Black Fleece(海外通販顛末記)
年末年始のウィンターセールは専ら海外通販を利用したが先週最後の注文品が届いた。一回でまとめて注文すれば送料も安く付いたのだろうが、その時々で色々なサイトを見比べながらの注文故、結局は3回に分けての注文、4回に分かれての到着ということになった。ベッドリネン2セット以外はウールのスーツから始まってオックスフォードシャツやフランネルトラウザーズ、最後に到着したウールのネイビーブレザーまで、ブラックフリースのまとめ買いという結果になった。
順調に届いたのはシャツ3枚とベッドリネンのみで、キャンセル扱いだったスーツが届いたり、スーツがキャンセルならばとオーダーしたブレザーとトラウザーズが別々に届いたり、挙句にブレザーの付属ボタンがなくて至急送るよう依頼したりと、ともかく気をもむ買い物だった。エラーは起こりうるものととらえるか、そのエラーを極力起こさないよう徹底するか、日本とアメリカの考え方の違いを感じたこの冬の海外通販、今回はその顛末期を最後に届いたブレザーと一緒に紹介しようと思う。
1.ブラックフリースブレザー
デザイナーのトムブラウンが考える着丈の短い上着。そのシルエットはダーツを取らない3ツ釦段返りだが襟は小振りで第2釦がハイウェストの新しいスタイルだ。J.プレスと違ってジャケットポケットにはフラップが付かない。縫製はUSメイドのサウスウィック製だが、昔のオウンメイクのように手縫いのボタンホールではない。素材はダークネイビーの地厚なウールフランネルでラペル端やポケット端、袖山や背中心にウェルトシームが走るクラシックな仕上がり。
2.ニューサックスタイル
ラペルのロールは第1釦に僅かにかかるくらいで、このあたりは伝統的なブルックスのナンバーⅠモデルとはスタイルを異にする。背裏やパッチポケットの裏地はコットン、袖裏はベンベルグのトリプルバーストライプとブラックフリースのスーツ同様の作り。特に伝統的なアメリカ製のオッドジャケット同様ハーフライニングで仕上げられているところなどクラシックをベースにしたネオトラディショナルといった雰囲気もある。
3.Vゾーン
オックスフォードのシャツは都内老舗デパート別注復刻版6釦ポロカラー。勿論アメリカ製のブルックス製品でエクストラスリムフィット。タイトなブラックフリースのジャケットにマッチするフィッティングが嬉しい。ネクタイは1990年代、珍しい英国製のポールスチュアートだ。ポケットスクェアも同じポールスチュアートのもので昨夏購入したばかり。10年以上経った今も同じブランドで買い物出来る喜びがトラッドウェアにはある。
4.ラペル周辺
小さめのラペルは昔のブルックスよりもゴージが若干上に上がっており、その分刻みは下方向に向いている。イザイアほどではないがフィッシュマウスラペルのような形状が特徴で、当然合わせるネクタイは細めで芯地の薄く軽いものがマッチする。胸部分のパッチポケットは三角フラスコのように裾広がりになっていて、この辺りはデザイナーの感性が反映されているようだ。
5.手縫い既成服の象徴
ラペル裏は通称ヒゲと呼ばれる持ち出しがあり、テイラード仕立ての雰囲気を感じることができる。上襟の腰部分は昔のオウンメイクブレザーのように幾重ものミシンステッチが積み重なる作りではなくイタリアの手縫い既製服メイカーと似たもので、ラペルのフラワーホールこそマシンメイドながら今までのUSメイドとは別物に近い。ブラックフリースの重衣料が従来のイタリー製からメイドインUSAになったことや他にない素材使いの巧みさに興味を惹かれ、オンラインショッピングながら随分と散在した。
6.ジャケット裏
大身返しのジャケット裏。パイピング処理を施したシーム部分やブラックフリースの大きなタグが目立つ。ジャケットの裏を覗くとキャンバス製の芯地とフエルトに近い地厚の裏地の2重構造になっている。またショルダー部分はかなり厚めで大きいパッドがしっかりと入っていて、イタリー製のアンコンジャケットのような薄い感じはしない。ボトムスはセレクトショップのオリジナルでアイビー色の強いシルエットのトラウザーズに同じく国産のコードヴァンを使用したベルトを用意してみた。
7.センターフックべント
昔のVANやライセンス品のJ.プレスでしか見たことがなく、USメイドでは初めて見たセンターフックベント仕様。昔のブルックスの商品をインターネットで検索しても中々このフックベント仕様のもに巡り合えないが、デザイナーのトムブラウンはブルックスのアーカイブからヒントを得てブラックフリースをデザインしていると聞く。アメリカで写真集「テイクアイビー」のアメリカ版が販売されて評判を呼んだそうだが、ひょっとして日本のアイビームーブメントもデザインソースになっているかもしれない。
8.ロッカーループ
上襟中央部分のロッカーループ。元々ボタンダウンシャツの襟後ろに付くボタンや背中のセンターボックスプリーツ上のロッカーループなど細かなディテールに拘っていたのがアイビーファン。ブラックフリースの細かなディテールへの拘りも昔からのアイビーファンを惹きつける魅力の一端、ブルックスブラザーズの復活とまでは行かないが少なくともマークス&スペンサーが親会社だった頃よりも魅力的になってきていると感じる。
9.未処理のカフ部分
ブレザーが届いてから1週間経ったが、その間送ったメールは5通、あまりにも返事が遅いので最後には「リジェクト品として返品するので送料の負担とカードアカウントからの引落を停止する」旨を伝えたところブラックフリースの責任者を含め担当者から一気に3通のメールが届いた。現在5個のカフボタンと1個のジャケットボタンをフェデックスで送っているとの返事だがまだまだ安心できない。届いたボタンが違うことだって大いにあり得るからだ。もし無事に届けばこのカフ部分にシグネチャーカフとしてトムブラウンが推奨する2つボタンをやや間隔を空けて付けることになろう。
10. コーディネイトした靴
今回紹介した靴はいずれも15年以上経つ昔のオールデン。左は1996年のブルックス別注プレーントゥ。当時既にオールデンのものはストームウェルトだったがブルックスだけがグッドイヤー製法でハト目の外羽根を展開していた。右のローファーは更に古く間もなく20年を迎える。まだソールを1度も張り替えたことはないが生涯現役で活躍できそうなタフさの感じられる1足だ。どちらも写真撮影に当たって久しぶりにメルトニアンのシューポリッシュで磨きをかけた。
11.オールデン
皺部分がささくれ立って艶がなくなるのがコードヴァンの特徴。そこでポリッシュする際に皺に沿って風邪薬などのガラス製空き瓶の底部分を用いて押し付けるようにポリッシュを馴染ませる。最後に乾いた布きれで磨いてみるとそれなりに効果があったようだ。最近の円高でオールデンを本国から個人輸入する人も再び増えていると聞く。日本限定品ではなく定番品やアメリカ本国展開品を買うのならばこれだけの内外価格差、関税を納めてもさぞお得なのではと想像する。
さて数回にわたって紹介してきたオンラインショッピングも今回で終了する。暫く前に紹介したオンラインで購入したスーツの課税額は6,600円、一方スーツの後に届いたシャツやベッドリネンの課税額は3,100円で総額9,700円を納めた。輸入した825㌦のスーツと500㌦のシャツ&べッドリネンの合計1,325㌦に送料100㌦を加えてこの日のレート77.97円/㌦で換算すると111,110円、これに前述した納税額を加えると120,810円が今までの総額となる。もし同じ商品を日本で買うと178,500円のスーツに58,500円のシャツ、ベッドリネンは日本未発売だが同じ価格として16,000円の合計253,000円となる。アメリカ本国のオンラインを使うと国内価格の何と48%の値段で商品を購入できたことになる。
日本で同じものを購入した場合の利点は①お直しが直接業者に出すより割安になること②細かなフィッティングに立ち会って貰えること③楽しく店員と話せることだろうか。今回はアメリカ本国ではセール品を買い、日本ではセールをやっていない為定価で比べたのでフェアではないだろう。だがこのまま日本が定価の見直しをせず、また半期に一度のセール時期に思い切ったリダクションを行わなければ今回の状況はそのまま続く訳で、そうなれば①~③のサービスよりも日本国内の48%で物を買う方法を選択する流れはもっと広まるのではないだろうか。
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