが小振りなのがフォスター。男らしくヒールのしっかりとした靴が好みのテリームーア氏とはやや方向の違う靴なのかもしれない。

3.Outside of the shoe

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靴の外側を横から見たところ。外踝の下に骨が出ている部分があるので外側の履き口ラインを特に下げるよう採寸時に頼んでいる。元々ビスポークシューズは外側が低くなるように作られているが、特別にお願いしたこともあってパターンに組み込まれているのだろうか、フォスターでは骨が当たって痛い思いをしたという経験はあまりない。特にこの靴の場合はサイド・エラスティックということでフィッティングも柔らかいので全く気になる部分もなく快適な履き心地だった。

4.Lamb's horn design on toe

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ラムズホーンの定番デザインがつま先に散りばめられている。ところがよく見ると今まで頼んだものとはどれも少しずつ異なっている。履いている本人でさえ近づいて比較してみなければ分からない差異ではあるが、1足ごとに微妙に異なるところが手作りの誂え靴の真骨頂かもしれない。それにしてもイミテーションというのが信じられないほど精緻なWウィングのステッチが目を引くつま先部分。熟練したクローザーの技が光っている。

5.Imitation  shoelace

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内羽根がぴたりと閉じた様子を表すツィンステッチがVオープンのトップからインステップにかけて縦に走っている。その上を通る5本の革紐。実際のレースステイ同様のバランスでこのイミテーションシューレースが縫い込まれているようだ。見た目に不自然さがなく周囲に溶け込んでいるように感じるのもその辺りが理由かもしれない。アイレットがフレアータイプ(下に向かうにつれて間隔が広がるものを指す)になっているのはフルブローグによく見られるスタイル。尤もシンプルなパンチドキャップトゥでも見られなくはないので要はバランスの問題かもしれない。

6.サイドガセット部分

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エラスティックのゴム板にカバーとして細長い四角革(ガセット)が縫い合わされたサイド部分。エラスティックのゴム板がむき出しという仕様もあるが、カバー付きの方が紐靴に近い雰囲気が出る。このあたりは注文時に細かなリクエストをしたが、4枚に分かれたガセットやその前後を走るブローギングライン。プレーンなエラスティックサイドシューズに比べて随分と手間のかかるアッパーになったようだ。ジョンロブ・パリのビスポークがフルブローグやセミブローグの価格を高めに設定しているのも分かる気がする。勿論フォスターでは同じ値段で作ってくれるはずだ。

7.Imitation heel counter

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つま先同様イミテーションのヒールカウンタ部分。ブローギングラインのみで、革が重ねられていないヒールは柔らかくソフトに踵を包む。エラスティックの引張りでは革を縫い合わせたストロングなフルブローグの革がもつ反発に負けてしまうのだろう、イミテーションがデファクト・スタンダードになっている。フルブローグのように見えてプレーンなエラスティックサイドと同じ履き心地はスーツスタイルに重宝する。勿論脱ぎ履きが容易という日本の習慣にもマッチするこのレイジーマンは名靴中の名靴、クレバリーと合わせて2足持っているのが何よりの証しだ。

8.Outsole

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黒の靴の場合はフィッシュテールフィニッシュの半カラス仕上げが通常のようで、これは全ての黒靴に当てはまる。ファンシーウィールで筋を付けその上にワックスを塗り込み仕上げたウェイスト部分。歩いている靴の裏を見る時、この部分が黒だとスーツ姿としてはバランスが良い。サンケンメタルトゥチップとクォーター・ラバーティップはフィリップスペシャルのもの。驚異的な耐久性で有名なこのフィリップ・スペシャル、何時でもあるという訳ではないらしい。

9.Comparing formar elastic side shoe to "Lazy-man"

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3足目のエラスティックサイド(下)と最新のイミテーションフルブローグ”レイジーマン”(上)。下の靴はヘンリーマックスウェルネームだが当時はライニングを指定してもブランドマークが印刷されたインソックがないと刻印を押したものを貼っていた。ただし全く目立たない。全体のパターンはほぼ同じだが、3足目の方がつま先がより細くなっている。今回の紫色のライニングはとても発色が綺麗なので今後の注文は全て「同じパープルのライニングで。」と頼むのも良さそうだ。

10.Comparing the previous shoe to the latest shoe

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こちらは同じ紫のライニングで仕上げた2足。ラストはテリーの作の最新作(下)とデータを基に新たに作り上げたラウンドのラストで作った前回作(上)。フォスターネームとマックスウェルネームの違いはあるが細かなバランスはほぼ共通している。ラウンドの方はつま先をもう一段細くポインティに仕上げて欲しい旨を伝えてあるが次回作となるブーツのクロージングに問題があり改善は進んでいない。

円高のお陰で海外の誂え品もだいぶ身近になってきたが、フォスター&サンの現在の価格は2550£、このところ毎年のように値上げしている。これだけの円高分を相殺しても以前より高いのだから驚く。靴の仕上がりは素晴らしいが、今回シューツリーの取っ手がハンドカーヴによるヒンジから金具だけの簡素なものになり、そのツリーも手でくり抜き軽量化を図っていたものがドリルで穴を開けただけの重いものに変わっていた。

顧客が増えてきたら値上げをするのか、あるいはツリーは簡素化しているのかと思われるのは本意ではないだろう。だが、日本でのトランクショウを続けるには一見の客が顧客に変わり長く付き合っていきたいと思える関係作りが大切なはず。日本に欧州の誂え品が根付くためにはどうあるべきか。どのメイカーも答えをもたずに取り組み、大半は尻切れトンボのように終わっている現実があることを忘れてはいけないと思う。

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2011年12月16日 (金)

Buying outerwear(既製服を買う)

体型が変わったこともあってこのところ既製服を買う機会が増えている。誂え品は完成までスケジュールが決まっているが、既製品ならば体に合いそうなものを手早くワードローブに加えることができるからだ。色々な売り場を廻ったが特にジャージ素材のジャケットとパンツが気になった。どちらも見た目はテイラードなのに着心地はスェットという二兎を追った製品だ。ワードローブの主役にはならないが、ジャージ素材のもつリラックス感は1度着てみたくなる魅力を放っている。

そもそもJersey(ジャージ)とはメリヤス編物のことで、糸を丸く編むことで生まれる伸縮性を生かしてスポーツウェアや肌着、靴下などに使用されている。素材をコットンからウールに替えたり、編み方を丸編みや他の編み方と組み合わせたりすることで様々な風合いの生地ができるようだ。この新しいジャージ素材をジャケットに使うと、正に「カーディガンのような着心地」の1着になるという。そこで今回はこのジャージを使ったジャケットならぬアウターウェアを中心にカジュアルな着こなしを紹介しようと思う。

1.ハンティング・ジャケット

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コットンダックのような風合いと長年着古したようなヴィンテージ加工が施されたアウターはコーデュロイの襟と大ぶりなフラップがついたポケットが印象的だ。着丈の長さからジャケットの範囲に入るようで、素材はコットン100%のツイル・ジャージ。ハードな外見とは裏腹に着心地はすこぶる快適だ。サイズはUSサイズのMを選択したがジャージのもつ伸縮性を生かしたフィッティングを考えて小さめに作られているようだ。

2.コーディネイト

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ハンティングジャケットらしくデニムとチェックシャツの組み合わせにしてみた。インナーはピュアウールのBDシャツで赤のチェックがアクセントになる。一方ボトムスはインディゴブルーでは全体が暗くなるので、ヴィンテージ風の味付けがなされたオフホワイトのジーンズを持ってきた。首下には大柄のウールチェックマフラーを、ジャケットのポケットにはペッカリーのグローブを入れればそのままフィールド散策に出られそうだ。

3.ジャケットのタグ

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ツィルジャージを使ったストレッチャブルなハンティングジャケットはRRLの今期もの。ジャケットの裏側裾部分にはユニオンチケットのようなものが縫い付けられている。いつものようにヴィンテージの雰囲気満載だ。写真では分かりにくいが横糸と縦糸の交差する点が斜めに入っているのが見える。ツィルとは綾織りのことで伸縮性があり皺になりにくい特徴をもつ。その上にジャージの特徴が加わったツィル・ジャージという素材とは如何なるものか、その興味からオンラインで購入した。

4.マルチパーパスポケット

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両脇のポケットはフラップを開けるとマチの大きなポケットの外側に斜めに仕切りが入ったポケットが横に2つ並ぶ。このポケットは中々使い心地がよく、キーを入れたりスマートフォンを入れたり、街中であればパスカードを入れたりと重宝している。こうした機能面で抜かりがないのがRRLだが、それだけでなく、今回は更にジャージ素材を使っていることもあって、ポケットに手を出し入れする度にアウターの伸縮性を実感できる。コットン素材なので真冬には適さないがよくできたラギットウェアだと感心する。

5.BDシャツとマフラー

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ジャケットの下に羽織ったシャツはペンドルトンのもの。1980年代に購入したものだがウール素材のBDということで着る機会もあまりなく30年以上が経過した。作りが丁寧で、襟裏にはダイヤモンドキルトステッチまで入っている。アイクベーハーと同じファクトリーで作られているのかもしれない。一方大きめのブロックチェックのマフラーはスコットランド製。1970年代のものだから40年近く経過している。ヴィンテージマフラーと言えそうなくらい古いものだが白のウィンドペインがアクセントで使い続けている。

6.5ポケッツデニムとバックルベルト

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ヴィンテージ加工のデニムは日本製のセルビッチデニムを使用したRRLのもの。日本国内のインポートショップで購入。シーム部分やコインポケット部分に赤耳を使ったいつもの仕様。バックルベルトもRRLのもので度々登場するロデオをモチーフにしたもの。余談だがベルトもいつの間にかだいぶ増えたが、圧倒的に茶色のものが多い。このへんは靴と同じで同じ茶でも微妙に色が異なる度に買ってしまうという買い物下手の見本かもしれない。

7.コーディネイトしたブーツ

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ランコートのブーツ(右)はアンクル部分にウール素材のベネディクトプラッドが用いられていて、アウターの色目によく合う。ソールはフラットなクレープソールで快適な履き心地が味わえる。もう1足はトリッカーズのカントリーブーツ(左)。こちらはダイナイトソールが装着されていて、レザーゾールのものよりもクッション性が高く反対に減りは少ない。ジーンズがブーツカットなので合わせる靴もブーツになった。

8.オンラインで購入したRRL

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今回購入したRRL。オフホワイトのデニム(上)以外は本国のウェブショップで購入。オリーブグリーンのスリムフィットデニム(中)はガーメントダイ製品。ハンティングジャケット(下)とともに40%オフのプライベートセールにBizRateのアンケートに答えて更に10%オフとほぼ半額で購入。関税を払っても日本国内よりお買い得だった。特に革のジャケットやジャンパーなどは内外価格差が大きいが、関税率も気になるところなので色々情報を仕入れて個人輸入をするのが賢い買い物といえよう。

9.セカンドイヤーのRRLデニム

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再生産を始めてからのRRLのジーンズ。全て日本産のセルビッチ付デニム地を使用したもので隠しリベットやドーナッツボタン、セルビッチや裾のチェーンステッチ仕上げなどディテールは文句なしの最高峰。RRLのデニムはレングスを選べるので在庫がある時はオンラインショップで買うのが一番安心できる。もちろん縫製はすべて米国産で、どうやら専用の工場で行われているようだ。

10.ファーストイヤーのRRLデニム

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こちらはファーストイヤーのデニム。画面一番上、床に近い2本が日本産セルビッチ付デニムを使用したヴィンテージライン。残りは通常のライン。どちらもUSメイドだ。当時は通常のデニムが先に発売され、その後ヴィンテージラインが加わった。その頃はちょうど米国製のヴィンテージLevi'sも発売されていた時期で、そちらの方が人気を呼び、価格も高かった。1994年から1998年のファーストイヤー終了までの間に集めたもの。股上が今より深く時代を感じさせるフィット感。

ラルフ・ローレンの服は変わらないようで、時代の流れを巧みに取り入れている。パープルレーベルの重衣料もチェスター・バリーからセントアンドリュースになってシルエットや着心地が随分変わった。最近パープルレーベルの3ピーススーツを購入したが、上着のアームホールやラペル、ウェストのラインやヴェストのパターン、トラウザーズのライズやシルエットなど旬の服作りがしっかり取り入れられている。それでいてラルフ・ローレンのクラシックスタイルが失われていないところにこのブランドの凄さがあると思う。

今回紹介したRRLのアウターも同様で、以前のようにタフだが重いものではなく、異素材と巧みなエイジング加工で「新しくて古いもの」を作り出している。軽く体に沿う着心地はアウターウェアというよりは、ジャージ素材で作ったテイラードジャケットと同じような感触だ。ともすると野暮ったくなりがちなラギットウェアに快適なフィット感を加えたRRLのツィルジャージ・ハンティングジャケット、中々いい買い物ができたと思う。

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2011年12月12日 (月)

Tweed Run(ツィード・ラン)

伝統的なツィードジャケットを羽織り、同素材のニッカボッカーやハンチングを合わせたクラシカルな装いでオールドバイシクルに跨り、街をのんびり走るという何とも楽しそうなイベント、ツィードラン。今から2年前ロンドンで始まったこの新しい催しはもともと自転車好きが集うSNSを中心とした活動が発端らしい。昔風のツィードルックでロンドンの街を走り抜ける異色でユニークな活動は回を追うごとに評判を呼び、参加人数や観客も増え、企業がスポンサーにつくなど盛り上がっているようだ。

海外のブログを読むと、ロンドンの他にシドニーや東京、フローレンスなど世界のあちこちで開催されているらしく、ニューヨークでも10月15日にロウワーマンハッタンをスタート地点にこのツィードランが初開催されたようだ。トラディショナルなブリティッシュクローズ姿の参加者に目が行くが、イギリスのハンドメイド自転車や歴史あるサドルブランド、イベント最中のティーブレイク・パーティの写真などを見るだけでも楽しい雰囲気が伝わってくる。そこで今回はツィード・ランにあやかった着こなしを紹介してみようと思う。

1.ツィード・ラン用のジャケット

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ハリスツィードのような風合いのガンクラブチェック。新しく届いたジャケットは定番素材だが、身頃両脇がパッチ&フラップポケットで胸部分がパッチポケットというやや珍しいデザインのもの。小振りな襟に3ツボタンのデザインや短めの着丈はトム・ブラウンのデザインを思わせる。ツィード・ランということで、自転車に乗ることをイメージしてボトムスは厚手で頑丈なコットンツィルのものを持ってきた。靴は茶系のスェードとやコードバン素材のものを用意。

2.Vゾーン

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ツィード・ランの様子をウェブ上で見るとアスコットタイ姿も見られるがネクタイやボウタイなどタイドアップしたスタイルが多い。そこでシャツはガンクラブチェックの茶と緑を拾ったやや大柄のタッターソールBDシャツ(ボレッリ)を、ネクタイも同様にチェックの中でアクセントカラーにあたるボルドーのもの(ポロ)を合わせてみた。胸のパッチポケットにチーフを挿すのは慣れないものだがBritish cycling attireという言葉を思い出して運転用にペッカリーのアンラインドグローブ(メローラ)を入れてみた。

3.メイドインイタリー

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プロダクツはメイドインイタリーのもの。サイズはUSサイズの40RということでEUサイズならば50Rに相当する。日頃は38US/48EUなので1サイズ大き目のものをオンラインで購入したが、届いてみて驚いた。非常にタイトな作りで、ウェスト部分のボタンを締めると身頃にクリースが出るほどだ。何だかブラック・フリースのようで、そういったデザインなのかもしれない。ジャケットの作りはマシンメイドながらカッティング自体は悪くない。快適なフィッテイング目指して身体のシェイプアップに励んでいるところだ。

4.アームホールからショルダー部分

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フラットで盛り上がりのないナチュラルショルダー。裏からアームホールを見ると裏地の処理も含めて全てミシン縫いで処理している。綺麗に返っているラペルも接着芯によるもので上襟裏のフェルトも含め、職人の手が入っている部分は殆どない。それでも出来上がりを見るとそれなりの高級感や雰囲気があるのはパターンとカッティングの妙だろう。自転車に乗る時に気軽に羽織るウィンドブレイカーの替わりととらえれば高価でデリケートな手縫いのものでなくともこうした手頃な価格のものが何かと役立つ。

5.ボトムスとベルト

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ボトムスは前ポケット周辺がジーンズのようなデザインが特徴のコットンパンツ。ウォッシングマシーンによる洗いを繰り返しようやく生地が馴染んできたところだ。手編みのメッシュベルトは英国の老舗ブランド「マルベリー」のもの。最近はイタリアのメイカーが有名なようだが、メッシュベルトやブライドルレザーの鞄と言えば真っ先に思い浮かぶのが「マルベリー」、残念ながら現在は日本で展開されていないブランドのようだ。

6.パッチポケットとチーフ

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グローブの替わりにポケットスクェアを挿してみる。パッチポケットはパフスタイルで挿すのが定石、前回に引き続いてクリームイエローの地に勾玉模様の入ったラルフ・ローレンのチーフを持ってきた。ツィード・ランの参加者をみるとカラフルな色遣いのツィード素材をさらりと着こなしている。チェックオンチェックやパターンオンパターンなどスーツスタイルではくどくなりがちな合わせもすんなり納まる懐の深さがツィードの魅力かもしれない。

7.ネーム・タグ

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今年初開催となったニューヨークのツィード・ランはラルフ・ローレン傘下のラグビーがスポンサーとなりウェブで参加者を募ったようだ。アメリカ本国のみオンラインショッピングを受け付けているラグビー・コムにアクセスして知人経由で取り寄せたのがここで紹介しているジャケット。Tweed Run#2という名が付けられている。この「ラグビー」レーベルはセカンドライン(昔のディフュージョンブランド)ということだが、よりカジュアルにラルフ・ローレンの世界を楽しめるような価格設定になっている。

8.スェードとコードバン

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ニューヨークで開催されたツィード・ランの様子を見るとアメリカらしいペニーローファーやモンクストラップなどお気に入りの靴を合わせていた。ただ思ったよりもチャッカやライディングなどブーツを履いている参加者が多かったのが目につく。ツィード素材にスェードの短靴(左)は定番だが、ブーツを合わせるのも中々良さそうなのでチャッカブーツ(右)も用意してみた。

9.Church's Fairfield(チャーチズ フェアフィールド)

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1990年代前半のチャーチズのスェード製フルブローグはビームスFの別注。通常とは異なる#73のラストを用いたスタイルが好きでよく履いたせいか雨や雪に遭い、表面が汚れていた。そこでスェードシャンプーを使いアッパーをよく泡立てた後、泡が出なくなるまで洗靴したところ汚れは落ちたが表面のしなやかさはだいぶ失われてしまった。どうやら濡れ雑巾で丹念にふき取るのが良いらしい。それでも既に20年以上経つのに殆ど減りのないクレープソールなど堅牢な靴の代表に相応しい。

10.Alden Cordovan Chukka-Boot(コードバン・チャッカブーツ)

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1997年頃サンフランシスコのオールデン・カーメルから購入した1足。海外駐在時だったのでタックスフリー(ただし消費税は別)で手に入れたのが懐かしい。こちらも既に15年経過して流石に踵の内張り部分が破けてきた。近々靴修理のメニューにある革張りを行おうと思っているところだ。いつも左側に不揃いの皺が集中するコードバンの靴だが、左足の形や歩き方に癖があるからだろう。最初に皺入れを行うと良いらしいので今度実行しようと思っている。

都心を流れる川沿いのサイクリングロードを自転車で走るのが好きで、時々利用していたが、残念ながら自転車は最近のもので服装もスポーツウェアにスニーカーとツィード・ランとはほど遠い。普段は車だと渋滞してしまう場所に如何に早く着けるかといった「ファースト・バイク」ライフが中心になってしまっている。だがクラシカルな自転車には確かに魅力がある。ブルックスという名の老舗のサドルメイカーが紹介されていたが、1台欲しいと思わせる魅力を放っていた。

日本でもツィード・ランが小規模ながらあちこちで開催されているようだ。英国のツィード・ラン同様少しずつ大きな催しに成長し、定着してくれると嬉しい。自転車に乗って街を走るのは少々大変でも、お気に入りのツィードジャケットを着てイベントを応援にし行くことならばできそうだ。参加者も、観客もツィーディな装いで「スローバイク」ライフを満喫したり、アフタヌーンティーを楽しんだりする機会を想像すると何だか心も高揚してくる。

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2011年12月 4日 (日)

Online shopping(オンラインショッピング)

11月13日のブログで復刻版ブルックス・ブラザースのポロカラーシャツ(以下BDシャツ)を紹介したが、エクストラスリムフィットの現行品をアメリカ本国から個人輸入した。日本での利用はアンラインドのチャッカブーツを購入して以来なので約4年半ぶりということになる。このところの円高でそれぞれのインポートブランドにおける本国との内外価格差は増すばかり。価格改定があってもよさそうなものだが消費が低迷しているのだろうか、差益還元の動きはみられない。

最近はポロやウールリッチのように日本に商品を発送しないブランドでも、輸入代行業者に手数料を払って手に入れる方法もある。サイズ等を熟知しているのならば靴のような高関税の物は除いて、殆どのものは関税を払っても輸入する価値がある。今回利用したブルックス・ブラザーズやポール・スチュアートは昔から日本向けの個人輸入を受け付けていたが、その頃は今のようなオンラインショッピングでなく、メールオーダーだったことを考えると隔世の感がある。ということで今回は久しぶりに個人輸入したブルックス・ブラザーズのBDシャツを紹介しようと思う。

1.国際宅急便にて到着したオーダー品

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専用の箱で届いたシャツ(袋から出して撮影)。エクストラスリムフィットBDは日本国内で10,500円、本国が79.50$で約6,400円だが「2枚まとめ買い」を利用すると1枚が54.50$で約4,400円と日本の半額以下になる。これにブラックフリースのシャツと送料やデタックスなどを足し引きして合計324.00$をカード決裁。日本円で25,596円がチャージされた。その後関税1,900円分をコンビニで支払ったので合計は27,496円に増えたが、同じシャツを全て国内で買うと42,000円になる。差額は14,000円強とかなり大きい。特筆すべきは1品が1万円以下のシャツは対象外で、1万円を超えるブラックフリースのみが課税対象だったことだ。次回からは1万円以下のシャツを複数購入するのが賢い買い方かもしれない。

2.昔のBDシャツ類

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ブルックスのBDシャツ類。現役で着られる最も古いBDシャツは1990年製で21年前のものだ。スリムフィット(アメリカ製のもの)や筆記体ロゴの比較的新しいUS製、ショートスリーブも合わせると20枚ぐらいだろうか。決して集めたわけではなく1年に1枚ずつシャツを買い足していったとしてもこうなる勘定だ。勿論古くなったものを捨てずにとっておいたことや何よりブルックスのシャツが頑丈なことが大きな理由だが、いずれにしても今後少しずつエクストラスリムフィットと交代させながら、これらのシャツをどう着まわすか考える必要がある。

3.ブルックスの通常品とブラックフリースの比較

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ブラックフリースのオックスフォード生地(下)は通常のオックスフォード地のBDシャツ(上)よりも洗いざらしのようなゴワついた感じがする。表面を拡大鏡で見たり手で触ってみたりした感じでは番手の高い糸を使った軽い生地のようだ。洗濯機にかけて洗い、乾燥後にざっとアイロンがけをする程度で着た方が昔のBD本来の雰囲気が出るかもしれない。ショップの人の説明ではエクストラスリムフィット15-32とBB#1のサイズがほぼ同じということだったので、今回は試着もせず購入したが果たして結果は如何に…。

4.ブラックフリース新着BDのディテール

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サイドガセットとガウントレット部分にブルックストリコロール(赤黒白)のシルク生地が配されたデザインや角切りのシングルカフなど通常のBDシャツとは一線を画すディテールのブラックフリースレーベル。尤もシャツの袖を捲った時に剣ボロ部分裏の部分がちらりと見える程度で目立つことはないのだが、他にもスプリットヨークや襟後ろのロッカーループといったブルックスブラザーズのアーカイブから引っ張り出してきた仕様が随所に見られる。RRLに通ずるブラックフリースのデザイナートム・ブラウンのこだわりだろうか。

5.ブラックフリース、エクストラスリムフィット、復刻版の比較

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AはブラックフリースBB#1(白)とエクストラスリムフィット15-32(ピンク)との比較。ブラックフリースは袖の長さが33インチと1インチ長いが、ボタン付の剣ボロ部分がスリムなため袖が落ちてこないので長さを感じさせない。気になるブラックフリースBB#1の着心地は、エクストラスリムフィット15-32よりもう一段スリムだった。特に腰部分がタイトな作りで、トラウザーズの中でもたつかないのは嬉しい。一方Bはエクストラスリムフィット同士の比較。同じ15-32で日本国内復刻限定6ボタン(青ストライプ)と通常の7つボタン品(ピンク)とを比べてみたが、ブラケットのボタン数以外は全く同じフィット感だった。

7.ヘリンボーンツィードのジャケットに合わせて

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30年以上前の英国製ヘリンボーンツィードを使ったジャケット。アメリカントラディショナルらしいツィードジャケットにブルーオックスフォードBDとクレストタイの組み合わせは定番だが新鮮に感じる。一方パンツはプレーンフロントで、股上が浅めのボトムスが主流ということもあってインコテックスJ35を合わせてみた。靴は明茶の英国製の紐靴。ジャケットの革ボタンが茶色の時は靴も茶色を持ってくることが多い。

8.ヘリンボーンのツィードジャケット

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このところ昔着ていたジャケットを直しに出している。ウェストが3インチ近く変わったので専らウェスト回りを中心とした直しが主な箇所だが、この場合ジャケットのフィット感によっては両サイドの詰めに加えて背中心でも詰めるなどジャケット毎に直し方が異なる。面倒だが1着ずつ持ち込んではその場で試着し、直し方の工程を話し合いながら修理を進めているところだ。ポケットスクェアとクレストタイはどちらもラルフローレンのもの。昔のジャケットは革の包みボタンも本物で今のようにプラスチックではない。

9.コーディネイトした靴

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靴はブルックスネームのセミブローグ(右)にブルックスでもアルゴンキンと呼ばれる定番モデルとなっているドーバーを(左)を用意。久しぶりにブルックス・ブラザーズでオンラインショッピングをしたが、ウェブサイトを見ると148.00$のリーバイス別注品や1100.00$のエドワード・グリーン製ドーバー、更にはレッドウィングやランコート&Coなど自社製品以外に扱う商品が随分と増えてきているようだ。

10.ヘリンボーンのカントリージャケットに合わせて

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ブラックフリースのBDシャツには別のヘリンボーン柄のジャケットを合わせてみた。ただしツィードではなくカシミア素材のものだ。ブラックフリースのシャツ同様ここは素材に拘ってみたい。上下がほぼ同じトーンのグレーに白のBD、これに黒のニットタイという合わせがアイビーものの本で紹介されているが、少し色目を足したいところ。ネクタイとポケットチーフをパープルでつないでみた。こちらもジャケットのボタンが水牛製で濃茶なので、靴やベルトもグレーと相性の良いバーガンディを選んだ。

11.シンプルな色合わせ

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ジャケットはイタリアの名門St.アンドリュース製のパープルレーベルネーム。ネクタイはミラノのニッキー、綺麗な発色のパープルタイは何本あっても重宝する色目だと思う。チップの色を合わせたポケットスクェアはいつものポールスチュアート。夏にNYの本店でポケットスクェアを2枚購入したが、ウェブサイトのポケットスクェアのコーナーも充実しているようだ。チーフのような小物に力を入れているのに加えて、シャツやジャケットとのコーディネイトも提案してくれるので中々見応えのあるウェブサイトだと思う。

2.合わせた靴

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1992年購入のウィンダミア(右)。バーリントンアーケード内にブティックがあった頃のもので、旧#202ラストを使用。アッパーがカントリーカーフのシンプルなプレーントゥ・ダービーでライニングが布製というチャーチズにも似た作り。流石に20年履き続けると皺もだいぶ入ってくる。もう一方はオールデンのタンカーブーツ(左)。これからの季節は特に出番が増える靴の代表だ。こちらも皺がかなり刻まれているが皺の間にクリームを塗り込み表面を薬の入っていたガラス瓶の底で抑えるようにしたところ少し目立たなくなった気がする。

13.ブレザーに合わせて

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ピンクのBDはネイビーのブレザーに合わせるのが定番。今回のオンラインショッピングに同梱されていたカタログにはシャツとネクタイを同系色で合わせている例が載っていたので、それを参考に濃いめのピンクが入ったレジメンタルタイを用意してみた。チーフは白のリネン製もよいがクリーム色の無地シルクチーフをパフで挿している。足元はブレザールックということでコインローファー。

14.プレッピーコーディネイト

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カスタムフィット感覚のエクストラスリムフィットBDならば、合わせるジャケットもⅠ型のようなサックスタイルではなく胴の絞りが強いものが欲しい。写真のブレザーはラルフ・ローレンのもので、3釦だがダーツを取りウェストの絞りを強くした英国製。アメリカ製のブルックスBDとレジメンタルタイにイギリス製のジャケットとイタリアブランドのボトムス、折衷的な組み合わせだがテイストはプレッピー・ルックのように仕上がっていると思う。

15.合わせた靴

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左は知人から譲っていただいたオールデンのアンラインドローファー、今履いているローファーの底を修理に出したとき下ろそうと思うのだが、頑丈なオールデン故に中々出番が来ない。右のローファーもアメリカ製のランコート&Co製ペニーローファー。アリゲータ素材は春から夏にかけて履くものとアラン・フラッサーは紹介していたがブルックスのサイトでは冬のギフトでも紹介している。尤もリゾートで履くためのギフトなのかもしれないが。

先月購入した復刻版6ボタンのシャツ2枚と今回オンラインショッピングで入手した3枚のシャツを合わせて丁度5枚、1週間着続けられる勘定になる。ローテーションを考えるともう1週間分必要だが、そもそもブルックスのシャツの買い方は店に来て自分のサイズのものを半ダースや1ダースまとめ買いするスタイルだと聞いている。1枚170ドルのラグジュアリーなシャツならばそうはいかないかもしれないが、80ドルの定番BDシャツならばまとめ買いができる価格設定ではないだろうか。

勿論ユニクロのようなファーストファッションと比べるとシャツ1枚の値段が倍以上になってしまうが、ブルックスのBDには老舗のシャツという強みや頑丈で長持ちするという特徴がある。「3枚まとめ買い」のセールが頻繁にあるのも実際にまとめ買いをする人が多いからだろう。エクストラスリムフィットの着心地や良心的な価格設定に感動させられたブルックス・ブラザーズ、近いうちにもう1週間分のシャツをまとめ買いしてみたいと考えている。

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2011年11月25日 (金)

Glen check jacket(グレンチェックの上着)

昨年あたりからチェックのジャケットが雑誌でよく取り上げられている。この秋冬も大柄のツィードからピュアカシミアを使ったチェック柄、あるいはエラスティックなジャージ素材のチェック模様まで様々だ。夏に話題となった「クール・ビズ」の影響か、オフィスでのジャケットスタイルも定着しつつある。チェックのジャケットを着て仕事をするのも悪くはない。そんな思いでテイラードなものからコンフォートなものまで網羅されている雑誌に目を通していた。

「ではチェックのジャケットをひとつ買ってみようか」と思い立った週末、久しぶりにショップ巡りと試着に出かけてみた。既成服を買うなら慣れたイタリアものが安心する。タイドアップして着ることを想定してジャージ素材や単衣仕立てではなく、ベルヴェストやイザイアなどテイラー仕立てなものを試してみた。大胆なチェックや差し色の鮮やかなウィンドペインも魅力的だがやはり伝統的な柄が落ち着く。そこで今回は最近購入した定番グレンチェックのジャケットを紹介しようと思う。

1.ジャケットスタイル

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今回ジャケットを買うに当たってはウェスト周りのフィット感を特に意識にした。ボディサイズが1ダウン、ドロップ寸もDrop-7からDrop-8に変わり、今まで着ていたものを順次直しに出しているせいか、新たに買うならジャストフィットなものが欲しい。着丈が短くタイトフィットのスタイルが主流でブランド毎の個性も重なるせいか、試着する度にフィッティングが異なる。肩やアームホール、胴の絞りや腰からサイドベンツの重なり、一つずつ確かめながら選んだ。

2.ジャケットのデザイン

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ジャケットは2パッチポケットが程よいカジュアル感を、バルカ仕立てのブレストポケットがテイラードの雰囲気を演出している。リヴェラーノで誂えたものと同じデザインというところが気に入った。起毛感のある素材はフランネルのようだがタグにはウール(50%)とコットン(50%)の混紡となっている。サイズは48だがドロップ8とクラシックなテイラードジャケットとしては比較的タイトな作りだ。2つ釦のものが増えてきている中でクラシックな3つ釦段返りというところも気に入ったポイント。

3.カラーコーディネイト

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ウールとコットンのミックス生地はチェック部分があずき色でブルーのオーバーペインが入ったもの。シャツは白か淡いブルーがマッチしそうだ。ネクタイはあずき色と相性の良いパープルの地に青と緑のストライプが入ったものを合わせた。小紋柄のネクタイも良いがジャケットのチェックに負けてしまうことが多いので注意が必要。仕上げのチーフは柄を見せずに紫のチップ部分だけ出してシンプルに挿す。全体がビジーになり過ぎないように心がけてみた。

4.Vゾーン周辺

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ネクタイはグリーンのジャケットに合わせて暫く前に買ったニッキー。よく買うネクタイブランドの一つだが比較的ベーシックなものが多い。ここで紹介するのは珍しく個性的な一本。ジャカード織風のマットなベースにシルクサテンのような光沢あるストライプが配された独特の風合いがVゾーンに変化を与える。シャツは白無地のBDでナポリはボレッリのもの。広めのタイスペースから奇麗にロールする襟がVゾーンを強く印象付ける。胸ポケットのチーフはお馴染みのポールスチュアート製。

5.ジャケットのタグ

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今回購入したジャケットはサルトリオ、アットリーニ社からキトン社に商標権が移ってからのものだ。キトン社のファブリックとファクトリーにより作られたもので、着てみると直ぐに分かるがアットリーニ時代より随所にグレードアップの跡が伺える。キトン社は服地商出身のファクトリーらしく、本社には甘く柔らかな最高級の生地がふんだんにストックされていると聞いたことがある。サルトリオネームではあるがウール/コットンの生地を使うところなど生地にこだわるブランドらしい気もする。

6.身頃のボタンホールと切羽の処理

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アットリーニ時代のサルトリオはマシンメイドのセカンドラインという位置づけだったこともあり、切羽のボタンホールを機械縫いでお願いしたが、よく見ると身頃のボタンホールは手縫いのようだ。キトンに代わってからのサルトリオは値段が高めに設定されていることもあって試すことはなかったが、ボタンホールや襟付けなど昔よりも手仕事の部分が増えているようだ。

7.パンツのウェスト周りとベルト

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パンツは無地のグレーがベストの選択。ミディアムグレーからチャコールグレイまで幅広く合わせられるが仕事の後にイベントがある時は明る目を、仕事が中心で多忙な時は濃い目を選ぶのがよさそうだ。パンツは専らプレーンフロントのものにしているが、元々トラッド好きなので違和感はない。寧ろノープリーツの方がウェスト周りがすっきり見えると思う。定番インコテックスのJ35モデルは流石に元祖美脚パンツらしく、ウェストが2インチ減った今も履ける懐の深さがある。ベルトは久しぶりにバックルを換えてみたエルメス。

8.ポケットチーフの挿し方

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元々ポケットチーフは胸ポケットの容量より大きいので、上手く折り畳んで入れないと胸ポケット下が無粋に膨らんでしまう。特にパフやクラッシュでは胸ポケットの中がだま(球)になりやすく、膨らみが目立つのが嫌でシンプルなTVフォールドにすることが多い。それでも挿し方にちょっとした工夫をするのがポイント。写真のジャケットでは胸ポケットの横幅が狭いので、それよりも更に狭くチーフを3つ折りにする。次にチーフの四隅が左側に来るよう挿し、チーフの左端と右端がポケットの端に来るよう一番内側を胸ポケットの中で広げる。これで厚みが解消、胸ポケットのサイズに合ったチーフの見え方になる。

9.靴のコーディネイト

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今回用意したのはダービー・フルブローグとスェードのパンチドキャップトゥ。クラシックなイタリアンテイラードのジャケットを着ているお洒落の達人を見ると足元は大抵写真のような靴やダブルバックルの靴が多い。特に今回のようなチェックジャケットの場合、細身の内羽根式短靴(オックスフォード)では上着の存在感に負けてしまうこともあるので、ボリュームがある靴や起毛感のある靴の方で足元を安定させたいもの。用意した靴はチャーチズのグラフトン(左)とジョンロブ・パリのフィリップⅡ(右)

10.チャーチズ「グラフトン」

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ブックバインダーカーフのフルブローグ・ダービーは革の表面に加工が施されていることもあってあまり磨き甲斐がない靴だった。最低限の手入れしか行ってこなかったのだが、シリコン入りキィウィのポリッシュを使ったところ、つま先部分が綺麗に光ることが分かった。最近はまめにワックスで手入れしているせいか、つま先部分がアンティーク調に色づいてきている。1995年製だからもう16年経ったが、そうは見えないところが「英国の良心」と言われるチャーチズならでは。

11.ジョンロブ・パリス「フィリップⅡ」

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最近のジョンロブ・パリスはミスティ・カーフと呼ばれる色むらのあるものが多いが、ジョンロブと言えばアルディラやハバナなど昔の革の方が馴染みがある。それならばとスェードを選んで取り寄せたもの。秋冬物のジャケットは起毛感があるのでスェードとの相性は抜群、これからの季節は安心して履ける。個人輸入したのがリーマンショック後の2009年。当時1£が130円を切ったことを信じられない思いで過ごしていたがあれから2年、今では1ポンド120円を切るまで円高に振れている。英国靴のオンラインショップを見ると在庫切れのところも多いようだがこれも円高の影響だろうか。

ゼニアのナポリクチュールや同じゼニア製のダンヒル英国調ジャケットなど暫くご無沙汰だったブランドもあれこれ試着できたのは貴重だった。先月フライのシャツをオーダーした時も、今月ブルックスのエクストラスリムフィットのシャツを購入した時も、そして今回ジャケットを試着した時も、昔と違って今の既製服は一段とボディコンシャスになっているような気がする。素材や作りはコンフォート志向でも、よりカスタムフィットというのが主流なのかもしれない。試着したジャケットはどれもウェストでボタンを絞めると昔とは比べ物にならないほどウェストラインに沿っていた。

こうした小気味よいフィット感に加えて、久しぶりのチェック柄はシャツやネクタイとのコーディネイトでも新鮮な感覚を与えてくれた。あまり着なかった柄物に袖を通すだけでも気分が随分と変わる。色々な意味で今回は価値ある買い物だったと言えよう。何よりグレンチェックやウィンドペインのスーツ、大柄のツィードジャケットなど従来は選ばなかった生地で服を仕立てようと思うきっかけになっている。今までは仕事用に控え目な素材で仕立ててきたが、仕事で着る服そのものが多様化してきている中、もう少し楽しんで生地を選んでもよいのかもしれない。

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2011年11月19日 (土)

Tuxedo(タキシードを楽しむ)

毎年11月の声を聴くと思い出すことがある。海外駐在が決まったのが1994年の11月、それまでの生活が一変した。休みのたびに家財道具の荷造りに追われ、船便会社とのやり取りや外国に支店をもつ銀行の口座開設など色々なことに奔走したことがつい昨日のことのようだが、あれから17年もの年月が過ぎている。海外駐在に当たっては船便に積む衣類は最低限と決め、殆どを現地で調達することにしたが、別送ではなく直接キャリーしなくてはならないものにセミ・フォーマルウェア一式があった。

赴任直後の歓迎式のこともあったが、駐在中は準正装のものからプライベートなものまで何かとパーティが多いと前任者から引き継いでいた。そこで出発前から当時贔屓にしていたブルックス・ブラザーズ青山店や銀座のポロ・ラルフローレン、ポール・スチュアートといったアメリカントラディショナルの店に出かけては準備を進め、アメリカ式セミ・フォーマルウェア一式を整えていった。年が明けた1995年の4月、40㎏制限いっぱいの荷物とパーティ用のウェアをガーメントケースに入れ慌ただしく成田に向かったことを今も覚えている。そこで今回は当時のアイテムを中心にパーティウェアの着こなしを紹介しようと思う。

1.タキシード

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イギリスのディナー・ジャケットに当たるものがアメリカではタキシードになる。タキシードの名の由来はタキシード・パークでの舞踏会にショールカラーのスモーキング・ジャケットを着て参加したことがきっかけらしい。さて、いつものブルックス青山店を探すものの気に入ったものが見つからず銀座のポロまで移動。流石は銀座、シングルピークドラペルのものからダブル・ブレストのものまで用意されていた。「アメリカのブランドなのでスモーキングジャケットから派生したショールカラーのものにしては」と店員の薦めもあって写真のタキシードに決め、細かな補正をしてフィット感を高めてもらった。

2.ショールカラーとウェストライン

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ショールカラーに決めた理由のもう一つは「ピークドラペルのディナージャケットはイギリス流でシングルもダブルもスーツと似た衿型、一方ショールカラーのタキシードはアメリカ流でスーツにはない独特の衿型」と話してくれた店員の説得もある。よく見かける店員で信頼できる人だったが今はどうされているだろうか。ちなみにポロのタキシードはフロントが拝み釦ではなく通常のスタイル。ただウェストの絞りはボディシェイプに近づけたカスタムフィットに近いライン。確かサンプル用のタキシードを補正して急遽仕上げてくれたと覚えている。パーソナルサービスを実感できた一時だった。

3.ウィングカラーシャツとスタッズ

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タキシードに合わせるウィングカラーシャツにはヒダ胸とイカ胸がある。最初に買った英国製のものはプリーツ入りだったが追加で購入したアメリカ製のものは写真のようなイカ胸のものだった。このイカ胸シャツは胸部分にピケ素材の布が前掛けのように別途縫い付けられていて、それがイカに似ているところから付いた名称とのこと。シャツには釦がなく両穴開きになっていて、そこにスタッズと呼ばれる鋲のようなものを入れて前を留める。スタッズは銀ベースが正統だそうだが蝶ネクタイのゴールドモチーフに合わせて金ベースのものにしてみた。黒い部分はオニキス。ポケットスクェアはいつものリネンではなく正統のシルクチーフを選択。

4.パーティはブラックタイでなくてはならないか

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ブラックタイが必要な礼装時は勿論黒の蝶ネクタイを締めなくてはならないが、パーティでは同伴者のドレスと調和する色柄物の蝶タイやカマーバンド・ポケットチーフでも良いとされているそうな。むしろ黒の蝶ネクタイでない方がホテルの従業員と間違われることがないとも聞いたことがある。クリスマス・パーティでは赤のボウタイを締めることもあったが大抵は写真のもの(エルメスのボウタイ)を締めていた。スタッズも凝ると逸品が沢山あるようだが、日本では使う機会が限られているのでごく普通のもので十分かもしれない。

5.カフリンク

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スタッズと対になっているカフリンク。こちらは日本に帰国後も単独で使う機会がそれなりにあるので助かっている。金部分には目立たないようにエングレイビングが施されているイタリア製。一方袖から覗くシャツのダブルカフの部分はイカ胸部分と同じピケ素材で作られている。こうした細かなディテールはセミ・フォーマルの装いを経験する中で気が付いたこと。色々な点で海外駐在は視野を広げる良い機会だったと思う。

6.カマーバンドとサスペンダー

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タキシードではベルトは使用せずサスペンダーを使用する。サスペンダーはウエスト回りをすっきりさせ、パンツのラインを美しく見せることができるからだ。またパンツのウェスト回りに付くボタンや持ち出しを覆い隠してくれるのがカマーバンド。ヒダが上を向くように締めるのが鉄則で、何でもオペラのチケットやカジノのコインを入れるのに使うそうだ。サスペンダーは黒のものが正統だがブラックタイの指定がない限り(あまりフォーマル過ぎないという解釈)小物類は楽しく組み合わせても良いのではないだろうか。

7.クレイジーパターンの立ち衿シャツ

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クリスマス・パーティシーズンには大活躍しそうなクレイジーパターンのウィングカラー・シャツ。ブルックス・ブラザーズのものだ。左右の袖とヨーク、後身頃など全てが異なるタータンチェックの生地でできている。ジャケットから覗く前身頃こそ白ポプリンにピケ素材のイカ胸が付いているが遊び心満載のシャツだ。尤も人前でジャケットを脱ぐことはないはずだが、一度だけパーティ後の2次会でパブに行った際、ライブ演奏の熱気で脱いでしまったことがある。よほど目立ったのだろう、演奏者から声をかけられたことを思い出した。

8.カマーバンド

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カマーバンドはブルックスブラザーズの直輸入もの。ネームタグを見れば上下を間違えることもなさそうだが、丁寧にパンツの前部分のフックなどにかけるループが付いているので(写真左)上下を間違えることもなく、更に上にずれてしまうこともない優れもの。腰裏部分で留め、金具で長さを調節してウェストにジャストフィットさせる(写真右)。このところタキシードを着る機会が少ないので、忘れないように時々出して確認するのも大切だろう。

9.ノーベント

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非常に強いウェストサプレッションが入ったジャケットの後姿。パンツ裾のモーニングカットから始まって、ウェストやひざ下のシルエット補正、一方上着の着丈や袖丈は勿論、肩のフィットやウェストラインの補正まで細部にわたってカスタムメイドに近付けている。17年前の体型を維持するのは中々難しいもの。ジム通いやランニングを始めたのもタキシードの着こなしを楽しもうと思ったのがきっかけの一つになっている。

10.タキシード用の小物

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パーティ用の小物一式。赤と緑のクリスマスカラーに彩られたホテルのバンケットルームでのクリスマスパーティは駐在中の楽しみの一つ。気の合う人とあれこれ話も弾み、ゲームなどのアトラクションで盛り上がる。そんな楽しい催し物の時には思い切って写真手前のボウタイ(ポールスチュアートのもの)を付けることもあった。右側の赤と緑のレジメンタルや中央のペイズリーはJ.プレスのボウタイで、こちらは結び目が出来上がった簡易式のもの。後ろは持ち出しが茶革のタータンチェックサスペンダー。黒革ではないが気にせず使っていた。

11.タキシードに合わせる靴

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タキシードに合わせる靴の正統は紐靴ではないらしいが、色々と調べてみるとストレートチップでも許容範囲のようだ。尤もオペラパンプス以外は履いたことがないが両者を並べてみた。そのオペラパンプスもエナメルの物が本格的とされているが英国製でエナメル素材のものが中々見つからず、カーフ素材のシップス別注クロケット製のペア(右)に落ち着いた。左のストレートチップはロイド・フットウェアのマスターロイドライン(E.グリーン製)

クローゼットを見るとモーニングからタキシードや日本式の略式礼服まで一通り揃っている。本来ならばこうしたフォーマルなものほど体にフィットした誂えを着るべきなのだろう。ただ、馴染みのテイラーに出会う前に必要だったこともあって、全て既成品で整えてしまっている。これから着用する機会を考えると誂える出番は巡ってきそうもないが久し振りに出したタキシードのフィット感は既成ながら中々のもので、ちょっとした感動だった。

フォーマル・ウェアというと堅苦しく考えがちだが、モーニングを着る場面やブラックタイ指定の会合を除けばもう少し楽しく着こなしても許されるのではないだろうか。実際に着ていくかは別にしてラルフ・ローレン氏がショーの最後にピークドラペルのディナージャケットにデニムとウェスタンブーツでランウェイに出てくるのを見るとなるほどと思う。これからがパーティの季節、主催者が不快に思わないことや主賓に敬意を払うことを忘れず、華やかなパーティを自分なりに楽しみたいと思う。

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2011年11月13日 (日)

現行品か復刻版か

以前も書いたがジム通いと早朝のランニングを欠かさず行ってきたせいか、だいぶ体質改善が進んだ。その代わりに手持ちの服は今までのフィッティングでは合わないものが多く出てきている。特にシャツは身体に直接身につける機会が多いこともあって気になることが多い。体の中で肩や首回りは体重の変化を受けにくい部分と言われているが、肉の付き方が変わるせいだろうか、肩幅は殆ど変わらないが肩の厚みが変わってくる。勿論首周りも例外ではなく、ハーフインチ程小さくなってきた。

昔からお気に入りだったブルックスブラザーズのポロカラーシャツ(以下BDシャツ)だが、余裕のあり過ぎる身幅が気になって途中からスリムフィットを選んでいた。特にオーダーシャツやタイトフィットのイタリア製既成シャツを着るようになるとジャケットの中でもたつく感じが気になって、ブルックスのBDシャツとは段々疎遠になっていた。ところが先日都心のデパートで昔風の前立て6ボタン復刻版で身頃がエクストラスリムフィットというブルックスUS製BDシャツを試着したところあまりのフィット感の良さに驚いた。その場で買い求めたのは言うまでもない。そこで今回はBDシャツの元祖ブルックスブラザーズによるカスタムフィット並みの復刻版シャツを紹介しようと思う。

1.トラディショナルフィットとエクストラスリムフィット

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左は1990年代半ばのオリジナルポロカラーのトラディショナルフィットでデッドストック、右がデパート別注による復刻版のエクストラスリムフィット。生地は90年代のものの方がややコシがあるようだ。肝心のポロカラーはどちらも同じ作り。ノースカロライナ州に工場を持ちブルックスブラザーズ社の傘下であるガーランドというシャツメイカー製だ。洗濯機に入れて自宅で洗いを繰り返しよれた感じを出すにはブラックフリースもののようにもう少し打ち込みの厚い生地が欲しいところだ。

2.メイカーズタグ

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上が復刻版のエクストラスリムフィットシャツ、下がデッドストックのトラディショナルフィットシャツ。下にはオウンメイクの意であるMakersが入っている。もともと赤のオーバルタグはトラディショナルフィットに付くものでスリムフィットは昔から色が青になっていた。一方上の復刻版にはMakersの表記はなく、代わりに楕円の下にメイカーズ&マーチャンツと記されている。最大の違いは赤で表記されたエクストラスリムフィットの文字だ。

3.プライスタグ

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1990年代のオックスフォード地のオリジナルBDシャツは54.00$で、現行が79.50$だからN.Y.の物価上昇を考えると現在の価格はリーズナブルと言える。尤もブラックフリースの方は175,00$だから素材やカッティングの違いはあれど上級ラインならではの値つけになっているが…。さて、デパート別注の復刻版はというと13,650円と本国のブラックフリース並みのプレミアム価格になっている。ただしオンラインオーダーでもチョイスできない前立てのボタン数6個というオールドディテールを考えると納得できる価格ではある。

4.トラディショナルフィットとエクストラスリムフィットの違い

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トラディショナルの身幅が平置きで58㎝、上に重ねたエクストラスリムの身幅が48㎝だから左右の差の合計は10㎝、全体では20㎝違う。この差はジャケットの下では殊の外大きい。トラディショナルフィットのシャツではサックスタイルのⅠ型モデルではいざしらずウェストサプレッションのきついブリティッシュスタイルやクラシックイタリアンには無理がある。フェラーリのモンテゼーモロ氏がクラシックなイタリアンカットのスーツにブルックスのBDを合わせているという写真を見たことがあるが、シャツをカスタマイズしていたのではないかと密かに思ったものだ。

5.前立てのボタン数の違い

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復刻版の一番のポイントが前立ての釦数。下の復刻版は全部で釦が6個付いているのに対して上のトラディショナルフィットは釦が7個付いている。そもそもブルックスのBDシャツは第2釦の位置のみ少し下がっていて、全体が6つ釦になっているものが通常だったようだ。それが1980年代終りに英国の企業に買収されると順次他のドレスシャツ同様ボタンスタンスが上から均等に7個付くようになっていったとのこと。6つ釦の方が襟が綺麗にロールすること、ノータイの時の開き具合やアスコットタイを締めた時の収まり具合が良いことを知っていた古くからの顧客はこの変更を残念がったと聞く。 

6.袖のカッティング

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トラディショナルフィットのシャツは身幅だけでなく袖も太い。カフ周囲こそ同じだがそこからクラシックフィットは袖全体がぐっと太くなる。二の腕部分では平置きで5㎝以上の差があり、アームホールがさほど変わらないことを考えるとトラディショナルフィットの方がカフ周辺で急激に絞り込まれていることが分かる。余談だが今回紹介したデパート別注のブルックス製BDシャツには「襟後ろのボタンと背中のボックスプリーツにロッカーループ付」と更にマニアックなシャツもある。値段は23,100円とかなり高価だがこちらもオンリーワン。

7.台襟前部の違い

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台襟前部のパターンもよく見ると違っているようだ。上が復刻版のもの、下が1990年代のトラディショナルフィット版。タイスペースの加減か、あるいは襟のロールがきれいに出るための工夫だろうかと色々考えたが、どうやら最近のアメリカ製ボタンダウンシャツは全て復刻版と同じ台襟前部がスクェアになっているようだ。1990年代に入ってBDシャツが6つ釦から7つ釦に変わった頃から台襟のカットも含めディテールの変更が色々あったのではと想像している。

8.クラシックイタリアンシャツとの比較

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最近のクラシコイタリア系ドレスシャツ、中でも日本のものは襟のサイズに対してボディを1サイズ下げて縫製しているようだ。左のルイジボレッリのシャツも恐らく1サイズダウンのボディのはず。一方右の復刻版ブルックスBDはクラシコイタリアのシャツ以上にスリムフィットで、肩の収まり具合やアームホール周辺の動きも含め「これがブルックスのBDシャツか」と思うほどフィットする。6つ釦の前立てに拘らなければオンラインのスペシャルオーダーでオウンメイクのシャツを作るのも良さそうだ。

9.ネックサイズをハーフインチ下げる

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白の復刻版を早速着てみると従来の15.5-32ではボディ周りはちょうど良いものの首が少し緩くてネクタイをすると落ちてくる。そこでもうハーフインチ下げて同じオックスフォード地の15-32ブルーストライプを試着したところ首回りはジャストで身頃も更にフィット感が強くなるもののタイトさは感じない。こちらも購入し、今後は着比べながらベストフィットを決めて行こうと思う。ブルックスのシャツはクラシコイタリア系のシャツと異なり既成ながら身頃や袖の長さを選べるアドバンテージがある。

9.ネイビーブレザーに合わせて

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第1ボタンを外してアスコットタイやスカーフを巻くときの見え方が独特だというのが6つ釦の特徴ということでノータイにして替わりにシルクのスカーフを巻いてみた。タッターソールの柄がプリントされた猟犬のモチーフはポロのもの。ジャケットはチェスターバリー製のパープルレーベル。チェストポケットに懐かしのケント製緑のポルカドットスクェアを挿してみた。確かにスカーフの柄が程よい見え方のようで、アスコットタイならばもっと綺麗に見えるのではないだろうか。

10.ノータイでジャケットを羽織る

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週末はノータイで仕事をする人もまだまだ多いようだ。そこでブレザーの下に着てみる。リラックスした雰囲気ながらくだけ過ぎた感じがしないのはシャツが白だからか。他に何も色がないのでは寂し過ぎるので、仕事の後はチェストポケットにチーフを挿してみる。オフィスを出てちょっとイングリッシュパブあたりに行ったり、ウィンドウショッピングを楽しんだりする時に便利なポケットスクェアは鞄に入れておくこともある。写真のチーフはエルメスのもの。

今後は昔のブルックスのオックスフォードBDシャツは全てクリーニングに出さず、洗いざらしにしてカジュアルに着ようかと考えている。替わりに今回購入したエクストラスリムフィットのシャツ(ブラックフリースのBDシャツもほぼ同等のフィット感とのこと)が少しずつ増えていきそうな気配がある。アメリカントラディショナルスタイルから着こなしに入った世代としてはブルックスブラザーズに愛着や郷愁がある。特にBDシャツの元祖であるポロカラーシャツはスーツやジャケットをテイラーやサルトで誂え、カスタムシャツに袖を通すようになっても手元に置き、身に付けたいアイテムなのだ。

別注品といっても定番とさほど変わらないものも多い中、ここで紹介した復刻版のシャツは今風にフィットするシャツに仕立てただけでなく、復刻版と銘打つように昔のパターンを基に釦数やスタンスも変更している。ボディをエクストラスリムフィットに替えただけならばブルックス本国にオーダーすれば手に入ることを知ってか、もう一段オールドデザインという仕掛けを加えたところが名ばかりの別注品と違うところ。久しぶりにブルックスのシャツを日本で、しかも定価で購入した。ジム通いでカスタマイズされた身体に合うシャツを探していたところ思いがけない逸品に出会えたことが嬉しい。こういう商品をもっと展開してくれたらと思うのだが、それは昔からのアメリカントラッド好きなマニアだけかもしれない。

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2011年11月 9日 (水)

As a suit or a jacket?

先週末は久しぶりの雨模様だったが気温は思ったよりも低くならず、お蔭で薄手のジャケットを1枚羽織って気軽に出かけることができた。しかし、今週から徐々に初冬を思わせる陽気に変わっていくとのこと。春夏物をクローゼットの奥に掛け直し、秋冬物を手前の方に並べ変えた。ついでにカシミヤなどニット類を取りやすい場所に移して、慌ただしく衣替えをしたところだ。久しぶりに前に出してみたツィードのスーツは相変わらず生地が厚くて重い。確かここ数年はスーツとしてではなく、専らジャケットのみの着用だったはずだ。

そういえば奥にしまった春夏物のネイビー無地のスーツもこの夏試しにジャケットだけ着てみたことがある。服飾に一家言もつ人ならば「おや、スーツの上着を着ているな」と分かるのだろうが、ジャケットスタイルでの執務が定着してくるとバリエーションを増やしたくなるもの。スーツの上着だけジャケットに流用できたとしたらいいのにと思うこともある。そこで今回はスーツの上着をジャケットとして着たり、スーツ本来の合わせを考えたりして装いのパターンを増やしてみたい。

ⅠTweed Suit

1.ジャケットとして着る

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打ち込みのしっかりとしたごつい手触りが特徴のヘリンボーンはハリスツィードのようだ。柄が地味な分ジャケットとして着る場合は少し派手な組み合わせを楽しみたい。せっかくなので色や素材の合わせに凝ってみた。チェックのウール/コットンシャツにウール/シルクのチェックプリントタイ。間に挟んだのはフェアアイル柄の手編みヴェスト。上に羽織ったツィードジャケットはナチュラルショルダーながらウェストの絞りがきついところなど結構ドレッシーな雰囲気もある。

2.ボタンアップして着こなす

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ボタンをするとウェストのくびれがかなり強調されるが、ジャケットフロントの5つボタンがカントリーの雰囲気を醸し出しているので、ちょっときつめのジャケットを無理して羽織っているような、どことなく少し垢抜けない感じで着こなすこともできそうだ。ポケットチーフも含め全てポロのもの。ヴィンテージ感のある写真の様なツィードジャケットは一番新しいラインであるラグビーやRRLで見ることができる。

3.スーツとして着る

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スーツとして着こなすとなるとVゾーンの合わせは随分と変わる。色使いをすっきりとさせてスーツらしく見せることが必要になるからだ。同系色のチェックシャツからベージュのタッターソールにシャツを替え、ネクタイもウールのウーブンチェックタイを締める。ポケットスクェアだけは交換せずそのままだが、靴もスーツに合うものに換える必要がある。選んだのはダービー、それもカントリー調で張りのあるツィード生地に合う靴と言えばパーフォレーションが賑やかなフルブローグが一番。

4.フルブローグ・ダービー

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合わせた靴はどちらもカントリー色の強いもの。左のコーヒースェードはエドワードグリーンン・サンドリンガムでダイナイトソール装着、右はブックバインダーカーフ素材のチャーチ・グラフトンでレザーソール。どちらの靴も久しぶりに出してきたのでブラシがけと乾拭きをしたところだ。チャーチズのブックバインダー・カーフはひび割れを起こしやすいとのことだが1997年製グラフトンは状態もよく現役で活躍している。もう一方の1998年製E.グリーン・サンドリンガム(左)はちょくちょくアッパーを洗浄しているので大分毛が寝てきているようだ。

5.ネクタイを替えてみる

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同系色のネクタイどちらにするか迷うことがある。今回も左のウールタイと右のカシミヤタイとどちらにするか迷ったが、左の方が全体的に落ち着くのと、右のドレスゴードンチェックのタイは白い部分が意外と大きく、シャツのベージュと白との色のずれが気になった。装いの達人ならば瞬時に上下とシャツにネクタイ、小物と靴を選ぶのだろうが、迷うあたりまだまだ修行不足というところか。

6.ブレイシーズとベルトのどちらを選ぶか…

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今回はまずブレイシーズを付けてみた。ブレイシーズを装着するとパンツのラインが綺麗に出ることは経験者ならば既知だろうが、ヘビーなツィード生地のパンツなので尚更靴先に余分なクッションが出すぎないよう意識した。ただしジャケットのボタンをふとした拍子に外した際ベルトループがあるのにベルトがないと「締め忘れている」と思われがちだ。そこで敢えてベルトも飾りとして締めてみた。ジャケットを脱がない限り周囲に分からない補正と考えて掟破りのブレイシーズとベルトのダブル装着はさてどうだろうか。(ベルトはマルベリー、ブレイシーズはポロでどちらも英国製)

Ⅱ Navy Suit

7.ジャケットとして着る

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ジャケットとして着るならばやはりシャツはチェックにしたいところ。ロンドンストライプのシャツではどうもスーツスタイルの延長に感じてしまうからだ。ネクタイも小紋の控えめなものではなく、大胆な色遣いのレジメンタルタイにするとネイビーブレザーの着こなしに近くなる。ボトムスはインコテックスのスーパー120’sあたりのライトグレーパンツを合わせて、靴はライトタンのローファーを持ってくるとスーツの上着らしさもだいぶ解消されるような気がする。

8.色合わせに気を使ってみる

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シャツはブルーにイエローとライトブルーの色が入ったチェックのBDシャツでルイジボレッリのもの。同じライトブルーとイエローのストライプがうっすらと入ったレジメンタルタイを締めてその中のパープルを拾ったポケットスクェアを挿してみた。多色使いのレジメンタルタイはエトロのもので如何にもといった感じがする。チーフを除いたアイテムはどれもイタリアつながりということで、先に紹介したツィードとは随分雰囲気が違う。

9.スーツとして着る

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定番のネイビースーツをそれらしく着こなすにはやはり端正で控えめなVゾーンが望ましい。少し冒険してロンドンストライプのシャツの襟だけ白のカラーディファレントシャツ、いわゆるクレリックシャツを持ってきた。タイは小紋柄でネイビーと相性の良いピンクを選ぶ。ネイビーのスーツも同様にチーフは同じものを挿したままにしてみた。靴は濃茶の紐靴を選択。フルブローグとセミブローグを合わせ、ソリッドなスーツの足元を賑やかにしてみた。

10.Vゾーン

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シャツはローマのミコッチ製ス・ミズーラ。身頃も襟もカルロ・リーバで作られた柔らかな着心地が特徴の逸品。タイはニッキーの小紋柄でスーツはエルメネジルド・ゼニアのタリオ・エクスクルーシヴォ、即ち既成の型紙に修正を加えるパターンオーダーの別名で、当時ゼニアではス・ミズーラと呼んでいた。生地はややナス紺に近い色目でハイパフォーマンスと呼ばれるもの。ゼニアのスイスにある専用工場で作られた1着。

11.ベルトにするかブレイシーズにするか…

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ス・ミズーラで作ったゼニアのスーツ、この頃は英国調に憧れていた時期だったこともあってパンツの腰裏にブレイシーズボタンを付けるようオーダーを入れている。お蔭でパンツのラインはすっきりとしたが、撮影時に腰回りが寂しいのでアリゲータのベルトを飾りで巻いている。そのスーツだが生地が春夏物なので件のブレイシーズボタン以外にも背抜きのライニングをリクエストした。海外駐在時の注文なので英語でのやりとりだったが、フィッターもイタリア人だったのでお互い慣れない英語でコミュニケーションしたことが懐かしい。

12.ダークブラウンのフル・ブローグオックスフォード

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左はフォスター&サンのシームレスヒール・セミブローグ、右がメッシーナのフルブローグ。どちらもネイビーのソリッドスーツとの相性は抜群の濃い茶色を選んでみた。ゼニアのスーツと相性の良いのは同じイタリアのメッシーナのように感じるが、イギリスの靴の持つ懐の深さはイタリアのスーツにも違和感なく合わせられる。この場合靴下は定番のダークブルーや差し色のボルドー、どちらでもよいがファインウールのソックスを用意したい。

いつだったかラルフローレンのものと思しきダブルの6ボタンチョークストライプのスーツの上着とデニムを合わせているニューヨークの洒落者を街角スナップで見たことがある。そういえばラルフ・ローレン氏自身もタキシードの上着にデニムを合わせウェスタンブーツで写真に納まっている。それでは、と試しにどれだけスーツの上着をジャケットとして着ることができるかクローゼットの中を一通り覗いたが、中々ジャケットに流用するには難しいものが多い。

元々上下対を想定して作られたスーツをばらして上着だけ使用すること自体ハードルが高いのだろうが、それでも黒や紺の無地ならば何とかなるだろう。またハウンドトゥースやグレンチェックといった柄物、あるいは無地に近い地にウィンドウペインが切られている物も何とかなりそうだ。ツィードならば多少大柄でも上下ばらして着ることができるし、3ピースの場合はヴェストだけ愛用することもできる。実は今注文しているストライプの3ピースの後はツィードの3ピースを、その次はウィンドウペインの3ピースを注文しようと考えていたところだ。ひょっとして無意識のうちにスーツの上着をジャケットとして着ることを考えていたのかもしれない。

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2011年11月 3日 (木)

Coordinate#1(Black or Blue jacket)

11月に入り秋も深まってきた。特に早朝のランニングを日課にしていることもあって朝晩の冷え込みを肌で感じる。早起きは決して楽ではないが、朝の天気でその日何を着るか考えながら走るのは中々楽しいものだ。外気に触れながら「薄手の生地にしようか厚手の生地にしようか」考えているうちに小一時間のランニングタイムがあっという間に過ぎてしまう。

このところ週末や休日はジャケットをよく着ている。秋ならではの慶事が続いていることもあって特にブラックジャケットやネイビーブレザーに袖を通す機会が多い。そんな時、日課の早朝ランニングを利用してその日のコーディネイトを予め考えておくと、出かける時に迷わずに済む。今回はオフスタイルでのジャケットスタイルを中心にシャツとネクタイ、小物を加えたコーディネイトを紹介しようと思う。

Ⅰ.Coordinate for Black Suit

1.フォーマルを意識したコーディネイト

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ジャケットとして紹介しているが、元はサビルロウのピーターに頼んだ英国製ブラックスーツの上着である。共布のパンツは勿論グレーストライプのパンツと合わせるとディレクターズスーツに近い雰囲気がある。注文時は日本の略式礼服を説明するのも大変なので、単にモードを意識したブラックスーツをオーダーしたのだがピーターの方が日本の事情をよく知っていた。こちらの「スラントポケットで…」という注文に「フラップをしまえるホリゾンタルの方が良い。」とアドヴァイスをくれる。こうして完成したブラックスーツが重宝しているのは言うまでもなく、そのピーターに敬意を表してフラップをしまいフォーマルを意識した形で紹介してみた。

2.ブラックスーツのVゾーン

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ロイヤルオックスのダブルカフシャツはフォーマルに近く、日頃着る機会が少ないシャツの一つ。祝い事に着てこそ価値がある。ターンブル&アッサーのシャツにフィレンツェの名店タイユアタイネームのグレンチェックタイ。本店と同じ商品とのことでディンプルの綺麗さが光る。ポケットスクェアはブートニエールを意識して、ピンク色のダンヒル製シルクスカーフを挿してみた。トラウザーズはスーツの組下でもグレーのストライプパンツでも合うコーディネイトだろうが、どちらを選択しても足元は黒のキャップトゥ(パンチドキャップトゥでも許容)で決まりだろう。

3.カフリンクス

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カフリンクスは祝い事の雰囲気に沿ったものを選びたい。今回はフラワーアレンジメントがキーワードの祝い事だったので、赤や黄、橙などの花に合わせたカフリンクスを選んでみた。日頃シングルカフのシャツを着ることが多いので使う機会の少ないカフリンクス、久々の出番だったが凝って集めだすとアンティークのものや輝石を使ったもの、ハンドペイントの芸術的なものまできりがない。時計同様範疇を決めておくことが大切だと感じる。

Ⅱ.Coordinate for Black Jacket

1.オン、オフ両用のコディネイト

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休日のちょっとしたパーティには黒のジャケットが重宝する。スーパー150’Sを使った紡毛系のマットな表面がこれからの季節にマッチするブラックブレザー。アンティーク調のシルバーボタンと細めでシャープなラペルにチェンジポケットの付いたスタイルはパープル・レーベルのもの。イタリアのセントアンドリュース製らしく端正で手仕事の多い仕上がりになっている。合わせるパンツはライトグレーのプレーンフロントが一番、靴は勿論黒で紐靴もよいがサイドエラスティックやエラスティックタブもあまりフォーマル過ぎなくて良さそうだ。

2.ブラックジャケットのVゾーン

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ブラックジャケットの黒に絡めてシャツはパープルとブラックのストライプシャツを、ネクタイもパープルにブラックとホワイトのストライプを配したものを持ってきた。ポケットスクェアはパープルに近いラヴェンダーのリネンチーフを用意。一見派手なVゾーンも黒のジャケットが上手く沈めてくれる。シャツは昔のアイク・ベーハー、タイは最近のイタリア製パープルレーベルのタイ。チーフはローマのエディ・モネッティで買い求めたもの。

Ⅲ.Double breasted Navy Blazer

1.パワードレッシングを意識して

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ダブルブレストのブレイザーは6つのボタンがかなり人目を引く。とは言うもののシングルブレストよりフォーマルな雰囲気があるので、レセプションでの挨拶など人前で話をする時に意識して着ている。ゴールドのボタンに合わせてイエローのタイにブルーのシャツという一時期流行ったパワードレッシングの組み合わせを再現してみた。ポケットチーフはパープルチップのシルクスクェアを4ピークで挿している。

2.ダブルブレステッドブレザーのVゾーン

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シャツはブルーにイエローのオルタネートストライプでダブルカフという如何にも英国調の柄と作りだがイタリア製。ポールスチュアートの上級ライン「スチュアートチョイス」ネームが付けられている。黄色を拾ったネクタイはステファノ・ビジ。パワータイと呼ばれた「タクアン色」のネクタイは流行りではないせいか探しても見当たらないことが多い。ダブルのブレザーは上質のドスキンを用いたエルメスのもの。ベルヴェストならではの端正な機械縫いが印象的な1着。

3.カフリンクス

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ロンドンバッジ&ボタン製のカフリンクスはクレストとレジメンタルのダブルフェイス。由緒ある紋章とレジメンタルの配色かも知れないが、人目に付かないこともあって気にせず使う。1990年にロンドンはジャーミンストリート近くののカフリンクスやボタンを専門に扱う店で購入したもの。値段は決して高くないが個性的なものが揃っていた。今だったらバーリントンアーケードのアンティークを扱う店で買ってみたいと思う。

4.シャツのボタンホール

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シャツのボタンホールを見ると手縫いシャツの代名詞ボレッリのものよりも細かな手作業が伺える。シャツの前裾が深く重なるクラシックなディテールなどを見るとアンナ・マトッツォへの別注のようにも見えるが、第1ボタンのホールが斜めに切られているところなどを見ると手縫いのボタンホールで仕上げたフライとも考えられる。元々世界中から優れた商品を探し出して自社タグを付けて売ってきたポール・スチュアートらしく、この他にもルイジボレッリ製のシャツなど逸品のシャツが揃っている。

Ⅳ.Single breasted Dark Navy Blazer

1.無地のタイを使ったクリーンなコーディネイト

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インディアンサマーとでもいうのだろうか、深まりゆく秋を前に夏の様な気温の高い日に出くわすことがある。そんな時は背抜きのブレザーが役に立つ。2パッチポケットで カジュアル色の強いオンダータのジャケットにチェックのシャツとワンポイントの刺繍があるベージュ無地のネクタイを合わせてみた。TVフォールドに挿したポケットスクェアのチップ先端をひねり出すだけで雰囲気がぐっと変わる。チェックと無地の組み合わせのトップスということでボトムスも細かなチェックか無地(グレー)どちらのパンツでも相性が良さそうだ。

2.ワンポイントタイ

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ワンポイントタイは一時期流行ったことがあるが、実際にしている人を見る機会は少ない。どことなく気恥ずかしさを感じる為だろうか。無地のタイと割り切ってしてみるとあまり気にすることもなくなる。その場合、ワンポイントが隠れてしまわないよう無地のジャケットに合わせ、代わりにシャツはチェック(又はストライプも可)を選択するとバランスが取れる。全て無地にするとクリーン過ぎるからだ。刺繍の意匠はてんとう虫(コチネッラ)。イタリアでは幸福を呼ぶ虫とのことで、意外とこんなところから話が弾むこともある。

3.コーディネイトしたタイ

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左からワンポイントタイの元祖とも呼べるジェノバのフィノッロ、フィレンツェのタイユアタイの直輸入品、ラルフ・ローレンのパープルレーベル、ステファノ・ビジの黄色小紋。ネクタイは全てイタリア製で、①発色の綺麗なもの②ディンプルが綺麗に出るもの③用途の広いもの、に拘ってネクタイを買い求めるとイギリスやフランス、アメリカなど色々目移りはするものの殆どの場合はイタリア製に行きつく。

4.ポケットスクェア

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大抵の場合、ポケットスクェアはついでに購入する場合が多いのではないだろうか。左のアイリッシュリネン・レディスものはバーリントン・アーケードに寄った時最後に、手前中央のエルメスのチーフはパリ本店でジョン・ロブにオーダーした時に、中段のシルク製チーフは各々のメンズショップで買い物したついでに、という具合だ。ただ上段の色付きチップのものやチェックのものはある程度イメージをもって購入したもの。知らない間にずいぶん増えたがまだ緑系や茶系など色のバリエーションが少ない。これからもネクタイや上着の色と組み合わせながら少しずつ増えていくことと思う。

13.カフリンクスとカラーピン

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カフリンクスを並べてみた。ゴム製のノット型カフリンクスは最も安価で袖口にカジュアルな感覚をもたらす隠れた逸品。オーバル型のカフリンクスは全てメイドイン・イングランド。シルヴァーベースに14Kのメッキを施したものから、普及品まで様々だ。左のラペルピンはパリで鞄を買うついでに購入したエルメスのもの。ちょっとした記念に合わせてアクセサリーを買うことで思い出も色褪せず記憶に残る。

ブラックとネイビーのジャケット。どちらもフォーマル色の濃い色目だが、合わせるボトムスやシャツ、特にネクタイや挿すチーフとの色合わせ次第で週末のビジネスは勿論、プライベートでも披露宴からミニ・パーティまで幅広く着こなせる。スーツや略式礼服だけでなく、ビジネス上の礼儀や慶事への気持ちを自身の装いに込め、自信をもって着こなすことがポイントになると感じている。

クールビズからウォームビズへと衣替えの季節になったが、夏の名残りだろうか駅で見かけるビジネスマンの多くは依然ノーネクタイのままだ。しかしネクタイやチーフが装いに果たす役割は殊の外大きい。ノータイのままでは他をいくら変えても殆ど同じ格好に見えてしまうのではないだろうか。個性的な服装は必要はないが個性を高める着こなしは重要なはず。ネクタイやチーフを上手にコーディネイトしながら、ビジネスウェアもフォーマルウェアも自分らしく着こなしたい。

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2011年10月29日 (土)

RRL Outerwear

カジュアルなアウターウェアは週末にしか着る機会がないのに、いつの間にかスーツやジャケットよりも多くクローゼットの一角を占めるようになってしまった。生地感や色目、デザインや用途、着心地や季節感などテイラードクロージングよりも違いがはっきりとしていることもあるが、何より仕事を忘れ心身をリラックスさせてくれる代えがたい魅力がカジュアルウェアにはある。似たようなアウターがクローゼットに並んでいるように見えても、機能も違えばフィット感も違う。その個性に惹かれて様々なアウターを買い求めてきた結果がクローゼットに満ちている。

既にシェラ・デザインズのマウンテン・パーカを紹介したが、今回も同じく60/40クロスを使ったアウターを紹介しようと思う。横糸にコットン、縦糸にナイロンを配した(正確には58/42)生地は雪や雨など湿度の高い状態ではコットンが膨らみ防水、防風機能を高め、反対に乾燥時はコットンが収縮して通気性を良くするという両面性がある。またナイロン100%のものより摩擦や引き裂きに強く着心地もソフトなため様々なアウトドアメイカーのシェルに採用されているとのこと。そこで、今回は前々回のブーツに続いて60/40クロスを用いたRRLのアウターウェアを取り上げてみたい。

1.マウンテンパーカ

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RRLらしく本来機能的なマウンテンパーカにラルフ・ローレンの拘りが加わるとぐっとお洒落なタウンウェアに変身する。ウォッシュ加工を加えた60/40クロスのシェルはあたりも柔らかく、既に十分着込んだような味わいさえある。このヴィンテージ感こそRRLの真骨頂だと思う。インナーにドレスゴードンのタータンBDシャツを、ボトムスはダメージ加工済のブラウンデニムを配した。足元の仕上げは編み上げブーツとマウンテンソックスを合わせ、この後デニムの裾をブーツインすればぐっとRRLらしくなる。

2.機能的なデザイン

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ウェスト部分のドローストリングはシェラデザインズのように内側にあるのではなく敢えて外側に付けている。紐の引出部分には補強用に肩と同素材の革で作られた四角いパッチが当てられている。こうしたほんのちょっとのデザインが加わることで雰囲気やクオリティがぐっと上がる。グローブを嵌めたままでも物の出し入れができるフラップ付大型のポケットや両胸部分に斜めに切られたジップアップポケット、ジッパーとスナップボタンの2ウェイ方式の前身頃など機能面での抜かりはない。

3.フロントポケット周辺

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グランドキャニオンという名前のマウンテン・パーカは見た目より手に持ってみると重さを感じる。レザー部分が重いのは確かだが、ライニングや金具類など機能やディテールに凝った結果かもしれない。フラップ付の大型ポケットに入っているのはペッカリーのグローブ。英国のビスポークメイカーにビスポークしたグローブだが、こうしたアメリカンアウトドアのスタイルにもマッチする。ポケット横に閂留めとして縫いつけられた三角の革片がアクセントになっている。

4.フード付きの前襟

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襟先まで伸びるジッパーとダブルのスナップボタン。寒い時は一番上までクローズドして風や冷気をシャットアウトすることができる。勿論襟部分の裏にはドローストリング付のフードが内蔵されていて雨天時に引っ張り出して使用する。このあたりはシェラデザインズのM・パーカよりもむしろ機能的とさえ言える。こうした機能性と同時に着古した感覚と洒落たデザイン性がアウター全体から感じられるところが如何にもRRLらしい。

5.ショルダー部分の切り返し

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本革のウェスタン調ヨークが付いたショルダー部分。この異素材が切り返しのように使われることで、ごく普通のマウンテンパーカが一気に個性的な1着に変わる。そうでなければ、シェラ・デザインズのM・パーカ1着で十分だと思ってしまうだろう。しかも革部分にもヴィンテージ加工が施してあって色褪せて傷がついたような感じがなんとも格好良い。こうしたデザイン上のちょっとしたアレンジが1か所でなくあちらこちらに散見できるところがRRLの他の商品と異なる特徴だと思う。

6.アウターのライニングとウェスト周り

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コートの裏地は肌触りの良いオールコットン製。写真でも分かるが身頃裏にもスナップ留めのポケットが左右に付いている。アウターウェアに共通した特徴でもある多くのポケット配置が嬉しい。ボトムスはダメージ加工が施されたブラウンデニム。一見ブラウンダックの様なハードな印象だがヴィンテージ加工によって当たりはすこぶる柔らかい。ベルトはポロポニーのバックルベルト。ポロウェスタンが発売された時期のものだから随分と前、恐らく1990年頃のものと思われる。

7.ボトムス

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RRLのデニム。このところジム通いが続いていてデニムのサイズも2インチ下がってきたこともあり、オンラインのインポートセレクトショップから30インチのものを購入してみた。価格はアメリカのセール品とほぼ同じくらいだった。左右に5~6か所ある穴を見ると耐用年数に難ありかと思うが、穴の開いた部分には大きく目の詰まったコットンの裏地(当て布)が施され、表からは判りにくいように縫われている。裾やポケットにストーンウォッシュ加工の様な擦り切れが表現されているのと併せてヴィンテージ感覚は満点だ。

7.バックヨーク

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バラクータG9後ろのアンブレラヨークと似ているがデザインソースはウェスタンジャケット後ろの切り返しではないだろうか。ヴィンテージとウェスタンのミックスなど如何にもラルフ・ローレンのお気に入りらしいと思う。余談だがこのM・パーカと全く同じデザインのものがリアル・マッコイから発売されている。R・ローレン社の許可を得た上で同じ工場に発注、両胸部分の斜めポケット内ジッパータブに革の持ち出しを付け、タグを替えて発売したのではないだろうか。

9.アウター、シャツ、デニムのタグ

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今回紹介したRRLマウンテン・パーカは中国製。昔からラルフ・ローレンは東南アジアや香港、マカオの指定工場で商品を作り続けてきただけあって、同じ中国製でも他のメイカーより凝った製品作りをするのが上手い。驚いたことにポケットに入っていたメモ帳の様な付属カード(右上)にもヴィンテージ加工が施してある。インナーのタータンチェックBDシャツは昔のアメリカ製L.L.ビーンのもの。洗えば洗うほど着心地の良くなるヘビーデューティーシャツだ。

9.ボトムス

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ジーンズを裏返すとポケット部分の裏地に大きく「最上品質の日本製セルビッチ付デニムを使用」と英語で書かれている。今や最高級のデニム地は日本で織られていると聞く。素材や製品への品質向上に対する拘りがRRLをしてJAPANの文字を掲げさせている事実が何だか嬉しい。写真のようなコインポケット裏や裾部分の耳部分(セルビッチ)が在ろうとなかろうと履き心地には全く関係はない。それでも拘って商品を作るところにRRLが他のメイカーと違う存在価値があると思う。

10.レースアップブーツ

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今回紹介したアウターの肩部分のレザーがナチュラル色に近く、デニムもレザー部分に合わせた。ブーツはデニムよりトーンを落としつつ、あまり重くならないようやや明るめの茶色を選んでいる。左がトリッカーズのカントリーブーツ、右がRRLのキャニオンブーツ。合わせたマウンテンソックスはどちらも昔のポロ・ラルフローレンのもの。左のグリーンに青のストライプを配したものはパーカやシャツのチェックの配色に絡めて、右のグレーの霜降りに赤のストライプを配したものは差し色として選んでいる。ソックスといえどもコーディネイトのキーアイテムになることもある。特にジーンズをブーツインするような場合は尚更だろう。

機能的なアウターはその機能を発揮できる場面で使ってこそ真価が分かるものだが、タウンウェアの場合は機能もさることながら着心地やデザイン、ディテールや色合いなど様々な要素が求められる。同じフィールドジャケットを比べてみてもL.L.ビーンのものよりラルフ・ローレンの方がどことなく格好いいのと同じように、同じ60/40クロスを使っていてもシェラ・デザインズのM・パーカよりも今回紹介したRRLのグランドキャニオンの方が街中で着るのには洒落ている。

少しずつ寒くなるこれから本格的な冬が来るまでの間、防寒・防風機能のある60/40クロスのアウターを着る日が増えそうだ。日帰りハイキングや登山、行楽地や紅葉狩りなど晩秋を味わう機会も多くなるだろう。シェラ・デザインズとRRLを気分や目的に応じて使い分けながら秋の散策を楽しもうと思う。

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2011年10月23日 (日)

Semi-brogue or Full-brogue?

英国紳士服の魅力を知ったのは1990年代、最初にハケットが日本に上陸した頃に遡る。自由が丘や銀座のショップに足繁く通い、池袋や南青山に新たなショップができると必ず新店にも顔を出した。行く先々で髭のT店長に出会ったが、彼もまた店の変遷を追うように現場を変えていたようだ。彼とは単なる買い物だけでなく当時のロンドン事情や英国調のコーディネイトなど色々な話をさせてもらった。スコティッシュの手編みセーターを買った時などは赤のドットタイを頂いたこともある。後になってミラノやロンドンのショップでは馴染みの客にアクセサリーをプレゼントすることを知ったが、ハケットはずっと前からそういった粋な計らいが上手いショップだった。

ある時ハケットの店頭にある黒のフルブローグとセミブローグの違いについて話したことがある。どちらもビジネスで履く靴の基本だがシティ(ロンドンの)では「シングルブレステッドのスーツにはフル・ブローグを、ダブルブレステッドのスーツにはセミ・ブローグを合わせる。」というのを聞いた。何でもダブルのスーツにW(ダブリュ)の切り返しがあるフル・ブローグではビジー過ぎるということらしい。確かに納得できる話だった。あれから年月が過ぎていつの間にか黒のブローグもだいぶ増えた。髭のT店長と合うことはなくなったが、あの時の靴談義は今も靴選びのヒントになっている。そこで今回は黒のフルブローグとセミブローグを並べながら両者の魅力について考えてみようと思う。

1.フルブローグとセミブローグ

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黒のカーフ素材でオーダーしたセミブローグ(左側4足)とフルブローグ(右側4足)。正確にはレースアップのオックスフォードだけでなくサイドエラスティックシューズやアデレイドタイプのものまで様々だ。黒の靴は革の濃淡がないので、その分デザインやスタイルの違いを意識してバリエーションを増やしていくことが必要だろう。勿論他人はどのような靴を持っているかなど知る由もないし、昨日とどこが違う靴を履いているのか興味をもつ者もいないだろう。それでも「昨日と似ているようでどこか違う靴を履く」ことに拘るのも着こなしの妙だと思う。

2.フルブローグ

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左からクレバリー(フルブローグ)、クレバリー(レイジーマンフルブローグ)ボノーラ(フルブローグ)、サンクリスピン(フルブローグアデレイド)の4足。左側2足(クレバリー)はサビルロウスタイルのスーツに、右側2足(ルーマニア製)はイタリアンクラシックなスーツに専ら合わせている。勿論シングルブレステッドのスーツが中心で、たまに黒のスーツやブレザールックに合わせることもあるが、ダブルブレステッドのスーツは除外している。

3.フルブローグのトゥデザインやシェイプの違い

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トゥのデザインは左からラムズホーン、イニシャル、バタフライ、シスル(アザミ)と1足ずつ異なる。またつま先のシェイプもチゼルトゥ、エッグトゥ、スクェアトゥ、スライトリースクェアと違っていて傍から見れば同じように見える靴だがどこかしら意識的に変えて注文をしてきた。フルブローグはやや無骨なくらいがちょうどよく、男の靴としての魅力が凝縮されていると思う。ストレートキャップトゥは身嗜みの必需品、早めに誂えるべしという声を聞くが、未だに注文していない。誂えこそ気にいったデザイン、欲しいスタイルから誂えるほうが断然楽しいからだ。

4.セミブローグ

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左からクレバリー(サイドエラスティック)、クレバリー(バルモラル)、フォスター(セミブローグ)、メッシーナ(アデレイド)で、つま先もやはり1足毎に異なっている。甲の部分はトラウザーズの裾が乗ることを考えると見えるのはヴァンプ部分から前が殆どになる。特にキャップの大きさ、あるいはキャップ端の処理(ギンピングの有無)など些細な違いが思ったよりも見た目に影響するのがセミブローグだと思う。

5.フルブローグのトゥデザインやシェイプの違い

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トゥデザインはラムズホーン、イニシャル、ラムズホーン、クレストとなっているが、同じラムズホーンでもキャップの付け根側が左端(クレバリー)のように1本線か、左から3足目(フォスター)のように2本線かという違いがある。もっともここまで拘る必要など全くないのだが、何足か注文していると差別化を図る場所が限られてくる。後はカウンター部分にもブローギングを施すスタイルが残っているくらいだろうか。

6.フォスターVSサンクリスピン

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つま先の雰囲気はだいぶ異なるが靴の長さやレースステイ周辺など互いに似た雰囲気を残している。どちらもツィステッドラストになっているところなどサンクリスピンの靴が英国の靴の影響を強く受けている様子もうかがえる。左のフォスターはサビルロウ仕立てからイタリアのサルトものまでどちらにも合わせるが、サンクリスピンの方はアヒルの嘴のようなスクェアトゥなので専らクラシックイタリアンスタイルに合わせている。

7.メッシーナVSクレバリー

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足の大きさに忠実なラスト作りの2足。全長はもとよりレースステイの位置やヒールの大きさなどもよく似ている。メッシーナの当主は英国の靴をよく知っており、注文時にラスト作り用に置いていったロイドの#33ドーバーを見てジョンロブかと聞く程だ。クラシックなイタリアンスクェアトゥのメッシーナはリヴェラーノやセミナーラなどイタリアのサルトものとの相性が良く、一方のクレバリーは革の重なりが大きいストロングフルブローグと呼ばれるタイプなのでフランネルなどある程度重さのある生地のスーツに合わせている。

8.クレバリーVSクレバリー

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同じ時期に作った2足のクレバリー。左のセミブローグが3/16インチに対して右のフルブローグが1/4インチのソールということで、セミブローグの方がやや華奢な雰囲気がある。どちらもイミテーションのブローグなので軽くて返りも良いのだが、その分春夏物の軽いスーツの方がマッチするだろう。この夏はレイジーマンを履くことが多かった。間もなくフォスターで注文したレイジーマンのフルブローグも届くので来夏用の黒靴のバリエーションが増えると思う。

9.クレバリーVSボノーラ

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クレバリーとボノーラ。右のボノーラの方がコバの張り方も大きく、アーチ部分(セミスクェアウェイスト)の処理も武骨な感じがする。グレーヘリンボーンの様なヘビーツィードのスーツに合いそうだ。一方左のクレバリーは1足目ということで足に忠実なラスト作りを行っている。カネーラ氏は採寸時に「ややバルキーな足だからサンプルのように細くはできない。」と言われたことを思い出す。ショートノーズ気味なので裾幅の狭いトラウザーズとジャケットのスタイルに合わせることが多い。

10.ライニングの選択

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黒靴ではライニングに凝った選択をしたこともある。左からサンクリスピン、クレバリー、クレバリー、フォスター。靴を脱ぐ習慣の殆ど無い欧米では文字通り密かな楽しみかも知れないが、日本では料亭など靴を脱ぐときに派手なライニングを見て驚かれたりすることもある。仕事で靴を脱ぐ必要がある時はよく考えて靴を選択した方が良いかもしれない。尤も靴を買いに行く時などこのライニングから思わず話が広がることも多い。

ハケットが日本を撤退したのは2000年頃、最後に髭の店長と話をしたのは青山ベルコモンズのある交差点のショップだった。クレバリーで靴を作り始め、スーツも誂え始めていた頃だったので専らアクセサリーを見てまわり、デタッチャブルカラーシャツの替え襟を全て買い求めたのがハケットでの最後の買い物になった。英国の着こなしやセミブローグとフルブローグの違いを教えてくれたハケットの撤退は残念だったが、その頃は定期的にロンドンを訪問するようになっていたので、必要なことはロンドンで直接学ぶようになっていた。

2000年頃からクラシコイタリアのブームが続き、銀座天賞堂近くのテイジンメンズショップもエンツォボナフェの靴を扱っていた。ある時ボナフェの靴を買いに入ったところ思わぬところで髭のT店長と再会した。扱うものはイタリアの雰囲気が漂うものが多かったがT店長の服装は相変わらず細身の1プリーツトラウザーズが特徴のハケットに身を包み、セミブローグを履いて格好良かった。フルブローグもセミブローグもある程度の年齢の男が履いて初めて様になる靴なのだろう。今はもう勇退したであろう髭のTさん、できることならば男の身嗜みについてまた語り合えたらと思う。その時はダブルのスーツならセミブローグをシングルのスーツならフルブローグを履いていくつもりだ。

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2011年10月16日 (日)

RRL Boots(ダブルアールエルのブーツ)

この夏久しぶりに訪れたニューヨーク。5番街に出店準備中のユニクロを見つけ、16年前とは随分街並みが変わっていることに気が付いた。マディソンAvのポロ本店の辺りもレディスや子供服など大小様々なポロショップが隣接している。残念ながらレディスの売り場には入ることはなかったが、16年前はその場所にRRL(ダブルアールエル)が売り場を構え、本物のヴィンテージウェアかと思う程のプロダクツに驚いたことが懐かしい。

RRLの魅力はヴィンテージウェアのもつ雰囲気を自然なダメージ加工やエイジング加工で再現したり、カントリーやウェスタン、アウトドアなどアメリカンウェアのもつ機能的なディテールに拘りながら商品に仕上げたところにある。1993年の展開後はN.Yや原宿店は勿論、海外駐在先のポロショップでも色々なアイテムを買い求めてきた。1998年に海外駐在を終える頃、丁度RRLもクローズドするというので、それこそユニクロのようにまとめ買いをしたことさえある。その後暫く遠ざかっていたが2001年後のリスタート後も拘りのある商品をリリースし続けていたようだ。そこで今回は最新のRRLからラギットなブーツを紹介しようと思う。

1.ブーツのボックス

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初回発売のヴィンテージレザーを用いた「CANYON BOOTS」と同じ箱に入った最新のブーツは名称を「RUSETT BOOTS」に変えての展開となっている。その名前からはレッドウィングのオロラセットブーツを連想するが、オンラインのカタログ写真からはレッドウィング独特の赤みがかったブラウンよりももっと明るい印象を受ける。それにしても箱から既にヴィンテージの雰囲気満点だ。

2.シューバッグ

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付属のシューバッグは目の積んだコットンダック、日本では帆布と言った方が馴染みが深いかもしれない。その帆布を用いたバッグに予備のナイロンブーツレースが2組付属している。ブーツ本体には濃茶のレザーシューレースが結ばれていて、購入者が選択できるようにしてあるところなどディテールに手を抜かないRRLのコンセプトが伝わってくる。

3.ラセット・ブーツ

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エンジニアブーツと呼ばれるそのスタイルは、ネルシャツとデニムなどアメリカンワークウェアに合わせるとぴたりとはまる。8インチ丈のハイカットブーツは、ラギットな外見だけでなく実際にアウトドア場面では、足首のサポートは勿論つま先や踵部分の頑丈な芯が足全体をガードする。こう書くと頑丈で重いような印象を受けるが、持ってみると思ったよりも軽量なことに驚く。

4.つま先部分

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つま先部分はフリンジの付いた当て革がインステップ部分に重ね縫いされていてデザイン上のアクセントと甲を保護する役目も果たしているようだ。どことなくホワイツ・ブーツの雰囲気に似ているが、ホワイツではモックトゥのブーツを生産していないようなので別のファクトリーなのだろう。革はレッドウィングのようなオイルドレザーというよりはクロムエクセルレザーに近い感じか。

5.タン部分のタグ

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ワークブーツによく見られるタン部分のメーカーズタグ、RRL専用のものが縫い付けられていて、拘りどころ満載の仕上げだ。ジーンズのコインポケット裏のセルビッチや裾のチェーンステッチなどヴィンテージジーンズのディテールをとことん追求する姿勢が気に入って注目し続けてきたRRLが放つフットウェアらしく、初回のキャニオンブーツがまたたく間に完売したというのも頷ける仕上がりだ。

6.レッドウィングとの比較

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左はレッドウィングの8103ワークオックスフォード、右がRRLのブーツ。つま先のモックトゥ部分は両者とも非常によく似た作りだ。どちらも1枚革に予め折り山を付け、その筋に沿って革を丸めながら摘み縫い(所謂ロールステッチ)している。チぺワやホワイツなど他のエンジニアブーツメイカーではこうした仕様のつま先は見つからず、レッドウィングの別注かと思うほどだが、インソールを見ると別物のようにも感じる。謎の多いブーツだ。

7.ネオプレーンソール

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レッドウィングのように純正品ではなく、リペア品として市販されているタイプのネオプレーンソールが付けられたブーツ。このネオプレーンソール(エンジニアソール)は耐油や耐摩耗性は高いが滑りやすいため山登りには向いていないそうだ。本来はオイルの染み込む工場などで働く為の靴底なのだろうが、こうした本来の機能を残しながらもより気軽に街中で履けるデザインに仕立てるのがRRLの真骨頂といえる。

8.ブーツヒール

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外羽根部分の付け根と踵上部に付けられた真鍮色のリベットがタフな印象を与える。アンクル部分の革の切り替えしはアクセントになるが履くと踝に当たるので厚手のソックスを履いて履き慣らす必要があるだろう。下5列のアイレットに3列のフック、通常はここまで締めると思うが更にもう1列アイレットが追加されていて、フックのように外れず靴の履き口をホールドできるようになっている。ホワイツやウェスコ、レッドウィング同様メイドインUSAのブーツとしてRRLも手抜かりはない。

9.替え紐

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レザーのブーツレースの替え紐として付属していたイエロー&ブラウンのナイロンレース。レザーよりも引張り強度は強く、擦れにも強いだけでなくフックにもぴたりとフィットする。ブーツ全体を締め上げるにはナイロンレースの方がよいのだが、RRLのブーツらしくチぺワやレッドウィングといった定番のワークブーツとの差異を楽しむにはレザーレースを選択した方が良さそうだ。

10.ブーツのサイドビュー

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履き口部分に刻印されたRRL、グレーの霜降りマウンテンソックス(クライミングソックス)を履いてジーンズやブラウンヘリンボーンのウールパンツと合わせる。ラルフ・ローレンではパンツの裾をブーツにインさせて、アウターにCPOジャケットやフィールドコート、ライニング付のGジャンやハンドニットのカーディガンなどと合わせているようだ。

11.ラルフローレンのブーツ

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昨シーズンのベネディクトブーツはラルフローレンレーベル、今シーズン購入したラセットブーツがRRLレーベルとカテゴリーは異なるがどちらもラルフ・ローレンらしさが溢れている。秋から冬にかけて週末はフィールドに出かけることも多い。年末は信州のコテージで過ごすことになるだろう。紅葉から雪の世界へめまぐるしく気候が変わるこれからの半年間、オフはラルフ・ローレンのブーツで過ごすのも悪くなさそうだ。

先日原宿に出かけたついでにポロの旗艦店を覗こうと思ったがちょうど催し物があったようで中に入れなかった。代わりにデパートのインショップでコーナー展開されているRRLに立ち寄ったがそこではブーツなどのフットウェアは取り扱っていないようだった。足元から装いを組み立てる事が多いせいか、気に入った靴を見つけるとまずは店頭で探すことにしている。

残念だが、欲しいと思うブーツやシューズ、それにウェア類は扱っていたとしても割高であったり、あるいは扱っていないことの方が多い。他に同じようなテイストのものを扱うショップがあれば代用することも可能だろうが、RRLのアイテムは他のブランドにはない独特のテイストがある。その世界が好きな人にとっては日本での展開は物足りなさを感じるのではないだろうか。まだ暫くはアメリカの知人に迷惑をかけながら逸品を取り寄せる機会が増えそうだ。

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2011年10月13日 (木)

Cashmere Coat(カシミヤのコート)

今のようにインターネットによるオンラインショッピングが主流になる前、ファックスや手紙でカタログを取り寄せ、個人輸入するのが流行った時期がある。JETRO池袋で情報を仕入れたり「個人輸入のノウハウ本」を読んだりして、N.Y.のポールスチュアートに初めて注文したのが1993年、今よりもずっと時間はかかったが届いた時の喜びも大きかった。その2年後、海外に駐在するようになると日本のように靴に対する高関税がなかったこともあって、パリのジョン・ロブ(既成)やノーザンプトンのE.グリーン(ファクトリー)、N.Y.のB.ブラザーズ本店(オールデン製の靴)などに注文を出し盛んに個人輸入を行うようになった。

やがてリーバイスの直輸入やスコティッシュカシミヤ製品などの衣料品にも範囲を広げながら海外で迎えた新年。ハロッズのセールカタログを見て、直ぐにバーバリーのロンドン本店にファックスを送った。同じようにセールの案内が届き、何と普段1600£のカシミヤコートが半額の800£になっていた。当時は今よりもポンドが強く(1£=200円位)半額とはいえ16万円強、現物を見たことも試着したこともなかったが思い切ってオーダーを入れてみた。後にも先にも最も高価な一見の買い物になったが、今回はその思い出深い個人輸入のカシミヤコートを紹介しようと思う。

1.カシミヤのコート

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1996年の英国製シングルチェスターフィールドコート、セールカタログにはボルドーのタートルネックとブラウンがかったグレーのチェックパンツにスェードの靴を履いたコーディネイトの写真が載っていて中々恰好良かった。ここでは前回紹介したグレイフランネルスーツの上に羽織らせてみたが、チャコールグレイのフランネル素材ととキャメルカラーカシミヤコートは色の相性はもとより素材感もマッチするようだ。

2.カシミヤマフラーのレイヤード

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カシミヤコートの上にカシミヤのマフラーを重ねる。チェスターフィールドコートはVゾーンの開きが大きいため、寒い日は首下を覆うマフラーが何といっても重宝する。度々登場するブラックウォッチのカシミヤマフラーもまた個人輸入したもので、異なる色目のチェックマフラーを何枚も購入した。橙や赤のタータンチェック、薄茶やネイビーの無地色々合わせてみたがキャメル色に最も合うのがこのブラックウォッチだった。

3.コートのVゾーン

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襟を立てマフラーを首から掛ける。ピンクのタイはキャメルとの相性も良いようだ。ブルーの地にホワイトとピンクのシャツ周り、キャメルにグリーン(チェックの中にはブラックとブルーも含まれる)のVゾーン周辺と多色遣いになってはいるが、面積の違いや色の関係(補色など)もあって上手くまとまっている。余談だが、ロンドンで見かけるスーツ姿の紳士は意図的なのだろうか、ネクタイだけ特に浮くような合わせを敢えてしているようにも見える。時々自分でもやってみようと思うのだがこれがまた結構難しい。

4.コートのディテール(その1)

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身頃の左右にフラップ付きの両玉縁ポケット、フラップ端は星ステッチの処理を施していない。また、胸部分の箱ポケットは付いていないのでペッカリーのグローブを挿してアクセントにするなどという着こなしが楽しめないのは残念。もっとも既成のコートに加え英国製ということを考えるとイタリアのファクトリーのような器用さは望むべきではないだろう。それでもカシミヤ100%の地厚な素材はロンドンの老舗らしさを感じさせる。

5.カシミヤのマフラータグ

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スコッチハウスは英国内では親会社がバーバリーに経営を集中するため、既に消滅したブランドだが、1990年代終わり頃はナイツブリッジのバーバリーブティック店内でコーナー展開していた。日本ではライセンシーをもつアパレル会社が今も扱っているようだが、本国の商品とは全くの別物。個人輸入したこのマフラーも今や貴重な英国製品の一つということになる。残念なことだがここ10年でいくつかの英国ブランドが姿を消しているようだ。

6.コートのタグ

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バーバリー・ロンドンは1989年に別会社に買収され、創業以来の独立企業に別れを告げたが、1990年代中頃まではプローサム(1997年スタート)などサブブランドを展開することなく、昔のバーバリーらしさが残っていた。上部のタグは旧バーバリーのトレンチコートを所有している人には懐かしいはず。バーバリーだけでなく世界中の様々なブランドがロゴを変えたが、なぜか「どれも昔の方がよかったのに」と思ってしまうのは、自分が古くさい客ということなのだろう。

7.コートとスーツの相性

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コートのボタンを外すとチャコールグレイの霜降りフランネルのスーツ地がキャメルカラーのカシミヤコートから覗く。この組み合わせ、よく考えるともともとキャメルヘアのブレザーとチャコールグレイのフランネルパンツのコーディネイトで見慣れてきたもので、昔からアイビーやアメリカントラッドの装いで実践してきたものだった。やはり昔の経験は色々なところに表れるらしい。

8.コートの袖口

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コートのカフ周りの処理はホーンボタンを使ってはいるものの、いかにも既成のコートらしい処理になっている。チェスターバリーが縫製を請け負っているのではないかと友人が指摘したが、実際のところは分からない。ただ当時から英国の既成服メイカーはあまりなく、高級品はチェスターバリーで、それ以外はハケットもコーディングスもアクアスキュータムも同じ工場で作られていたようだ。

9.靴のコーディネイト

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キャメルのコートには茶色の靴が一番、それもコートより暗い色目に限るが、さりとてコーヒーブラウンでは暗すぎる。写真のようにタバコブラウンのスェードかやや赤みがかったチェスナッツ色が合うようだ。左はジョンロブ・パリの既成フィリップⅡでこれもロンドンから個人輸入したもの。右のフルブローグダービーも英国で注文して送ってもらったもの。改めて見回すと周囲には随分と個人輸入したものがあることに気が付く。

10.既成靴とビスポーク靴

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誂えのスーツに既成のコート。装いを考えるときは誂えと既成を区別せず、気に入った物を組み合わせている。靴も当然ながらレディメイドやカスタムの中からマッチするものを選ぶようにしているが、全体に占める割合が低くとも靴は装いのキーアイテム、胴の絞りの強い英国調の服にはウェストのくびれが大きい靴がマッチする。となるとオールデンよりもべヴェルドウェイストのジョンロブ・プレステージ、または誂えの靴を選ぶようになる。

最近は海外から馴染みのテイラーやシューメイカーが来日するので、スーツやジャケット、コートなどの重衣料を個人輸入することはなくなったが、その分カジュアルウェアやラギットなブーツなどを探しては郵送してもらっている。残念なことに代理店の関係だろうか、バーバリーやジョンロブ、オールデンやウールリッチ、ラルフローレンなど魅力的なブランドの多くが日本への発送を受け付けていない。

海外駐在時は全てフリーで物を輸入することができたことを考えると、帰国後は日本での生活に窮屈さを感じることもあった。今では元の生活にすっかり慣れてしまったが、個人輸入した品々を見返す度に当時のショップとのやり取りや価格など様々なことが鮮明に蘇る。クリックするだけで世界の逸品が素早く手に入る便利な時代になったが、手紙を送ったり国際電話で再度確認したり、苦労しながら手に入れた頃がなぜか懐かしく、また買い物をしているという喜びを味わえたような気もする。

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2011年10月 9日 (日)

Gray Flannel(グレイフランネルスーツ)

グレイフランネルスーツには特別な思い出がある。アメリカントラディショナルに夢中だった頃は男のスーツと言えばグレイフランネルと教わってきた。当時は小説「グレイフランネルスーツを着た男」のことも、ましてやその小説にグレイフランネルのスーツが昇進に必須のパワーアイテムだと書かれていたことなど知るはずもなかったが、J.プレスやブルックスの店に並ぶチャコールグレイの控えめなフラノスーツこそが基本だと信じていた。

月日は流れ、ここ10年は馴染みのテイラーで年1着英国仕立てのスーツを作るようになったが、かねてからの念願だったグレイフランネルのスーツを注文したのはわりあい早い時期だったと思う。スーツのタグを見たところ04年と書かれていた。今からもう7年も前のことになる。それ以来プロモーション(昇進)に効果があったかは別として、重要な会議には決まって袖を通し、それなりに着込んできた。そこで今回は定番グレイフランネルのスーツを紹介しようと思う。

1 グレイフランネルスーツ

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このグレイフランネルのスーツが出来上がった頃は白無地のカッタウェイシャツとグレンチェックのネクタイを好んで合わせていた。これは昔ハケット銀座店の店長に教わった合わせ方で、控え目な中にも英国らしい端正さを感じさせる合わせだった。最近は着る服を多少は自由に選べるようになったのでここではもう少し色遣いを多くしている。靴も黒の紐靴ではなく茶色の靴やウィンザー公のようにスェードの靴を用意してみた。

2.コーディネイト

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グレイフランネルのスーツはダークな色調にマットな表面ということでどうしても控え目な印象が強い。仕事の上ではそれが効果を発揮する場面も多いが、最近は純英国式のデタッチャブルカラーのシャツとは行かないまでも、カラーディファレントシャツ(所謂クレリックカラーのシャツ)に派手なネクタイを合わせることが多い。ポケットスクェアも白無地のTVフォールドから縁有りの4ピークに替えてみると重くなりがちなスーツが随分と軽快な印象に変わる。

3.シャツ、タイ、ブレイシーズ

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基本的にブレイシーズは使わないので「トラウザーズ内側の吊りボタンは付けないよう」注文しているのだが英国仕立てはブレイシーズ有が基本、職人が意識せずに付けてくることも多い。せっかくなのでブラックウォッチ柄のブレイシーズも合わせてみた。シャツは青のマルチストライプ。ネクタイはシャツに近い青系統ではなく明るめのピンクを選んだ。派手に思えるインナーも上着を羽織ればぐっと落ち着く。

4.ダブルカフのシャツ、ウェスト周辺

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シャツのカフは白ではなくボディと共地なのが英国流。カフリンクは靴の色に近い14kバーミルのエナメル仕上げでこちらも英国製。一方トラウザーズを見るとサイドポケットがスラントしている。トラッドスタイルに拘る人はバーティカル(オンシーム)ポケットでないことに違和感を覚えるかもしれないがここは仕立屋のお薦めどころ。実際使ってみると確かに便利なのでずっと同じ仕様でお願いしている。

5.Vゾーン

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英国製(パープルレーベルネーム)のクレリックシャツは比較的襟の開きが大きいもの。シングルノットでは結び目の端が見えてしまうが、セミウィンザーではディンプルが大き過ぎるのでプレーンな結び方にした。ピンクのネクタイはイタリア製(ミラノのニッキー)、発色の綺麗な色目のタイは何と言ってもイタリア物に軍配が上がる。同じピンクのタイでも色目や織り柄などに柔らかさが感じられる。

6.ポケットスクェア

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ネクタイ生地の中に微かに覗く小紋は白地にネイビーのスクェア。シャツの色に合わせてVゾーンは青がキーカラーになるので、ネクタイ同様ポケットスクェアの端も青のものを選択した。ポケットスクエアの素材は番手の高いコットンでNYのポールスチュアートで購入したもの。ポケットスクェアのヘム(端)はハンドロールド仕上げのアイリッシュリネンかスイスコットンのものを専ら愛用している。

7.スリーブカフ

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毎回違うのがボタンホールの仕上げ。この時はヘアピンのよう形のかなり綺麗な仕上がりだった。今はデイヴィス&サンの職人が仕上げを担当しているが当時はサックビルStにワークショップを構えていたファーラン&ハーヴィー、ボタンホールなどはアウトワーカーに出していたとのではないかと思う。特にこのスーツではボタンホールに拘って注文を出したので他のスーツとは違う出来栄えになっている。

8.ライニング

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チャコールグレイのスーツに合うのがワイン色、ここではライニングにバーガンディを持ってきた。靴は黙っていると黒の靴には黒のライニング、茶の靴には茶のライニングで仕上げてくるが、スーツの場合は毎回ライニングはどうするか聞いてくる。このあたりはビスポークサービスの基本なのだろう。「いつも裏地は同じ色」や「お任せ」というのもあるが、選んだ生地とライニングの相性を考えるのもまた楽しいひと時である。

9.ロールドラペルとボタンホール

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この時は初めて3ボタン段返りのスーツを注文したこともあって、第1ボタンホール部分の返りや両面縫いなど細かな部分に拘ってリクエストを出した。写真はロール部分のボタンホールだが綺麗な両面縫いと柔らかなラペルの返りが見て取れる。お蔭で先に紹介したカフ部分だけでなく身頃のボタンホールも英国仕立てながらイタリアのサルト仕立てのような雰囲気に仕上がってきている。

10.身頃のボタンホール

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中ボタンと下ボタン部分の写真。第1ボタンホールに合わせてピッチの細かな縫い込みで仕上げてきている。実際着ている時は全く気にならない部分ではあるが、こうした細かな部分の違いが装い全体に影響を与えることもある。時々は細部にも拘って注文を出してみるのも大切かもしれない。

11.靴のコーディネイト

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左のチェスナッツアンティークの靴はピールforブルックスのグリーン製セミブローグ、右のセミブローグアデレイドはジョージ・クレバリーの誂え。グレイフランネルのスーツには黒のオックスフォードも良いが茶の靴との相性も良い。特にスェードとフランネルはどちらも起毛感がある。また上にキャメル色のカシミヤコートを羽織る事も多いので、どうしても靴は黒ではな茶色の靴を選ぶ方が多くなる。

出来上がりから7年が過ぎたが、英国仕立てのスーツらしく着込むうちに肩の辺りや袖付け部分など体に馴染んできている。最初分厚く感じたチェスト部分もキャンバスの芯地が随分としなやかになってきているようだ。せっかのオーダーなのに自分でも地味な生地を選んでいるなと思うことがあるが、それでもグレイフランネルのスーツには特別な魅力がある。

先日久しぶりに映画「アンタッチャブル」を見た。衣装を担当したのはジョルジオ・アルマーニだったが主人公のエリオット・ネスを演じるケビン・コスナーの着ていたチャコールグレイのフランネル(恐らく)3つ揃えは実に格好良かった。近いうちに3つ揃えでグレイフランネルのスーツをもう1着作ろうと考えている。それから、機会があればぜひ映画「グレイフランネルのスーツを着た男」もじっくり見てみたいとも思っている。

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2011年9月30日 (金)

Rugged Style #2(ラギットスタイル第2回)

この夏久し振りで訪れたニューヨークで買い求めたアメリカ製のジーンズだが、だいぶ涼しくなってきたのでそろそろ履こうと思い始めている。ジャケットやドレスシャツの下に合わせるのも悪くはないが、どうせならワークウェアらしい着こなしを楽しみたい。となると合わせる靴は断然ブーツ、それもトリッカーズやオールデン、レッドウィングやラルフローレンの編み上げブーツなど野趣あふれるものが良い。

インナーはワークウェアらしいチェック柄のシャツにしてアウターはラフなコートやざっくり編んだニットを羽織る。古くはメンズクラブ、最近ではフリー&イージーが紹介している大好きなラギットトラディショナルの世界だ。ワイルドなベルトを締め、ごつくてバルキーなブーツを履けばそのまま秋のカントリーサイドに出かけても大丈夫。今回は深まりゆく秋を前にNY持ち帰りのジーンズを中心としたカジュアルな着こなしを楽しんでみようと思う。

1.ナッパレザーのフィールドコート

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懐かしいフィールドコートは素材がレザーのもの。本来は目の積んだコットン地、所謂ブラウンダックが用いられる。L.L.ビーンやカーハート、ラルフ・ローレンなど様々なブランドがブラウンダックのフィールドコートを展開していて、ブランドごとに揃え、よく似た色眼のコートが何着もコートハンガーに掛っていたことが懐かしい。写真のコートはライニングがキルティングと赤のウールタータンというトラッドな雰囲気満点だ。

2.コーディネイト(その1)

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インナーにスコティッシュツィードのヴェストを挟んで重ね着をすればよりラギットな雰囲気になるがコートの保温性が高いので、インナーはチェックシャツ単体にしてみた。このチェックシャツはエイジング加工が施されている。肌触りがよく、発色もきれいなので重宝するがこうしたチェックシャツは今シーズン色々なブランドが積極的に展開しているようだ。マディソンAv本店のRRLコーナーでも魅力的なシャツが多数並んでいた。

3.コーディネイト(その2)

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ボトムスはブルックスブラザーズ本店で購入したリーバイスとのダブルネーム501XXワンウォッシュ、これにラルフ・ローレンのクルーズラインから真鍮製バックルのついたワイドベルトを合わせた。インナーのワークシャツは初期のRRLのもの。シャツは全てアジアの新興国生産ものだがステッチやポケットの位置、ボタンの形や色などヴィンテージの雰囲気をうまく再現していると思う。

4.フィールドコートのライニング

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下半分が綿入りのキルティング仕上げで、上半分がウールのタータンチェック。コート身頃はジップアップとボタン留めの2way。基本に忠実なデザインだが、ブランドはアメリカではなく何とイタリアのピーターハードレイ。デニム地のボタンダウンにウォッシュをかけたものが気に入ってシップスで購入したのが最初、今は存在しないようだがイタリアン・カジュアルの草分けとして気に入っていたブランドだった。

5.英米のブーツ

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英国のブーツと言えば真っ先に思い浮かぶのが左のトリッカーズはカントリーブーツ。これ1足あれば何十年も愛用できるカントリースタイルの定番だ。右のタンカーブーツはこれまたオールデンを代表する編み上げブーツの傑作。プランテーションクレープソールの履き心地と耐久性は驚異的でさえある。ビスポークの靴やブーツを愛用する友人も、このタンカーブーツだけは既成にも拘らず欲しいと思わせる魅力がある。

6.オフホワイトデニムのコーディネイト

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こちらはニューヨークのバーグドルフ・グッドマンで購入したRRLライトダメージのオフホワイトデニム。インナーのシャツのみ共通でアウターとボトムス、ベルトに靴と全て替えてみた。アウターは以前にも少し紹介したネイティブ柄のハンドニット。あまり脱脂してない羊毛を手編みしたもの。ブーツは左がレッドウィングのプレーントゥブーツ右が地厚のウールタータンチェックをシェルにしたランコート&Co製ブーツ。

7、ネイティブパターン

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ネイティブ柄のハンドニットはラルフローレンの専用工場がある中国製。早い時期から操業していた中国の手編みのニット工場については以前「繊研新聞」に掲載されていてた。優秀な手編み職人を多数擁する工場内では複雑な柄のハンドニット製品が作られていて興味を覚えたことが懐かしい。ネイティブ柄らしく三角と四角のモチーフにグラデーションを加えて編み上げたもの。他にはない個性が光る。

8.ウェスト周辺

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擦り切れたポケットがヴィンテージ感を漂わせるジーンズ。RRL製のUSメイドベルトとの相性も良い。アウターのカーディガン裏側模様部分はハンドニットらしい渡り糸が走っている。これが保温性を高めるらしい。身頃のボタンは純銀製のコンチョボタン。ボタン一つに拘るラルフローレンならではのもの。これを両サイドについたレザーの編み紐で互い違いに絡め、前を留めるようになっている。

9.レッドウィングとポロ・ラルフローレンのブーツ

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アメリカンネイティブ柄のアウターに合わせて靴はUSメイドに拘ってみた。レッドウィングのブーツはラセットレザーと呼ばれるやや赤みがかった日本別注品。右のランコート製ブーツは上質のプランテーションクレープソールを使ったもの。残念ながらレッドウィングの方はアイレット上部がフックになっていないので最上部に紐を通さず着脱が楽なようにしている。怠け者が履いているとすぐに見破られてしまうだろう。

10.タグ

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インナーのシャツとアウターのネームタグ。マレーシアで作られたシャツに中国で作られた手編みのニットやイタリアのカジュアルブランドとのコーディネイト。メイドインUSAのジーンズを中心としてはいるものの製造国は様々だ。それぞれのアイテムがもつ雰囲気が自分の考えるコーディネイトに合うか合わないかが肝心なのだが、それでもアメリカンカジュアル好きの世代としては製造国、それもメイドインUSAに拘ってしまう。

最近RRLのアイテムをオンラインで買えるようになったので、早速ラギットなブーツを注文してみた。ウェブ上のアイテムをよく見ると、イタリー製のツィードジャケットや新興国製造のシャツやニットに混じってデニムとブーツ、小物の一部がアメリカ製のようだ。アメリカに残るファクトリーに別注をかけているのだろうが、ランコート&Co製造のポロ別注靴を見ても分かるようにラル・フローレンというブランドのフィルターを通じたアイテムはオリジナルのものよりも魅力がある。

1ドルが80円を切る今、日本国内でアメリカ製品を買おとするとあまりの割高感に躊躇せざるを得ない。ブルックスブラザーズ・ジャパンが復刻した昔の6つ釦ポロカラーシャツやラコタが継続しているプランテーションクレープソールのバーガンディコードヴァンのタンカーブーツなど本国で買えない別注品ならば納得できるが、オンラインで購入できる通常のものならば直接個人輸入する人もぐっと増えているのではないだろうか。これから暫くは秋冬物に最適のメイドインUSAのラギットウェアをウェブ上で探す日々が続きそうだ。

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